MoMo―the blood taker―

MoMo―the blood taker―

かつて吸血鬼に婚約者を殺害された警察官・御子神京吾が、吸血鬼の王女であるモモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤとの出会いをきっかけに、吸血鬼同士の戦いに巻き込まれていく姿を描いた怪奇アクション。「週刊ヤングジャンプ」2019年9号から2021年30号にかけて連載された作品。

正式名称
MoMo―the blood taker―
ふりがな
もも ざ ぶらっど ていかー
作者
ジャンル
モンスター・異生物
 
アクション
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あらすじ

人間社会編

東京都武蔵野市では、遺体からすべての血が抜かれているという奇妙な連続殺人事件「武蔵野連続吸血事件」が起こっていた。犯人が吸血鬼ではないかと噂され「V」と仮称される中、警部補の御子神京吾はその可能性をはっきりと否定する。京吾は10年前、二つの顔を持つ吸血鬼によって婚約者である藍川陽子を殺害された当事者だった。単独で吸血鬼に関する捜査を進めていた京吾は、ある日ついに仇の吸血鬼を発見する。その吸血鬼と対峙した京吾だったが、圧倒的な力の前に瀕死の重傷を負うものの、乱入してきた吸血鬼の王女、モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤによってデミ・ヴァンパイアとして甦る。憎むべき吸血鬼になってしまったことや、吸血鬼として血を渇望する感覚に戸惑う京吾だったが、強固な自我によってその不安を押し込めていく。そんな中、いつもどおり出勤した京吾は、最近話題にのぼっているカマイタチ事件について、ある違和感を覚える。

ブラッドテイカー編

モロイとなった冬樹の血を吸っているところを目撃された御子神京吾は、その日を境に人間社会から姿を消してモモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤと共に、人間界への過剰な侵犯を行った吸血鬼を討伐するブラッドテイカーとして活動していた。ブラッドテイカーの主で、吸血鬼たちの王でもあるクドラクから次の指令を受けるべく定例会への出席を許された京吾は、吸血鬼たちがクドラクに向ける畏敬と奇妙な一体感に、危険な新興宗教のような印象を持つ。そんな中、クドラクはモモに対して、なぜ200年間一度も持たなかった眷属を作り出したのかと問いかけ、その理由が京吾に対する恋心にあると知って激昂する。クドラクが怒りに任せて攻撃した先にいたトーマが、重傷を負ったのを見ても同情も心配もしない吸血鬼たちの姿を目にした京吾は、吸血鬼の一員となりながらもいまだ吸血鬼に対する嫌悪感が消えていないことを自覚し、武器を持ってクドラクに対峙する。

アンフェスバエナ編

クドラクに反発する御子神京吾、そして京吾をかばったモモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤは、一時的に吸血鬼のコミュニティと、ブラッドテイカーから追放されてしまう。元に戻るためには京吾が婚約者の仇として追っている吸血鬼・アンフェスバエナを短期間のうちに発見し、殺害しなければならない。そんな中、共にブラッドテイカーとして活動していたアルチーナが、思いを寄せている京吾を手に入れようと、眷属であるモルガーナを使ってモモに決闘を申し込む。なんとかアルチーナを退けることに成功した二人はその直後、アンフェスバエナの居場所が判明したとの一報を聞き、直行することとなる。しかしそこで目にしたのは、アンフェスバエナ討伐に乗り込んでいたロバートリン吸血鬼対策専門チームによって制圧されている姿だった。その様子を一目見た京吾は、吸血鬼対策専門チームのメンバーの一人・白縫渓がアンフェスバエナであることを見抜き、モモを置いて単独で行動を開始する。一方で、京吾の警察時代の部下である中宮忠は吸血鬼対策専門チームに選抜され、吸血鬼となった京吾を撃たなければならない可能性に苦悩していた。

