GO!GO!HEAVEN! 自決少女隊

GO!GO!HEAVEN! 自決少女隊

自殺志願者の四人がインターネットを介して出会い、それぞれの思いを抱きながらステージ上で華々しく自殺するためにバンドを組み、活動していく様子を描いたヒューマンドラマ。「週刊ビッグコミックスピリッツ」2004年第53号から2005年第33号にかけて連載された。2005年にはテレビ東京系列局とびわ湖放送にて『GO!GO!HEAVEN!』のタイトルで、加藤夏希主演でTVドラマ化されている。

正式名称
GO!GO!HEAVEN! 自決少女隊
ふりがな
ごー ごー へぶん じけつしょうじょたい
原作者
小原 信治
作画
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
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あらすじ

自決少女隊の結成と初めてのライブ

澤村アヤ三上和代公子はそれぞれの事情から自殺を考え、自殺志願者達が集まるインターネットサイト「シニタイヤツハ、シネ。」に相談や愚痴を書き込んでいた。そんな中、投稿にいつもレスを付けていた、ハンドルネーム「ジュリア」こと小林幸子が、集団自殺志願者を募る書き込みをする。アヤ、和代、公子の三人は「ジュリア」にコンタクトを取り、四人は初めて顔を合わせる。遅刻して現われた幸子は「どうせ死ぬならばステージ上で華々しく自殺しよう」と三人に持ちかけ、バンドの結成を提案する。最初は断った三人であったものの、それぞれの葛藤や思考の末に、4ピースバンドが結成されることに同意する。その際、全員が剥き出しになったコードを身体に巻きつけ、最後の曲が終わったところで、幸子が出力を最大にするスイッチを入れて集団自殺するという方法をとると決定。しかし、「自殺する」と公言して開催したそのライブでは、トラブルが発生して集団自殺は失敗に終ってしまう。このライブをきっかけに、幸子達は自殺を目的としたバンドとして、その存在を広く知られ、映像制作会社の矢澤基次郎やプロデューサーのマーチン張本らにより、「自決少女隊」の名前でインディーズデビューする。そして迎えた2回目のライブ。マーチン張本の画策によって、またもや自殺が未遂に終わり、「自決少女隊」のメンバー達は焦りを覚え始める。そんな中、アヤは自身が妊娠していることに気づく。

ファンの自殺と幸子の秘密

小林幸子達の自殺したいという思いとは裏腹に、「自決少女隊」の知名度はどんどん上がっていた。そんな中、三上和代はインターネットのSNS上でファンの黒兎姫と知り合う。メールのやりとりをしていた和代はファンができたことを喜び、「自決少女隊」の活動にも気合いが入っていた。そして3回目のライブ。「自決少女隊」は今回も自殺に失敗してしまうが、このライブを観に来た黒兎姫は満足し、帰り道でそのまま飛び降り自殺をしてしまう。この件でファンの自殺が社会問題となり、自殺を促したとされる「自決少女隊」は表舞台に立てなくなってしまう。そんな中、あえてアンタッチャブルなネタを扱いたいと、ラジオ局から「自決少女隊」に声がかかり、その場で公子は自分の過去、そして死にたい理由やバンドに対する正直な思いを口にする。その話が感動を呼び、「自決少女隊」は再び表舞台に返り咲くのだった。しかし、メンバーの幸子は実は喉頭がんで、余命3か月という状態にあった。主治医からも手術を勧められているが、幸子は「最後の最後まで歌っていたいから」と拒否し続ける。

幸子の死と自決少女隊のこれから

何かと話題になっている「自決少女隊」は、官公庁の「自殺防止キャンペーン」のキャンペーンソングを手掛けることになった。しかし、発表直前で澤村アヤの不倫や妊娠、さらに会社の金を横領したという、事実に反するゴシップを週刊誌にすっぱ抜かれてしまう。そのため、「自決少女隊」は官公庁のキャンペーンソングから下ろされる。妊娠の事実を知った不倫相手の鎗谷には、「今すぐ堕胎しろ」と罵声を浴びせられ、暴力を振るわれたため、酷くショックを受けたアヤは行方をくらます。必死にアヤを探し出した小林幸子三上和代公子は、「自殺するのはいいが、周りに殺されるべきではない」と、飛び降り自殺をしようとするアヤを説得する。

そして余命幾ばくもない幸子は、メンバーの三人と「確実な自殺」を決行するため、「自決少女隊」の4回目のライブを計画する。幸子はほかのメンバーに秘密で会場に爆弾を持ち込み、「最後の曲が終わったら爆破する」とファンに宣言し、ステージ上で爆弾を取り出す。これが結果的にたてこもり事件と見なされ、警察がライブ会場周辺を包囲。そして最後の曲を歌おうとした時、幸子はステージ上で倒れてしまう。幸子は救急搬送され、会場にも警察が踏み込んで「自決少女隊」のライブは中止。幸子はそのまま帰らぬ人となり、「自決少女隊」メンバーは、幸子の前で初めて「己の生」を意識するのであった。

