拳闘暗黒伝セスタス

拳闘暗黒伝セスタス

拳奴(けんど)の少年セスタスが、師匠ザファルの指導を胸に、拳のみで敵と戦うという逃れられない運命に向き合う姿を描く。2014年より第2部『拳奴死闘伝セスタス』が連載されている。

正式名称
拳闘暗黒伝セスタス
ふりがな
けんとうあんこくでんせすたす
作者
ジャンル
アクション
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概要・あらすじ

ローマ帝国時代、ローマ郊外のヴァレンス奴隷闘士養成所で修行に励んでいた少年セスタスは、新しい拳奴として闘技場(アリーナ)で行われる皇帝主催の養成所対抗戦に出場する。初戦で圧倒的な勝利を収めたセスタスは、彼ともうひとりの格闘士ルスカに興味を持った少年皇帝ネロによって宮殿に招かれる。

セスタスとルスカとネロ、奇縁に導かれた3人の若きローマ人は、それぞれの自由を求めて戦う運命に身を投じた。

登場人物・キャラクター

セスタス

ローマ帝国にあるヴァレンス奴隷闘士養成所で、師匠ザファルのもとで拳奴の修行に励む15歳の少年。拳奴たちの反乱で養成所崩壊後、ネロに身請けされるも決別し、ドリスコ拳闘団に所属するようになる。小柄ながら天性のスピードと師匠ゆずりの拳闘技術で早くから拳闘士として開花、「瞬速の新星」「神速の拳闘児」などとあだ名される。 戦いを離れると穏やかで繊細な性格の持ち主で、奴隷の運命に悩みながら自由について想いをめぐらせる。

ルスカ・アッティクス・デミトリアス

ローマ帝国徒手格闘兵団衛帝隊に所属する16歳の少年。父・デミトリアスの厳しい指導のもとで総合格闘技パンクラティオンを学び、多彩な技とその美貌で「黄金のルスカ」「ローマのルスカ」の異名を持つ。ふだんは思慮深く快活な好青年だが、闘いにおいては決して容赦しない事を信条とする。 母ルクレティアや自分をかえりみないデミトリアスを激しく憎悪する。

ルキウス・ドミティウス・アヘノバルブス・ネロ

17歳でローマ帝国第5代皇帝に就任し、パラティーノ丘陵に建てられた宮殿に妻の皇后オクタヴィア、母の皇太后ユリア・アグリッピーナと暮らす。当初は争いを忌避し芸術や音楽を愛する、繊細な少年で、セスタスを唯一の理解者と認める。幼い頃から過干渉をくり返した母アグリッピーナとも対立していくようになり、友に去られた深い孤独感の中で徐々に暴君の片鱗をのぞかせはじめる。 歴史上の実在の人物、ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスがモデル。

ザファル

セスタスの拳闘の師匠。若い頃は「ヌミディアの拳狼」と呼ばれる無敗の拳奴だったが、ルスカの父デミトリアスとの試合で左膝を破壊され引退した。ヴァレンス奴隷闘士養成所のトレーナーを経てドリスコ拳闘団に買われ、一貫してセスタスたちを厳しく訓練し、やさしく見守る。

デミトリアス

ルスカの実父で、皇室警護からスパイの摘発まで請け負うローマ帝国徒手格闘兵団衛帝隊の隊長で、別名「アッティカの金獅子」。かつてザファルとの一騎打ちで勝利を収めたものの、右眼を失う。総合格闘技パンクラティオンの名手で、完全武装の剣闘士3人を装甲ごと粉砕するほどの実力を持つ。 プライドが高く、息子ルスカに対しても常に厳しく接する。

ドリスコ

拳奴の一斉蜂起でヴァレンス奴隷闘士養成所が崩壊したのちセスタスが身を寄せたドリスコ拳闘団の団長。陽気な酒好きで根っからの商人気質だが、拳奴を単なる道具と考えず家族同様に考えている。ザファルにランクの低い拳奴を預けて指導者としての資質を見抜き、これまで同様にセスタスの指導にあたらせた。

ヴァレリア

ヴァレンス奴隷闘士養成所の所有者であるヴァレンスの一人娘。傲慢で拳奴をモノ扱いする父親に反発して、セスタスたちにも分け隔てなく接する優しい娘。ルスカの幼なじみで婚約者でもあったが、拳奴たちの反乱に巻き込まれて命を落とす。彼女に想いを寄せていたルスカはこのことから拳奴に対して激しい憎しみを抱くようになり、セスタスと袂を別った。

ラドック

ドリスコ拳闘団ナンバー1の拳闘士で別名「怒涛の烈拳」。若い頃のザファルに憧れるあまり彼のスタイルを独自で習得してしまい、あまりの強さゆえ捨て試合になるような弱い相手をあてがわれることが多い。セスタスたちの先輩でよき兄貴分。

ゾラ

エチオピア出身の黒人拳奴。ローマ南部の郊外・カンパニアの農園で働いていたが、乱闘事件を起こしたところをドリスコに拾われドリスコ拳闘団に入った。入団時の試験ではセスタスに敗れたものの、高い身体能力と優れた戦闘センス、中でも他者となかなか打ち解けない気性の荒さは拳闘団随一の素質を持つ。

ディノデイモス

スパルタ出身のもとローマ帝国徒手格闘兵団衛帝隊隊員。デミトリアスの師匠で、彼の後見人としてローマを訪れた。ルスカの入隊と同時に現役を引退し、その後はデミトリアスの補佐官として後進の指導に当たる。傲岸不遜なデミトリアスに意見できる数少ない人物。

ドライゼン

アルゴス出身のローマ帝国徒手格闘兵団衛帝隊副長。相手の動きを利用する体術と、打撃、関節のいずれもこなす優れた格闘家で、ルスカの師匠でもある。幼なじみのデミトリアスとは兄弟同然の間柄で、ルスカにとっても歳の離れた兄のような存在。デミトリアスとルスカの確執を感じとり、その関係性に頭を悩ませる。

集団・組織

ドリスコ拳闘団 (どりすこけんとうだん)

『拳闘暗黒伝セスタス』の登場団体。ドリスコが拳奴を集めて各地を巡業して回る、一種の興業団体。ヴァレンス奴隷闘士養成所の崩壊後、セスタスが身を寄せる。やせぎすのエルナンドや小心なペドロなど、セスタスら一部を除いて拳闘士のレベルは低いものの、育成士に任命されたザファルの訓練によって少しずつ強くなっていく。

ローマ帝国徒手格闘兵団衛帝隊 (ろーまていこくとしゅかくとうへいだんえいていたい)

『拳闘暗黒伝セスタス』の登場団体。ネロとアグリッピーナが使役する私兵集団で、宮殿への出仕を許される正規隊士は全員がいずれ劣らぬ徒手格闘の名手である。その役割は、皇室の警護からスパイの摘発など多岐にわたり、逆に国内外でスパイを送り込んで情報収集にあたることもある。

その他キーワード

拳奴 (けんど)

『拳闘暗黒伝セスタス』の用語。ローマ帝国で徴用された奴隷の中から選ばれた少年たちを、養成所で訓練・育成したのちに闘技場(アリーナ)で、どちらかが戦闘不能になるか降伏するかするまで戦わせる。彼ら奴隷拳闘士は拳奴と呼ばれ、武器を携えず革製のバンドに鉄鋲を打ちつけた「セスタス」という殺傷性の高いグローブで戦うことを強いられた。

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