特訓編

モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤの血を二回飲んだ御子神京吾は、仇である吸血鬼のアンフェスバエナを討伐することに成功した。ブラッドテイカーとしても復帰した京吾とモモは、快適な新居で穏やかな生活を始める。そんな中、京吾は吸血鬼としての能力が低下しているモモの事情をほかの吸血鬼たちから隠すべく、困っている吸血鬼の依頼を受けて解決のために奔走する、なんでも屋のような事業を始めた。エリザベスから、アンフェスバエナと結託していたブルンヒルダの余罪調査を依頼された京吾は、中宮忠からグランギニョルという売春クラブが関係しているのではないかとの情報を得る。一方で、グランギニョルのオーナーであるジル・ギルマンもまた、ブルンヒルダからウソの情報を吹き込まれ、京吾に敵意を抱いていた。二人が戦いを繰り広げる中、モモはブルンヒルダによって連れ去られてしまう。自分がブルンヒルダにだまされていたと知ったジルは、京吾の吸血鬼としての能力を引き上げるためにモモの師匠であるカンタレラに引き合わせ、特訓を受けさせる。

ブルンヒルダ編

ブルンヒルダに軟禁されたモモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤは、どこまでも純粋にブルンヒルダを慕っているクロワの姿に戸惑いを覚えつつ、クロワをブルンヒルダから引き離そうと画策していた。一方でブルンヒルダは、モモとクロワを結婚させる際の障害になると判断し、モモ救出に奔走する御子神京吾とその仲間たちに対してグレゴリのメンバーであるオルロックを襲撃させていた。吸血鬼としても規格外の剛力を見せるオルロックを撃破した京吾だが、ブルンヒルダはレーリンロドルフ・ヨハン・フォン・フランケンシュタインなど、次々と刺客を送り込む。その最中、モモはクロワが対クドラクのため、クルースニクになる儀式に立ち会わされていた。面影は残したまま別人のような雰囲気に変貌してしまったクロワの姿に絶望するモモだったが、その場にロドルフを撃退した京吾が姿を現す。

次の王編

ブルンヒルダが死亡したことでグレゴリの動きが沈静化し、ブラッドテイカーの仕事も減少の一途を辿っていた。つかの間の平和を楽しむモモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤの姿に、御子神京吾はモモ自身にとっての幸せの形を考え始める。しかしそこに、クドラクからの使者がモモを迎えに訪れる。クドラクはすでに寿命が尽きかけた瀕死の体であり、すぐにでもモモに吸血鬼の王の座を譲位したいという。一方的に強要するクドラクに京吾は再び刃を向け、本当は人間として生きていきたいというモモの本音を引き出す。だがその直後、モモはクドラクと共に次代の王しか立ち入ることができないという部屋に引きずり込まれてしまう。

登場人物・キャラクター

御子神 京吾 (みこがみ けいご)

警察官の男性で、階級は警部補。年齢は38歳。短い黒髪にダークスーツを身につけ、無精ひげを生やしている。ふだんは昼行灯のように振る舞っていることから、ほかの捜査員たちからは軽視されている。しかし、実際は警察学校を首席で卒業しており、新卒で捜査一課に配属されたほど優秀な人物。かつて婚約者である藍川陽子をアンフェスバエナに殺害されたことから、吸血鬼に関する情報を収集し、単独でアンフェスバエナを捜し続けていた。その捜査の過程で、モロイの起こした事件を秘密裏に処理し続けてきたため、体中にモロイから受けた傷痕がある。アンフェスバエナと再会後、一度は殺されるがモモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤの血を飲まされたことによって蘇生され、モモの眷属のデミ・ヴァンパイアとなった。デミ・ヴァンパイアとなって以降、ある出来事をきっかけに人間社会から失踪し、ブラッドテイカーの一員として活動している。しかし、クドラクをはじめとする吸血鬼たちに命を尊重する気持ちがなく、デミ・ヴァンパイアの命すら軽く考えていることを知って反発し、モモと共に一時的に吸血鬼のコミュニティから弾き出されてしまった。アンフェスバエナを殺害したあとは真の吸血鬼になっており、ブラッドテイカーとして復帰しつつ、困っている吸血鬼の依頼を受けて解決のために奔走する、なんでも屋のような事業を始めた。吸血鬼やデミ・ヴァンパイアが京吾の血から得られる記憶は非常に重苦しく、血を分けられたり飲んだりした者は三日三晩うなされることもある。アルチーナからは「ハニー」、カンタレラからは「駄眷」と呼ばれている。

モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤ

吸血鬼の王女で、ブラッドテイカーの一員。年齢は200歳。銀色の長い髪を大きなリボンでまとめており、容姿は小学生くらいに見える。200年ほど体の成長が止まったままだったが、御子神京吾を眷属としたのをきっかけに、なぜか肉体の成長が始まる。また、ほかの吸血鬼たちと違い、子供を産むことができる特異体質でもある。ブラッドテイカーの一員として、無差別に人間を襲う吸血鬼を狩りながら暮らしていたが、京吾がクドラクに反発の意思を見せたことから、京吾と共に一時的に吸血鬼のコミュニティから弾き出された。クドラクの娘で溺愛されて育ったため、それまで住んでいた屋敷を取り上げられ、風呂なしアパート住宅での生活を余儀なくされた際には、生活に不安を感じていた。命の価値を軽視し始めている吸血鬼社会を醜いと感じており、どうにかして吸血鬼たちの認識を変えようと考えている。京吾に二度目の血を与えた時から吸血鬼としての能力が低下し、ブルンヒルダが襲撃した際にも満足に応戦することができなかった。そのため、ブルンヒルダに軟禁されている時は自らの無力感に苛まれていたが、クロワをなんとかブルンヒルダの思惑から引き離そうと奮闘する気概を見せる。

ダンテ

モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤの使い魔。両手で抱えられる子犬くらいの大きさで、頭部が山羊の骨になっており、胴体は黒く、先が三角形に尖った尻尾がある。非常にビビりな性格ながら、御子神京吾に対しては偉そうな態度を取る。だが、すごまれると即座に失禁するという欠点があり、京吾とモモが風呂なしアパートに引っ越した際にはペット用のオムツをプレゼントされた。その後、盛大に漏らしそうなときには自発的にオムツを身につけるようになる。本来の姿は巨大で、背中に二対のコウモリの羽を生やすこともできる。

トーマ

ブラッドテイカーのメンバーで、デミ・ヴァンパイアの男性。ブルンヒルダの眷属だったが、のちにエリザベスの眷属となった。金髪をショートカットにしている。非常に童顔で10代の少年にしか見えないが、れっきとした成人。サポート役として雑用をこなしていたが、モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤが御子神京吾に恋をしていると察して怒り狂ったクドラクによって重傷を負わされ、危うくモロイになるところだった。しかし、京吾から血を分けられたことで早期に回復することができた。このため、京吾とモモに対して恩義を感じており、二人が吸血鬼のコミュニティから弾き出されたあとも、自らの意思でサポートを申し出ている。また、京吾たちがブラッドテイカーに復帰したあとも、エリザベスの眷属として京吾やモモのサポートを行っており、ジル・ギルマンには容姿だけでなくその献身的な部分を賞賛されている。

冬樹 (ふゆき)

御子神京吾の部下の若い男性で、階級は巡査。短髪茶髪で、眼鏡をかけている。京吾に対しては非常にフランクに接しつつ、辛辣な言葉も投げかける友人のような関係を築いている。本庁の捜査一課に抜擢される可能性のある後輩の中宮忠を羨んでいる様子もあるが、中宮を邪険にすることなくかわいがっている。

中宮 忠 (なかみや ただし)

御子神京吾の部下の若い男性で、階級は巡査。年齢は23歳。短髪黒髪で、幼い顔立ちをしている。洞察力に長けており、非常に優秀であることから、本庁の捜査一課に抜擢されるのも遠くないと目されている。京吾のことを尊敬していたが、とある事件をきっかけに京吾が吸血鬼になったことを知り、激しく動揺していた。その頃、島本泰三らに声をかけられ、吸血鬼対策専門チームに加入している。

橘 美園 (たちばな みその)

