あらすじ
第1話~第2話「杉浦克己・43歳」(第1巻)
交通事故で娘を失い、妻も病気で失い、ついには仕事もなくした杉浦克己は、ひょんなことから、神沼という女性から「走馬灯株式会社」に招かれ、テレビが置かれた個室で、「あなたの人生を心行くまで顧みて下さい」とDVDを渡される。自分の人生が自分目線の映像で流れ出し、やがて杉浦はそのDVDの映像に没頭していく。中学時代の後輩と結婚し、子供が産まれて幸せの絶頂を迎える画面の中の杉浦だったが、その後、野々村玲子と不倫。さらに、暴走する玲子を崖から突き落としてしまう。画面を正視できなくなった杉浦に、神沼は特典ディスクを勧めるが、それは玲子の人生の映像であった。そこには、崖から突き落とされた玲子が息絶えておらず、杉浦の娘・マヤと妻の杉浦由美を手に掛けていく映像が映し出されていた。
第3話~第4話「大崎拓也・34歳」(第1巻)
女性の鞄を置き引きした大崎拓也は、突然鳴った携帯電話の着メロを聞いて驚く。それは、昔拓也が作った曲だった。たじろぐ拓也は逃走中に「走馬灯株式会社」に招き入れられる。自分の人生が映し出されたDVDを観るうちに、拓也はいつも自分のライブに来ていたショートカットの女性に気付く。だが拓也は美香という違う女性を選び、人生が転落することとなった。拓也は鞄の持ち主である町田可奈の人生の映像から、彼女がずっと拓也のCDを手売りしていたことを知る。そこに置き引きした拓也の姿が現れ、次の瞬間、階段が大きく映ったところで、可奈の映像は終了するのだった。
第5話~第6話「安達唯奈・24歳」(第1巻)
帰郷した安達唯奈は、今は亡き父親に結婚することを報告していた。その後、足を滑らせて小高い丘から転落した唯奈は、「走馬灯株式会社」の神沼に助けられ、自分の人生が映し出されたDVDを鑑賞することになる。喧嘩が強く、いつも自分を守ってくれた父親の姿に涙した唯奈は、続いて婚約者の志村俊一のDVDを視聴する。そこにはさまざまな女性と付き合い、金をだまし取る詐欺師としての俊一の姿があった。その日から、唯奈の目には以前は見えなかったものが見えるようになる。
第7話~第8話「雪村莉絵・25歳 南出孝郎・28歳 小笠原邦男・33歳」(第1巻)
ネットで出会った雪村莉絵、南出孝郎、小笠原邦男の3人は、樹海で死に場所を探していたところで、「走馬灯株式会社」を訪れる。孝郎の人生が映し出されたDVDから、彼がギャンブルの借金で死のうとしていることが判明。そんな彼に対し、邦男は自分の金を提供すると申し出る。一方の邦男の人生のDVDでは、女性に振られ続け、セックスをしたことがないことに悩むというものだった。莉絵は、そんな邦男をセックスに誘う。こうして死ぬ理由がなくなった2人は、莉絵の悩みを解決しようと彼女のDVDを観る。その内容は、莉絵がDV男に風俗で働かされており、そんな自分を変えようと勇気を出したことにより、他人を事故死させてしまうという、悲惨な人生の内容であった。
第9話「山本たまこ・1歳」(第1巻)
「走馬灯株式会社」の常連である猫の山本たまこは、幼い頃に捨てられて、山本美奈子に引き取られたが、美奈子の義母はいい顔をしなかった。美奈子は神沼に招かれ、「走馬灯株式会社」でたまことともに彼女の人生を観ることになる。そこには容赦なく嫁である自分を叱る義母の姿が映し出され、美奈子の心は沈む。一方で義母はたまこに対し、美奈子に遠慮せずにぶつかってきてほしいと、優しく語り掛けていたのだった。義母と距離を置いていたのは自分の方だと悟った美奈子は、思い切って義母に自分の想いをぶつける。
第10話~第11話「関隆広・28歳」(第2巻)
婚約者の結子と帰郷した関隆広は、隆広の母親にやっと親孝行できると安堵していた。その翌日、隆広は昔、納屋で幽霊を見たことを思い出す。家に残るという結子を置いて出掛けた隆広は、「走馬灯株式会社」に行って来たという友人に会う。彼は「真実とは自分が信じていたモノと全く違う形で別にある」と後悔していた。その後、「走馬灯株式会社」に辿り着いた隆広は、自分の人生が映し出されたDVDを観ることとなる。そこでは見知らぬ男女が赤ん坊をあやしていたが、そこに隆広の母親が現れ、赤ん坊を連れ去るのだった。やがて隆広は、納屋で観た幽霊が、隆広の母親が殺した自分の実の母親だと知る。
第12話「瀬上直子・17歳」(第2巻)
授業をさぼっていた瀬上直子は、導かれるように「走馬灯株式会社」を訪れる。彼女は自分の人生が映し出されたDVDの映像から、担任の溝口にレイプされた場面を携帯電話に録画。その後、校長であり、自分の話を信じてくれなかった直子の母親に「走馬灯株式会社」のことを電話で伝え、今から証拠を見せると学校に向かう。その途中、直子は溝口に捕まってしまうが、その時「走馬灯株式会社」で直子の人生をリアルタイムで見ていた直子の母親から、溝口に電話が入る。
第13話~第14話「今野満男・30歳」(第2巻)
戦隊ヒーロー「ジャスティスレンジャー」のショーにおいて、端役として舞台に立つ今野満男は、失敗続きで落ち込んでいた。満男は、入院しているタカシという男の子のため、「ジャスティスレッド」の姿で慰めたいと考えていたが、そんな中、タカシが息を引き取ったという報せが入る。落ち込む満男と、彼を心配する美咲の前に、神沼が現れ、「走馬灯株式会社」へと誘うのだった。そこで、満男の人生が映し出されたDVDを観て、タカシに無数の傷跡を発見した満男と美咲は、タカシが父親に虐待されていることを知ることとなる。
第15話~第16話「喜島茂輝・22歳」(第2巻)
母親から金をもらって、毎日スロット店に出掛けている喜島茂輝は、取り巻きに気前よく金を渡すのが習慣になっていた。そんな茂樹は、何気なく訪れた「走馬灯株式会社」で、自分の人生が映し出されたDVDを観ることになる。甘やかされた幼少期、友人に無視され、初恋の椎名千秋に振られた中学時代。茂輝は時代が進むにつれ、自分の人生を観ることに耐えられなくなる。そんな中、ソープで椎名に再会して罵倒された茂輝は、彼女を脅し、取り巻きにレイプさせる。そのレイプ映像を観て興奮する当時の自分を観て、ゾッとした茂輝はDVDを破壊。逃げ出した茂輝は取り巻きのもとに戻るが、相手にされない。さらに家に戻ると、母親にも「うちに息子はおりません」と告げられるのだった。
第17話~第18話「石丸丈一郎・77歳」(第2巻)
余命1か月となった石丸丈一郎は、自分の遺産に群がる周囲の人間に嫌気がさし、初恋の女性である琴平加代に会いたいと病院を抜け出した。加代が住んでいた村の峠にはすでに家はなく、そこで倒れた丈一郎は「走馬灯株式会社」に招き入れられる。自分の人生が映し出されたDVDには、加代と仲良く過ごした日々が映っていた。映像の中で、加代が村人に体を売らなければならないことを知った丈一郎は、自分の父親に、加代には誰も手出しをさせないよう約束させ、東京に出て行く。続いて、丈一郎は加代の人生が映し出されたDVDを観たいと神沼に頼むが、神沼によれば、加代は認知症を患い、ずっとここで丈一郎と過ごした日々をDVDで鑑賞しているのだという。
第19話~第20話「猪原厚三・56歳」(第3巻)
タクシー運転手の猪原厚三は、ガラの悪い客、柏木力を乗せていたが、山道でエンストしてしまう。そこで2人は、神沼に「走馬灯株式会社」へと招かれる。自分の人生が映し出されたDVDを観ながらはしゃぐ柏木。別室でDVDを観ることになった猪原は、ことあるごとに仕事や結婚から「手を離し続けた」自分の人生を観て落ち込む。そんな中、ちょうど柏木が席を外していた際に再生されていた場面から、猪原は自分の娘が柏木に乱暴されて殺されたことを知る。猪原は戻って来た柏木を気絶させて縛り上げ、警察へと向かうものの、その途中、目を覚ました柏木に反撃され、車を乗っ取られてしまう。猪原は柏木の肩にしがみつくが標識に激突し、崖から落下する。ことなきを得たと考えていた柏木はその翌日、自分の身に起きた異変に気付くこととなる。
第21話~第22話「妹尾舞・20歳」(第3巻)
田舎から上京したものの、都会の生活に馴染めないでいる妹尾舞は、コンビニで万引き犯に間違われてしまう。そんな舞を救ったのは、ロクさんというホームレスだった。以降、舞はロクさんと交流を深め、服飾デザイナーを目指していることや、両親がいないことなどを打ち明ける。すると彼に「走馬灯株式会社」に行くことを勧められる。ある日、ロクさんの家を訪ねると、具合の悪そうな彼はトイレから戻ってこない。ロクさんを探しに行った舞は、そこで「走馬灯株式会社」にたどり着く。そこで、自分の父親かもしれないと思っていたロクさんは、父親の仕事仲間の服飾デザイナーであり、自分がロクさんに可愛がられていたこと、さらにロクさんこと影山六郎の人生が映し出されたDVDからは、彼が舞の父親を死亡させ、逃亡していた事実が判明する。
