LOCK ON!

LOCK ON!

女性とお金をこよなく愛するプロカメラマンの少年が、意中の女性の笑顔を追い求めて撮影に挑戦し続けるコミカルな青春ストーリー。「週刊少年ジャンプ」で2009年34号から51号にかけて掲載された。

正式名称
LOCK ON!
ふりがな
ろっく おん
作者
ジャンル
ラブコメ
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あらすじ

映とニコの出会い(第1巻)

通学途中で眼帯をした見知らぬ少年に声をかけられ、「写真を撮らせてくれ!」と懇願された少女・栗原ニコ。小さい頃から変態やストーカーにモテモテの生活を送り、悩まされ続けていたニコは、プロカメラマンを名乗るその転校生・真田映を敵認定。問答無用の鋭いキックで撃退を試みるものの、のらりくらりと避けられてしまう。登校後、映がクラスメイトになったことを知って愕然とするニコをよそに、他のクラスメイトに対し、将来は超一流のカメラマンになるという夢を嬉々として語りだす映。女性とお金が好きであると断言する映は、改めてニコに被写体になってくれるようお願いをするが、男性に対し不信感を抱くニコはこれを拒絶する。その後、男性に対し、あまりにも不慣れなニコの将来を案じた親友・白井雪の提案で、映の歓迎会を兼ねたクラスの親睦界を遊園地で行うことになるが、それを千載一遇の好機ととらえた映は、クラスの男子をニコに接触させ、彼女の笑顔をカメラにおさめようと画策する。しかし、現地で男子と行動していたニコは、不良少年に絡まれた際に、自分を置いて逃げた男子の姿にショックを受け、思わず涙を流してしまう。ニコを泣かせた不良に激昂した映は、右目の眼帯をはずし、圧倒的な力を発揮して不良少年を撃退。この出来事でニコとの距離を少し縮めた映は、翌日も元気にニコにまとわりつくのだった。

シャッターアイの秘密(第1巻)

栗原ニコを撮影しようと、性懲りも無くアプローチを繰り返していた真田映は、ニコの所属する委員や身長や体重、スリーサイズをピタリと言い当てたことで、ニコからストーカー呼ばわりされてしまう。しかし、それらの個人情報は、見た物を一瞬で完璧に記憶する右目「シャッターアイ」の力が生み出す、ずば抜けた観察力で得たものであった。ジャンケンのモーションすら記憶し、一度もアイコにならずに延々と連勝を続けられるという別次元の眼力を目の当たりにしたニコは、その力に畏怖を覚えるのだった。

教師の本音(第1巻)

教師・上野から校内での写真撮影を咎められた真田映は、自由に活動する大義名分を得るために、自ら創設した写真部に栗原ニコやクラスメイトを引き入れようとする。部員の勧誘に頓挫した矢先、女生徒が上野を校舎裏に呼び出す場面を目撃した映は、スキャンダルの匂いを感じ取り、現場へと急行。しかし、校舎裏で女生徒に告白された上野は、彼女に辛らつな言葉を浴びせたうえで、冷酷に突き放してしまう。そんな上野の態度にウソを感じ取った映は、上野を殴ったうえで、女生徒と本音で向き合うことを進言するのだった。

大和と雪の関係(第1巻)

通学途中に誤って不良生徒・大和武明とぶつかってしまい、一触触発の状態となる真田映。その時は上野の登場でことなきを得るも、登校後、遊園地で行った親睦会の写真を売っていた映と、和気あいあいとするクラスメイトに対し、武明が「写真ぐらいでギャーギャー騒ぐな!!!」と激怒。白井雪の仲裁でその場はおさまったが、武明の表情から何かを感じ取った映は、彼を密かに尾行。そこで武明が雪を好きなことをつきとめた映は、写真部に入って雪と活動することを武明に進言する。しかし、それを卑劣な脅しと受け取った武明は激昂して映に殴りかかり、校内中で注目の的となる大喧嘩を起こしてしまう。喧嘩の最中、不良生徒に過ぎない自分の告白によって、雪の笑顔を失うことを恐れていた武明に対し、後悔しないのかと強く迫る映。その後、現場に乱入した栗原ニコに喧嘩を止められ、涙を流した雪の姿に動揺した映と武明は、武明の写真部への入部を条件に仲直りする。翌日、映が武明との喧嘩で負った傷を、自分が仲裁した時に負わせた傷であると勘違いし、引け目を感じていたニコは、映に対し自分の写真撮影を許可。水を得た魚となった映は1日中、ニコを気の向くままに撮影するのだった。

