概要・あらすじ
野球部員でありながら不良として荒んだ日々を過ごす高校生・ヒノモトヒトシは、空から降ってくる少女を目撃し、天使だと思い込む。その少女は、研修のため「あの世」から「この世」にやってきた死神のブーであった。ヒトシのクラスに転校生として現れたブーは、あの世から脱走したニゲタマを狩ることを目的とし、人間たちを軽く見る。
一方、ヒトシは天使を目撃した事がきっかけで生活を改め野球に取り組もうとするが、結果を出せないでいた。そんな折、ニゲダマの首謀者であるジャズが姿を現し、ヒトシに近しい人々へ被害を及ぼし始める。
登場人物・キャラクター
ヒノモト ヒトシ
純情高校に通う高校二年生の少年。野球部に所属していたが、練習もせず悪友の英吉とつるむ日々を送っていた。しかし空から降ってきたブーを目撃して天使と思い、生活を改めて野球で甲子園を目指すことを決意する。野球では打者としてのセンスがあり松井直太郎の指名で四番打者となるが、試合で結果が出せずプレッシャーに負けて目先の快楽に溺れることも多い。 英吉がジャズの手にかかって死亡し、自らもジャズから49日間で死ぬ呪いを受けたことに恐怖する。さらに池袋西門高校野球部との練習試合で惨敗したことに絶望するが、英吉が生前贈ろうとしていたバットを受け取ったことで立ち直り、死の恐怖に囚われながらも東京都予選に臨む。
ブー
死神学校の卒業を控えた、死神研修生の少女。小柄で目つきが鋭く、髪と衣服はほぼ黒で統一されている。他の死神研修生から一目置かれる実力を持ち、上級の死神さえ手こずる逃亡者の魂・ニゲタマを軽々と倒す。キル子と共に研修先の純情高校へ転校生として潜入するが、学生としての偽名が「高木ブー」であったため校内で有名人となった。 死神の中でも特に強い能力を持つかの一族の一員であり、周囲の死神から抑圧されて育ったためひねくれ者で冷酷。当初は人間たちの命を軽く見ていたが、ヒノモトヒトシと接するうちに認識を改め、ニゲタマのリーダー格・ジャズからヒトシ達を守ろうとする。
キル子 (きるこ)
死神学校の卒業を控えた、死神研修生の少女。研修で幼なじみのブーとコンビを組み、共に純情高校へ転校した。学生としての偽名は「田中キル子」。小柄なブーとは対照的に、長身で服装は白一色。同級生の男子生徒達からは「いいカラダ」「おっぱい小さいけど」と評されている。明るい性格だが他の研修生からは「超トロい」と評されており、ブーへの依存心が強い。 死後の世界から逃亡した魂・ニゲタマを狩るブーの戦いにはついて行けないため活躍する描写はなく、物語の狂言回し的な役割を負う。部屋に待機して絵日記を書いており、それらが第2話~8話で前回までのあらすじとしてコーナー化されている。
閻魔大王 (えんまだいおう)
死神を統べる、非常に巨大な体躯を持つ存在。長大な二本の角を持つ石像のような姿で、胸から腹にかけての模様が「大王」という文字に見える。死神の間でも警戒視されているかの一族を気にかけ、特にブーをかばう言動を取っていた。その正体は人類最初の死者であり、死後の世界を仕切る役目を負った人物であった。
ジャズ
死後の世界から逃亡した魂・ニゲタマの首謀者とされる青年。目的は不明で、「やりたいようにやる」をモットーに愉快犯的な行動をくり返す。その正体は死神であり、その中でも強い力を持つかの一族の一員にしてブーの兄であった。挑んできたブーを軽くあしらう実力を持つが、偶然戦いに割って入った英吉に魂を操作して凶暴化させ、ブーが気にかけているヒノモトヒトシを苦しめるため、英吉に49日間で死ぬ呪いをかけ殺害した。 同様の呪いをヒトシや叶レイジにも仕掛け、ヒトシが死ぬ当日にブーとの決戦を迎える。
英吉
