概要・あらすじ
世界一心は神奈川県立美咲高等学校に入学した1年生で、気が弱いが忍耐強い少年。同じクラスの蔵座直哉に野球部の入部を断られるが、彼の出した課題をクリアして無事入部することに。10年間やってきた拳法で鍛えた身体能力を蔵座直哉に見いだされ、彼のアドバイスを受けて世界一心は野球選手として大きく成長。
弱小でチームの雰囲気も悪かった野球部も強くなってゆく。
登場人物・キャラクター
世界 一心 (せかい いっしん)
子供のころから憧れている野球をするために神奈川県立美咲高等学校に入学する。実家は世界道場という日本拳法の道場で、一心も10年間学んでいたが、人を殴ることができず、勝つことはできなかった。蒼徳学園との練習試合で初めてマウンドに立つ。投手としての球速は120km/hそこそこだが、ブルペンでは81分割のストライクゾーンに正確に投げられるほどの制球力がある。 やがて美咲高校のエースとなる。我の強すぎる蓮池南との出会いや、終生のライバルである三木山透との出会い、そして蔵座直哉や若部健一監督らの指導によって、真のエースへと成長していった。
蔵座 直哉 (ぞうざ なおや)
世界一心のクラスメイトで、野球部のチームメイト。中学時代には三木山透と組んで正捕手として関東大会で優勝した実績がある。入学当初から甲子園を目指していた。当初は完全な初心者だった一心に野球部入部をあきらめさせようとしたが、やがて彼の才能を見抜いて投手として覚醒される。チームの頭脳として仲間を引っ張るが、前田龍秋や蓮池南とは馬が合わない。 だが、強敵横浜北高校に勝つために自分の考えを変えて、これまでずっと否定し続けてきた蓮池を立てるアドバイスをするようになる。これによってチームはさらに強くなり、ついには甲子園出場を決めた。
古藤 計 (ことう けい)
神奈川県立美咲高等学校の野球部員。世界一心が野球部に入ろうとするのを応援してくれた同級生。人間観察に優れており、面倒見も良い。試合中に一心の心が折れそうになったときも、一緒にキャッチボールをするなどして、立ち直るのに力を貸していた。当初はスコアラーだったが、夏の予選での横浜北高校との試合では、水戸の代理として試合にも出るようになる。
セドリック伊藤 (せどりっくいとう)
神奈川県立美咲高等学校の野球部員。蔵座直哉のいた海王シニアの先輩でもある。金髪の美少年だが、実家は8人兄妹の大家族で、自身も家計を助けるためにアルバイトをしたり弟妹たちの面倒を見ている。そのため、一年生の春は野球ができずにいた。野球選手としてはパワフルな打撃の持ち主で、かつ明るい性格のムードメーカー。 やがて蔵座の薦めもあってチームのキャプテンになる。
前田 龍秋 (まえだ たつあき)
神奈川県立美咲高等学校の3年生で、世界一心が入部した頃のエース。実家は寿司屋で、小さい頃から野球の才能を認められていた。右投げ右打ちで背番号は1。身長は185cmで体重は82kg。ストレートによる内角攻めを好む。球の出どころが見えづらい反面、気分屋でスタミナも不足気味。意地っ張りで、掌をケガしても無理して投げようとした。 卒業後は単身アメリカに渡り、マイナーリーグからメジャーリーグへ挑戦している。
蓮池 南 (はすいけ みなみ)
神奈川県立美咲高等学校の陸上部時代から世界一心の身体能力に興味を抱き、やがて野球部に移った。陸上部時代は全中陸上100mファイナリストにして、ジャベリックスローの日本ジュニア記録保持者でもある。その強肩を生かして投手になるが、体の生かし方を知らず、当初は打ち込まれることが多かった。 性格はわがままで協調性もなく、蔵座直哉と対立を繰り返していた。三木山透に強いライバル心を抱き、横浜北高校との試合では強引に自分がマウンドに立つ。蔵座との対立はずっと続いていたが、蔵座が蓮池を否定せずに「期待する」と告げたとき、それまでのわだかまりを捨てて、今までしてこなかったチームプレイをするようになった。
山本 源輔 (やまもと げんすけ)
神奈川県立美咲高等学校のコーチ、整体師、スポーツアドバイザーを務める老人。人間の身体構造を研究して、その使い方を追究した指導法をする。プロ野球選手を育てたこともあり、15年前には茨城の上常学院野球部を指導して優勝に導いた。世界一心の祖父である三郎(さぶろう)とは、生前に身体理論について切磋琢磨した仲である。
若部 健一 (わかべ けんいち)
山本源輔の紹介で神奈川県立美咲高等学校野球部の監督に就任する。高校時代は横浜北高校の野球部に在籍していた。一軍には上がれなかったが、捕手として二軍をまとめていた。選手たちが自主的に考えて行動する「ノーサイン野球」を標榜するが、当初はあまりやる気をみせていなかった。だが桐陽学院に負けたナインに対し、「本当に純粋な気持ちじゃないと、最高のプレイなんて生まれない」とチームの姿を見抜いた。 やがて山本源輔に諭されて、彼の身体理論を伝えることのできる数少ない指導者としてチームを成長させる。我の強い蓮池南とは当初は対立していた。
東雲 慧 (しののめ さとる)
桐陽学院の左腕のエースピッチャーであり、チームを引っ張る存在。サイドスローからのクロスファイアを武器としており、世界一心と好勝負を繰り広げる。
三木山 透 (みきやま とおる)
蔵座直哉とは中学時代にバッテリーを組んでいた。「強さとは一つになる感覚だ」というのがモットー。横浜北高校に入り、神奈川県大会を制覇し、甲子園でも春夏連覇に輝いた。しかし、その中で自分が本当にやりたい野球を見失ってしまう。その失ったものを取り戻すため、当初は休むはずだった美咲高校との試合に無理を言って出場する。 そして世界一心との対決を経て、野球を真から楽しめるようになっていった。