噂の学ランカメラマン(第1巻~第2巻)

休日の街で雑誌編集者・牧野町子に声をかけられ、ストリートスナップの写真撮影を依頼された栗原ニコ白井雪。承諾後、カメラマンが真田映と知ってしり込みするニコだったが、撮影そのものは順調に進み、その私服姿で映を大満足させる。町子から映のカメラマンとしての優れた能力と資質を聞かされ、映のことを見直すニコ。しかし、ニコが男子に興味を持ったことを喜び、そっとするために現場を離れた雪を、カメラマンを自称する2人組の男が言葉巧みに騙し、ビジネスホテルへと連れ込んでしまう。突然姿を消した雪を心配し、映の右目の力を頼りに3人の居場所を突き止めた一行は、現場の一室へと踏み込み、不埒な2人組の男を撃退。雪を無事に救助するのだった。翌日、右目を酷使したことで眼精疲労と体調不良に陥った映は、カメラを忘れて保健室へ行き、カメラを届けようとしたニコと行き違いになってしまう。体調不良で冷静な判断力を失った映は、ニコがカメラを盗んだと勘違いし、土下座してカメラを返すように懇願するのだった。

祭りと映(第2巻)

真田映がプロカメラマンとして見出した有名アイドル日々野祭と会うことになった栗原ニコ白井雪。仕事場での明るく溌剌とした姿と、プライベートでのおとなしくシャイな祭の姿に新鮮さを覚えるニコに対し、祭は引っ込み思案な自分を褒めてくれた映への感謝の気持ちを語り、ニコと映の仲がいいことを羨ましがる。そんな祭の態度から、彼女が映を想っていることを察するニコ。翌日、突如としてニコの学校へと転校して来た祭は、ニコに対して映が好きであることを伝え、恋の競争には負けないと宣言する。それは誤解であると釈明するニコだったが、ニコを熱心に写真部へと勧誘する映に対し、いつもより不自然な対応になっている自分に気付くのだった。その直後、廊下で盗撮された自分の着替え写真を拾ったニコは、映のアドバイスを受け、更衣室で盗撮用のカメラを発見することに成功するが、それに怒った盗撮犯の手により、ニコの盗撮写真が校内の窓に張り出されてしまう。心に傷を負ったニコの姿を見て激昂した映は、盗撮写真を回収している最中に右目の力で犯人を特定。盗撮犯を捕らえたうえで、ニコを迎えに行くのだった。

新聞部との対決(第2巻)

紆余曲折の末、部員が5人となり、正式な部へと昇格した写真部。しかし、苦心の末に手に入れた部室を、新しい部室を欲しがる新聞部のメンバーと奪い合うことになり、部室を賭け、栗原ニコをテーマとして、表現で勝負することになってしまった。ニコに対する入念な取材を敢行し、彼女の内面を掘り下げた記事を校内新聞で発表した新聞部の文沢新に対し、ニコの笑顔が写った写真を発表した真田映。その笑顔に魅入られた新は素直に敗北を認めるのだった。

写真部の日常(第2巻)

白井雪と仲良くなれないことに悩んでいた大和武明の姿を見て、写真部の皆で動物園に行くことを提案する真田映は、そこで雪と武明を2人きりにしてから、彼らの後をつけてデートシーンを写真におさめようと画策する。初めての「デート」に戸惑いながらも、随所で自分らしさをアピールする武明。しかし、そんな彼らの初々しい場面に、武明の中学時代のライバルである猿渡が乱入。雪を人質に取ったうえで、武明をボコボコにしようとするが、彼らを観察していた映によって撃退されるのだった。翌日、いつもより数段冷たい態度を取る栗原ニコに困惑した映は、女性に人気のあるイケメンの池谷に対し、女性と仲良くするコツを聞き出そうとする。軽薄な人間に頼る映を軽蔑するニコに対し、映は「どうしたらお前と友達になれるんだ?」と真剣に問うのだった。