登場人物・キャラクター

小林 幸子 (じゅりあ)

20歳の女性。インターネットサイト「シニタイヤツハ、シネ。」に投稿される愚痴や相談に、丁寧に応えていた。集団自殺志願者を募って、澤村アヤ、三上和代、公子らがつながるきっかけを作った。ハンドルネームは「ジュリア」で、「自決少女隊」メンバーや関係者、ファンからもその名で呼ばれている。アヤら三人に「ライブ中にステージ上で感電死をしよう」と持ちかけて、のちに「自決少女隊」というバンドを結成した。 自分についてはあまり語らず、特に自殺をしたい理由は三人にも明かしておらず、とにかくステージ上で死ぬことにこだわっている。「自決少女隊」ではボーカルとギターを担当しており、プロになれるほどの腕前を誇る。住まいは叔父が所持しているガレージで、「自決少女隊」の練習場所にもなっている。 叔父はラーメン店を経営しており、店の名物は林檎の入った林檎ラーメンで、幸子の大好物でもある。

澤村 アヤ (さわむら あや)

23歳の女性。アダルトグッズを扱う会社で雑用事務として働くOL。地味な容姿をしており、自分に自信がなく、つねにオドオドしている。ちょっと抜けている性格で、大切なことは手のひらにメモをする習慣がある。会社代表の鎗谷の愛人として、性行為中に写真を撮影されたり、妻と別れるために300万円必要だと噓をつかれて全額借金をしたりと、何かと金を巻き上げられていた。 さらに社内では、鎗谷との愛人関係をおもしろおかしく吹聴されて欝病になり、自殺したいと考えるようになった。その後、シニタイヤツハ、シネ。に掲載されていた小林幸子の集団自殺志願者募集にコンタクトを取り、三上和代や公子と知り合う。ハンドルネームは本名と同じく「アヤ」で、「自決少女隊」メンバーや関係者、ファンからもそう呼ばれている。 真面目な性格ではあるものの、矢澤基次郎に一目惚れするなど、かなりの恋愛体質。最初は「バンドは不良がやるもの」と言って「自決少女隊」への参加も拒んでいたが、自らに保険金をかけ、ギタリストとして加入した。のちに幸子から「保険加入1年以内に自殺しても保険金は下りない」と指摘されている。

三上 和代 (みかみ かずよ)

19歳の女性。13歳から引きこもりをしており、極度の対人恐怖症。引きこもりになった原因はいじめを受けたことだが、その際に、いじめっ子に対して両親が過度な抗議をしたため、いじめっ子が自殺してしまい、強いトラウマになっている。何に対してもやる気が出ないうえに、あと3か月で20歳になるため大人扱いされるのが怖く、10代のうちに自殺をしたいと考えるようになった。 インターネットサイト「シニタイヤツハ、シネ。」に掲載されていた小林幸子の集団自殺志願者募集にコンタクトを取り、澤村アヤや公子と知り合う。ただ自殺するのではなく、「きれいに死にたい」「かっこよく死にたい」と、人一倍死へのこだわりがある。ハンドルネームは「ミカエル」で、「自決少女隊」メンバーや関係者、ファンからもその名で呼ばれている。 人と直接会話をせずに、携帯電話に文字を入力して会話をする。ゴスロリファッションを好み、好きなアーティストはマリスミゼル。時間には正確で、遅刻は絶対に許せない。初対面時に幸子が遅刻をしたので、「時間にルーズな奴とはバンドは組めない」と、「自決少女隊」への参加と断った。 しかし、10代のうちに自殺したい気持ちが強く、ドラマーとして参加した。「自決少女隊」として活動していくうちに、文字ではなく、自分の言葉で話せるようになっていく。

公子 (きみこ)

自称26歳の女性。仕事はSMクラブで女王様として働いている。10歳から現在にわたって、実父から性的虐待と金銭搾取をされており、躁鬱やリストカット、レイプ、借金苦など、死にたい理由を数多く持つ。公子自身も自分のことを「自殺の国士無双、自殺の総合商社」と自虐的に称している。荒んだ生活の中で、どんなことをしても喜びや達成感が見いだせず、自殺をしたいと考えるようになり、インターネットサイト「[シニタイヤツハ、シネ。 ]」に掲載されていた小林幸子の集団自殺志願者募集とコンタクトを取った。その後、澤村アヤや三上和代と知り合う。ハンドルネームは「卑弥呼」で、「自決少女隊」メンバーや関係者、ファンからもその名で呼ばれている。 基本的に明るくテンションが高く、言動もさばさばしている。しかし、これは精神科から処方された薬でコントロールしているだけであり、薬が切れると不安になり、体の震えが止まらなくなる。「自決少女隊」に誘われた際は「バンドをやるつもりで会ったのではない」と突っぱねたが、「どうせ死ぬならばいいか」とあっさり思い直し、ベーシストとして参加した。 年長者なので、一応リーダーを務めている。学生時代にバンドを組んでいた経験があり、幸子以外に唯一の楽器経験者である。

