概要・あらすじ
ペルー人の少年ミカエルは、9歳の時にリコの父に引き取られて日本にやってきた。あまり笑わないミカエルに、リコはバスケットボールを教える。6年後、ミカエルは高校生になり、バスケットボール部と弓道部をかけもちし、仲間とともに過ごす日々を送る。そんなある日、ミカエルが駅のホームで線路に突き落とされてしまう。
この事件をきっかけに、仲間やリコにも話すことができなかった秘密を明らかにしていく。
登場人物・キャラクター
山王丸 ミゲール (さんのうまる みげーる)
高校一年生。9歳のときにリコの父に引き取られ日本にやってきた。ペルーに3つ下の弟、7つ下の妹がいる。ミゲールは英語圏ではマイケルと呼び、大天使ミカエルのことを指す。リコはミゲールと呼ぶが、友達はミカエルと呼ぶ。茶色い髪と日焼けした肌で、日本にきた当初、あまり笑わない子だった。 身長182cm。弓道歴は5年。身内を守ろうという気持ちがとても強い。日本にきてから6年後、弓道部のある公立高校に入学する。怒りのスイッチが入ると止められなくなるためバスケットボール部に入るのをためらっていたが、堂本の熱意に押されて入部することにし、弓道部とかけもちする。アリーシャに脅された大崎に2週間監禁されたことがある。 また、西門の神社の特殊神事で矢大臣を務めたこともある。そんな中、部活動に勤しむ日々を送っていたが、ある日、ペルーでミカエルが撃ってしまったファビアンに、駅のホームで線路に突き落とされてしまう。咄嗟にホームの下に潜り込んで無事だったものの、今度は車で襲われる。 ミカエルはファビアンと話し合うことを決意し、一人で会いに行く。
山王丸 理子 (さんのうまる あやこ)
4歳のときに一家でペルーに移り住み、12歳まで電気もないインディオの村で育ったため、暗闇が好き。父親がリマの大学に勤めることになり、母親と日本へ先に帰ってくる。途中ニューヨークに寄ったことでバスケットボールに出会い、大好きになる。中学ではバスケットボール部に入っていた。 また、ミカエルやJR達が遊びでやっていたときのバスケットボールのコーチでもある。ミカエルが高校のバスケットボールの試合に出るようになってからは、研究用にビデオを撮っている。巫女の家系のためか、予知夢のような不思議な能力を持つ。24時間以内に起きる良いことがわかる。ミカエルが大崎に監禁されて行方不明になったときに、ミカエルがリコにとって、男でも弟でも友達でもなく、本当に大切な存在だということがわかる。 ミカエルが、リコに心配をかけないようにと多くを語ってくれないことが寂しい。
榊原 西門 (さかきばら さいもん)
数々の弓道の大会で優勝をしており、ミカエルの弓道のライバルであり目標でもある。週に三回は弓道の道場に行き、夏はさおだけ屋、冬は焼き芋屋のアルバイトをしている。忙しいため、あまりテレビや雑誌は見ない。大学一年生で東京で一人暮らし中。美容師になりたかったせいか、女性の髪を洗うのが好き。本人は肩までつく長い髪型をしている。 訳あって、養子に出ている。神主の資格をもっており、神職でないと舞うことを許されない津軽神楽を舞うことができる。祭りの特殊神事の最中に、ミカエルが死ぬという予知夢を見てからは、なかなか頭から離れず、常に心配がつきまとっている。
堂本 王海 (どうもと たかみ)
高校一年生。顔が恐く,身長が188センチもあり、名前もなんとなく怖いため、中学のころは番長に目をつけられてしまい、苦労した。バスケットボール部所属で、ミカエルを入部させようと決意。バスケットボールを始めて一年半だが、フォワードでリバウンドに強い。以前は空手を五年やっていた。両親は小学校5年のときに離婚しており、今は母親と住んでいる。 祖父母の家は床屋さん。意外と繊細で律儀。料理が上手。大沢夏生とは小学四年生のころからの付き合い。父親は板前。合宿で行った青森で、偶然入った王海寿司という寿司屋が、離婚して以来会っていなかった父親の店だった。突如、リコが好きだと爆弾発言をするが、堂本のズバスバものを言うストレートな性格が、ミカエルの心の憂いの救いになっている。
