ONE Final -未来のエスキース-

ONE Final -未来のエスキース-

宮川匡代の『ONE-愛になりたい-』の続編。高校時代に出会い、気持ちのすれ違いや複雑な家庭環境に振り回されながらも、純愛を育んできた芳本さちよと小沢拓実の20数年後を描く。大人に振り回されていた10代の頃と違い、自分の事は自分で決められる30代になった二人が、仕事や結婚、新たな人間関係の中で紡ぐ大人のラブストーリー。「YOU」2014年1月から2015年6月に掲載の作品。

正式名称
ONE Final -未来のエスキース-
ふりがな
わん ふぁいなる あしたのえすきーす
作者
ジャンル
恋愛
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あらすじ

第1巻

高校時代の純愛から、遠距離恋愛を経て、社会人となった芳本さちよ小沢拓実は、今は順調に愛を育んでいる。派遣社員として働くさちよは、持ち前の明るさで、職場でも人気者。仕事上でも高評価を得ていた。一方、サラリーマンとして働く拓実は、仕事のあとにスイミングのコーチもこなすスポーツマン。二人は、お互いを信頼し合いながら、穏やかで満たされた日々を送っていたが、気がつけば、婚約をしてからすでに5年。さちよは、いつ結婚ができるのか不安で仕方なかったが、拓実はそれほど切実ではない様子だった。しかも、拓実にスイミングスクールで選手養成の話が持ち上がり、拓実はその話を受け入れる。拓実は、コーチに集中するためにプライベートな時間がなくなるかもしれない、とさちよに告げる。そして結婚が、ますます遠いものになっていきそうな気配を感じ、不安になったさちよは、思い切って結婚の話を切り出すものの、拓実のデリカシーのない態度に不満と不安が爆発する。互いに反発し合う二人だったが、周りの友人や知人のアドバイスや励ましのおかげで、しっかり向き合おうとする。そんなさちよの気持ちに気づいた拓実は、5年間も放置していた事を反省するのだった。拓実は、さちよに年内の結婚を約束し、再び二人の心は温かさを取り戻す。そんな折、さちよは拓実がコーチを務めている伊ノ田真愛赤の試合を観に行く。しかし、拓実の熱心な視線が真愛赤に向けられる事に、さちよは言いようのない不安を感じる。

第2巻

芳本さちよは、5年も婚約を放置したままだった小沢拓実に、結婚すると約束してもらい、さっそく結婚情報誌を購入したり、友人に結婚の報告をしたりと、行動を起こす。しかし、ある日の夜中、担当している水泳選手の伊ノ田真愛赤からの電話を受けた拓実に、小さな不満をぶつけてしまう。その意見を素直に受け入れられなかった拓実は、自分の不満を吐露する。二人は、再び衝突してしまい、険悪な雰囲気になってしまう。しかしさちよが、素直に拓実に頼る事で二人は仲直りし、お互いの存在の大きさを再確認する。そして、拓実が留学時代のクラスメイトとの交歓会にさちよを誘う。婚約者として、さちよを紹介したいという拓実の言葉に、心を躍らせる。しかし、その場にいた拓実の女友達から、留学時代に酔った勢いで拓実と関係を持ってしまった事を知らされてしまう。さちよは拓実に不信感を抱く中、担当している漫画家の中目黒あんじから、以前から誘いを受けていた、慰安旅行に同行する事を承諾する。出発の日、天候不良のため中目黒と二人で一足先に八丈島に到着したさちよは、ほかのスタッフが到着するまでの時間、中目黒と二人で楽しく過ごすのだった。一方の拓実は、中目黒にさちよへの恋愛感情がある事を知り、動揺する。

第3巻

小沢拓実は、芳本さちよが漫画家の中目黒あんじと旅行に出掛けた事で、居ても立ってもいられなくなってしまう。さちよのあとを追おうとするが、八丈島へのチケットは手に入らない。しかし、さちよの従妹で、頼れる姉御肌の沢井圭子が仕事のツテを使って、八丈島行きのチケットを入手してくれる。拓実は八丈島の島中を巡っても、さちよと出会う事ができない。あきらめかけていた時に、帰りの飛行機でさちよを見つける。拓実はさちよの腕を摑み、降りようとするものの、さちよの反対の手を中目黒が摑み、それを阻止する。押し問答する拓実と中目黒だったが、最初に手を離したのは中目黒だった。その後、拓実はさちよに誠心誠意謝罪し、二人のわだかまりは解ける。八丈島に一泊した二人は、東京に戻り、新たな気持ちで日常生活を取り戻す。そんな時に、派遣社員として頑張っていたさちよに、正社員への話が持ち込まれる。