第23話~第24話「権代忠重・61歳」(第3巻)
権代忠重が家族旅行で訪れた別荘に、1人の男が乱入して包丁を振り回していた。男は忠重ともみ合いになって転倒、暖炉で頭を焼かれた状態になる。そんな姿を見て、妻の権代静江は怯える。実は忠重は「走馬灯株式会社」で静江の人生が映し出されたDVDを観て、彼女が浮気相手の美容師と、自分の殺害計画を立てていることを知っていた。一方の静江は「走馬灯株式会社」で、忠重が浮気相手の弟から静江の殺害を持ちかけられていた映像を観たという。ののしり合いもみ合う夫婦を刺殺したのは、夫婦の養子である権代憲二郎だった。彼もまた「走馬灯株式会社」に行ったことにより、自分の実父と再会し、両親の殺害を彼に引き受けさせたのだった。
第25話~第26話「笠木修道・42歳 長澤比佐志・42歳」(第3巻)
転落事故により失明した天才画家、笠木修道は、親友の長澤比佐志を誘って、事故に遭った光輪ヶ丘へと登っていた。そこで2人は、「走馬灯株式会社」を訪れる。そこで観た笠木の人生が映し出されたDVDには、長澤が笠木を突き落とす映像が流れていた。笠木は映像こそ観ることはできなかったが、そこに長澤の時計の鳴る音を聞き、事態を理解。真実を知られた長澤は、吹雪の中、外へと逃げ出して崖から落ちるが、中腹に留まる。真実を知りたいという笠木に、長澤は凡人の自分と天才の笠木という立場の差がくやしかったと告白する。助けられた長澤は凍傷で両手の機能を失うこととなったが、8年後にまた光輪ヶ丘に登り、そこで笠木と再会する。
第27話「三倉良・40歳」(第3巻)
幼なじみだった少女、月島未知子に捧げる小説を執筆していた三倉良は、未知子が好きだった星を眺めようと丘に登った。そこで神沼に声を掛けられ、「走馬灯株式会社」で自分の人生が映し出されたDVDを観ることとなった。かつて未知子は「UFOが迎えに来る」と口癖のようにと言っており、彼女の家が貧しかったので、良は未知子が現実逃避の妄想をしてもおかしくないと考えていた。そんな未知子は、寝たきりだった母親が亡くなった直後、行方不明になっていた。逡巡しつつも未知子のDVDを観ることにした良は、未知子が手首を切ったことを知る。
第28話~第30話「多岐川隼人・22歳」(第4巻)
多岐川隼人は、恋人の理央、友人のジローとともに二笑村温泉に旅行に来ていた。そこで旅館に入った隼人は、何故か郷愁を感じる。その後、隼人は何者かに温泉に沈められそうになり、程なく仲居が自殺したという騒ぎが発生。あわてて旅館を脱出した隼人たちは「走馬灯株式会社」に辿りつく。そこで隼人は、自分が二笑村の出身であることを知る。そこでは、「生き神様」と呼ばれるばあ様に、村人たちが自分の死ぬ日と死に様を占ってもらうという風習があった。さらに、その通りに死ななければ村に災いが起こるとされ、村人全員でその通りに殺すことが習わしになっていたのだ。かつて、ばあ様に22歳の3月20日にこの村で水死する、と告げられた隼人は、父親とともに村から逃げたのだった。そして、理央とジローもまた、実は村の人間であった。
第31話~第32話「塩見正春・38歳 柚木つぐみ・26歳」(第4巻)
自分をリストラした社長を撃った塩見正春は、途中で見つけた柚木つぐみを人質にして逃走。つぐみの地元に向かった2人は、台風の中、「走馬灯株式会社」に辿り着く。そこで塩見は、つぐみが祖母の眠る場所に、祖父の遺骨を埋めに行こうとしていたことを知る。祖母の墓の場所を調べるべく、2人はつぐみの祖父、柚木光次郎の人生が映し出されたDVDを観る。かつて「走馬灯株式会社」で出会った光次郎と祖母、ミエは、その記念に会社の近くに銀杏の木の種を植えており、ミエの遺骨がそこに埋められていることが判明。台風の中、ミエのお骨を取に行った塩見は、濁流に飲み込まれてしまう。
第33話~第34話「園田沙希・25歳」(第4巻)
中学生の頃、園田沙希との喧嘩で顔に火傷を負った双子の妹、園田都は10年間、引きこもり生活をしていた。ある日、沙希は都に彼氏の倉田を紹介するが、都は倉田を殺害してしまう。事態を隠ぺいするため、都と2人で倉田を埋めに行った帰り、倒れそうになった沙希は、神沼に誘われて「走馬灯株式会社」で休むこととなる。そこで自分の人生が映し出されたDVDを観た沙希は、喧嘩で顔に火傷を負ったのは自分の方であることを知る。都の話を聞くたびに空想に浸っていた沙希は、都の話をすべて、自分が体験したことだと思い込んでいたのだった。
第35話~第36話「今泉安彦・48歳 今泉照美・45歳 今泉ヒロミ・22歳 今泉明・19歳 今泉純平・14歳 今泉哲也・8歳 今泉奈々美・7歳 今泉進・3歳」(第4巻)
8人家族の大黒柱である今泉安彦が失職し、妻の今泉照美との大喧嘩が始まるが、夜の仕事で稼いでいる今泉ヒロミをはじめ、他の家族は知らん顔。そんな中、突如炎が燃え上がり、家が焼失してしまう。路頭に迷った一家は、神沼の導きで「走馬灯株式会社」に滞在することとなった。家の家事は放火の可能性がある、とネットで調べた次男の今泉明は、喧嘩直後の安彦の人生が映し出されたDVDを観る。そこには放火魔らしき人物が映り込んでおり、安彦以外のDVDで確認することとなった。すると、無関心に見えた子供たちが、実はそれぞれ家族が仲良く暮らせるよう独自に行動していたことが判明。皆で涙を流す中、最年少の進が犯人を目撃したと言い出す。
第37話~第38話「堤友樹・25歳」(第5巻)
バンドでギターを担当している堤友樹は、恋人の梨穂一筋だったが、つい関係を持ってしまったファンのサヤカに、執拗につきまとわれていた。そんなある日、友樹と梨穂は「走馬灯株式会社」を訪れる。画面には、高校時代、田嶋という女子に呼び出された友樹が、長谷川という醜い女子から告白されるシーンが映し出される。その後、長谷川は整形を繰り返し、その都度、友樹に告白していた。友樹はそんな狂気じみた長谷川の姿にサヤカを重ねるが、後日サヤカを訪ねたところ、彼女は梨穂に殺害されていた。さらに梨穂に見つかった友樹は左手を負傷し、二度とギターが弾けなくなってしまう。それから数日後、友樹のもとに、梨穂からのプレゼントが届く。
第39話~第43話「澄川探偵事務所」(第5巻)
ある日、探偵事務所を営む澄川耕作のもとに、人生を消されたという喜島茂輝が訪れ、「走馬灯株式会社」を探してくれと依頼する。澄川は後日、茂輝の家を訪ねるが、彼の母親は「うちに息子はいない」という。その話を聞いた所員の羽宮理乃は、澄川自身が、忘れられない彼女、遥の姿を「走馬灯株式会社」で観たいのではないかと言い残し、探偵事務所を辞めると出ていってしまう。そんな理乃は「走馬灯株式会社」に足を踏み入れ、自分の人生が映し出されたDVDを観て、幼い頃一緒に遊んでいた「タク」という少年のDVDを自分が壊してしまったことを知る。理乃の行方がわからなくなって3か月、事務所をたたもうかと考えていた澄川は、偶然「走馬灯株式会社」を発見。そこで再会した理乃から、「走馬灯株式会社」の社員になったと告げられる。その後、澄川は神沼に締め出されるものの、改めて「走馬灯株式会社」を見つけるべく探偵業を再開する。
第44話~第45話「古橋要山・30歳 古橋千晴・22歳」(第5巻)
古橋要山と古橋千晴は、ノリで銀行強盗を働いているファンキーな夫婦だった。2人は「走馬灯株式会社」を訪れ、千晴は、毎日新しい父親に殴られ続けた要山が、逃げてしまった母親に思い知らせようと悪党になったことを知る。そんな中、千晴が要山の母親の人生が映し出されたDVDを希望したため、要山は母親が自分を守ろうとして義父に殺害されたことを知るのだった。
第46話~第47話「小幡あみり・29歳」(第6巻)
落ち目のアイドル、小幡あみりは、出演が決定した映画の撮影現場で、自分がゾンビ役のエキストラであることを知る。気落ちする中、木の枝に引っかかった自分の帽子を取ろうとしたあみりは、足をすべらせてファンの巻口とともに崖から落ちてしまう。そこで2人は「走馬灯株式会社」に辿りつく。あみりの人生が映し出されたDVDを観て、彼女の告別式が始まっていることを知った巻口は、あみりの事務所社長、水谷篤志のリアルタイム映像を希望。こうして2人は、人気アイドル、ミナミと水口が共謀してあみりの殺害計画を企てたことを知るのだった。後日、ゾンビになりきったあみりは、映画の舞台挨拶に乗り込む。
第48話~第49話「秋月楓・45歳」(第6巻)