御子神京吾の部下の女性で、階級は巡査。ウエーブがかったセミロングの黒髪で、ハーフアップにしている。御子神たちにも内密にしていたが、吸血鬼対策専門チームのメンバーとしても活動していた。「白縫渓」がアンフェスバエナであることを最初から知っていたが、幼い息子を盾に脅迫され、協力を余儀なくされていた。

大来 和実 (おおらい かずみ)

警視庁捜査一課の刑事を務める中年男性で、吸血鬼対策専門チームのメンバー。右目の下に泣きぼくろがあり、白黒に染め分けた髪をツーブロックヘアにしている。御子神京吾と藍川陽子とは学生時代からの付き合いであり、陽子に好意を寄せていた。そのため、藍川陽子殺人事件において陽子を守れなかった京吾に対し、激しい憎悪を抱いている。

藍川 陽子 (あいかわ ようこ)

御子神京吾の婚約者だった女性。黒髪をショートボブカットにしている。10年前に起こった藍川陽子殺人事件の被害者であり、アンフェスバエナによって殺害された。その際、遺体は全裸で椅子に座らされていたが、首から上は見つかっていない。しかし、のちにアンフェスバエナによってモロイとして蘇生させられた。

ロバート

ブラッドテイカーのメンバーで、吸血鬼の老齢男性。白髪をオールバックにしており、車椅子を使用している。吸血鬼の中でも古株で、かつては誰もが恐れる存在であり、現在も一目を置かれている。過去にアンフェスバエナによって愛する人を失った経験があり、復讐の機会をうかがっている。眷属であるリンを息子のように思っており、死ぬ時はリンにとどめを頼んでいる。クドラクを崇拝しているため、クドラクの意に反する者に対しては否応なしに敵意を向ける。

リン

ブラッドテイカーのメンバーで、デミ・ヴァンパイアの少年。ロバートの眷属であり、一見すると女性にしか見えない顔立ちをしている。右足が鋭利な刃物製の義足となっている。基本的には物腰が柔らかく丁寧だが、ロバートやクドラク以外に対しては無礼な態度を取ることが多い。

アルチーナ

ブラッドテイカーのメンバーで、吸血鬼の少女。長い黒髪をサイドテールにまとめ、女子高校生くらいの容姿をしている。御子神京吾に一目惚れし、モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤから奪おうと画策している。双子の姉妹であり、眷属でもあるモルガーナを溺愛しており、その強さやかわいさをつねに絶賛している。

モルガーナ

ブラッドテイカーのメンバーで、デミ・ヴァンパイアの少女。アルチーナの眷属であり、双子の姉妹でもある。外ハネ癖のある長い黒髪にカチューシャをしており、顔には鼻も口もない仮面をつけている。仮面の下はアルチーナとそっくりな顔で、顔の左半分がケロイド状になっている。ムカデなどの虫を自由にあやつることができ、虫を通して任意の相手の会話を盗み聞きすることもできる。

クドラク

モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤの父親で、最初の吸血鬼。足首に届くほど長い白髪を下ろしたままにしている。人間に近い容姿のときは西洋人の顔立ちだが、吸血鬼のときは巨大な体に左目が三つあり、顔の左半分から植物のようなものが生えている。モモを溺愛しており、その過保護ぶりはクドラクの忠臣を自負する吸血鬼たちからも半ば呆れられている。かつてゲームと称した実験を行い、ロドルフ・ヨハン・フォン・フランケンシュタインと共にアンフェスバエナを生み出した。人間の有力者とも結託して吸血鬼の世界に深く立ち入り、倫理観を逸脱した人間を餌として殺してもいいリストにピックアップしている。「真祖」や「薄暮の王」と呼ばれており、特にブラッドテイカーのメンバーからは「主」と慕われている。

