大好きな彼女の命を救う方法は、胸キュンさせること
主人公の津田林太郎(太郎)は、生き物の余命が100日を切ると、それが数字として見えるという能力を持つ高校生。そんな彼は、大好きな幼なじみの神崎うみに、人生4回目の告白をしてやっと成功する。ところがその瞬間、うみの胸のあたりに数字が現れ、彼女の余命が97日しかないことがわかってしまう。ショックを受ける太郎だったが、その後、うみがときめくと余命が増えることが判明する。しかし100が上限で、消えることはなく、要因はわからないが減少することもある。いずれにせよ、うみの余命を伸ばす唯一の方法は、彼女を胸キュンさせることである。本作は、大好きなうみのために運命に抗(あらが)おうとする、一途(いちず)な太郎を描いた、もだキュンラブコメディである。
泣き虫で優しい男の子×人のことを優先する前向きな女の子
太郎は泣き虫だが、うみが何をしても許してくれる、優しくて素直な男の子。うみは明るく元気でとにかく前向き。そしていつも太郎のことを考えてくれる強くてかっこいい女の子である。二人の出会いは、まだ幼い頃。太郎は、祖母に出現した余命を見てしまい、その数字通り祖母が亡くなったことがきっかけで、外に出られないようになっていた。そんな太郎を救ってくれたのがうみだった。近所に引っ越してきたうみは、片付けが嫌で逃げ出し、塀を乗り越えガレージの上に立って、太郎の部屋の窓を叩(たた)いた。外が怖いという太郎の手を取り「怖くなくなるまで手を繫いであげる」といって、太郎を外に連れ出した。それ以来、二人はお互いを大切に想って生きてきたのだ。
うみを救うために成長していく太郎
ある日、小野寺いつきというイケメン男子が転校してくる。彼は触れた相手の未来を断片的に知ることができる特殊能力の持ち主だった。いつきによると、うみは太郎のせいで死ぬという。二人が一緒にいる限り、未来は変わらないというが、うみは「未来も運命もきっと変えられる。だって私は生きてるもの」と明るく答え、太郎と離れるつもりはないことを伝える。一方、太郎はうみを助けたい一心で、ひとりで抱えすぎていたことを反省し、自分同様うみのことを心配している、友人の藤井みのりの協力を得ることを決意する。そして今までずっと「大丈夫」と自分を励ましてくれていたうみに、今度は自分が「大丈夫。うみは死なない」と力強い言葉を投げかける。泣き虫なだけだった太郎は、うみのために少しずつ成長していく。
登場人物・キャラクター
津田 林太郎 (つだ りんたろう)
高校2年生の男子。涙もろく、気弱な性格の持ち主。本や映画が好きで、嫌いなものは虫。3歳の頃から、100日以内に死ぬ運命にある生き物の余命を読み取ることができる不思議な力を持っている。余命は、体の前に残り日数の数字が浮かび上がるように表示される。メガネを掛けているときは表示が見えなくなるため、視力は悪くないがふだんからメガネを掛けている。その力のせいで幼い頃からふさぎ込みがちだったが、自分の力を理解してくれる幼なじみの神崎うみに励まされて立ち直っている。うみとは人生4回目の告白の末に恋人同士となる。うみに余命の数字が出現した際は、彼女より落ち込んでしまうが、うみを助けるためにあらゆる努力をする。うみからは「太郎」と呼ばれている。
神崎 うみ (かんざき うみ)
ツインテールが特徴の高校2年生の女子。津田林太郎とは幼なじみで、彼のことは「太郎」と呼ぶ。明るくポジティブな性格。幼少時、余命が見える能力のために引きこもっていた太郎を、持ち前の明るさで救う。太郎のことは大切に思っているが、恋愛には鈍感。4回目の太郎の告白で恋人同士になるが、それと同時に余命が100日であると判明してしまう。太郎にときめくと、なぜか余命が伸びることに気づいてから、なんとか余命を伸ばそうと二人で頑張る。
書誌情報
君が死ぬまであと100日 全6巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第1巻
(2019-11-25発行、 978-4088442709)
第6巻
(2020-11-25発行、 978-4088444017)