「走馬灯株式会社」の羽宮理乃は、研修の一次試験として20年以上前に死んだ叔母、秋月楓を接客することになった。理乃にとって楓は、包丁を振り回す不気味な存在として記憶されていた。自分の人生が映し出されたDVDを観る楓は、理乃が知る叔母とは別人のように明るかった。さらにDVDを観ていくうちに、理乃は立ち退きに応じない楓の夫、利彦が、町長に殺されたことを知る。楓が包丁を振り回して理乃の家族を追い払ったのも、自分たちに関わることにより、理乃たちに害が及ばないようにするためであった。この後、楓が遺体で発見されることを知っている理乃は、涙をこらえつつ、楓から町長の犯罪の証拠が録音されたカセットレコーダーを受け取るのだった。
第50話~第51話「柴秋人・14歳」(第6巻)
黒板に書かれたことが実現する「美々子の予告」と呼ばれる怪事件が続き、クラス委員の森崎は柴秋人に、犯人を捕まえるために力を貸してほしいと懇願する。そんな中、夜の校舎に忍び込んだ森崎は、何者かに捕まってしまい、先に捉えられていた不良の尾関とともに焼き殺されそうになる。そのピンチを救ったのは、「走馬灯株式会社」で美々子の人生が映し出されたDVDを観た、という秋人であった。そして「美々子の予告」の正体が、美々子に想いを寄せていた生徒会長の永島が変装し、美々子をいじめていた不良たちに復讐していることだと暴露する。美々子が自殺した原因は、彼女を無視した自分にあったと反省する秋人だったが、実は彼は、美々子のDVDを最後まで見届けていなかった。
第52話~第57話「風見匠・37歳 岩倉聖児・33歳」(第6巻~第7巻)
大ヒットしている猫の漫画「ちゅらとザジ」の作者である風見匠は、出張の際に「走馬灯株式会社」を訪れる。同行の編集者、岩倉聖児と妻、風見佐枝子の浮気を疑っていた匠は、岩倉の人生が映し出されたDVDで、「ちゅらとザジ」の本当の原作者である佐枝子がスランプに陥り、岩倉から依存性の高いクスリを渡されていた事実を知る。クスリのケースを自分が持ってきてしまったことに気付いた匠は、佐枝子が錯乱状態に陥っていると、後輩の澄川耕作に助けを求める。報せを受けて澄川は佐枝子を取り押さえ、眠らせることに成功するが、戻って来た匠と岩倉が佐枝子にクスリを与えようとするのを見て、救急車を呼べと激怒。狂乱した岩倉が暴れる中、警察が到着する。
第58話~第59話「甲斐澤道子・21歳 佐内綾・21歳 皆川瑠梨花・21歳」(第7巻)
佐内綾と皆川瑠梨花は甲斐澤道子の地元に遊びに来ており、3人で「鏡守り」に行くことになった。そこは、鏡に恐ろしい姫の姿が映し出され、それを見ると呪い殺される、という心霊スポットだった。そんな中、満ち潮に驚いた瑠梨花が、鏡のある穴に落ちてしまう。その場を去った道子と綾は、2人の彼氏を取った瑠梨花を罠に嵌めたことを喜び合う。そんな2人は、「走馬灯株式会社」に辿りつき、それぞれの人生が映し出されたDVDから、お互いが裏切り合っていた事実を知る。ののしり合い取っ組み合いになった2人は、本物の「鏡守り」の穴に落ちてしまう。
第60話~第61話「島村新太・23歳」(第7巻)
暴力団「光矢組」の島村新太は、親分に「白池組」への届け物を頼まれる。組の極秘決定で、暴力団「友神会」の若頭を撃った佐倉征二の身代わりに、新太を差し出すことにしたのだ。そうとは知らない新太は「白池組」と勘違いして「走馬灯株式会社」を訪れ、そこで征二の人生が映し出されたDVDを観て、彼が「友神会」の若頭を撃ったことを知る。こんなものを誰かに目撃されては危険だと、征二に連絡を入れる新太だったが、その後、「友神会」の門の前で征二に撃ち殺されてしまう。征二の泣く様を見て納得した「友神会」はその場を立ち去るが、新太は死んではいなかった。すべてを知りながら「征二さんのためなら死にます」と笑顔で言った新太を見て、殺す気が失せた征二は一芝居打ったのだった。
第62話~第63話「北澤亜梨沙・24歳」(第7巻)
ある日、北澤亜梨沙が社内恋愛していた元彼たちが、みな無断欠勤していることが判明する。異常に厳しい父親の不在中、大学の同窓会に出席する亜梨沙は、そこで当時の元彼、小清水まで行方不明になっていることを知る。その後日、亜梨沙は、雨宮要治郎と名乗るストーカーに拉致されてしまう。「走馬灯株式会社」に行って来たという雨宮は、亜梨沙の人生が映し出されたDVDを観ていた人物の後をずっと追っていたという。そして雨宮は、その人物が狙っているのは亜梨沙と肉体関係を持った者だと断言する。亜梨沙と肉体関係を持った人間を殺していたのは、亜梨沙と別れたばかりの準也だった。そして亜梨沙は並んだ死体を見て、1つの事実に思い至る。
第64話~第65話「立花翔吾・20歳 霧島幸大・20歳」(第8巻)
ボクシングの東日本新人王の決勝で、立花翔吾は霧島幸大にノックアウトされる。後日、偶然出会った立花と霧島は、ともに「走馬灯株式会社」を訪れる。そこで自分の人生が映し出されたDVDを観た霧島は、東日本新人王の試合の前日に、暴漢に襲われて階段から落ちる自分の姿が映っており、自分が前向性健忘症であることを知るのだった。霧島は立花がわざと負けたと思い込み、試合のやり直しを要求する。
第66話~第67話「陣内時江・45歳 光原良子・45歳 磯部松代・41歳 相崎すみか・39歳」(第8巻)
学校に文句を言いに来ていたモンスターペアレントの陣内時江たちは、帰り道、「走馬灯株式会社」に入ってしまう。そこで陣内たちは、相崎すみかの家で毎日勉強していることになっている息子たちが、中学の担任だった女性教師の石田を小屋に監禁して乱暴していたことを知る。警察に駆け込まれることを恐れた陣内たちは、小屋に向かい、その場にいた石田を口封じのため殺害しようとするが、逃げられてしまう。そんな中、人の気配を感じた陣内たちは小屋に隠れるが、その瞬間、小屋は炎に包まれる。そして、「何かあってもママたちが守ってくれる」と、火を点けた息子たちは帰っていくのだった。
第68話~第70話「光明寺輝人・23歳」(第8巻)
澄川探偵事務所の所員、光明寺輝人は、造り酒屋の本家である実家に呼び戻された。本家に親戚一同が集う明日、輝人の父親は輝人に跡を継がせることを発表するという。その頃、本家では親戚の誰かによる嫌がらせが頻発していた。悩む輝人は、「走馬灯株式会社」を訪れる。昔の同僚、羽宮理乃に事務的な対応をされた輝人は、違和感を覚えつつも、そこで桂木拓郎という人物と仲良くなる。翌朝、完成間近の酒がすべてなくなっていることが発覚、輝人は親戚の前で自分が酒を盗んだと告白する。輝人が料理にその酒を使ったというと、親戚の莉佐子が血相を変える。夜通し親戚の人生が映し出されたDVDを調べた輝人が、犯人に自白させようとひと芝居打ったのだった。東京に戻った輝人は、澄川耕作に「実家を継ぐ」と告げるが、その際、自分たちのDVDが常に「走馬灯株式会社」に監視されていることをこっそり伝える。
第71話~第72話「木奈城正児・55歳」(第8巻)
インチキ宗教の教祖、木奈城正児は、信者、石塚たちが逮捕されたことにあせって逃げ出し、「走馬灯株式会社」に招き入れられる。そこへ、心配した信者たちが皆ついて来る。木奈城目線の映像が存在するのを知って、彼を一層崇拝する信者たち。その映像の中で、のぞき見をした木奈城は、一人の女子高生に金を脅し取られ、その後、彼女の家に火をつける。これにより頬に火傷を追った彼女は、彼に、一生私の奴隷になれと命令するのだった。映像を観た信者たちに対し、木奈城は彼女は悪魔であり、すでに排除したと説明する。木奈城が教団に帰ると、石塚たちも間もなく戻り、木奈城は、手足に手錠をつけて海に身を投じるという「復活の奇蹟」の儀式に臨むことになる。その頃、石塚の頬に火傷の跡があると知る一部の信者たちは、悪魔を排除すべく石塚を抹殺するのだった。
第73話~第74話「南郷祐樹・30歳」(第9巻)
十数年振りに田舎の同窓会に参加した南郷祐樹は、昔自分をいじめていた人々に、成功者として格の違いを見せつけていた。そんな南郷は二次会に向かった皆を探す道中、秘書兼運転手の田丸とともに、「走馬灯株式会社」に辿りつく。皆にいじめられていた南郷の人生が映し出されたDVDには、同じ境遇の「ヤックン」という友達が映し出されていた。ある日、ヤックンの弟が事故死したが、ヤックンは自分が弟を殺したと南郷に打ち明ける。保身に走った南郷は秘密にするという約束を破り、結局ヤックンは転校することとなった。このことを後悔し続けていると涙を流す南郷を見た田丸は、自分が南郷に近づいた理由やその正体など、すべてを打ち明ける。
第75話~第76話「荒井つかさ・18歳 森実咲・17歳」(第9巻)