ヒノモトヒトシの悪友。純情高校に通ってはいるが、校内ではもっぱら美術部の部室で恋人のマオと不純異性交遊にふけっている。ブーとジャズの戦闘時にたまたま居合わせたため、ジャズに魂を操作され凶暴化した。さらにジャズから49日間で死ぬ呪いをかけられ、死亡。ヒトシを遊びに誘いながらも野球の才能に期待しており、グリップに「やるならちゃんとやれ!」と書いたバットを贈ろうと部屋に置いていたが、死後それが形見としてヒトシの手に渡る。 葬儀のシーンから姓は「矢田」と思われるが、不確定。
マオ
英吉の恋人で、ヒノモトヒトシとも親しい女子高校生。純情高校では、美術部の部室で英吉と不純異性交遊にふけっている。ジャズによって凶暴化した英吉に暴行を受け、不安と寂しさからヒトシとも肉体関係を持つが、英吉の死後、その原因がヒトシだとジャズに吹き込まれ、ヒトシを憎むようになる。
ななこ
ヒノモトヒトシが憧れる、純情高校の女子高校生。叶レイジの恋人。落ち着いた雰囲気を持っており、ヒトシが悩み狼狽する時は教え諭すように励ます。
叶 レイジ (かのう れいじ)
ヒノモトヒトシが憧れ尊敬する、純情高校の男子高校生。知的かつクールな男で、社会のルールよりも自分がどうあるかを重んじている。かの一族の末裔であり、同族が暴走した時の拘束具を人間社会の中で管理していた。そのため、人間には見えない状態のジャズを見ることもできたが、死の呪いを受ける。死の直前、ヒトシを通じてブーに拘束具を託す。
松井 直太郎 (まつい なおたろう)
純情高校野球部の部員で、超高校級の強打者。家庭の事情で野球の名門校から弱小校である純情高校に転校していた。後輩のヒノモトヒトシに期待しており、負傷欠場した練習試合でヒトシを四番打者に指名する。復帰してからも自ら三番打者となり、ヒトシを四番に据え続けた。強豪校である池袋西門高校野球部に対しても、コンスタントに長打を飛ばす。
誠 一 (まこと はじめ)
池袋西門高校野球部のピッチャー。純情高校野球部との練習試合では松井直太郎以外抑えきるが、ヒノモトヒトシのセンスに脅威を感じ、以後ライバル視する。純情高校を再訪してヒトシとの個人的な対決をし、東京都予選でも対戦する。
集団・組織
純情高校 (じゅんじょうこうこう)
ヒノモトヒトシが在籍し、ブーとキル子が転校する高校。東京都の高円寺にあり、共学。野球部は無名で、強打者の松井直太郎のみ注目されている。文化部は盛んでないらしく、美術部をはじめ文化部棟は荒れている。
池袋西門高校野球部 (いけぶくろさいもんこうこうやきゅうぶ)
純情高校を練習試合で訪れた、東京都の強豪チーム。都予選の優勝候補とされている。練習試合はコールド勝ち寸前の雨天中止に終わるが、ヒノモトヒトシが奮起するきっかけの一つとなる。
その他キーワード
死神 (しにがみ)
閻魔大王の下、魂を管理する者どもの総称。閻魔大王が死後の世界を仕切る役目を負ったとき、神から手伝いのスタッフとして与えられた存在と、その子孫たちから成る。人間の中から早期回収してもよい魂を選別することや、輪廻を待たず脱走した魂の追跡などを任務とする。人間のように子が生まれ成長するようで、学生期間を経て死神となるが、卒業前に様々な研修課題を与えられる。
ニゲタマ
死後の世界を経て輪廻するはずの魂が、輪廻を待たずに脱走したもの。通常は脱走を阻む迷宮を越えられないが、まれに突破する魂が現れ、「ニゲタマ」と呼ばれる。高い能力を持っており、死神でも研修生が殺されることもあり、上級の死神でも手を焼くと言われている。
かの一族 (かのいちぞく)
死神の中でも特に強い能力を持った一族。かつて閻魔大王が死神との間に作った子と、その子孫である。最初に生まれた二人のうち、一人は死神に、もう一人はその監視役とされた。能力が強すぎるため死神の社会でも問題を起こしがち。ブーがその一人であり、後にジャズも同族かつブーの兄と判明する。