概要・あらすじ
小川さおりは17歳の女子高生。ごく普通の女の子だが、男性恐怖症に悩んでいた。また、さおりには不治の病を患う12歳の弟、小川悟がいた。悟には絵心があり、病室ではいつも絵を描いていた。ある日の病室での事。描き溜めた絵の中に、1枚だけ異質なものがあり、さおりが尋ねると、いつも見る夢なのだという。それは唇の化物が支配する世界で、酒癖の悪い怪物が暴れている奇妙な絵だった。
変な夢ばかり見るために、自分はもうすぐ死ぬのかもと弱音を吐く悟を、さおりは叱咤激励して病室をあとにした。翌日、病院から電話があり、悟がいなくなってしまったという。さおりには心当たりがあった。それは、家族でよく初詣に出かけていた双葉山神社だった。悟は小さい頃、いつも神殿の奥に行きたがっていたのだ。
案の定、悟は神殿にいた。さおりが悟を見つけて、話をしていたその時、突然床が抜けた。床下は底なしの水の世界だった。どんどん水中を落ちていくさおりの目に、人魚や怪物の姿が見えた。やがてさおりは、水中のキャバクラにたどり着き、そこでテーブルにぶつかって気を失う。気がついたときには、唇の化物が支配する部屋にいた。
化物の名は「紅」と言い、水中キャバクラの経営者だった。さおりのおかげで被った被害を、店でNO.1になったら許すという。こうしてさおりは、水中世界のキャバクラで「お水」の仕事をする事になったのだ。