アイドル活動をしている荒井つかさと森実咲は、ある日、コインロッカーに入れられていた赤ちゃんを発見し、家へと連れ帰った。赤ちゃんには「元木ひなの」という名前と生年月日が記された名札が付けられており、「ケーサツには行かないで」というメモも添えられていた。ある晩、2人はひなのを連れて「走馬灯株式会社」を訪れる。ひなのの人生が映し出されたDVDを観た2人は、警察上層部の女性が自分を振ったひなのの父親を殺し、次はひなのと母親を狙っていることを知る。DVDに映った母子手帳を観て、2人はひなのの母親に連絡を入れるが、その後、家に戻ったところで、ひなのを差し出せと犯人の女性に襲撃される。
第77話~第78話「月岡亜季 ・23歳」(第9巻)
月岡亜季は、彼氏の室口洋介と一緒に町内の夏祭りで、お化け屋敷のアルバイトに参加することになった。その途中、骸骨のマスクをつけた洋介とアルバイトを抜け出し、「走馬灯株式会社」を訪れる。そこで洋介は別れ話を切り出すが、彼の言うことは辻褄が合わず、亜季は彼が洋介ではないと見破り、金づちでその男の頭をたたき割る。洋介の人生が映し出されたDVDを観て、自分が彼に嫌悪されていたことを知った亜季は、骸骨のマスクをつけて洋介を呼び出す。
第79話「澄川耕作・36歳」、第80話「羽宮理乃・27歳」、最終話「走馬灯株式会社」(第9巻~第10巻)
ひょんなことから喜島茂輝と澄川耕作は「走馬灯株式会社」辿りつくが、澄川は桂木拓郎にディスク保管庫に閉じ込められてしまう。かたや、神沼を憎悪する茂輝は彼女を銃で撃つ。一方、羽宮理乃にとって澄川への接客は「走馬灯株式会社」における最終試験だったが、理乃は澄川を助け出す道を選択。株主である桂木のディスクが観たいという澄川のもとに、死んだはずの神沼が現れ、桂木の人生が映し出されたDVDを再生する。理乃に執着する桂木は、彼女を「走馬灯株式会社」の社員にしようと目論んでいた。一方で理乃は澄川のため、神沼を解放しようと、自らが社員になる道を選んだのだった。そこに姿を現した桂木は、澄川に対し、理乃のディスクを壊すか、理乃を殺すかどちらか選べと迫る。澄川はディスクを選択するが、実は澄川は理乃と自分のディスクを差し替えており、結果的に自分のディスクが破壊されたため、新たに株主となる権利を得るのだった。
後日、神沼は理乃に業務終了を伝える。新しく株主になった澄川の希望により、理乃がこの会社にいた記憶は消去されるという。澄川は、理乃が無事社会復帰できるよう、関係する人々の記憶も操作していた。こうして理乃は「走馬灯株式会社」を後にし、澄川が飼っていた猫のちゅらとザジを見つけ、彼らを連れ帰るのだった。
メディアミックス
TVドラマ
2012年7月から9月にかけて、TBS系列にて本作『走馬灯株式会社』のTVドラマ版が放映された。全10話。プロデューサーは杉山剛、十二竜也が務め、ディレクター・監督は三木康一郎、宮下健作が務めている。神沼役を香椎由宇、関隆広役を窪田正孝、堤友樹役を柏原収史がそれぞれ演じた。
登場人物・キャラクター
神沼 (かみぬま)
「走馬灯株式会社」の主任と名乗る謎の女性。眼鏡をかけた色気のある美人。クールな性格で喧嘩も強く、私情を挟まず株主とゲストの要求に応える。澄川耕作の忘れられない彼女、遥にそっくりで、のちに澄川を助けるような行動をするが、その真意は不明。喜島茂輝に銃で撃たれても、しばらくして何事もなかったかのように復活するなど、人間とは思えない言動が目立つ。
杉浦 克己 (すぎうら かつみ)
第1話~第2話「杉浦克己・43歳」に登場する。会社員の男性で年齢は43歳。娘のマヤが事故で亡くなり、1年後に妻の杉浦由美も病死し、職も失って生きる気力をなくしている。昔、家族で訪れた観光地で「走馬灯株式会社」の神沼に招かれ、自分の人生が映し出されたDVDを観ることになる。野々村玲子のDVDを神沼に勧められ、自分が家族を失ったのは、玲子と不倫したことが原因だと知る。
大崎 拓也 (おおさき たくや)
第3話~第4話「大崎拓也・34歳」に登場する。ミュージシャンを目指していた34歳の男性。金に困っていたため、自分が路上ライブをしていた公園で、町田可奈の鞄を置き引きする。「走馬灯株式会社」で可奈の人生が映し出されたDVDを観て、自分の音楽のために、可奈が必死になってくれている様子を目の当たりにし、悔い改めて、再び歌うことを誓う。
安達 唯奈 (あだち ゆな)
第5話~第6話「安達唯奈・24歳」に登場する。志村俊一と結婚の約束をしている24歳の女性。亡くなった父親のことが大好きで、結婚の報告に帰郷した際、丘から落ち、「走馬灯株式会社」で神沼に介抱される。人を信じやすい性格で、霊感があるという俊一に騙されていた。丘から落ちて頭を打ってから、一時的に霊の類が見えるようになる。
雪村 莉絵 (ゆきむら りえ)
第7話~第8話「雪村莉絵・25歳 南出孝郎・28歳 小笠原邦男・33歳」に登場する。ロングヘアの25歳の女性。DV男と付き合い、風俗で働かされていた。相談する友達もおらず孤独で、占い師に意思表示をしなさいと言われた。その後、痴漢だと問い詰めた男性が事故に遭って死亡した。この男性は冤罪の可能性が高く、何もかもが嫌になって自殺を決意し、自殺サイトで南出孝郎と小笠原邦男に出会う。 女性とセックスしたことがないという小笠原邦男に、自分の体を提供する献身的な性格。ハンドルネームは「オレンジ」。
山本 たまこ (やまもと たまこ)
第9話「山本たまこ・1歳」に登場する。山本美奈子の家で飼われている猫。捨て猫だったが、地蔵の所にいる猫として町の人気者になり、栄養失調で衰弱しているところを美奈子に助けられる。義母にいびられて、いつも萎縮してしまう美奈子に、義母の本当の姿を「走馬灯株式会社」のDVDで教える不思議な猫。
関 隆広 (せき たかひろ)
第10~11話「関隆広・28歳」に登場する。婚約者の結子と一緒に帰郷した28歳の男性。苦労して自分を育ててくれた母親に、やっと親孝行できると思っていた優しい性格。「走馬灯株式会社」で自分の人生が映し出されたDVDを観て、昔、納屋で見た幽霊こそが自分の本当の母親だったと知ってしまう。真実が受け入れられず、母親をまだ信じようとする。
瀬上 直子 (せがみ なおこ)
第12話「瀬上直子・17歳」に登場する。17歳の女子高校生。担任の溝口にレイプされ、それを校長である直子の母親に訴えたものの信じてもらえず、死にたいほどのショックを受けていた。「走馬灯株式会社」で自分がレイプされたシーンを携帯で録画するなど、気丈な性格。
今野 満男 (いまの みつお)
第13話~第14話「今野満男・30歳」、第79話「澄川耕作・36歳」に登場する。スタントチームに所属し、戦隊ヒーローシヨウ「ジャスティスレンジャー」で「戦闘員A」として舞台に立っている男性。昔からヒーローに憧れており、弱いながらも正義感の強い子供だった。極端なあがり症で、本番でいつも失敗をしてしまいへこむことが多い。のちに美咲と結婚する。
喜島 茂輝 (きじま しげき)
第15話~第16話「喜島茂輝・22歳」、第39話~第43話「澄川探偵事務所」他に登場する。医者の息子で、母親に甘やかされて育ってきた22歳の男性。ずんぐりむっくりの体型で、覇気のない顔をしている。常に上から目線で自慢ばかりしているので、友人がいない。スロット仲間である取り巻きには、陰で金づる扱いされている。「走馬灯株式会社」で自分の人生が映し出されたDVDを破壊し、神沼から、現実に目を背け、うそで取り繕って生きてきたことを指摘される。 以降、「走馬灯株式会社」に行って人生を取り戻そうと、探偵の澄川耕作にたびたび接近するが、人間的にはまったく成長していない。
石丸 丈一郎 (いしまる じょういちろう)
第17話~第18話「石丸丈一郎・77歳」に登場する。「イシマル紡績」の会長を務める77歳の男性。60年前に上京し、戦後の混沌の中、事業を興した成功者。余命1か月となり、遺産に群がろうとする人間関係に嫌気がさし、初恋の女性、琴平加代に会うべく病院を抜け出す。加代が住んでいた場所で倒れ、「走馬灯株式会社」で加代に再会する。
猪原 厚三 (いのはら こうぞう)
第19話~第20話「猪原厚三・56歳」に登場する。タクシーの運転手をしている56歳の男性。仕事には誠実に向き合うタイプ。柔道部の恩師に「相手を摑んだら死んでも離すな」と教えられるが、仕事も結婚も手を離してしまった自分の人生を悔やんでいる。「走馬灯株式会社」でタクシーの客である柏木力が、自分の娘を乱暴し殺害したことを知るのだが、この時だけは死んでも手を離さなかった。
妹尾 舞 (せのお まい)
