LIGHT WING

LIGHT WING

サッカーの強豪校への入学を目指していた天谷吏人は、勘違いからサッカー弱小校に入学してしまうが、それでも不屈の精神で弱小サッカー部を率いていく。高校サッカー日本一を目指した戦いを描く青春サッカー漫画。神海英雄の初連載作品で、「週刊少年ジャンプ」平成22年42号から平成23年12号にかけて連載された。

正式名称
LIGHT WING
ふりがな
らいと うぃんぐ
作者
ジャンル
サッカー
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概要・あらすじ

サッカーの天才児・天谷吏人は、高校サッカー日本一の目標を掲げ、現在最もその栄冠に近いといわれる強豪校である私立帝条高校への入学を決意する。しかし、吏人が入学したのは名前こそ似ているものの、肝心のサッカー部は地区予選一回戦すら突破できないという、超弱小校の市立帝条高校だった。先輩たちの前で「今年、サッカー日本一になる」と宣言するが、先輩らは吏人を笑いものにし、適当な練習を繰り返していた。

サッカーに対しふざけた態度を取る先輩たちに怒りを覚えた吏人は、彼らに対し1対11の変則試合の勝負を提案する。こうして、吏人の波乱に満ちた高校サッカー生活が幕を開ける。

登場人物・キャラクター

天谷 吏人 (あまがい りひと)

市立帝条高校サッカー部に所属する高校1年生の男子。ポジションは右ウイング。サッカーの名門校である私立帝条高校と間違えて市立帝条高校を受験してしまう。すべての出来事を「2秒で切り返す」というのが口癖で切り替えが速く、誰に対しても臆することのない大胆不敵な胆力を併せ持つ自信家。自分の力で市立帝条高校サッカー部をサッカー日本一に導くことを決意する。 サッカー選手としての能力は高く、ドリブルでの突破力、キープ力、シュート力、正確性どれをとっても超高校級。何よりフィールドを走り抜ける速さと切り返しには定評があり、その姿は「閃光」にも例えられるほど。また、周りに与える影響力が非常に強く、自分のペースに巻き込む力に長けている。中学校までは強豪「東京ヴェリタスユース」のJr.ユースのレギュラーで全国制覇も経験しているが、ユースへの昇格試験には落選している。 そのプレイスタイルから「LIGHTNING」の異名を取っていたが、これはのちに「LIGHT WING」に変わっている。

及川 累次 (おいかわ るいじ)

市立帝条高校サッカー部に所属する高校1年生の男子。ポジションは右サイドバック。サッカーに対する情熱は並々ならぬものがある。サッカーに関係することを書きとめた「サッカーノート」を小学5年生の時から書きためており、そのノートはすでに10冊になっている。ただ、サッカーの実力は自分でも認めるほどにつたなく、中学時代はずっとベンチだった。 しかし、毎朝登校前に偵察と称して他校の練習風景を見て回っており、この時の走行距離は40キロに及ぶ。そのため実は驚異的なスタミナの持ち主で、持久力だけでいえば天谷吏人すらも凌駕する。吏人からは、自分に次ぐ市立帝条高校のキープレーヤーとして「第二の翼になれ」と言われ期待されている。そのプレイスタイルから、「沈まぬ太陽」の異名を取る。

佐治 雪哉 (さじ ゆきや)

市立帝条高校サッカー部に所属する高校3年生の男子。ポジションはセンターフォワード。サッカー部に入部した当時は天谷吏人と同様に市立帝条高校を日本一にしたいという熱い想いを持っていたが、2年間プレーした結果、現実はそこまで甘くないと痛感し腐ってしまった。しかし、中学時代は私立帝条高校の水居美織から直接スカウトされたほどのサッカーセンスの持ち主。 特に個人技に秀でており、その才能は「天才」と評されるほど。ただ、周りに気を遣いすぎたり、自分に圧倒的に自信がないことが原因で、いまひとつ殻を破れないでいるが、自分本位のプレイをすることで真の実力を発揮する。そのプレイスタイルから、「イヴァン雷帝」の異名を取る。

