概要・あらすじ
警視庁捜査一課の新米刑事の桃生は、幼い頃、凄惨な事件で父親を亡くした過去を持つ。自宅でバラバラにされた父親と、怪物のような顔をした犯人の姿を目撃した桃生は、今でもその悪夢に悩まされていた。異常殺人を憎む桃生は、夜にはびこる残虐な犯人を捕まえるために刑事になったのだ。ある日、頭部以外の切断された遺体が、部屋の方々で発見されるという凄惨な事件が発生。被害者は、20歳の女学生の真桑香澄だった。犯人逮捕に執念を燃やす桃生の目に飛び込んできたのは、ある電車のつり広告の文言だった。それは『日本昔話の真実』というタイトルの書籍広告。幼い頃、怪物の姿を見た桃生には「人ならざる者は存在する!」というキャッチコピーが気になったのだ。わらにもすがる気持ちで、桃生はその本の著者である、浦海大学の准教授の太郎を訪ねる。「日本昔話研究室」と張り紙された准教授の部屋に入ると、着流しに中折れ帽という、見るからに変人の太郎がいた。太郎によると、異常犯罪は「人ならざる者」の犯行らしい。そして、日本昔話は異常犯罪の記録で、現代でも繰り返されるのだという。あきれて研究室を出た桃生は、廊下でいきなり中年男に襲われる。相手を柔術で組み伏せる桃生だが、中年男の異常な怪力で逆に首を絞められる。「桃生姓の人間は余計なことばかりするから殺される」という謎の言葉を発する中年の顔は、怪物のように変形していた。そばで見ていた太郎が、「鬼は外、福は内」と言いながら乾燥菖蒲を投げつけると、男は顔を歪め、あわてて逃げていった。太郎によると、あの中年男は「鬼」で、ほかにもさまざまな化け物が存在するらしい。そして、真桑香澄殺害事件の犯人は、ちぎった遺体をいろんな所に隠す手口から『瓜子姫』に登場する「天邪鬼」だという。怪現象を目の当たりにした桃生は、太郎と組んで犯人(天邪鬼)を追い詰める決意をする。
登場人物・キャラクター
桃生 (ものう)
警視庁捜査一課の新人刑事。22歳の男性で、オールバックの髪型とスーツ姿が特徴。若手とは思えない貫禄があり、現場でよく警部にまちがえられる。幼い頃、バラバラにされた父の遺体と、その犯人の姿を目撃している。心拍数が極限に達すると、人間に化けた怪物の真の姿を見ることができる。日本の昔話と猟奇事件の関係を研究する、偏屈な大学准教授の太郎と組んで、怪事件に挑む。
太郎 (たろう)
浦海大学の日本文学准教授。着流しに中折れ帽、長髪が特徴の男性。日本の昔話は異常犯罪の記録であると主張し、変人扱いされている。現代の猟奇殺人が、人ならざる者の犯行であることを桃生に教え、タッグを組んで怪事件に挑む。