第4巻

派遣社員だった芳本さちよは、正式に週刊ホットギア編集部の正社員として採用される事になった。同じ時期に、従妹の沢井圭子も同じ編集部に異動し、さちよと共に新たなスタートを切る。正社員として、順調に仕事をするさちよの周りでは、さまざまな騒動が起きる。さちよが担当から外れ、新たに沢井が担当となった中目黒あんじは、あまりに厳しい沢井の言葉に傷ついて姿をくらます。また、さちよの先輩である大崎明美と幸多由幸の不倫が大崎の夫にばれてしまう。一方で、小沢拓実がコーチをする伊ノ田真愛赤は、心に芽生えた小沢への恋心に気づき、動揺していた。拓実とさちよの会話に嫉妬をしたり、仮病を使って拓実を困らせるなど、真愛赤は自分の気持ちに振り回されていた。そんな周りのざわつく中、さちよと拓実は初めてブライダルサロンを訪れ、少しずつ結婚に向けて、準備を進めるのだった。

第5巻

婚約中の芳本さちよ小沢拓実は、5年もの時を経て、いよいよ結婚が現実のものとなっていた。そしてさちよは拓実の家に挨拶に行く事になり、彼女をよく知る拓実の家族から大歓迎を受けた。さちよは幸せな気持ちでいっぱいになるのだった。その後、さちよの家に二人で訪れる。婚約をしたのにもかかわらず、拓実がさちよを5年も放置していた事に嫌味を言う母親に、さちよは苛立ちを覚える。高校時代、母親の離婚や不倫によって振り回されただけに、さちよは素直に受け入れられなかったのだ。しかし、拓実は母親の態度に真摯に対応し、さちよはそんな拓実を見て、頼もしさを覚えるのだった。一方で、伊ノ田真愛赤の拓実に対する気持ちも止まらない。拓実は真愛赤が悩みを抱えている事を察して寄り添おうとするが、真愛赤は素直になれない自分に戸惑っていた。そんな時、さちよと拓実の結婚式のブライダルプランナーが変わるという連絡を受ける。新しい担当との最初の打ち合わせで、今まで考えた事がなかったような、さちよ自身の心の問題に対する指摘を受け、さちよは茫然とする。

第6巻

芳本さちよは、新しいブライダルプランナーに指摘されて以来、自分の取り柄やこだわりが何なのか、模索し始める。なかなか見つけられず、モヤモヤした気持ちのまま、婚約者の小沢拓実に聞いてみるものの、あまりに期待を裏切る答えばかりで、さちよは落ち込んでしまう。ちょうどそんな時、拓実に思いを寄せる伊ノ田真愛赤も、クラスでいじめを受けている友達を救いたいが、救う手段がない事を悩んでいた。悩んだ結果、コーチである拓実に相談し、その答えを見つけようとするのだった。一方、拓実は初めて、新しいブライダルプランナーに会う事になる。さちよが悩みを抱えている事をその新しい担当に指摘され、複雑な気持ちになる拓実は、結婚式の打ち合わせのあとに、突然さちよを熱海の温泉に連れて行く。二人は抱えている思いを語り合い、絆を深めるのだった。一方、中目黒あんじは、八丈島で原稿の締め切りに追われていた。真剣に八丈島への移住を考えている中目黒は、ホテル住まいを始めていたのだ。またしても、沢井圭子はぎりぎりで原稿を受け取りに八丈島までやって来る。ようやく原稿を受け取り、帰りの飛行機を見送る無邪気な笑顔の中目黒に、なぜか沢井は胸が締めつけられる。一方、さちよと拓実は、先日の熱海旅行をヒントに披露宴のスタイルに関する名案を思いついていた。

第7巻

結婚の準備が順調に進んでいた。しかし、小沢拓実は指導している伊ノ田真愛赤と手を握り合っている写真を撮られ、週刊誌に掲載されてしまう。手を握り合っているのは、ただ気合を入れるためだったが、イケメンコーチと美少女スイマーとのゴシップに周囲は慌ただしくなる。しかし、後ろめたいところはいっさいない拓実は、真摯に説明して事は大きくならずに済む。一方、どこか腑に落ちない真愛赤は、拓実のもとを訪れる。真愛赤は思い切って告げた本当の気持ちを、拓実にはぐらかされ、ショックのあまり家出を決行。そこで、八丈島へ向かうために飛行機を待っていた中目黒と遭遇。沢井圭子の指示で、真愛赤を引き留めていたその時、拓実が駆けつける。拓実は事情を話した芳本さちよに、真愛赤としっかり向き合うように諭されたのだった。そして真愛赤は自分の気持ちを隠す事なく、拓実にすべて吐き出す。そんな出来事を経て、また一歩、拓実とさちよの絆は深まっていく。

