概要・あらすじ
家賃を払うため、大家の橋本太郎を訪ねた若菜みずき(ミッキー)は、橋本が経営する工務店で働いていた佐藤マサナオが、3日前に交通事故で亡くなった、という話を聞く。橋本にとって特別な社員だったマサナオの遺族に連絡したところ、「佐藤マサナオ」は死んだ人間とはまったくの別人であり、本当の「佐藤マサナオ」は5年前に失踪したのだという。
マサナオと名乗っていた人物が、肌身離さず持っていたお守りに入っていたダイヤモンドの指輪から、強烈な念を感じたミッキーが「R」してみると、そこには驚くべき人物が写っていた。
登場人物・キャラクター
若菜 みずき (わかな みずき)
元不良少女の捜査官。上原三郎とコンビを組んでいる。「R」という特殊能力を持っており、石に刻まれた死者の無念を念写することができる。5年前、親友のマリーをバイク事故で失った際に、自分の証言を信じてくれた三郎を信頼している。衝動的で体当たりな捜査を行う。
上原 三郎 (うえはら さぶろう)
捜査一課の刑事の男性。若菜みずき(ミッキー)とコンビを組み、冷静沈着な捜査を行う切れ者。見た目はパリッとして男性的だが、オネエ言葉でしゃべる。ミッキーが弱音を吐くと、「サブ&ミッキーから逃げることができる犯罪者は、絶対にいないハズでしょ!」と励まして支える、サポーター的役割を担っている。
曙 (あけぼの)
上原三郎と若菜みずきコンビの捜査に協力的な刑事の男性。見た目は黒人のようにいかつく強面。しかし、部屋に幽霊が出るので、みずきに相談したくてたまらない、といった怖がりな一面がある。かつて隼人の親友だった縁から、山本秀雄に、隼人が死亡した事故の捜査を頼まれる。
京塚 誠一郎 (きょうづか せいいちろう)
中学校に勤務する男性教師。39歳で担当は理科。学年主任も務めている。学校教員やPTAからの評価は高く、生徒からの信頼も厚い。5年前に女子中学生が惨殺された事件現場で、若菜みずき(ミッキー)の「R」により、京塚誠一郎の姿が念写された。そのため、ミッキーにマークされることとなる。美しいものに異常に執着している。
京塚 アゲハ (きょうづか あげは)
京塚誠一郎の娘。中学3年生の美少女。若菜みずきには、不自然な美しさとして違和感を覚えられている。父親である誠一郎に従順であり、いつも誠一郎にガードされて生活している。人形のように無表情。
萩原 一二 (はぎわら いちじ)
佐竹記念総合病院の第一外科主任を務める男性医師。上原三郎(サブ)が生ガキにあたり、入院した際の担当医。「この病院に来てよかった」と、すべての患者に思ってもらいたいと語り、サブと若菜みずきを感動させる。臓器移植の腕には自信を持っている。
新井 源太郎 (あらい げんたろう)
新井彩香の父親で、大工。顔はいかついが、気のいい中年男性で、新井工務店のタオルを頭に巻いている。生ガキにあたって佐竹記念総合病院に入院していた上原三郎と、同室となる。石を除去する簡単な手術を受けることになっていたが、術中に血管腫からの大量出血で死亡してしまう。
新井 彩香 (あらい あやか)
新井源太郎の娘。小学校6年生の女の子で、しっかりした性格。父の源太郎が急死して病室を片付けにやってきた際、若菜みずき(ミッキー)たちに挨拶をしに来る。そのときに、ミッキーは新井彩香が胸ポケットに持っていた腎臓結石から念を感じ、「R」で念写を行う。
曽根 (そね)
元政治家で、政界復帰を狙っている老人。佐竹記念総合病院に入院しており、5年間あらゆる手を尽くしても、腎臓移植のドナー適合者が見つからなかった。萩原一二の臓器移植の腕を買っている。自分が退院したら、という条件付きで、「この病院を出て新しい城を築け」と、一二の応援を約束している。
木村 拓男 (きむら たくお)
長野で古文の教師をしていた男性。パソコンオタク。レアなソフトを探す若菜みずき(ミッキー)に、自分のソフトを貸そうと申し出る。その見返りとして、ミッキーは、チャットのお姫様とのデートを控えた彼の花束選びに、付き合うこととなる。その翌日に死体で発見され、ミッキーは念を感じた彼のネクタイピンから「R」で念写を行う。
なつみ姫 (なつみひめ)