第21話~第22話「妹尾舞・20歳」に登場する。服飾デザイナーを目指す20歳の女性で、バイトをしながら専門学校に行く費用を貯めている。両親を早くに亡くし、祖父母に育てられた。方言が出てしまうため、東京での生活に馴染めないでいる。ホームレスのロクさんに助けられ、彼に安らぎを感じて、何でも話す仲になる。唯一の父親の記憶といえるブレスレットをロクさんの部屋で見つけたので、彼が自分の父親ではないかと疑う。 しかし、「走馬灯株式会社」でロクさんが自分の父親を殺してしまったことを知る。
権代 忠重 (ごんだい ただしげ)
第23話~第24話「権代忠重・61歳」に登場する。会社社長である61歳の男性。「走馬灯株式会社」で妻の権代静江の人生が映し出されたDVDを観て、彼女が浮気相手と自分の殺害計画を企てていることを知る。養子である息子の権代憲二郎にも愛情はない。自分も浮気しているが、自分の金で生きている妻が、自分を中傷することを許せない傲慢な性格。
笠木 修道 (かさぎ しゅうどう)
第25~26話「笠木修道・42歳 長澤比佐志・42歳」に登場する。盲目の男性で年齢は42歳。「天剛山の風景シリーズ」がヒットし、天才画家として脚光を浴びるが、15年前に転落事故で失明した。長澤比佐志とは小学校以来の親友。性格は穏やかで思慮深い。聴覚が発達しており、「走馬灯株式会社」で自分を突き落とした犯人が長澤だと見破る。
長澤 比佐志 (ながさわ ひさし)
第25話~第26話「笠木修道・42歳 長澤比佐志・42歳」に登場する。美術教室を経営している42歳の男性。笠木修道とは小学校以来の親友で、画家を目指していた。笠木といつも光輪ヶ丘に登り、一緒に天剛山を描いていたが、天才画家として脚光を浴びた笠木を妬み、崖から突き落としてしまう。その後、失明した笠木を助けるべく仕事を紹介していた偽善者。 「走馬灯株式会社」で事故が自分の仕業であったと、笠木に見破られてしまう。
三倉 良 (みくら りょう)
第27話「三倉良・40歳」に登場する。40歳の小説家の男性。幼なじみの月島未知子に捧げるため、自伝的要素の強い「UFO少女みっちゃん」という小説を執筆中。弁当を持ってきていない未知子に、自分の弁当を一緒に食べようと誘う、優しい心の持ち主。人知れず姿を消した未知子の人生のDVDを観ることは、神聖なモノを汚すような気がして逡巡する繊細さがある。
多岐川 隼人 (たきがわ はやと)
第28話~第29話「多岐川隼人・22歳」に登場する。22歳の平凡な大学生の男性。母親を幼い頃に亡くし、父親も3年前に他界した。恋人の理央とは将来を誓いあった仲である。「走馬灯株式会社」で、自分が二笑村出身であること、村人が錦戸のばあ様という生き神様の予言通りに、村人を殺害していること、さらに理央と友人、ジローが自分を連れ戻しに来た刺客だと知ってしまう。
塩見 正春 (しおみ まさはる)
第31話~第32話「塩見正春・38歳 柚木つぐみ・26歳」に登場する。会社をリストラされた38歳の男性。バカにされっぱなしの人生で初の反逆だと、社長を銃で撃ち、同僚だった柚木つぐみを人質にして逃走した。気弱で真面目な性格であり、つぐみに秘かに想いを寄せていた。死ぬ前の走馬灯を見て、自分は疎外されていたのではないと気付く。
園田 沙希 (そのだ さき)
第33話~第34話「園田沙希・25歳」に登場する。25歳の女性。双子の妹、園田都の顔に火傷を負わせてしまったと思い込んでいる。都が園田沙希の恋人である倉田を殺し、一緒に埋めに行った帰りに辿りついた「走馬灯株式会社」で、顔に火傷を負って引きこもりになったのは自分自身だ、ということを知る。性格は引っ込み思案で、昔から人気者だった都をうらやましく思っていた。
今泉 ヒロミ (いまいずみ ひろみ)
第35話~第36話「今泉安彦・48歳 今泉照美・45歳 今泉ヒロミ・22歳 今泉明・19歳 今泉純平・14歳 今泉哲也・8歳 今泉奈々美・7歳 今泉進・3歳」に登場する。夜の仕事をしている、ロングヘアで巨乳の22歳の女性。冷静な目で家族を観察している。今泉安彦が放火魔である教頭に切りつけられると、空手で反撃し、「俺は今泉家の長男だ」と男らしい勇姿を見せ、女性の姿を嫌っていた安彦と和解する。 実は男性であり、本名は「大巳」。
堤 友樹 (つつみ ともき)
第37話~第38話「堤友樹・25歳」に登場する。メジャーデビューを控えたバンド「フライングクライム」のギターを担当している25歳の男性。昔は女癖が悪かったが、恋人の梨穂と出会ってから、彼女一筋。だが、酔うと歯止めが効かなくなり、積極的に近づいて来たファンのサヤカと一線を越えてしまう。「走馬灯株式会社」で、高校時代に自分にしつこく言い寄って来た「長谷川」という醜い女性を、サヤカだと思い込んでしまう。
澄川 耕作 (すみかわ こうさく)
第39話~第43話「澄川探偵事務所」、第52話~第57話「風見匠・37歳 岩倉聖児・33歳」他に登場する。探偵事務所を営む36歳の男性。亡くなった彼女、遥という女性を思い続けており、いつも彼女に貰ったお守りを身に着けている。女性の気持ちに鈍感で、羽宮理乃が自分に好意を寄せていることにまったく気付いていない。理乃が「走馬灯株式会社」の社員になったのは自分のためだと知り、理乃を救出するべく、自分が株主になる道を選ぶ。
羽宮 里乃 (はみや りの)
第39話~第43話「澄川探偵事務所」、第48話~第49話「秋月楓・45歳」他に登場する。「澄川探偵事務所」の所員をしている26歳の女性。探偵としては優秀だが、自分の好意にまったく気付いてくれない澄川耕作に絶望し、事務所を辞める。「走馬灯株式会社」で、自分が幼なじみのタクこと桂木卓郎の人生のディスクを壊し、彼の人生を失わせたことを知った後、神沼の導きで「走馬灯株式会社」の社員となる。 のちに澄川に助けられ、「走馬灯株式会社」にいた頃の記憶を消去された状態で、現実世界に戻る。
光明寺 輝人 (こうみょうじ てると)
第39話~第43話「澄川探偵事務所」、第68話~第70話「光明寺輝人・23歳」他に登場する。「澄川探偵事務所」の所員をしている若い男性。ドジで尾行や暗号解読の失敗ばかりしている。たまにその失敗が大金星を挙げることもある。探偵として成長を見せ始めた頃、造り酒屋の実家を継ぐため、澄川探偵事務所を退所する。人当たりが良く、誰とでもすぐ仲良くなれる性格。
古橋 要山 (ふるはし ようざん)
第44話~第45話「古橋要山・30歳 古橋千晴・22歳」に登場する。妻、古橋千晴とともに銀行強盗を働く30歳の男性。ファンキーなノリで、楽しげに生きているように見せているが、自分が殺害した義父の目に、いつも怯えながら生きている。自分を捨てた母親に思い知らせるべく、銀行強盗の罪を重ねるが、「走馬灯株式会社」で、母親は自分を義父から守って殺害されたという事実を知ってしまう。
小幡 あみり (おばた あみり)
第46話~第47話「小幡あみり・29歳」に登場する。落ち目の元アイドルの女性で、年齢は29歳。何も考えずに、うまい話に飛びついてしまう単純な性格。事務所の社長である水口篤志とは不倫関係にあり、プレゼントされた帽子を大切にしている、純粋な一面がある。再ブレイクをかけて挑んだ映画の現場で崖から落ち、「走馬灯株式会社」に辿りつく。 そこで水口の裏切りを知ってしまう。
秋月 楓 (あきづき かえで)
第48話~第49話「秋月楓・45歳」に登場する。羽宮理乃の叔母で、夫は利彦。理乃には、包丁を振り回す変な叔母さんという印象を持たれていた。20年前に亡くなったが、時空を超えて「走馬灯株式会社」を訪れ、理乃が接客することになる。立ち退きに応じなかった夫が、町長に殺害された無念を晴らそうと、たった1人で町長と戦っていた気丈な人物。 町長が犯人だという証拠のテープを理乃に託し、それがルポライターの尾形庄一郎の手に渡って事件が明るみに出る。
柴 秋人 (しば あきひと)
第50話~第51話「柴秋人・14歳」に登場する。おとなしい性格の男子中学生。同じクラスの不良に万引きを命じられている。人と付き合うことを心底わずらわしく思うタイプで、何をされても無反応を決め込んでいる。「走馬灯株式会社」に行き、美々子の人生が映し出されたDVDを観たため、彼女の自殺の原因が、人に無関心な自分の態度にあったと思い込んでしまう。
風見 匠 (かざみ たくみ)
第52話~第57話「風見匠・37歳 岩倉聖児・33歳」に登場する。人気漫画家である37歳の男性。上から目線で、尊大な態度を取りがちな性格をしている。ヒット作「ちゅらとザジ」は妻の風見佐枝子の作品。佐枝子の逮捕後、お互いに助け合って生きる猫たちを描いた「ちゅらとザジ」を再読し、佐枝子と生き直すことを決意する。
甲斐澤 道子 (かいさわ みちこ)