猪狩 大太 (いかり だいた)

市立帝条高校サッカー部に所属する高校3年生の男子。ポジションはミッドフィルダー。日本人離れした、強靭で当たり負けしない肉体を活かしたプレイを得意とする。そのプレイスタイルから、「巌窟王」の異名を取る。

倉橋 陣 (くらはし じん)

市立帝条高校サッカー部に所属する高校3年生の男子。ポジションはディフェンダー。劣勢な状況に強いメンタルが持ち味で、どんな場面でも諦めずに強い心で勝利へと導く。そのプレイスタイルから、「偉大なる夢」の異名を取る。

月村 直朋 (つきむら なお)

市立帝条高校サッカー部に所属する高校3年生の男子。ポジションはミッドフィルダー。自分の気配を消して忍び寄り、相手からボールを奪取することをはじめ、相手の裏をかいたプレーが得意。そのプレイスタイルから、「影の地帯」の異名を取る。

森川 新次郎 (もりかわ しんじろう)

市立帝条高校サッカー部に所属する高校3年生の男子。普段からノートパソコンを持ち歩いており、情報収集や分析を得意としている。機械のように正確なパスが持ち味。そのプレイスタイルから、「機械仕掛けの神」の異名を取る。

新里 豊 (しんざと ゆたか)

市立帝条高校サッカー部に所属する高校3年生の男子。ポジションはゴールキーパー。あえて相手に対して1対1の勝負を誘い、ボールを奪って即座に速攻に移るという戦術を得意としている。そのプレイスタイルから、「決闘」の異名を取る。

蘭原 柚絵 (らんばら ゆえ)

市立帝条高校サッカー部のマネージャーを務める高校2年生の女子。恋に恋する乙女で、天谷吏人に好意を抱いている。整形外科医の父親と看護師の母親を持ち、両親の仕事を見ているうちに、服の上からでもどこが悪いのかを見分ける能力を身につけている。また、応急処置の技術もプロレベル。

藤原 鳴路 (ふじわら なりみち)

私立帝条高校サッカー部に所属する1年生の男子。ポジションはボランチ。一見するだけで相手の特性・長所・短所を見抜く能力があり、試合では味方に指示を出してまるで魔法のようにボールを運ばせることができる。また、自らも攻撃に参加し得点をあげる決定力も兼ね備えている。そのプレイスタイルから、「注文の多い料理店」の異名を取る。

大宮 京介 (おおみや きょうすけ)

私立帝条高校サッカー部に所属する2年生の男子。ポジションは右ミッドフィルダー。独特のリズムを刻むドリブルを得意としている。ノリが良く軽い性格で、時に監督の水居美織にまで手を伸ばし肩を抱こうとするチャラ男。歌が上手く趣味はカラオケ。

水居 美織 (みずい みおり)

私立帝条高校サッカー部の監督を務める女性。元プロサッカー選手で、「浦和レッジアドラメンテ・レディース」に所属していた。選手を見る目は確かで、一見しただけでその選手がいい選手かどうか見分けることができる。結局断られたものの、中学時代の佐治雪哉の才能を見抜いてスカウトしたこともある。近視で普段は2weekのコンタクトレンズを着用している。

万玖場 海 (まくば かい)

環商業高校サッカー部のキャプテンを務める高校3年生の男子。ポジションは左ミッドフィルダー。中学までは「横浜Fマリンコニア」のJr.ユースの主力選手として活躍し、昇格後もスタメンで活躍できると期待されていた実力の持ち主だったが、「そんなのは冒険ではない」として自ら「挑戦者」になるため高校のサッカー部に入部し、あえて厳しい環境に身を置いている。 天谷吏人とはJr.ユース時代に対戦経験があり、名前の「吏」と「人」を合わせたものと苗字の「天」をとって「エンジェルくん」と呼んでいる。日常的に冒険を求める「冒険野郎」を自称しており、実際に冒険をたくさんして色々な人や物を見た経験から、相手の表情や仕草、目線や筋肉の動きを見て次にどのような動きをするのか「予測」することができる。

