あらすじ
第1巻
広告代理店で働く鏡なな子は、手取り16万円の給与の中で、なんとか生活費や交際費を捻出している。そんなある時、知り合いの結婚式が続いて出費が重なり、なな子は極度の金欠状態になってしまう。ついに電気と水道が止まったタイミングで、交際している彼氏から合鍵が欲しいと言われ、なな子はパニックに陥る。なな子はこのままではいけないと奮起し、副業を探し始める。そんな中、なな子はキャバクラの求人を見つけ、高い時給に釣られてキャバクラ嬢としてデビューを果たす。容姿や色気、トークスキルと秀でたものが何もないなな子だったが、コースターの裏に男性の似顔絵を描く特技で少しずつ指名を獲得していく。順調になな子はキャバクラのキャストとして経験とスキルを身につけていくが、ある時から自分より年齢が若いキャストが次々と入店。特に秀でた接客スキルがなくても、若さだけで指名を取っていく後輩たちに敗北感を覚える。さらに、長らく店でNo.1人気の姫乃が年下の朝比奈ココにその座をゆずることになり、なな子はどんなに努力をしても若さには勝てないのかと、ショックを受ける。(STEP.1。ほか、10エピソード収録)
登場人物・キャラクター
鏡 なな子 (かがみ ななこ)
ふだんは広告代理店に勤務し、終業後はキャバクラのキャストとして働いている女性。年齢は26歳。広告代理店での給与が手取り16万円と生活するにはギリギリで、知り合いの結婚式が重なったことで極度の金欠に陥る。ついには電気と水道も止められ、困窮した生活を彼氏に知られたくない思いから、副業としてキャバクラのキャストとして働くようになる。容姿や色気、トークスキルなどの面で特に秀でたものがなく、年齢も店の中では若いとはいえないポジションにいる。自分より若い後輩たちが次々と指名を取っていく中で、一時は鏡なな子自身の年齢ではいくら努力を重ねても上には行けないと激しく落ち込む。しかし、姫乃と店長からの励ましもあって気持ちを新たにする。特技はコースターの裏に客の似顔絵を描くことで、いつかはイラストの仕事一本で生活していくことを夢見ている。実在の人物、鏡なな子がモデル。
姫乃 (ひめの)
鏡なな子が在籍するキャバクラでかつてNo.1だった女性。長らく不動のトップだったものの朝比奈ココにその座をゆずり、現在は2位に甘んじている。しかし、もう一度No.1の座を取り戻すべく、努力を重ねている。もう若くないからいくら努力をしても無駄だと落ち込むなな子を励ますなど、情に厚い性格の持ち主。
朝比奈 ココ (あさひな ここ)
鏡なな子が在籍するキャバクラで現No.1の女性。水商売の女性向けのファッション誌でモデルとしても活動しており、SNSで自撮りして朝比奈ココ自身の生活を積極的に配信している。SNSのフォロワーは30万人で、ココに会うために遠方から訪れる男性も多い。また女性のファンも多く、まるで芸能人のような人気を集めている。整形もしているが、それを隠すことなくその過程をSNSに掲載するなど、ぶっちゃけキャラクターとしても知られている。
かずみ
鏡なな子と同じキャバクラに在籍している女性で、娘が一人いるシングルマザー。客にはその事実を隠していたが、仕事の空き時間に娘の写真を眺めているところを椿に目撃され、客にシングルマザーであることを暴露されてしまう。それ以来、椿のことを面白くなく感じている。なな子と親しくしており、仕事後にかずみ自身の行きつけのオカマバーに連れて行くなど、プライベートでも意気投合して仲がいい。
椿 (つばき)
鏡なな子と同じキャバクラに在籍している女性で、年齢は19歳。その若さを武器に、自分より年上のキャストを客の前でわざと「姉さん」と呼ぶなど、他人を下げて自分を上げる接客を繰り返している。そのため、なな子をはじめとした20代後半のキャストからは嫌われているが、椿自身はひがみだからとまったく気にしていない。
リナ
鏡なな子と同じキャバクラに在籍している若い女性。スタイル抜群の人気キャストではあるものの、客と体の関係を持つことで指名を取る、いわゆる「枕営業」でのし上がる営業スタイルを得意としている。なな子を指名している一条に目を付け、体の関係を持つことで指名替えをさせた。その後、なな子にあやまるどころかマウンティングを繰り返して見下していたものの、すぐに一条に飽きられてしまう。
桃香 (ももか)
鏡なな子と同じキャバクラに在籍している女性で、現役大学生。穏やかな雰囲気を漂わせた癒し系の美人で、客だけでなくなな子などキャストに対しても優しく接する。しかし、自分の周りにいる人が困っている顔を見ることでストレスを発散しており、インターネットの掲示板に姫乃や朝比奈ココの悪口を書き込んだり、なな子が客からもらったチップを盗んだりと、表の顔からは想像もつかない裏の顔を持つ。
店長 (てんちょう)
鏡なな子が在籍しているキャバクラの店長を務めている男性。仕事を淡々とこなしつつも、各キャストのことをしっかりと観察している。なな子が年齢のことを気にしてやる気が低下していた時、具体的なアドバイスを送って叱咤激励した。
一条 (いちじょう)
鏡なな子が在籍しているキャバクラに遊びに来る男性。IT企業の取締役を務めている。御曹司の息子で、財布の中にはつねに分厚い札束と複数のブラックカードが入っている。さらに高身長で見た目もいいことから、一条から指名してほしいと狙うキャストが多い。一部のキャストからは「王子」と呼ばれている。一晩で数十万円を造作もなく使う、いわゆる「太客」。目立たないものの一生懸命ななな子に目を付けて指名するものの、リナの色仕掛けに陥落し、指名替えをする。一見誠実な人柄に見えるが大の女好きで、キャバクラに遊びに来ているのも、目を付けたキャストと体の関係を持つことが目的。体の関係を持って飽きたキャストは、容赦なく切り捨てるなど腹黒い一面を持つ。
藤堂 (とうどう)
鏡なな子が在籍しているキャバクラに遊びに来る中年の男性。デジタルコンテンツ制作会社の社長を務めている。さまざまな人気キャラクターを世間に輩出しており、プロデュース能力は一流。なな子が接客した際にコースターに描いた似顔絵を見て、いっしょに仕事をしないかと声を掛ける。なな子のセンスや実力は認めている一方で、自分と仕事をするにあたってまずは体の関係を匂わす。
美酒乱 (みしゅらん)
かずみが行きつけのオカマバーを経営している男性で、自らも店に立っている。派手なメイクとファッションを好み、お姉口調でしゃべる。一条に裏切られて落ち込んでいた鏡なな子を接客し、的確なアドバイスを送って励ます。
地獄田 (じごくだ)
鏡なな子が勤務している広告代理店の女性で、なな子の先輩にあたる。仕事のできる美人ながら、非常に気性が荒く短気な性格をしている。職場でも辛辣な言葉で周囲に当たり散らすことが多く、なな子から苦手意識を抱かれている。
丸山 (まるやま)
鏡なな子が勤務している広告代理店の女性で、なな子の先輩にあたる。おおらかで落ち着いた雰囲気を漂わせた癒し系で、どんなときでも笑顔を絶やさない。なな子に注意をするときにもユーモアを交えて対応するなど、相手に配慮する心優しい性格の持ち主。なな子からは丸山のようになりたいと、あこがれられている。