アンフェスバエナ

御子神京吾が追っている仇で、吸血鬼の男性。皮膚がなく筋肉が露出した容姿で、顔の右側にもう一つ顔が付いている。また、人間に擬態しているときは肩の下までの黒髪を下ろしたままにしており、薄い色のサングラスをかけている。クドラクとロドルフ・ヨハン・フォン・フランケンシュタインがゲームと称して行った実験で生み出された、クドラクの血を非常に濃く受け継いだ第一世代の吸血鬼。人間界への過剰な侵犯の罪で数百年ものあいだ、ブラッドテイカーに追われ続けているが、殺しても殺しても生き返ってくるため、吸血鬼の中で最も恐れられている。また、アンフェスバエナの血液を与えると、相手の意識を乗っ取ることが可能になる。さらにアンフェスバエナは人間に擬態して「白縫渓」と名乗り、吸血鬼研究の第一人者として吸血鬼対策専門チームでは武器開発などを行っている。京吾からは「二つ顔」と呼ばれており、吸血鬼たちからは「双頭の蛇」とあだ名されている。

エリザベス

トーマの二番目の主となった吸血鬼の老齢な女性。ふくよかな体型で、長い白髪をうなじでシニヨンに結っている。トーマの最初の主だったブルンヒルダをかつて眷属にして吸血鬼に格上げさせた人物であり、ブルンヒルダがアンフェスバエナと結託していたことが露見して以降、クドラクからはブルンヒルダの余罪調査を指示されていた。しかし、調査する手立てもわからず困窮していたところ、御子神京吾から手助けを提案され、調査を依頼した。京吾たちには気軽に「ベッチー」と呼ぶように頼んでいる。

ジル・ギルマン

人間を相手に吸血鬼の売春を斡旋しているクラブ「グランギニョル」の経営者で、吸血鬼の男性。肌が浅黒く、長い黒髪に金のメッシュを入れ、眼鏡をかけている。発育途中の少年少女に性欲を抱く性癖の持ち主で、女嫌い。未成年の売春に加担することに罪の意識を持っており、ブルンヒルダがクドラクに処刑されたと聞いた際には、この商売を辞めることができると安堵していた。自分好みの吸血鬼たちを集めた学園を作ることが夢だと語っている。戦いの際には全裸になる癖があり、御子神京吾と初めて対峙した時には露出狂として通報されそうになった。また、喜ばしいことがあると全身の筋肉が隆起し、着衣がはじけ飛ぶ。ブルンヒルダから嘘を吹き込まれ、京吾もまた少年少女に性欲を抱く性癖であると誤解し、京吾を抹殺しようとしていた。しかし誤解が解けると、モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤの幸せを願う京吾を気に入って共闘を持ちかけ、特訓役にカンタレラを紹介した。

カンタレラ

モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤに戦いの基礎を教えた、吸血鬼の女性。ボサボサの長髪を下ろしたままにしており、丸眼鏡をかけている。現実世界においても「ルート選択」などのゲーム用語を用いて会話するオタクで、バーブルーブラッドのオーナーでもあり、ふだんは地下室で引きこもり生活を送っている。基本的にものぐさな態度を崩さず、戦闘などにも積極的に参加しようとはしないが、高額取り引きされているレアカードなど、オタク受けするアイテムの譲渡を条件にするとたやすく要求を受ける。ジル・ギルマンに依頼され、人間としての意識や感覚に固執するあまり吸血鬼としての能力を解放し切れていなかった御子神京吾を特訓した。

ブルンヒルダ

グレゴリに所属している吸血鬼の女性。赤く長い髪を右側頭部だけ三つ編みにしている。他人の尊厳を踏みにじることを趣味にしており、平気でウソをつく。しかし、息子と称してやまないクロワのことは利用しつつも、母親として誠実に愛している様子が見られる。もともとはトーマをはじめとするブラッドテイカーのサポート役を取りまとめていたが、実はクドラク暗殺をもくろみ、アンフェスバエナに情報を提供し続けていた。その件でクドラクから処刑されたはずだったが生き延びており、モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤを誘拐している。また、何人ものサポート役を死んだと見せかけてグランギニョルに売り渡し、人間相手の売春をさせるようにジル・ギルマンに指示を出していた。