第58話~第59話「甲斐澤道子・21歳 佐内綾・21歳 皆川瑠梨花・21歳」に登場する。地元でコンビニのバイトをしている21歳の女性。東京の大学時代の友人、皆川留梨花に彼氏を取られ、大学にいづらくなって中退し、留梨花を恨んでいる。佐内綾と共に留梨花を罠に嵌(は)める。実は綾の彼氏と浮気していた陰険な性格。
佐内 綾 (さうち あや)
第58話~第59話「甲斐澤道子・21歳 佐内綾・21歳 皆川瑠梨花・21歳」に登場する。東京で大学に通う21歳の女性。皆川留梨花に彼氏を取られたと思い込み、甲斐澤道子とともに留梨花を罠に嵌める。道子が留梨花に盗まれたと思っていた腕時計を盗んだ人物で、陰で道子の悪口を言っていた八方美人な性格。
島村 新太 (しまむら しんた)
第60話~第61話「島村新太・23歳」に登場する。暴力団「光矢組」の一番下っ端である23歳の男性。中学時代から佐倉征二を慕っており、崇拝している。ドジで使えないが、いつも一生懸命な、可愛い性格をしている。征二のためなら喜んで死ぬと満面の笑顔を浮かべ、征二の殺意を萎えさせた。
北澤 亜梨沙
第62話~第63話「北澤亜梨沙・24歳」に登場する。社内恋愛3人目の彼氏、準也を振ったばかりの24歳の女性。いろいろな男性と付き合っては、すぐに満足できなくなり、別れを繰り返している。その理由は、最初の男性を無意識に求めている、という闇を抱えているため。
立花 翔吾 (たちばな しょうご)
第64話~第65話「立花翔吾・20歳 霧島幸大・20歳」に登場する。ボクサーの男性。東日本新人王決勝で霧島幸大に敗れる。霧島とは高校もボクシングジムも一緒だが、霧島にどうしても勝ちたくて他のジムに移籍する。実は過去に、霧島の妻となった望美に告白している。霧島が試合前日に頭をケガしたことを望美から告げられるが、不器用で手を抜くことができず、真剣に戦った故の敗戦だった。 のちに、あと一歩で世界チャンピオンになるまでたどり着く。
霧島 幸大 (きりしま こうだい)
第64話~第65話「立花翔吾・20歳 霧島幸大・20歳」に登場する。ボクサーの男性。東日本新人王決勝で立花翔吾に勝利する。立花とは高校もボクシングジムも一緒で、強い自分を常に誇示していた。女好きで軽薄な性格が仇となり、暴漢に襲われて頭を打ち、情報や体験を記憶できなくなる前向性健忘症になってしまう。立花とともに「走馬灯株式会社」を訪れた時には、すでに記憶が前後していた。
陣内 時江 (じんない ときえ)
第66話~第67話「陣内時江・45歳 光原良子・45歳 磯部松代・41歳 相崎すみか・39歳」に登場する。やせ形の体型で、メガネをかけた45歳の女性。モンスターペアレント仲間のボス的存在。自分では曲がったことが大嫌いと言うが、自己中心的。息子のためなら、学校に理不尽な要求でもつきつける。中学時代の息子の担任だった女性教師の石田を嫌っている。
木奈城 正児 (きなしろ せいじ)
第71話~第72話「木奈城正児・55歳」に登場する。インチキな宗教の教祖の男性。年齢は55歳。石塚に女子更衣室をのぞいたことを脅され、彼女の家に火をつけて顔に火傷を負わせた。そのために彼女の奴隷となった、気の弱い男性。「復活の奇蹟」という儀式の際も、石塚に助けてもらう段取りになっていた。
南郷 祐樹 (なんごう ゆうき)
第73話~第74話「南郷祐樹・30歳」に登場する。東京で成功した30歳の男性。同窓会に出席し、昔、自分をいじめた仲間に、成功者としての違いを見せつけてヒンシュクを買う。親友だったヤックンが弟を殺したことを、保身のために皆に言いふらす卑劣な性格。実はヤックンが転校したことにより、自分1人がいじめのターゲットとなり、ヤックンを恨んでもいた。
荒井 つかさ (あらい つかさ)
第75話~第76話「荒井つかさ・18歳 森実咲・17歳」に登場する。ロングヘアの黒髪の女子高生。森実咲とアイドル活動をしている。自転車で知らない人の家に突っ込んだことがあり、それ以来、自転車に乗れなくなった。しかし、ひなたという赤ん坊を渡すよう襲って来た女性に、オートバイで突撃する大胆な一面もある。実咲から「つっつ」と呼ばれている。
森 実咲 (もり みさき)
第75話~第76話「荒井つかさ・18歳 森実咲・17歳」に登場する。ポニーテールの髪型をした女子高生。荒井つかさとアイドル活動をしている。明るく、いつも前向きな性格で、ダジャレが大好き。ボクシングが得意で、姉の前歯を折ったことがある。つかさから「みさきんぐ」と呼ばれている。
月岡 亜季 (つきおか あき)
第77話~第78話「月岡亜季・23歳」に登場する。コンビニでアルバイトをしている23歳の女性。アルバイト先の室口洋介と付き合っている。洋介が別れを切り出そうとすると、「あんたを殺して自殺するわ」と凄む危ない性格。骸骨のマスクを被り、洋介のフリをしてして別れ話をしてきた男性を、金づちで叩き殺した。
杉浦 由美 (すぎうら ゆみ)
第1話~第2話「杉浦克己・43歳」に登場する。杉浦克己の妻で娘はマヤ。結婚する前は看護師で、中学の先輩だった杉浦が入院した際、偶然再会する。マヤが事故死して1年後に病死する。実は野々村玲子に殺されたことが、杉浦が目にした玲子の人生が映し出されたDVDで判明する。旧姓は「水島」。
野々村 玲子 (ののむら れいこ)
第1話~第2話「杉浦克己・43歳」に登場する。杉浦克己の会社に入社した女性で、杉浦と不倫関係になるキツネ顔の美女。ひどいヒステリーの持ち主で、奥さんといつ別れるのかと脅し、家まで押しかけるようになる。杉浦に崖から落とされたが、実は死んでおらず、杉浦の娘と杉浦由美を手にかけたことが、杉浦が目にした野々村玲子の人生が映し出されたDVDで判明する。
町田 可奈 (まちだ かな)
第3話~第4話「大崎拓也・34歳」に登場する。ショートカットの髪型をした女性。大崎拓也のファンで、いつも路上ライブを見に行っていた。控えめで、当時の拓也には知られていなかったが、拓也がライブを止めた後も、CDを焼き増しして手売りで売っていた健気な性格。拓也に鞄を置き引きされた後、階段から転落死する。鞄には手売りで得たお金が入っていた。
美香 (みか)
第3話~第4話「大崎拓也・34歳」に登場する。大崎拓也の恋人だった女性。拓也がプロになればいい生活ができると見込んで、彼に近づいたが、いつまでたっても鳴かず飛ばずの拓也に愛想をつかし、借金を拓也に押し付け出て行ってしまう。拓也の音楽や拓也自身には何の興味もなかった利己的な性格。
志村 俊一 (しむら しゅんいち)
第5~6話「安達唯奈・24歳」に登場する。安達唯奈と結婚の約束をしている男性。実は詐欺師で、自分には霊感があり、手をかざすと唯奈の父親の姿が見える、と言って唯奈を騙していた。「走馬灯株式会社」ではDVDが1年分しかなく、偽名を使った詐欺師だとばれてしまう。
唯奈の父親 (ゆなのちちおや)
第5話~第6話「安達唯奈・24歳」に登場する。安達唯奈の父親で、ラーメン屋を営んでいた男性。ケンカが強く、いつも唯奈を守ってくれた優しい男性。唯奈と酒を飲むことを楽しみにいていたが、唯奈が中学生の頃に末期ガンで亡くなってしまう。一時的に霊が見えるようになった唯奈の前に姿を現すが、志村俊一から唯奈を守ったことを確かめると消えてしまう。
南出 孝郎 (みなみで たかお)
第7話~第8話「雪村莉絵・25歳 南出孝郎・28歳 小笠原邦男・33歳」に登場する。28歳の男性。ギャンブルで負けまくり、金融会社に金を返す毎日に嫌気がさし、自殺を決意。闇金に手を出してしまい、借金が500万円ある。死んだら土に還るべきだと、樹海を死に場所に選んだ。ハンドルネームは「タンロン」。雪村莉絵が自殺した場所に毎年、小笠原邦男と献花に訪れている。
小笠原 邦男 (おがさわら くにお)
第7話~第8話「雪村莉絵・25歳 南出孝郎・28歳 小笠原邦男・33歳」に登場する。太った体型で、メガネをかけた33歳の男性。貯金は1000万円あるが、女性とは無縁の人生で、女性とセックスしたことがない。キモいと言われ続けることが耐え難く、死を決意する。ハンドルネームは「くーやん」。雪村莉絵が自殺した場所に毎年、南出孝郎と献花に訪れている。
山本 美奈子 (やまもと みなこ)
第9話「山本たまこ・1歳」に登場する。山本たまこの飼い主で、結婚して義母と同居している女性。義母に厳しく言われると萎縮してしまう気弱な性格をしている。「走馬灯株式会社」でたまこ目線のDVDを観て、気を使っていたつもりが、義母を遠ざけていたことを知る。学生時代は陸上部に所属しており、脚力が自慢。
義母 (ぎぼ)
第9話「山本たまこ・1歳」に登場する。山本美奈子の義母。同居する美奈子にいつも厳しく接しており、山本たまこにも近くに寄るなと毛嫌いしている。実は気が弱い美奈子を鍛えるためであり、たまこのことも実は可愛がっている。素直になれない性格で、特別扱いされるのは逆に寂しいと思っているが、それを口に出せないでいる。
