竜人と人間が織りなす異種族社会
本作の舞台は、人間と「竜人」と呼ばれる人型種族が共存する「ラニアケア王国」。竜人は人間に似た姿をしており、機械的な尻尾を持つほか、動物の特性に由来する特殊能力を使いこなす。また、人間を遥かに凌ぐ身体能力を持つため、多くの竜人は人間を見下す傾向にある。しかし一方で、村長のハレーのように種族を問わず友好的な関係を築く竜人も存在する。この王国はかつて「竜王」と称されたポラリスによって治められていた。しかし6年前、ポラリスが何者かに暗殺されて以来、竜王を失った王国は不安定な状況に陥り、直属の騎士団「王撰十二宮」がかろうじて秩序を保っている。
記憶喪失の竜人と冒険を志す少女の出会い
ラニアケア王国の辺境で暮らすジオは、伝説の冒険家、ユーリにあこがれ、外の世界へ旅立つことを夢見ていた。しかし、育ての親である村長のハレーは、ジオが村を出ることを許さず、二人のあいだには溝が生まれていた。そんなある日、ジオは記憶を失った竜人のネレイドと出会い、再び冒険への思いを強くする。しかし、その平穏は王国騎士、ヤーキスの来訪によって破られる。ヤーキスはジオがユーリの実の娘であり、ユーリがラニアケア王国の統治者であった竜王を暗殺した疑いをかけられていることを告げる。そして、ヤーキスは国家転覆の罪でジオを連行しようとし、ハレーを「鱗の竜」の力で傷つける。その危機を救ったのは、駆けつけたネレイドだった。ヤーキスを退けたあと、ジオはネレイドもまたユーリを探していることを知る。父親の無実を証明するため、ジオはハレーの許しを得て、ネレイドと共に真実を求める旅に出る。
竜王を殺した伝説の冒険家、ユーリ
ユーリは数々の偉業を成し遂げたことかから、一部では「伝説の冒険家」と讃えられている。しかし、ある時ラニアケア王国のポラリスを殺害した容疑で指名手配されてしまう。主君を殺された竜人たちの怒りは深く、ユーリだけでなく娘のジオも制裁の対象として命を狙われる。そんな中、ジオがネレイドと旅立った直後、二人の意識の中にユーリが現れ、自身の潔白を訴えると共に、自分を追わないよう忠告する。また、ポラリス暗殺の現場では、先代の「王撰十二宮」騎士団長を含む196人もの竜人が同時に殺害されており、一部の竜人からは「騎士でもないユーリにそんな犯行が可能とは思えない」と、その犯行に疑問の声も上がっていた。
登場人物・キャラクター
ネレイド・カイパー
かつてラニアケア王国の騎士を務めていた竜人。明るく前向きな性格だが、一般常識に疎く、空気を読むことが苦手なため、ジオを呆れさせることもあるなど、世間知らずな一面を持つ。人間に変身したり、島の形を変えるほどの攻撃力を持つなど、ほかの竜人を圧倒する潜在能力を秘めている。しかし、過去の記憶を失っているため、その力をうまく使いこなせず、格下の相手に苦戦することも少なくない。過去の記憶を頼りに、冒険者のユーリに会うことを目的としていたが、ユーリの娘であるジオと出会い共に旅をすることになる。また、理由は不明ながら、王国の精鋭騎士団「王撰十二宮」から強く警戒されており、団長の一角であるアンタレスやその弟のヤーキスから敵意を向けられている。
ジオ・ホルスト
「伝説の冒険家」として名高いユーリの娘。ジオは、その事実を知らずに育った。彼女はユーリの友人である竜人のハレーを実の父親だと信じていた。会ったことのない冒険家のユーリにあこがれを抱き、旅に出ることを夢見ていたが、ハレーからは強く反対されていた。ジオは「自分は憎まれているから島に閉じ込められている」と誤解し、不満を募らせていた。しかし、ハレーが冒険を反対していたのは、王国の精鋭騎士団「王撰十二宮」からジオの身を守るためだった。この真実を知らないまま、ジオはハレーとの関係にわだかまりを抱えていたが、ある日ヤーキスの襲撃をきっかけに、自身の出自とハレーの真意を知り、ようやく和解した。その後、「王撰十二宮」に居場所を特定されたことで、ハレーはジオの冒険を認め、彼女はネレイドと共に父親のユーリを探す旅に出る。
書誌情報
GALAXIAS 3巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2024-10-17発行、978-4065371268)
第2巻
(2025-02-17発行、978-4065377789)
第3巻
(2025-06-17発行、978-4065397626)