クロワ

ブルンヒルダの息子を名乗る人間の少年。肩の下までの黒髪をサイドで三つ編みにまとめている。実の母親に捨てられて途方に暮れていたが、クロワにクルースニクになる素質があることを見抜いたブルンヒルダに拾われ、育てられた。そのため、無邪気ながらもブルンヒルダの言葉に忠実で、ブルンヒルダの願いを真剣に叶えようと誠心誠意尽くしている。長年、モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤと結婚するようにと言い聞かされていたため、モモと結婚するものと思い込んでいる。

オルロック

グレゴリに所属している吸血鬼の男性。屈強な肉体で、金髪をオールバックのツーブロックヘアにしている。争い事を好み、1000年間で何万人もの戦士の血を飲み続けてきた。その好戦的すぎる気性の荒さを厭われて吸血鬼のコミュニティを追放され、グレゴリに加入したといわれている。剛力で能力値も高いが、猪突猛進で短絡的な思考のため、目的地が定まると建物や壁などを蹴散らして直進するような一面がある。またブルンヒルダに好意を抱いており、ブルンヒルダの気を引くためだけに御子神京吾を殺害しようとする。黒い大きな長毛種の犬に変身することができ、クロワには飼い犬として扱われていた。飼い犬としての名前は「ロック」。

レーリン

グレゴリに所属している吸血鬼の少女。ウエーブがかった赤毛と頰のそばかすが目立ち、牧歌的なロリータ衣装を身につけている。通常時はおとなしそうな見た目ながら、攻撃時には口が耳元まで裂け、目つきも非常に鋭くなる。ギースというコウモリのぬいぐるみをつねに抱いており、ぬいぐるみがないと血影装の制御を行うことができない。自分は誰からも好かれていないという自虐思考の持ち主であるとともに癇癪持ちで、癇癪を起こすと他人の話を聞かず、非常に攻撃的になる。

ロドルフ・ヨハン・フォン・フランケンシュタイン

グレゴリに所属している吸血鬼の男性。茶髪のおかっぱ頭で白衣を身につけ、つねにガスマスクを着用している。猟奇的科学者として知られ、同胞である吸血鬼をモルモットと称して己の趣味と興味から解体したり、人体実験を繰り返したりしていた。クドラクには特に気に入られており、かつて実験でアンフェスバエナを生み出している。夢は吸血鬼の中から最高の個体をよりすぐってつなぎ合わせ、最強の生き物を作り出すことだと話している。

集団・組織

ブラッドテイカー

人間界への過剰な侵犯を行った吸血鬼やモロイを討伐する、吸血鬼の組織。クドラクが組織の長として構成員たちに指示を出し、モモ・ペルセフォーネ・フォン・ドラクリヤや御子神京吾もメンバーに加わっている。メンバーの多くはクドラクからの指令を完遂した際に受け取る報酬を収入源としており、食事としての血液製剤などを購入している。別称として「血を狩る者」とも呼ばれている。

吸血鬼対策専門チーム (きゅうけつきたいさくせんもんちーむ)

警視庁公安部が設立した、対吸血鬼の組織。「Vampire Advance & Countermeasure Team」や、この頭文字をとって「v・a・c・t」とも呼ばれている。吸血鬼の脅威から市民全体を守ることを任務としている。構成員は捜査一課や機動隊、マル暴やSATなど多岐にわたっており、幾度か御子神京吾に対しても加入をうながしたことがあったが、京吾が個人的な復讐に固執しているのを重く見て、最終的にスカウトをあきらめている。

グレゴリ

反クドラク思想を持つ集団。クドラクによって吸血鬼のコミュニティから追放された者や、クドラクの思想が受け入れられない者が加入している。アンフェスバエナやブルンヒルダなど、非常に強力な能力を持つ者が多く、クドラク派の吸血鬼たちからも恐れられている。

場所

グランギニョル

ジル・ギルマンが経営しているクラブ。警視庁による人身売買関連の捜査で名前が挙がり、未成年に対する非人道的な行いを含めた売春行為が判明している。グランギニョルで販売されているスナッフフィルムには、被害者の子供が殺害される様子が収録され、殺された子供がすぐに再生されていく様子が映し出されていることから、商品の子供たちの多くが吸血鬼であることが疑われている。