平田 真 (ひらた まこと)

環商業高校サッカー部に所属する高校1年生の男子。ポジションは左サイドバック。キャプテンの万玖場海から最も信頼を寄せられているプレイヤー。中学時代サッカー部として「東京ヴェリタスユース」のJr.ユースと対戦したことがあるが、その時に15対0という大差で敗れたことがある。その際、対戦相手であった天谷吏人がチームメイトに「こんな試合2秒で忘れろ」と言ったことを聞いてショックを受け、それ以来吏人とすべてのユースに恨みを抱いている。 しかし、海だけはユースあがりでも違うと感じており、非常に強い信頼を抱いている。自分の名前を縦書きすると、真ん中に鏡を置いても読めるという話が好きで、割としつこく何度もする。

曽我 (そが)

環商業高校サッカー部に所属する高校生の男子。ポジションはセンターフォワード。対市立帝条高校戦では及川累次とマッチアップし、当初は裏をかいたパスを万玖場海に出すなどして累次を翻弄していた。だが、累次の粘り強いディフェンスと後半までパフォーマンスが落ちないスタミナについていけなくなり、最後にはスタミナ切れを起こして累次に圧倒されてしまう。

焛童 心亜 (りんどう しあん)

東京ヴェリタスユースのAチームに所属する高校2年生の男子。ポジションはセンターフォワード、トップ下、ミッドフィルダーなどをこなす。高校生離れしたサッカースキルを持つうえ、マインドコントロールを用いて人の心を巧みに操り、相手の心を折る精神攻撃も得意としている。性格は冷酷で容赦がなく、常に人を見下した態度を取る。サッカー以外の競技のセンスも人並み外れたものを持っており、中学までは部活を転々としては持ち前のセンスと精神攻撃で多くの選手を壊してきた。 最終的にサッカーという競技を選んだ理由は、競技人口が多く、見ている人も多いためであり、衆人環視のもとで人の心を叩き折ることを楽しんでいる。チームメイトを含め、その存在を知る者からは恐怖心から名前を呼ぶことすら躊躇されており、一般的には「あの人」などと呼ばれている。 そのプレイスタイルから、自分自身で「あゝ無情」と異名を付けている。

今泉 健太 (いまいずみ けんた)

東京ヴェリタスユースのAチームに所属する2年生の男子。ポジションはセンターバック。天谷吏人とはJr.ユース時代からのライバルで、吏人のサッカーに対する姿勢を尊敬し「天才」と評している。一方で、今泉健太自身も吏人と同等に渡り合える実力の持ち主であり、ただピッチに立つだけで相手にプレッシャーを与え、呼吸を乱れさせるほどの威圧感を放つ。 身長が高く、見た目も怖いので近所の子供からは怖がられている。

来栖 (くるす)

東京ヴェリタスユースのBチームに所属する1年生の男子。部活サッカーを「お遊び」と見下しており、相手に対して嫌味も言うなど意地の悪い性格。天谷吏人率いる市立帝条高校との練習試合においても、当初は吏人たちを見下していたが、試合の中で吏人と競り合い、一度も勝てなかった。当初はBチームのキャプテンを務めていたが、のちに吏人に敗れた悔しさをバネに努力を続け、Aチームに昇格している。

監督 (かんとく/じじい)

東京ヴェリタスユースの監督を務める男性。吏人からは「監督」と書いて「じじい」と呼ばれている。焛童心亜と天谷吏人のサッカーが相入れないと判断し、最終的には心亜の方を取る決断を下した。Jr.ユースの昇格試験で吏人が不合格になったのはそれが理由であり、実力によるものではない。

戸畑 勇志 (とばた ゆうし)

戸畑サッカー少年団を創設し監督を務めていた男性で、元サッカー日本代表選手。ポジションはミッドフィルダー。天谷吏人のサッカーの恩師でもあり、「2秒で切り返す」発言や理想とするサッカーの形を「トランセンドサッカー」とするなど、吏人に多大な影響を与えた。当時、まだ目覚めていなかった吏人の才能を見抜き、シャトルランや反復横跳びをさせて基礎的な能力を底上げして才能を開花させるなど、コーチング技術も高い。 しかし、チームに途中加入した焛童心亜に心を折られてしまう出来事があり、以降はその姿を消してしまった。