矢澤 基次郎 (やざわ もとじろう)

映像制作会社に勤務する男性。現在はドキュメンタリー映像を作成している。整ったルックスをしているため澤村アヤに一目惚れされたが、既婚者のためアヤは即失恋する。最初のライブで自殺しようとして失敗した「自決少女隊」の噂を聞きつけ、メンバー達に取材を申し込んだ。自殺についても「弱い者の逃げ場」と否定的で、その理由は妻、矢澤智子の度重なる自殺未遂によるものである。 当初は会社からの指示で動いていただけであり、矢澤基次郎自身は「自決少女隊」に興味もなかった。小林幸子ら「自決少女隊」のメンバーとかかわるうちに、自殺志願者の思いに触れ、ただ否定するだけではなく、寄り添うような考えを抱くようになる。

矢澤 智子 (やざわ ともこ)

矢澤基次郎の妻。精神的に弱い部分があり、何度も自殺未遂を繰り返している。本人は自殺未遂により矢澤に迷惑をかけていると理解しているものの、どうしても死ぬのを諦められずにいる。

マーチン張本 (まーちんはりもと)

音楽プロデューサーの男性。ライブで自殺しようとして失敗した「自決少女隊」の噂を聞きつけて、小林幸子らの前に現われ、「自決少女隊」をプロデュースさせてほしいと申し出た。「大物ミュージシャンと親しい」など妙な業界風を吹かせており、非常にうさんくさい人物である。最初は「自決少女隊」のメンバー達も拒んでいたものの、当面のライブにかかる費用を負担すると提案され、しぶしぶプロデューサーとして受け入れる。 マーチン張本の狙いは、「自決少女隊」を使って金儲けをすることで、勝手に取材やライブ、物販などを行っている。さらにステージ上でメンバーが死んだら保険金が下りるように手を回すなど、金のことしか考えていない。

鎗谷 (やりたに)

澤村アヤが働く、アダルトグッズを扱う会社の代表を務める男性。中年の既婚者ではあるものの非常にモテる。地味で従順なアヤを都合のいい愛人と考えており、性行為中に写真を撮影したり、妻と別れるために300万円必要だと噓をついて金を巻き上げたりしていた。社内には別の愛人もおり、その女性にアヤから搾取した金を貢いでいるうえに、アヤとの関係をおもしろおかしく吹聴していた。 アヤが自殺したいと考えるようになった原因を作った張本人。「自決少女隊」結成後、マーチン張本から声をかけられて物販のグッズを作製し、卸している。アヤが「自決少女隊」で有名になったあとに、金を引き出そうと目論んでヨリを戻すが、妊娠の事実を知ると、アヤの腹を蹴って堕胎を迫る。

黒兎姫 (ぶらっくらびっと)

「自決少女隊」の三上和代のファンであった少女。同じゴスロリ趣味であり、自身も現在進行形でひきこもりのため親近感を抱き、SNSに和代への気持ちを書き込んでいた。書き込みを偶然にも和代が見つけ、和代からコンタクトを取って友達になった。和代からは「クロウサちゃん」と呼ばれている。「自決少女隊」の3回目のライブを見るため、久しぶりにゴスロリ姿で外出し、直接和代とも顔をあわせた。 ライブの帰り道、「大好きな服を着て大好きなバンドを観られたから満足」と語り、飛び降り自殺を決行する。

集団・組織

自決少女隊 (じけつしょうじょたい)

自殺志願者で結成されたバンド。メンバーはいずれも、インターネットサイト「シニタイヤツハ、シネ。」に掲載された、小林幸子の集団自殺志願者募集に応募してきた。ボーカル兼ギターの幸子、ギターの澤村アヤ、ベースの公子、ドラムの三上和代の四人で構成され、年長者の公子がリーダーを務めている。アヤと和代は楽器の演奏はできないため、初期は幸子が作った音源に、ほぼ当て振りでライブを行っていた。 しかし、何度かライブを重ねていくうちに、アヤも和代もそれなりに楽器を演奏できるようになった。バンドの目的は音楽で成功することではなく、ステージ上で華々しく自殺すること。ライブ告知でもその旨が明記されているため、怖いもの見たさの客が入って大盛況となっている。 ライブ中にはファンから「さっさと死ね」などと、メンバーの自殺を煽るコールが入る。

その他キーワード

シニタイヤツハ、シネ。

インターネット上にある自殺志願者専用の掲示板サイト。死にたい理由を書きつづったり、相談したりすることができる。「シニタイヤツハ、シネ。」には、集団で死にたい人を募る機能もあり、小林幸子、澤村アヤ、三上和代、公子の4人が知り合うきっかけになった。

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