オタクの間で「チャットの女王」として有名な女性だが、素顔は非公開。自身のプライベートをチャットで実況し、人気を博している。木村拓男(キムタク)を殺した容疑者として、若菜みずき(ミッキー)と上原三郎に追われることとなる。殺されたキムタクが、なつみ姫の写真を所持していた。ところが、ミキムタクのネクタイピンからッキーが「R」で念写した写真には、まるで別人の妖怪のような女性が写っており、実体は謎に包まれている。
白川 綾美 (しらかわ あやみ)
美人料理研究家として名を馳せている34歳の女性。白川キリカの母親。品川のホテルの厨房冷凍庫で、遺体で発見される。死亡前、ホテルの部屋でキリカが服を汚したことに腹を立て、「あんたはいらない子だった」とののしっていた。
白川 キリカ (しらかわ きりか)
白川綾美の一人娘。小学校6年生。母親から何の取柄もない子だ、と邪険に扱われていた。綾美の遺体の周辺にあったナイフについた宝石から、若菜みずき(ミッキー)が白川キリカらしき姿を見るが、「R」で念写することはできなかった。キリカの寂しい目と、遺体周辺にあったナイフを見せられたときの表情から、ミッキーは事件の本質を見抜く。
山本 英雄 (やまもと ひでお)
走り屋グループ「スピードナッツ」のナンバー2の青年。リーダーの隼人が、ライバル「グレース」との勝負を自分に任せてくれなかったことを、不満に思っていた。隼人が引退し、「スピードナッツ」を山本英雄に任せる、と告げた後、事故を起こして命を落とした。そのため、仲間から疑われることとなる。隼人亡き後、仲間が離れていくことに怯える小心者。
隼人 (はやと)
走り屋グループ「スピードナッツ」のリーダーの青年。ライバル「グレース」との勝負中、奥箱根スカイラインで命を落とす。山本英雄のナンバー2としての焦りや苛立ちを見抜いており、引退して英雄に「スピードナッツ」を託そうとしていた。
橋本 太郎 (はしもと たろう)
若菜みずきと上原三郎が住むアパートの大家の老人。工務店を経営している。寂しがり屋の話し好き。家賃を持っていったミッキーに対し、従業員の佐藤マサナオが事故死したが、遺族によれば、死亡した彼は「佐藤マサナオ」なる人物とはまったく別人だった、と涙ながらに語る。「佐藤マサナオ」と名乗っていた、死亡した男性の誠実さを信じる人情派。
佐藤 マサナオ (さとう まさなお)
橋本太郎が経営する工務店で働いていた青年。工務店の経営が危ないときには、給料はいらないと告げ、橋本が病気になった際には、毎日看病に駆けつけた。誠実な社員だったが、トラックの居眠り運転によって事故死してしまう。橋本が遺族に連絡を取った際、本当の「佐藤マサナオ」とは、まったくの別人であることが発覚する。
クレジット会社の社長 (くれじっとかいしゃのしゃちょう)
本物の「佐藤マサナオ」が働いていた、とされるクレジット会社の社長。ドケチで腹黒く、あくどい商売で成り上がってきた。深夜の違法取り立てを逆手に取った若菜みずきと上原三郎に、本物の「佐藤マサナオ」が、債務者から取り立てた5000万円を持ち逃げした、という情報を漏らす。
唐沢 涼 (からさわ りょう)
スポーツクラブのインストラクターの青年。ダイバーカメラマンも務める。若菜みずきにより「R」で念写され、水泳教室の生徒の女性が、縛られて溺死した事件の容疑者となる。しかし、科学的根拠に基づく完全なアリバイがある。スポーツクラブの女性たちからは慕われているが、死亡した女性から多額のお金を借りていた事実がある。
監察医 (かんさつい)
高齢の監察医の男性。水泳教室の生徒の女性が、縛られて溺死した事件を担当した。科学的根拠に基づき、被害者の死亡推定時刻に間違いはないと断固主張。若菜みずきの再調査依頼を拒否する。一方で、アリバイ崩しの突破口に気付いた際には、「長いキャリアの蓄積が、つまらん先入観を作ってしまった」と反省する誠実さも持つ。
その他キーワード
R (りばーす)
若菜みずき(ミッキー)の持つ能力。被害者が殺されたときの、最後の瞬間の強い無念――その多くは、最後に見た、忘れることができない犯人の姿となって、石に刻み付けられる。ミッキーは、この能力により、石に刻まれた死者の無念を念写することができる。石とはテープレコーダーのようなもので、ミッキーが取り出さない限り、石に残された記憶は未来永劫残るという。 なお、念写した犯人の姿は「R指定」と呼称され、転じて「事件の真実」を意味する。
クレジット
- 脚本協力
-
吉浜令子