あらすじ
第1巻
フィギュアスケートが得意なミッキー・ハミルトンは、周囲からは恋愛に興味のないボーイッシュな女子だと思われていた。ある日、ミッキーは学校内で一番のプレイボーイ、グレアム・グリンフィルズから、創立記念パーティーのパートナーになってほしいと申し込まれる。密かにグレアムにあこがれていたミッキーは本心では受け入れたいものの、周囲からは異性に興味がないと思われているため、素直に応じられないでいた。そんな悩めるミッキーの前に、ミッキーの古くからの友人だと称する謎の存在、シンシアが現われる。そしてミッキーはシンシアにだけ、素直にグレアムへの恋心を打ち明ける。ミッキーの心の内を知ったシンシアはミッキーとグレアムの恋の橋渡し役となり、さらにフィギュアスケート地区大会でも手助けをして、ミッキーを見事優勝させる。この優勝により、周囲も二人の交際を認めて祝福し、ミッキーは幸せな気持ちに包まれる。しかし、そんなミッキーに対してシンシアは突然別れの言葉を残し、姿を消してしまう。
第2巻
ミッキー・ハミルトンは、グレアム・グリンフィルズとの交際をスタートさせたが、グレアムとタニア・ジーナの親密そうな関係が気になって仕方がない。そんな中、ミッキーは転校して来た下級生のマージ・ルーカスから、フィギュアスケートのペアを組まないかと誘われる。こうしてグレアムとタニアの関係に嫉妬するミッキー、そしてミッキーとマージの関係が気になるグレアムは、互いの気持ちにすれ違いが生じていく。そんな中、ミッキーの目の前に近所の子供に持ち去られて紛失したはずのシンシアが再び姿を現わすのだった。後日、ミッキーとマージのペアは、突然オリンピック出場候補選手も参加するフィギュアスケートショー「アイス・サマー・フェス」に招待される事となった。ミッキーは周囲からの期待に応えようとまじめに練習をしていたが、招待されたのは実力ではなく、マージのコネだった。それを知ったミッキーは出場を断ろうとするが、グレアムとシンシアの言葉に後押しされて参加を決意。それと同時にミッキーはシンシアから、実は本体の人形から離れて行動できる時間は短く、このまま人形が行方不明のままでは自分の存在は消滅して二度と会えなくなると告げられる。
登場人物・キャラクター
ミッキー・ハミルトン (みっきーはみるとん)
ウェリントン高校2年生の女子。学内のフィギュアスケートクラブに所属している。フィギュアスケートの上級者ながら、自分の実力ではオリンピック選手やプロには到底敵わないと思っている。冬に催される各学校対抗のフィギュアスケート大会では毎年優勝しており、上級者が集う地区大会にも出場を予定している。周囲からは男性にいっさい興味のないボーイッシュな女性だと思われており、女子生徒達からはアイドル扱いされている。 しかし実際はグレアム・グリンフィルズにあこがれており、周囲からの評価と本当の自分とのギャップに悩んでいる。グレアムから創立記念パーティーのパートナーに申し込まれた事を嬉しく感じていたが、周囲からの目もあって素直に受け入れられずにいる。ある日突然、自分の目の前に現れたシンシアにだけはグレアムへの恋心など、自分の心の内を素直に明かしている。
グレアム・グリンフィルズ (ぐれあむぐりんふぃるず)
ウェリントン高校3年生の男子。新聞部の部長を務めている。周囲からは「グレイ」と呼ばれている。容姿端麗で頭脳明晰、さらに高いコミュニケーション能力を持っている。そのため、女子生徒達からはプレイボーイ扱いされているが、グレアム・グリンフィルズ本人はまったく気にしていない。ミッキー・ハミルトンに興味を抱いており、創立記念パーティーのパートナーに申し込んだものの、あっさり断られてしまう。
シンシア