バーブルーブラッド

カンタレラがオーナーを務める、会員制のオカマバー。ホステスは全員吸血鬼かデミ・ヴァンパイアで、吸血鬼たちにとっての憩いの場として知られている。アルコールをはじめとした提供されるドリンクには、合法的に入手された血液が混ぜられている。また、ホステスは全員カンタレラから戦闘訓練を受けており、並の吸血鬼よりもはるかに強いといわれている。

その他キーワード

モロイ

瀕死の人間が吸血鬼から血液を受けたものの、体内の血液が足りなかったために理性の欠ける吸血鬼になった存在。理性のあるあいだはふつうの人間とまったく変わらない容姿を保てるが、理性を失うと口が耳元まで裂け、歯が大きく露出するなど容姿に変化が生じる。デミ・ヴァンパイアとは違い、ほとんどがブラッドテイカーの討伐対象となる。アンフェスバエナは御子神京吾の血液を自分好みの味にするために、京吾を苦難に遭わせようと、京吾の周囲の人間から複数のモロイを作り出した。

デミ・ヴァンパイア

瀕死の人間が吸血鬼から血液を受け取り、血を与えてくれた吸血鬼の眷属となった存在。「半吸血鬼」とも呼ばれる。ふつうの吸血鬼は太陽の光を浴びると一時的に力が弱くなるという弱点があるが、デミ・ヴァンパイアは日光の影響を受けない。主である吸血鬼から一人前と認められた際にはあらためて血を分け与えられ、真の吸血鬼になることができる。

血影装 (けつえいそう)

吸血鬼が血を媒介にして使用する武具。全身を覆う鎧や槍などの武器を作り出すことができ、血影装の使い方次第では異形の姿への変身も可能となる。ただし、術者である吸血鬼の体内の血液が足りなくなると、血影装を作り出すことはできなくなる。また、モロイは血影装を作り出すことができない。

クルースニク

クドラクが唯一恐れている存在。生来の吸血鬼ハンターであり、白い羊膜に包まれて産まれてくるといわれていた。しかし実際は、人間が質のいい吸血鬼1000体の血液の中に身を浸し、最後に聖人の血を一滴振りかけられる儀式によって誕生する。クルースニクはクドラクと戦うことを宿命づけられており、善なる存在としてクドラクを必ず討ち滅ぼすと伝えられている。

武蔵野連続吸血事件 (むさしのれんぞくきゅうけつじけん)

武蔵野市で起こった連続殺人事件。被害者は全員全身の血液を抜かれたうえに、首や四肢を切断、眼球や内臓は取り出された状態で発見されている。吸血鬼のような犯行から、犯人は「V」と仮称されている。しかし御子神京吾と中宮忠は、四回の犯行のうち四回目だけはカマイタチ事件の犯人が武蔵野連続吸血事件の犯人を模倣して起こしたものだと考えている。

カマイタチ事件 (かまいたちじけん)

数か月にわたり、深夜から早朝にかけて、通行人が何者かに切りつけられた通り魔事件。被害はちょっとした切り傷から全治5日程度とさまざまで、武蔵野連続吸血事件と同時期に起きていたために注目度は低かった。また、武蔵野連続吸血事件の四回目の現場周辺で起こっていることから、御子神京吾と中宮忠はこの事件を、武蔵野連続吸血事件を模倣して四回目の事件を起こした犯人によるものではないかと考えている。

藍川陽子殺人事件 (あいかわようこさつじんじけん)

御子神京吾が吸血鬼を捜査するきっかけとなった、10年前の事件。被害者は京吾の婚約者だった藍川陽子で、犯人のアンフェスバエナは京吾にも重傷を負わせて逃亡している。この事件をきっかけに、京吾は吸血鬼に関する調査を行うようになったが、それと同時に警察組織内でも浮いた存在となり、他人に対して軽薄に振る舞う昼行灯を装うようになった。陽子の頭部は現在も発見されていない。

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