概要・あらすじ
日中英の3か国語ができる警察通訳人の有木野了は、次の取り調べのために公園でサンドイッチを食べながら、中国語メールの下訳をしていた。髪の毛がミドリでメガネをかけた女性、鴻田麻里が、向いのテーブルでサソリの入った弁当を嬉しそうに食べ始めた。有木野は気が散るからと反対側を向いて彼女に背を向けた。その時、泣きながら中国語で電話をしていた女性に鴻田が「大丈夫? 何か困っているの?」と英語で話しかけた。中国語がわからない鴻田はスマホを探すが、すぐに見つからず、有木野に「おにーさん、ちょっとスマホ貸してもらえません」と厚かましくお願いした。仕方なくスマホを差し出した時、下訳をしようとしていた中国語のメール画面を鴻田に見られてしまう。鴻田に強引にお願いされ、仕方なく泣いている女性の通訳をする有木野。その女性の名は沈一諾(シェン・イー・ヲォ)。21歳の中国人留学生。SNSで知り合い、日本に遊びに来ていた中国人の友達「キャンディ」が失踪してしまったのだと言う。沈一諾の家に滞在していたキャンディは、昨日出かけたきり、全く連絡がとれなくなってしまった。スーツケースは家に置いたままだし、キャンディは日本語が話せない。なにか事件に巻き込まれているのではないかと心配し、沈一諾は何度もキャンディの留守電にメッセージを入れていた。鴻田は通訳してくれた有木野にお礼を言い、ウチの通訳人として働かないかと名刺を差し出した。彼女は東新宿署組織犯罪対策課国際捜査係の巡査部長。ミドリ頭の女が警察官だったとはと驚く有木野。鴻田は失踪した、本名もわからない「キャンディ」の捜査を開始し、有木野に協力を求めるのだった。
登場人物・キャラクター
有木野 了 (ありきの りょう)
警察通訳人の男性。警視庁通訳センター第二係に所属。日中英の3か国語ができる。捜査に感情移入せず、無表情に淡々と通訳する。意訳はせず、一言一句丁寧に翻訳する。元警察官で、2年ほど前までは上麻布警察署で巡査をしていた。太く整った眉で、髪は短髪。前髪を少し立たせている。15歳まで中国の大連で育った帰国子女で、ゲイ。あまり感情をオモテに出さない。何かトラウマを抱えている。鴻田麻里からは「アリキーノ」と呼ばれている。
鴻田 麻里 (こうだ まり)
ミドリの髪色でボブカットの女性警察官。東新宿署組織犯罪対策課国際捜査係の巡査部長。背は小さく、メガネをかけている。破天荒、オープンで明るい性格。不安を抱える在日外国人側の気持ちになって捜査をする人情派で、固定観念にとらわれず、自分の眼で見たことしか信じない。大物の臭いがしない訪日・在住外国人がらみの案件ばかり担当していることから、国際捜査係のこぼれカス担当とも呼ばれている。好きな食べ物は食べたことがないもの。
クレジット
- 監修
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一般社団法人 関西司法通訳養成所 代表 清水 真
書誌情報
東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー 5巻 講談社〈KCデラックス〉
第1巻
(2021-11-22発行、 978-4065257968)
第2巻
(2022-01-21発行、 978-4065265246)
第3巻
(2022-06-22発行、 978-4065282007)
第4巻
(2023-09-22発行、 978-4065330463)
第5巻
(2024-04-23発行、 978-4065346686)