映の過去と未来(第2巻)

真田映の自宅に遊びに行くことになった栗原ニコ日々野祭。ダンボールだらけのアパートに足を踏み入れた2人は、片付けを手伝うため、何気なく開けたダンボールから、幼い頃の映と見知らぬ少女の写真がおさめられたアルバムを発見する。映の初恋の相手だったが、自分が転校したことで心が離れていった少女との思い出を、シャッターアイのせいで忘れることができず、恋愛そのものがわからなくなってしまった映。人々が忘れ去った出来事を、思い出してもらうきっかけを作るため、写真を撮り始めたという映の心情を理解したニコは、映のことを尊敬し始めるのだった。映の家からの帰宅途中、電車で痴漢に遭遇し、現場に駆けつけた映に対して、男が怖くて空手を習い、強くなろうとしていた過去を率直に語り出すニコ。辛い記憶を乗り越え、自分と向き合い続ける映を見習い、もっと強くなろうとしたニコは、映と一緒に空手道場へと久しぶりに顔を出す。しかし、恩師である先生と握手した映は、彼が昨日の痴漢であると断言。先生は、道場の閉館後に真偽を問い正したニコを侮辱したうえで、徹底的に叩き潰そうとする。一度は先生の気迫に気圧されたものの、映の言葉で勇気を取り戻したニコは、鋭い蹴りで見事に彼を撃退するのだった。

登場人物・キャラクター

真田 映 (さなだ うつる)

常に右目に眼帯をした、学業とプロカメラマンを両立させている男子高校生。女性とお金、そして人間の素の表情を愛している、見た目どおりの変人。気に入った女性に積極的に声をかけ、写真を撮らせて欲しいと依頼をしたり、場合によってはスカウティングも行うなど、非常にアクティブな性格で、美しい女性を見ると、興奮のあまり鼻血を出してしまう。 転校早々に通学路で出会った栗原ニコの容姿を気に入り、以後は彼女にまとわりついて、写真を撮らせて欲しいと懇願していた。そのため、ニコからは変態ストーカー呼ばわりされ、嫌悪されてしまう。眼帯をした右目は、あらゆるものを一瞬で完璧に記憶できる別次元の能力を備えており、真田映自身はこれをシャッターアイと呼んで、撮影や人探しなど、あらゆる場面で活用していた。 のちに校内で自由に撮影をする権利を得るために、写真部を創設することになる。

栗原 ニコ (くりはら にこ)

栗色の髪の毛をした気の強い女子高生。スラリとした体格の美少女。小さい頃から痴漢や露出魔といった変態にやたらとモテてしまう性質をしており、男性に対する不信感が非常に強い。そのため、護身用に空手を習ったうえで、すべての男を寄せ付けなくなった。本来の性格は優しく、本心では皆と仲良くしたいと思っているが、それを素直に表現できないことに悩んでいる。 自分のことを執拗に撮影しようとする筋金入りの変人・真田映のことを変態と蔑み、激しく嫌悪していたが、彼の美しいものにかける純粋な情熱を目の当たりにし、徐々にその心境に変化が生じていく。後に映が創設した写真部の部員となる。

大和 武明 (やまと たけあき)

体格が良く、目つきが鋭い男子高校生。喧嘩が非常に強く、近隣では有名な不良生徒として、皆から恐れられている。クラスメイトからはヤクザの家系と思われているが、実際は大工の棟梁の息子。短気かつ粗暴で、自分に歯向かう人間には容赦をしないが、女性や弱い者に対しては優しい面を見せる。根は悪い人間ではなく、常々クラスメイトの輪に入りたいと思っていた。 白井雪への片想いを真田映に見透かされたことがきっかけとなり、映と大喧嘩をした末に、写真部の一員となる。

