概要・あらすじ
ある日、1人の会社員が人通りの多い交差点前で身体を膨張させた後、血を吹き出し謎の怪死を遂げた。怪死した会社員の病理検査を担当した医師の小野寺周二は、その死因が未知の感染症によるものだと知る。そして、この最初の犠牲者を皮切りに発症者が続出し、次第に日本はパニックに見舞われていく。そんななか小野寺は、同じ医師仲間の関口薫と共に原因の究明に挑む。
登場人物・キャラクター
小野寺 周二 (おのでら しゅうじ)
大学病院に勤める医師。患者と和気あいあいと将棋を指したり同僚の看護師からは「かわいい」と噂されるなど、気さくで評判が高い。関口薫とともに感染症の発見者の1人とされているが、自分に感染の可能性があると知ると激しく取り乱すなど精神面の脆い面も見受けられる。
関口 薫 (せきぐち かおる)
小野寺周二と同じ大学病院に勤める医師。小野寺や同僚の看護師からは「冷静、クール」と評される。小野寺とともに感染症の発見者の1人とされており、その後は感染の恐れがある者をリスト化したり、患者の症状をカルテに記録しネットワークに配信するなど先陣を切って活動し、今回の未知の感染症に対して最も頼りになる人物と目されている。
山田 祐一 (やまだ ゆういち)
初めて未知の感染症を発現した37歳の建設会社勤務の会社員。会社で仕事をしていた当初は発熱や咳が出るなど風邪のような症状だったが、同僚の勧めもあり早退。帰路につく過程で身体膨張と出血も見受けられ症状が悪化、人通りの多い交差点前でとうとうこと切れてしまう。
岬 あかり (みさき あかり)
小野寺周二の家の近所に住む女子高生。小野寺には昔、勉強を教えてもらったことがあり「お兄ちゃん」と呼び慕っている。彼氏である大島のためにお弁当を作る過程で指を怪我したことと、山田祐一の怪死に立ち会って血を浴びたことにより未知のウイルスに血液感染してしまう。
大島 (おおしま)
サッカー部に所属している大柄な高校生。「うーうー」と言って意思疎通をはかることがあり、それを意味のある日本語に変換し理解することができるのは岬あかりと森のみ。とても情に厚くあかりを大切に思う気持ちに溢れ、あかりが隔離された後も危険を冒してまでも病院内に侵入するほど。その後の検査で免疫抗体が大島の身体から見つかり、血清療法の確立に一役買った。
森 (もり)
国立伝染研究所村川分室の室長。ウイルスに対して恋をしているといっても過言ではなく、室内にはエボラの菌とツーショットの写真も飾られているほど。初めて小野寺周二たちからウイルスの話を聞かされた時も、嬉しそうな笑顔を見せるなど異常な反応を示した。しかし、研究者としての実力は本物で、今回の感染症が未知のものであると決定づけた。
佐木 (さき)
厚生省所属の部長。平山の上司にあたる人物だが今回の騒動に関しては危機感に欠け、のちに立ち上げられた感染対策部も平山に丸投げし、製薬会社とのゴルフコンペに出かけるなどしていた。感染が広がりを見せてからはさすがに顔色を変える一幕もあったが、裏で政府から早々に終息宣言を出すよう圧力をかけられていた。
平山 (ひらやま)
厚生省所属の課長。今回の感染症に対しての危機意識が非常に高い人物であり、事態の原因究明に向けて方々へ足を運び奔走していた。物語後半では小野寺周二と接触し、小野寺と岬あかりを含めた4名をアメリカへ移送し感染症の治療法を確立させるという、誰も考えなかった解決策を打ち出した。しかし、出過ぎた行動をとったためか最終的には係長に降格されてしまう。
場所
国立伝染病研究所村川分室 (こくりつでんせんびょうけんきゅうじょむらかわぶんしつ)
日本で唯一のBL4研究施設。BLは病原体の危険度を示す数値で、BL3にはHIVやSARSが含まれる。エボラやマールブルグ出血熱ウイルスはその上のBL4に分類される非常に危険なもの。そのため、近隣住民の反対からBL4の研究は中止され、BL3までの研究しか認められていなかった。のちに抗体が発見されたことにより、一般の研究施設ではできないウイルスと血清の実験を行うことのできるようになった唯一の機関。 施設の使用許可は平山が独断で下した。
その他キーワード
エマージングウイルス
日本発の新興ウイルス。人の体内で爆発的に増殖しながら体組織を食い荒らし、人の目を真っ先に攻撃し、臓器を腐食させたのちに炸裂する。エボラと症状は似ているが、前例がないため治療法はおろか感染経緯、感染力、潜伏期間、初期症状などすべてが不明。のちに血液感染であると断定され終息したが、空気感染タイプに変異した可能性も見てとれる描写がある。
クレジット
- 監修
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中原英臣