隆広の母親 (たかひろのはは)
第10話~第11話「関隆広・28歳」に登場する。関隆広の母親。隆広を1人で育て上げた、明るくたくましい女性。実際には、子供が産めない自分を捨てた元恋人の子供を奪い、自分の子供として育てていた。隆広の実の母親を殺害していたという、狂気じみた裏の顔がある。
直子の母親 (なおこのはは)
第12話「瀬上直子・17歳」に登場する。瀬上直子の母親で、直子が通う高校の校長でもある。直子が高校に入学してから会話もなくなっていたため、溝口にレイプされたという直子を信じることができなかった。直子から「走馬灯株式会社」の話を聞き、実際に行ってみて溝口の悪行を知ることになる。
溝口 (みぞぐち)
第12話「瀬上直子・17歳」に登場する。瀬上直子の担任の教師である若い男性。みんなの憧れの存在であり、本人もそのことを自覚している。皆に信頼されている自分が、こんなことをするとは誰も思わないと高を括り、直子をレイプした卑劣な性格。
美咲 (みさき)
第13話~第14話「今野満男・30歳」、第79話「澄川耕作・36歳」に登場する。スタントチームに所属する女性。戦隊ヒーローシヨウ「ジャスティスレンジャー」で「レンジャーピンク」として舞台に立っている。仕事で失敗して落ち込む今野満男を勇気づける優しい性格で、大阪弁で話す。満男と「走馬灯株式会社」でDVDを観ている際、タカシの体に傷跡を発見するなど洞察力がある。 のちに満男と結婚する。
タカシ
第13話~第14話「今野満男・30歳」に登場する。今野満男と公園で出会って仲良くなった男の子。戦隊ヒーロー「ジャスティスレンジャー」の大ファン。タカシが入院していることを聞き、満男がシャスティスレッドの恰好で会いに行くが、すでに亡くなっていた。「走馬灯株式会社」の満男の人生が映し出されたDVDから、父親に虐待されていたことが発覚する。
椎名 千秋 (しいな ちあき)
第15話~第16話「喜島茂輝・22歳」に登場する。喜島茂輝と同じ中学に通っていた女性。中学時代、上から目線で告白してきた茂輝を振り、ソープ嬢になってから茂輝に再会する。はっきりモノを言う性格で、生きるために必死で、働いている自分を見下したような茂輝の態度に、本気でキレる。
琴平 加代 (ことひら かよ)
第17話~第18話「石丸丈一郎・77歳」に登場する。石丸丈一郎の初恋の女性。当時はロングヘアの大人びた美少女で、丈一郎が住んでいた村の峠の杉の裏に祖母と住み、死者をあの世に「導く」仕事をしていた。「導く」行為が村人に気味悪がられ、疎外されるように暮らしていた。代々18歳になると、食べていくために村人に身体を売ってきた家系でもある。 丈一郎をずっと待っていたが、村が開拓されて住む場所を追われ、「走馬灯株式会社」にたどり着いた。
柏木 力 (かしわぎ りき)
第19話~第20話「猪原厚三・56歳」に登場する。猪原厚三のタクシーに乗った男性の客。金髪にニット帽を被ったガラの悪い若者。ドラッグに手を出し、婦女暴行をしたりと悪事ばかり働いているが、能天気に生きている。「走馬灯株式会社」で神沼を襲うが負かされてしまう。猪原の娘に暴行して殺害したことを猪原に知られ、柔道技で気を失わされるが、反撃して猪原を崖下に落とす。
ロクさん
第21話~第22話「妹尾舞・20歳」に登場する。ホームレスの男性で45歳。万引き犯に間違われた妹尾舞を助けて、舞と交流を深め、「心に筋金入ってりゃどんな状況でも乗り切れる」と舞を励まし元気づけた人物。舞の生い立ちを聞いて、自分が殺してしまった友人の娘であることを知り、罪滅ぼしにと、臓器売買で得た金を舞に贈った。幼い頃の舞を本当の父親より可愛がっていた優しい性格。
権代 静江 (ごんだい しずえ)
第23話~第24話「権代忠重・61歳」に登場する。権代忠重の妻。財閥の令嬢で浪費家の女性。体のラインが崩れるからと出産せず、養子、権代憲二郎を引き取ることになる。「走馬灯株式会社」で夫が浮気相手の弟から自分を殺害する計画を持ちかけられ、快諾している映像を観ており、夫には愛情のカケラもない。自分も若い美容師と浮気している。
権代 憲二郎 (ごんだい けんじろう)
第23話~第24話「権代忠重・61歳」に登場する。権代忠重と権代静江の養子の息子。覇気がない青年で、父親にはダメ息子だと、内心見放されている。歪んだ性格をしており、「走馬灯株式会社」で実の父親を知って交流を深め、実の父親の後ろめたさを利用し、両親の殺害計画を実行させる。自分の計画こそが成功したと思った矢先、忠重に間違われて、静江の愛人に銃で撃たれる。
月島 未知子 (つきしま みちこ)
第27話「三倉良・40歳」に登場する。三倉良の幼なじみだった大阪弁の少女。UFOが好きで、いつも星空を眺め、シリウス星人が迎えに来てくれると信じていた、風変りな女の子。家が貧しいが故の妄想癖だと、大人になった良は思っていたが、「走馬灯株式会社」で観た未知子の映像から、本当にUFOに乗った可能性が出てくる。写真を撮られることや、記録されることを嫌っていた。
理央 (りお)
第28話~第29話「多岐川隼人・22歳」に登場する。多岐川隼人の恋人の若い女性。実は二笑村生まれで、錦戸のばあ様の孫娘で、旅館の女将が母親。本名は「錦戸忍」。隼人を村に呼び戻し、生き神様である錦戸のばあ様の予言通りに殺害するために、差し向けられた刺客。隼人とは同じ誕生日。
柚木 つぐみ (ゆずき つぐみ)
第31話~第32話「塩見正春・38歳 柚木つぐみ・26歳」に登場する。塩見正春と同僚だった女性。祖母、ミエの墓に祖父、光次郎の骨を埋めるため故郷に帰る際、会社に寄った。そこで、社長を襲った塩見の人質に取られる。自分のために命をかけて祖母のお骨を守ってくれた塩見を、祖母と祖父の墓の隣に埋めるなど、情が深い性格。
園田 都 (そのだ みやこ)
第33話~第34話「園田沙希・25歳」に登場する。25歳の女性。双子の姉、園田沙希に彼氏である倉田を殺され、一緒に埋めにいくものの、「走馬灯株式会社」に包丁を片手に追いかけて来た。沙希とは正反対の性格で、昔から明るく人気者だった。自分のせいで顔に火傷を負い、妄想と現実の区別がなくなった沙希を目の当たりにし、自分の罪をもっと責めなければいけなかったと後悔する。
今泉 安彦 (いまいずみ やすひこ)
第35話~第36話「今泉安彦・48歳 今泉照美・45歳 今泉ヒロミ・22歳 今泉明・19歳 今泉純平・14歳 今泉哲也・8歳 今泉奈々美・7歳 今泉進・3歳」に登場する。会社が倒産し、失職した48歳の男性。8人家族の大黒柱だが、妻の今泉照美には頭が上がらず、ビンタを張られることが多い。「走馬灯株式会社」で自分の人生が映し出されたDVDを満喫するなど、のん気な性格だが、律儀でバカ真面目なところがある。 今泉ヒロミに対しては確執があるが、のちに和解する。
今泉 照美 (いまいずみ てるみ)
第35話~第36話「今泉安彦・48歳 今泉照美・45歳 今泉ヒロミ・22歳 今泉明・19歳 今泉純平・14歳 今泉哲也・8歳 今泉奈々美・7歳 今泉進・3歳」に登場する。パートをしている45歳の主婦。今泉安彦の妻。体格が良く、暴力的で、夫にはすぐ手を出してしまう。「走馬灯株式会社」でのんびりしている夫を見かねて、神沼を呼び出し、夫婦喧嘩に巻き込むなど、迷惑な一面を持つ。
今泉 明 (いまいずみ あきら)
第35話~第36話「今泉安彦・48歳 今泉照美・45歳 今泉ヒロミ・22歳 今泉明・19歳 今泉純平・14歳 今泉哲也・8歳 今泉奈々美・7歳 今泉進・3歳」に登場する。今泉家の次男で、年齢は19歳。大学に行かなくなったパソコンおたく。家族の揉めごとには人一倍無関心を決め込んでいる。実は今泉安彦が失職したと聞いた際には、求職情報を見ていた、意外にまともな人物。
梨穂 (りほ)
第37話~第38話「堤友樹・25歳」に登場する。堤友樹の恋人で、ロングヘアの美女。ファンに隠れて付き合っているが、友樹の側にいるだけで幸せだという健気な性格。実は高校時代から友樹につきまとっていた「長谷川」という醜い女性。整形を繰り返し、その都度友樹に告白していたが、振られ続けていた。サヤカこと「田嶋」とは昔親友だった過去がある。
サヤカ
第37話~第38話「堤友樹・25歳」に登場する。堤友樹の熱烈なファンの女性。積極的にせまって友樹と関係を持つに至り、以降は友樹にストーカーのようにつきまとっていた。実は、「長谷川」の親友だった「田嶋」という女性で、秘かに友樹に憧れていた。美容とダイエットで自分を磨いて美しくなったため、体中整形している梨穂こと長谷川より、自分の方が上だと思っている。