ミッキー・ハミルトンにだけ見える人型の生き物。まるでフランス人形の女の子のような可憐な容姿をしているが、口はやや悪い。シンシア自身は自分は妖精ではなく、ミッキーにとって古くからの友達だとしか伝えていない。ある日突然、ミッキーの前に現われた。ミッキーにとって唯一、グレアム・グリンフィルズに対する恋心を打ち明けられる存在でもある。 正体はミッキーが小さい頃に大切にしていた人形。親友としていつもいっしょにいて何でも話を聞いていたが、ミッキーの成長と共に必要がなくなり、忘れ去られてしまった。
エヴァ
ウェリントン高校に通う女子。新聞部に所属している。黒髪でエキゾチックな雰囲気を漂わせた美女。グレアム・グリンフィルズにあこがれており、グレアムが興味を抱いているミッキー・ハミルトンと引き離そうと画策する。しかしミッキーとグレアムが両思いになってからは、その事実を素直に受け入れ、二人を心から祝福する事にした。 その後、マージ・ルーカスが気になる存在になっていく。
マージ・ルーカス (まーじるーかす)
ウェリントン高校に転校して来たばかりの1年生の男子。フィギュアスケートの選手。転校してすぐフィギュアスケートクラブに所属し、ミッキー・ハミルトンにペアを組まないかと声を掛けた。明るくノリのいい目立ちたがり屋な性格で、ルックスもよくスケートの才能もあるため、すぐに女子生徒達から熱い視線を集めるようになった。世界的に有名なフィギュアスケーターのアンディ・シチュアートと容姿が非常によく似ているため、ミッキーも彼の息子ではないかと勘違いしていた。 しかし実際は血縁関係はなく、実際の父親はイギリススケート協会の会長を務めている。
タニア・ジーナ (たにあじーな)
ウェリントン高校に赴任して来た女性教師。明るくかわいらしい雰囲気を漂わせた美女。グレアム・グリンフィルズがオンボロの愛車にミッキー・ハミルトンを乗せて運転していた際に近くを歩いており、車が急発進したために避けようとしたところで転倒してしまう。その縁でミッキーとグレアムと知り合う。新聞部の顧問になり、美しい容姿と気さくな性格から、あっという間に学校中の男子生徒のあこがれの存在となった。 結婚して1年も経たずに夫が事故死してしまい、現在は未亡人。夫はグレアムに顔立ちが非常によく似ていた。
アンディ・シチュアート (あんでぃしちゅあーと)
イギリスのフィギュアスケート界の名選手の男性。オリンピックでも何度も優勝している。現在は現役を退いており、人前に出る事はめったにない。圧倒的な技術と表現力はもちろんの事、長身で美しいルックスから今でも女性を中心に高い人気を誇る。ミッキー・ハミルトンにとってもあこがれの存在であり、目標としている選手。
コーデリア、ルクレチア、チェチェリア
グレアム・グリンフィルズの三つ子の姉達。弟のグレアムと同じく容姿端麗で人懐っこい性格の持ち主。グレアムを溺愛しているため、グレアムが自宅に連れて来たミッキー・ハミルトンも非常にかわいがっていた。ミッキーがフィギュアスケートの地区大会に出場する際には、ヘアスタイルやメイクなどビジュアル面をプロデュースする事になった。 その後もミッキーが大会に出場する時には衣装を担当している。
ディッキー・ハミルトン (でぃっきーはみるとん)
ミッキー・ハミルトンの弟。10歳の男児で、ミッキーの事を「ガサツ」と評し、姉というより兄のように見なしている。おませで生意気な性格で、ミッキーには辛辣な言葉をよく口にするが、心の奥底では慕っている。
ミッキーの兄 (みっきーのあに)
ミッキー・ハミルトンの兄で、学生。ミッキーに対しては妹としてではなく、弟だと思って接している節がある。お気に入りのセーターを、ミッキーのフィギュアスケートの練習用に度々使用されている。
コーチ
ミッキー・ハミルトンのフィギィアスケートのコーチを務める男性。ミッキーのフィギュアの技術は認めているものの、色気がないためにグレアム・グリンフィルズとの交際を後押ししている。シンシアのいたずらによって一時はミッキーに恋心を寄せられていると勘違いした時には、師弟関係だからと断った。マージ・ルーカスがウェリントン高校に転校して来てからは、マージのコーチにも就任する。