篠宮 バーノンJR (しのみや ばーのんじゅにあ)
ミカエルのことをミケと呼ぶ。母は日本人で父親はLA出身のアメリカ人。自分では日本人だと思っているが、外見のせいか初対面の人が身構えるのを気にしており、拒絶されることにとても弱い。身長193cmで、髪型はNBA選手を真似たドレッドで、雷が大の苦手。オレ様な性格だが、優しく、自分の価値観を押しつけるところが全然ない。 自分のルールに従うことをモットーにしている。昔からミカエルをバスケットボールに誘い続けているが、なかなかウンと言ってもらえず、ミカエルが高校のバスケットボール部に入部したと聞き、転校してくる。ミカエルの一つ上の高校2年生。フォワード・センターでポイントゲッター。 全日本に出ることが夢だが、出場資格にひっかかり、一ヶ月間出場停止になってしまったものの、ミカエルとともに全日本ジュニアの候補になっている。最初は、一方的にアリーシャがJRにつきまとっていたが、二人は徐々に親密な関係になっていく。
ファビアン
胸のあたりまである黒髪のロン毛で、お香を使って占う、評判の占い師。酔いつぶれて道の真ん中で寝ていた女性を拾い、一緒に住んでいたが、今度は川で流されていた子犬も拾ってきた。ペルーの家は治安の悪い旧市街にあり、幼いころは、父親に似ていなかったため、両親に疎まれて育つ。食事は食べることはできたが、外出を禁止され、親とはほとんど会話が無く、8歳のときに家を出るよう促されて出て行く。 その後ミカエルに出会い、ミカエルの父親を嵌めたため、ミカエルに撃たれてしまう。撃たれたときのケガにより、過去や未来のことがわかるようになり、ペルーでも評判の占い師になっていく。日本のTVで見かけたミカエルたちを追って青森に行ったり、ミカエルが載ったバスケットボール雑誌を目にして、ミカエルの高校に訪ねて行ったりしていたが、ある日、駅のホームでミカエルを線路に突き落とす。 ミカエルが無事だったことをTVのニュースで知ると、今度は車で轢こうとする。その後、ミカエルから会いたいというメールが入り、二人きりで会うが、うれしそうに抱きついてきたミカエルに驚いて刺してしまう。
アリーシャ
日本名は亜梨沙で、英名はアリーシャ。父親はイギリス人で母親は日本人。気性が荒く、JRがミカエルとバスケットボールをするために転校したことにショックを受け、ミカエルの学校に乗り込こむ。また、ミカエルがいなければJRがもっと自分をみてくれると思い、ミカエルを隠し撮りしていた大崎を脅して、ミカエルを監禁するよう指示する。 2歳になる前に別れた父親がロンドンにおり、自分のルーツを探すために会いに行く。母親とはあまりいい関係ではなく、JRの家に一時居候をさせてもらっていたが、母親と話し合いの末、とりあえず卒業までは部屋代を出してもらい、一人暮らしをすることになる。 JRが好きで、一方的にアリーシャがつきまとっていたが、後に二人は親密な関係になる。
大沢 夏生 (おおさわ なつみ)
高校一年生。堂本とは小学校4年のときからの付き合い。身長181cmで、バスケットボール部に所属。ガードで3ポイントシュートが得意。汽車や電車、星が好きで古代史ファンでもある。人呼んで趣味のデパート。中学のときに「私とハニワのどっちが好きなの?」と詰め寄られて、彼女にフラれたこともある。 ミカエル、堂本、JR、大沢の4人と西門で青森を旅行した時の旅行記を作り、旅の仲間にプレゼントした。危険な目に遭うミカエルが心配なため、自分の携帯電話をミカエルに持たせる。
榊原 高則 (さかきばら たかのり)
西門の祖父で神主さん。80歳で金髪にしていて、好きな音楽はラップとレゲエ。弓道の範士八段。20年以上前、中学のバスケットボール部の顧問をしており、10人だけの部員で全国大会までいったことがある。青森にいたが、病み上がりのため、寒い間は東京にいることにした。ミカエル達のバスケットボール部の顧問の先生にお願いされて、コーチをやることに。 鬼コーチだが、褒めるときは褒めるため部員のやる気が上がる。ファビアン探しなどにも積極的にかかわってくれる、ファンキーな人。