古橋 千晴 (ふるはし ちはる)
第44話~第45話「古橋要山・30歳 古橋千晴・22歳」に登場する。夫、古橋要山とともに銀行強盗を働く22歳の女性。軽いノリで、気ままに人生を送っているように見えるが、夫を献身的に愛する健気な一面がある。殺害してしまった義父の目に怯える要山を守ろうと、彼に渾身の喝を入れる、肝の座った性格。
巻口 (まきぐち)
第46話~第47話「小幡あみり・29歳」に登場する。小幡あみりの10年来のファンの男性。映画のエキストラとしてあみりと共演し、あみりを助けようと、一緒に崖から落ちてしまう。「走馬灯株式会社」で、あみりが水口篤志と不倫関係にあったことを知り、強い裏切りを感じる。あみりをそそのかして舞台挨拶に差し向けた張本人。
水谷 篤志 (みずたに あつし)
第46話~第47話「小幡あみり・29歳」に登場する。小幡あみりが所属する水谷プロダクションの社長を務める男性。持ち上げ上手で、調子がいい性格。あみりと不倫関係にあったが、今は売り出し中のアイドル、司ミナミと付き合っている。あみりの存在が邪魔になり、殺害計画を企てた、あくどい人物。
森崎 (もりさき)
第50話~第51話「柴秋人・14歳」に登場する。クラス委員を務める女子中学生。クラスからいじめをなくそうと、必死に奔走している。美々子の死後もいじめがなくならないことに悩み、「美々子の予告」を最初の数回だけ実行した女性。今の予告を書いている犯人を捜すべく、柴秋人に協力を要請する。
美々子 (みみこ)
第50話~第51話「柴秋人・14歳」に登場する。不良からのいじめを苦に自殺した女子中学生。同じようにいじめられている柴秋人に、「私たち仲間だよね」と話しかけるが、「一緒にしないでくれ」とすげなく返されてしまう。自殺しようとしたが死にきれず、実際はいじめ自体をなくすための生贄として、森崎に殺された。
風見 佐枝子 (かざみ さえこ)
第52話~第57話「風見匠・37歳 岩倉聖児・33歳」に登場する。風見匠の妻。ヒット作「ちゅらとザジ」のゴーストライターの女性。スランプに陥り、編集者の岩倉聖児からクスリを受け取るようになる。夫のために尽くしてきたが、自分が極限状態に追い詰められてしまう。作品のモデルとなったちゅらとザジを裏の公園で飼っている。
岩倉 聖児 (いわくら せいじ)
第52話~第57話「風見匠・37歳 岩倉聖児・33歳」に登場する。風見匠の編集者を務める37歳の男性。風見佐枝子との不倫を匠に疑われ、逆切れしてチンピラのような本性をさらけ出す。本が売れれば誰が描いていてもいい、という考えであり、スランプに陥ったゴーストライターの佐枝子をクスリ漬けにした人物。
ちゅらとザジ
第52話~第57話「風見匠・37歳 岩倉聖児・33歳」、最終話「走馬灯株式会社」に登場する。風見匠の大ヒット漫画「ちゅらとザジ」のモデルとなった猫たち。ちゅらは白い雄猫で、ザジが黒い雌猫。匠のゴーストライターである風見佐枝子が裏の公園で飼っており、佐枝子の逮捕後、澄川耕作が引き取ることになる。のちに、澄川が「走馬灯株式会社」の株主となったため、「走馬灯株式会社」を退社した羽宮理乃に飼われることになる。
皆川 留梨花
第58話~第59話「甲斐澤道子・21歳 佐内綾・21歳 皆川瑠梨花・21歳」に登場する。東京で大学に通う21歳の女性。友人の彼氏に媚びを売り、イケてない男性には上から目線の発言をするため、同性に嫌われるタイプ。甲斐澤道子と佐内綾に罠に嵌められ、「鏡守り」という心霊スポットに置き去りにされる。
佐倉 征二
第60話~第61話「島村新太・23歳」に登場する。暴力団「光矢組」の組員の男性。この世界でのし上がるためなら、なんでもすると腹をくくっている。クールな雰囲気の持ち主だが、損得勘定抜きで慕ってくる島村新太を、中学時代から可愛がっていた。組の掟は絶対だとし、暴力団「友神会」の若頭を撃った自分の身代わりに新太を殺す気だったが、新太の天真爛漫さに殺意は喪失、新太を生かす道を選ぶ。
雨宮 要治郎 (あめみや ようじろう)
第62話~第63話「北澤亜梨沙・24歳」に登場する。北澤亜梨沙のストーカーで、39歳の男性。思い込みが激しく、危ない性格をしている。「走馬灯株式会社」に行き、亜梨沙の人生が映し出されたDVDを観ていた人物を尾行。その人物が殺人を繰り返していたことを知っていた。警察には通報せず、彼女にいいところを見せようと、その人物のいるところへ案内する。 剣道が得意。
相崎 すみか (あいさき すみか)
第66話~第67話「陣内時江・45歳 光原良子・45歳 磯部松代・41歳 相崎すみか・39歳」に登場する。モンスターペアレント仲間の下っ端的存在。長いアゴが特徴の41歳の女性。ボス的存在の陣内時江にいつも気を使っている。「走馬灯株式会社」で陣内たちの人生が映し出されたDVDを観て、自分の家で息子たちの勉強会が開かれていないことに気付く。 それが発端となり、息子たちの凶悪な犯罪が発覚する。
輝人の父親 (てるとのちちおや)
第68話~第70話「光明寺輝人・23歳」に登場する。光明寺輝人の父親。造り酒屋の本家を継いだ男性。自己中心的であり、輝人に無理やり本家を継がそうとする強引なところがある。輝人には、いつも俺みたいに一番を目指せ、と言い聞かせていた。本家だけが儲かっているので親戚は皆ひがんでいる、と分家を見下している。
莉佐子 (りさこ)
第68話~第70話「光明寺輝人・23歳」に登場する。光明寺の四男である公造の娘。光明寺輝人のいとこにあたる。分家を見下している輝人の父親を憎み、本家に嫌がらせをして酒樽に毒を入れた女性。その酒を料理に使ったと言って、輝人がひと芝居打ったことから、犯行を自白することになる。
桂木 拓郎 (かつらぎ たくろう)
第39話~第43話「澄川探偵事務所」、第68話~第70話「光明寺輝人・23歳」他に登場する。羽宮理乃の幼なじみで、「タクちゃん」と呼ばれていたが、不思議と皆の記憶から消えていた男性。4歳の頃「走馬灯株式会社」に理乃と2人で訪れ、理乃にディスクを壊されて人生を失ってしまう。その後「走馬灯株式会社」の株主になり、執着している理乃を「走馬灯株式会社」の社員にするべく、澄川耕作と理乃の記憶を操作した。 ウジウジした、回りくどい性格で、偽善的に振る舞うことが多い。
石塚 (いしづか)
第71話~第72話「木奈城正児・55歳」に登場する。木奈城正児が教祖をしている宗教団体の信者の女性。金銭を巻き上げることに長けており、実は木奈城と組んでいる。実質上のリーダーで、いつも落ち着き払っている。高校時代に木奈城ののぞきを脅して彼に家に火をつけられ、頬に火傷を負う。これを脅迫材料にして、木奈城を服従させている。
田丸 (たまる)
第73話~第74話「南郷祐樹・30歳」に登場する。南郷祐樹の運転手兼秘書を務める男性。実は南郷に弟殺しをばらされたヤックンこと本名「矢島一」で、南郷を破滅させるべく近づいた。「走馬灯株式会社」でヤックンに涙して懺悔する南郷の姿を目の当たりにし、すべてを打ち明けるという情け深い一面はあるが、逆切れした南郷を殺害する。
室口 洋介 (むろぐち ようすけ)
第77話~第78話「月岡亜季・23歳」に登場する。コンビニでアルバイトをしている男性。月岡亜季と付き合っている。すでに亜季から気持ちが離れているが、別れを切り出すと何をされるかわからないので、自分では言い出せない気弱な性格。亜季と別れたいと先輩に相談。その先輩が骸骨のマスクを被り、室口洋介のフリをして、亜季に別れを切り出すことになる。
場所
走馬灯株式会社 (そうまとうかぶしきがいしゃ)
自分の人生が映し出されたDVDを観ることができる会社。その門が開かれるのは、株主が興味を持った人間に限られる。ディスクはその人の人生そのものであり、その映像は今までの人生を再体験しているような臨場感にあふれている。怖いのに懐かしいという不思議な感覚で、観る者を釘付けにしてしまう。食事はフロントに電話すれば届けてもらえ、個室にはバスもトイレも完備している。 関わり合った人間の生年月日が判ればDVDを観ることができ、年齢と同じ枚数のディスクが存在する。扉は現在の時間帯だけでなく、ごく稀に時空を超えて開くこともある。ディスクを壊して人生を失くした人間は、その時点で株主になる権利を得る。株主になると外の世界には出ることができず、その後の人生のディスクも、すべて会社が回収することとなる。 一方で、株主になるとさまざまな特権が得られ、制約なく他人のディスクが鑑賞可能。興味を持った人間を指定して会社に招くこともできる。条件次第では、他人の人生の記憶を書き換えることも可能だが、株主自身が記憶を失うリスクが伴う。