白井 雪 (しらい ゆき)

朗らかで優しい性格をした女子高生で、栗原ニコの親友。誰とでも仲良くなれるクラスの中心的人物。初対面だった真田映の撮影の要求にも快く応じるなど、人を疑うことを知らない警戒心の薄いタイプ。そのせいでトラブルに巻き込まれることもあった。人からを誤解を受けやすいニコを常日頃から心配しており、なんとかしてクラスメイトと馴染ませようと、映の歓迎会を兼ねたクラスの親睦会を企画するなど、陰ながら手を尽くす。 大和武明から想いを寄せられているが、本人はまったく気付いていない。

上野 (うえの)

メガネをかけた男性教師。規律に非常に厳しく、校内で無断撮影を繰り返す真田映を叱責し、彼が写真部を創部するきっかけを作った。教育熱心だが、教師としてあらねばならないという自覚が強すぎる面がある。そのため、自分に好意を抱いていた女生徒に必要以上の辛らつな言葉を浴びせてしまい、その失態を映から諭されることになった。その後は、生徒思いの良き教師として、皆からより信頼されるようになる。

日々野 祭 (ひびの まつり)

モデルの美少女。真田映にスカウトされ、ファッション誌「ポップンティーン」の表紙モデルをしていたが、最近では他のメディアへの露出も増えている有名人。プライベートではメガネをかけており、引っ込み思案でおとなしい性格なため、モデルであることに気付かれることは少ない。仕事に挑む際は、メガネを外してモードを切り替えることで、積極的で快活な性格になる。 ただし、周りが良く見えると緊張してしまうことから、コンタクトをせずに仕事をしている。自分を「美しい」と言い、スカウトしてくれた映のことを密かに想っており、栗原ニコのことを恋のライバルと認識する。

牧野 町子 (まきの まちこ)

ファッション誌「ポップンティーン」の編集者をしているメガネをかけた女性。年齢は24歳。プロカメラマンである真田映とは、ストリートスナップの撮影をはじめ、よく一緒に仕事をしている。撮影対象を真剣に褒められる映の天性の能力を買っており、「学ランカメラマン」として映のことを特集するなど、何かと目をかけている。

文沢 新 (あやさわ あらた)

新聞部の部長を務めている男子高校生。真田映が創部した写真部から部室を奪うため、栗原ニコをテーマとした表現の勝負をすることになった。やや嫌味な性格をしているが、記者としての能力は高く、ニコへの取材を通して彼女の内面を探り、クオリティの高い記事を作成する。

池谷 (いけや)

爽やかな風貌をしたイケメンの男子高校生。女生徒からの人気が非常に高い。栗原ニコと仲良くなろうと試みた真田映から、女心を掴む知恵とテクニックの伝授を依頼されていた。その過程でニコの心が映にあることを察する。

盗撮犯 (とうさつはん)

映像部に所属していた男子高校生。校内の女生徒を日常的に盗撮していた変態。女子更衣室に設置していた隠しカメラを栗原ニコに破壊されたことで激怒し、ニコの盗撮写真を校内中に貼り付けていた。事態に気付いた真田映たちから報復され、映像部を取り潰されてしまう。

先生 (せんせい)

空手道場で門下生に指導をしている有段者の男性で、栗原ニコの空手の師匠。熱心な指導者だが、女性に対するボディタッチが多いため、ニコは内心で苦手にしていた。ニコの身体に執着しており、電車で見かけたニコに痴漢していたが、それを真田映に見破られる。

その他キーワード

シャッターアイ

真田映の右目に秘められた、風景や生物など、あらゆる膨大な情報を見た瞬間に記憶し、二度と忘れない能力のこと。これにより抜群の観察力を得た映は、表情のわずかな変化から他人のウソを見抜いたり、ジャンケンでは負けなしになるなど、様々な場面で恩恵を受けていた。反面、大事な人と共有した大切な思い出を相手が忘れ去り、自分だけが永遠に覚えているという事実が、映を長年に渡って苦しめていた。 また、能力を酷使すると眼精疲労になってしまう。

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