第8巻

芳本さちよの周りでは話題に事欠かないほど、いろいろな問題が起きていた。さちよは後輩のママ友問題、先輩の不倫問題など、そこから多くを学んで自分の幸せを見失わないようにしていた。そして、さちよは結婚式の具体的な話をしようと、母親のもとを訪れる。そこで入れ違いに若い男が出て来る現場に遭遇し、新しいボーイフレンドに不快感を抱く。母親は、そんなさちよの気持ちを知ってか知らずか、結婚式について矢継ぎ早にさちよに問いかける。花嫁の母親として、バージンロードをいっしょに歩く、手紙を読んでもらう、花束をもらうなど、やりたい事がいっぱいあるらしい。しかしさちよは、仲よし母娘の関係だと思っている母親に対して、違和感を覚えて小沢拓実に相談する。正直に気持ちを伝えたほうがいいと、拓実に諭されたさちよは、母親と真摯に向き合う事で、二人の気持ちは少し晴れるのだった。そしてさちよと拓実は、高校時代に付き合い始めてから20数年を経て、いよいよ結婚式当日を迎える。

登場人物・キャラクター

芳本 さちよ (よしもと さちよ)

週刊ホットギア編集部で働く30代女性。両親の離婚、母親の不倫など、波乱万丈の人生を送って来た。そんな高校時代から付き合っている小沢拓実とは婚約中にある。大学進学や留学で、遠距離恋愛の時期もあったが、今はいっしょに東京で過ごせる事に幸せを感じている。しかし婚約してからすでに5年が経ち、将来に不安を感じ始めるものの、なかなか自分から結婚について言い出せずにいる。 好意を寄せられても全然気づかないほど、鈍感で天然な性格。実の母親とは、高校時代に振り回されて以来、関係はよくない。

小沢 拓実 (おざわ たくみ)

会社員として働きながら、スイミングインストラクターも務める30代男性。芳本さちよとは高校時代からの付き合いで、現在婚約中。中学生でモデルとしても活躍する伊ノ田真愛赤の専属コーチとなり、公私共に真愛赤のサポートをするために奔走する。家族は両親と姉で、愛に包まれた家庭に育った。とても穏やかな性格の持ち主。

伊ノ田 真愛赤 (いのだ まいか)

中学3年生の女子。身長180センチでスタイル抜群。その恵まれた体型を活かしてモデルとして活躍する一方、水泳選手としても、大いに期待されている。正義感が強く、クラスでいじめられている友人を放っておく事ができない。専属コーチについた小沢拓実に対して、最初こそ意地を張っていたものの、徐々に恋心が芽生え、困惑する。モデルでも水泳でも、1位にこだわるのは自分が養女である事を知っているため。 4歳の時、今の両親に引き取られ、愛情いっぱいに育てられており、大好きな両親のためにがんばりたいと考えている。

中目黒 あんじ (なかめぐろ あんじ)

週刊ホットギアに連載中の人気漫画家の男性。実力もあり、漫画を愛する気持ちも人一倍だが、締め切り前の原稿はいつも真っ白で、編集部の担当を困らせている。芳本さちよの応援で、毎回どうにか締め切りを間に合わせている。さちよに婚約者がいる事を知りつつも、思いを断ち切れずにいる。

沢井 圭子 (さわい けいこ)

モード誌の副編集長を務めている、芳本さちよの従妹の女性。周囲には「様」付けで呼ばれるほど、貫禄抜群の姉御肌で知られている。媚びを売ったり、人に迎合する事を好まない、我が道を進むタイプ。モード誌一筋だったが、週刊ホットギア編集部に異動となり、中目黒あんじの担当となる。中目黒とは留学中のクラスメイトで、実は旧知の仲。 圭子流のやり方で中目黒の担当として、仕事に全力を注ぐ。

大崎 朝美 (おおさき あさみ)

芳本さちよと小沢拓実の高校の先輩の女性。表向きは良き妻であり、良き母だが、裏では元彼の幸多由幸と現在不倫中。夫に対しては好きでも嫌いでもないが、愛する息子のために、家庭を壊すつもりはない。家庭以外では、女である事を強く望んでいる。何があっても、動じる事のない肝が据わった人物。

幸多 由幸 (こうだ よしゆき)

芳本さちよと小沢拓実の高校の先輩。高校時代は、さちよのあこがれの男性だった。現在、サロン・ド・テ「イグレック・カ」でパティシエとして活躍するバツイチ。元彼女の大崎朝美とは、大学を卒業してから別れたものの、偶然開店当初に大崎が来店して再会しており、それ以来不倫関係にある。

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