大崎 (おおさき)
高校一年生。ミカエルと体育の授業が一緒で、大沢と同じクラスだった。ミカエルを隠し撮りしていたのをアリーシャに見つかり、みんなにバラすと脅されて、ミカエルを自宅マンションに監禁する。普段はお手伝いさんがきて食事を適当に作ってくれるため、料理をしたことがない。小学生の時にミニバスケットボールをやっていたが、中学受験に失敗したことをバスケットボールのせいにされ、親に禁止されてしまう。 そのため、やる気がなくなり、私立の高校を落ちてしまった。監禁したミカエルと二週間一緒に過ごした後、アリーシャに彼を帰すことを伝え、自分はマンションにいられないと出て行く。駅で見つかり、ミカエルに事件にはしないと言われるが、自分の意志を貫き、そのまま家出をする。 3日後補導されて家に戻り、両親の希望を聞き入れて転校することに。転校先でバスケットボール部に入部し、一週間後の試合でミカエルに再会。今はミカエルとメル友である。
お父さん (おとうさん)
リコの父でミカエルの養父。南米に取り憑かれ、リコが4歳の時に一家でペルーに移り住む。お父さんはペルーに12年間滞在しており、ミカエルよりもペルー歴は長い。専門は文化人類学で、小さな村にばかり住んでいたが、リマの大学に勤めることになり、妻とリコを先に日本へ帰した。 その後、ミカエルは母親と一緒にペルーの家のお手伝いとして働く。グループ同士のもめごとに巻き込まれたミカエルにここにいると家族に迷惑がかかるため、日本に連れていって欲しいと頼まれ、日本に連れて帰り、養子にする。ミカエルがファビアンに襲われたため、ファビアンのことを調べようとペルーへ赴くが、ファビアンを強制送還させられるような事実は見つけられなかった。
古結 (こゆう)
西門の友達。西門と大学が一緒で、ビジュアル系神主さんを目指しており、バンドのメンバーを探している。西門は神楽を舞うが、古結は舞楽を舞う。ミカエルと西門達がファビアンを探していることを知り、ツテを頼ってファビアンを見つける。西門たちは残念ながらファビアンをとり逃がしてしまうが、古結がファビアンをバンドに誘おうと思い携帯番号とメールアドレスと住所を聞き出しておいたため、ミカエルはメールで連絡をとることができた。
集団・組織
志誠高校バスケットボール部 (しじょうこうこうばすけっとぼーるぶ)
『NATURAL』に登場する組織。キャプテンは3年生の島田さん。今年新入部員がいなかったら、定員割れで同好会に戻るところだった。去年までは弱小で、顧問の先生は付け焼き刃で監督をつとめていたが、初めて一回戦を突破し、新入部員にとても感謝している。都内321校で争う中、都のベスト8になったとたんに部員は増えて、体育館の使用権が一番になった。 顧問の先生が、西門の祖父である榊原高則にコーチを頼んだため、顧問の先生はマネージャーの仕事をすることに。JRとミカエルは全日本ジュニアの候補になっている。
その他キーワード
特殊神事 (とくしゅしんじ)
『NATURAL』に登場する祭り事。ずっと行われていなかったのを、西門の祖父の代になってから復興した。昔、西門家の神社を崇敬していた地方豪族が弓の名手で、腕自慢の少年2人を選んで奉納されていた。魔除け・風雨鎮め・五穀豊穣を願って弓を射て、二町弱の距離(約二百メートル位)を飛ばさなければならない。ふだん弓道で使っている的までの距離は28メートルなので、かなりの長さである。 また、髪は神に通じるため、西門の神社では忌むべきこととされており、祭りがすむまでは髪を切ることができない。弓を射る二人を矢大臣といい、左の方が位が上なので、年上の者が左大臣になり、また、右大臣は全ての行動において左大臣より先に動く。左大臣を西門、右大臣をミカエルがやることに。 当日の朝は水を浴びてお清めをし、白い服を着る。