概要・あらすじ
千野林太郎が高校1年生になって間もないある日、林太郎の父は突然「女の姉弟が欲しくないか?」と、林太郎の腹違いの姉・千野水絵を引き合わせる。そんな経緯もあり、当初は水絵に対して好印象を持てなかった林太郎だが、風呂上がりの水絵の素顔を見た途端に恋に落ちてしまう。姉弟という立場上、林太郎は水絵に対する気持ちをなんとか誤魔化して過ごしていたが、やがて林太郎の父親が北海道へ転勤したため、水絵と2人でアパート暮らしをすることになる。
これまで以上に距離感が近くなり、より水絵のことを意識してしまう林太郎は、自分の気持ちを抑えられなくなっていく。
登場人物・キャラクター
千野 林太郎 (せんの りんたろう)
橘高校に通う2年生の男子。男子バスケットボール部に所属している、期待のプレイヤーでもある。入学当初から女子人気が高く、周囲の注目を浴びていた。感情的で、気持ちが行動や顔にすぐ出てしまうタイプ。当初、親からは千野水絵を「腹違いの姉弟」として紹介されていたが、「水絵は赤の他人である」という両親の内緒話を立ち聞きしてしまい、血が繋がっていないことを知る。 建前上、弟として水絵に接しようと努力するが、両親の転勤や恋のライバル・二階堂進の出現により、水絵に対する気持ちを抑えられなくなっていく。
千野 水絵 (せんの みずえ)
高校3年生の女子。唯一の家族だった母親が病死して身寄りがなく、親戚中をたらい回しにされていた。そこを、腹違いの姉弟として、千野林太郎の家に引き取られた。それからは、林太郎と同じ橘高校に通っている。普段は丸メガネに三つ編みと、どこか野暮ったい雰囲気を醸し出している。ところが、メガネを取って髪を下ろすと、見違えるほど美人になる。 汚れた髪と顔を洗うためにメガネを外し、髪をほどいたところを学校の写真部員に激写され、その美しさが学校中に知れ渡ることになってしまう。私生児という生まれや、実の母親の死に対してトラウマを抱えており、他人からの好意を素直に受け入れられないでいる。
沢村 恵子 (さわむら けいこ)
橘高校に通う2年生の女子。千野林太郎のクラスメイト。女子バスケットボール部に所属している。綺麗な顔立ちをしており、バスケ部のマネージャーから想いを寄せられている。入学当初から林太郎に好意を持ってアプローチしているが、なかなか振り向いてもらえない。腹違いの姉にもかかわらず、千野水絵に対する林太郎の態度がおかしいので、2人の関係を怪しんでいる。 年上の水絵に物申したり、林太郎に交換条件を持ちかけたりと、勝気な性格で行動的。林太郎を手に入れるためなら、手段を選ばない。
二階堂 進 (にかいどう すすむ)
橘高校に通う3年生の男子。千野水絵のクラスメイト。生徒会長で、文化祭の実行委員長も兼務している。高校入学以来、すべての教科で首席を取るほどに頭が良く、顔も良い。また、過剰な仲間意識を持たず、誰に対しても平等に接するため、男女関係なく人望が厚い。常に理性的で洞察力と行動力も兼ね備えた、まさに完璧な人物。周囲が騒ぎ立てる前から水絵の魅力に気づいており、好意を抱いていた。 その想いを伝えるが、「好きな人がいるから」と断られてしまう。やがて、林太郎と水絵が、姉弟というには異常過ぎるほどに惹かれあっていることに勘づく。
林太郎の父 (りんたろうのちち)
千野林太郎の実父。身寄りがなく親戚をたらい回しにされていた千野水絵を憐れに思い、林太郎の腹違いの姉として、千野家に引き取ることを決意する。実際は水絵とは赤の他人だが、学生時代に水絵の母にずっと片想いしていたという経緯もあり、一方的な思い入れがある。
林太郎の母 (りんたろうのはは)
千野林太郎の実母。千野水絵を自分の家に引き取ることに、最初は難色を示したものの、実際に引き取ってからは、実の娘のように可愛がった。林太郎の父の異動により一緒に北海道へと行ってしまうが、ある人から受け取った手紙を水絵に渡すために戻って来る。
水絵の母 (みずえのはは)
千野水絵の実母。旧家のお嬢様で厳しく育てられた。水絵を身ごもった際、相手が誰だか口にしなかったため、両親から勘当されてしまった。水商売をしながら女手一つで水絵を育てたが、水絵が高校生になる頃、患っていた結核が悪化して亡くなってしまう。
瀬川 (せがわ)
水絵の母が働いていたお店のアルバイト店員の男子大学生。酔ってしまったの水絵の母を家まで送り届けたり、母親と喧嘩して家から飛び出して来た千野水絵の面倒を見たりと、親切な面を持つ。水絵とは、道端で会話を交わす程度に仲良くしていた。
バスケ部のマネージャー (ばすけぶのまねーじゃー)
橘高校に通う2年生の男子。千野林太郎と沢村恵子のクラスメイト。林太郎の所属するバスケットボール部のマネージャーを務めている。勝敗の鍵を握るほどの実力を持っているにもかかわらず、千野水絵にうつつを抜かしている林太郎に対し、日々ヤキモキしている。一方、林太郎に二階堂進の情報を教えたり、水絵と気まずくなった林太郎を家に泊めたりと、なにかと世話を焼いている。 恵子に思いを寄せている。
書誌情報
P.S.あいらぶゆう 2巻 小学館クリエイティブ〈ジュディーコミックス〉
第1巻
(2007-08-24発行、 978-4778018573)
第2巻
(2007-08-24発行、 978-4778018580)