ヒカル

戸畑勇志が時を経て再び再始動させた戸畑サッカー少年団のメンバーの少年。勇志が認める才能の持ち主で、勇志とともに天谷吏人の試合を見に訪れた。ここで見た吏人のプレイに感銘を受け、自分も将来は吏人のようなサッカープレーヤーになりたいと考えるようになる。

集団・組織

東京ヴェリタスユース (とうきょうゔぇりたすゆーす)

Jリーグ一部の強豪プロサッカーチーム「東京ヴェリタス」を母体とするユースチーム。日本最強の高校生チームと目され、レギュラーメンバーの所属するAチームと補欠のBチームの2チームに分けられている。広大な敷地と充実した設備でサッカーに打ち込める環境が整っており、所属する選手も実力者ぞろいだが、プロ意識が高すぎるがゆえに、全員が部活サッカーを見下す傾向にある。 天谷吏人は中学時代にここのJr.ユースに所属しており全国制覇も経験しているが、昇格試験では不合格にされている。

戸畑サッカー少年団 (とばたさっかーしょうねんだん)

戸畑勇志が創設したサッカー少年団。天谷吏人と焛童心亜が小学生の時に所属しており、チームの人数は12名。全員がサッカー未経験者だったが、勇志がそれぞれの強みや才能を活かす個人練習を行い、徐々にサッカーの楽しさを教えていた。しかし、心亜だけは勇志の指導法に疑問を抱いており、勇志を壊すことを決意。以後、得意のマインドコントロールで吏人以外のチーム全員を味方につけ、勇志の求める「楽しむサッカー」を否定するような「勝つためだけのサッカー」に没頭させ、全国優勝の栄光を手にするに至った。 しかし、のちに吏人と心亜以外は「勝つためだけのサッカー」で全国の頂点を取ったことで飽きてしまい、サッカーを辞めている。

場所

市立帝条高校 (いちりつていじょうこうこう)

天谷吏人が通う高校。サッカー部は地区予選一回戦も突破できないほどの超弱小校で、部員も勝つことを諦めまともに練習もしないため、周囲の高校のサッカー部からは舐められている。しかし、吏人が加入してからは超攻撃型の「トランセンドサッカー」を目指して練習に励むようになり、徐々に実力をつけてきている。

私立帝条高校 (しりつていじょうこうこう)

西東京4強の1つに数えられる、サッカーの強豪校として名高い高校。全国大会の常連校で、10年連続ベスト4以上の成績を収め、プロのサッカー選手も多数輩出している。部活サッカー三大大会「高校総体」「高円宮杯全日本ユース」「高校サッカー選手権」の三冠に最も近いといわれている。

環商業高校 (たまきしょうぎょうこうこう)

西東京4強の1つに数えられる、サッカーの強豪校として名高い高校。去年の都大会ベスト4で、プレースタイルは典型的な「堅守速攻型」。ベスト4の成績を残した時も、私立帝条高校に1失点を許したのみで他の試合は失点0で勝ち上がってきている。全国でもトップレベルのその守備力は、強固なダムにも例えられるほど。

その他キーワード

西東京4強 (にしとうきょうよんきょう)

近年の西東京地区におけるサッカーの強豪校である私立帝条高校、環商業高校、東東高校、高野学園高校の4校を指す言葉。しかし、その中でも私立帝条高校は頭一つ抜けて別格の強さを誇っており、特に一目置かれる存在となっている。

トランセンドサッカー

市立帝条高校で天谷吏人が目指す超攻撃型のサッカースタイル。1つのプレースタイルに囚われず、システムや敵、観客の予想すら超越するさまざまな攻撃シフトを持つというもの。このスタイルを完成させるためには、メンバー全員が「どんなサッカーを体現するか」ということを明確にし、その意志を統一する必要がある。

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