交通事故鑑定人 環倫一郎

交通事故鑑定人 環倫一郎

交通事故鑑定人という珍しい職業を生業とする環倫一郎の活躍を描いた社会派サスペンス。しかし、物語後半では展開が大きく変わり、倫一郎がカーレーサーとして脚光を浴びるサクセスストーリーが描かれる。「スーパージャンプ」1996年2号から2001年19号まで連載された樹崎聖の代表作で、続編に『R2 -TRAFFIC ACCIDENTS FILE-』がある。原作は梶研吾、監修・参考資料提供は江守一郎。

正式名称
交通事故鑑定人 環倫一郎
ふりがな
こうつうじこかんていにん たまきりんいちろう
原作者
梶 研吾
作者
ジャンル
サスペンス
関連商品
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世界観

日本ではいまだにメジャーではない交通事故鑑定人という職業に焦点をあて、交通事故の痕跡を基に真実を暴き出すというテーマが主題。また交通事故鑑定人としてだけではなく、環倫一郎という人物そのものがサブテーマになっており、後半のストーリー展開は交通事故鑑定人をしていたことで培った知識を武器に、カーレーサーとして活躍していく様子が描かれる。

作品構成

作品の初期~中盤にかけてのエピソードは、1話完結型がメイン。しかし、中盤~終盤にかけての展開で、環倫一郎自身の話がクローズアップされていくにつれ、ストーリー性を重視した連続型のストーリーとなる。コミックスでいえば、第14巻までは交通事故鑑定人としてのストーリー、第15巻から最終巻の第18巻までがカーレーサーとしてのストーリーとして区分けされている。

あらすじ

交通事故鑑定人編(1~14巻)

アメリカのロサンゼルスに事務所を構える環倫一郎は、交通事故鑑定人という珍しい肩書きを持つ人物。あるとき依頼を受けて現場へと赴くが、鑑定を依頼されたのは事故に見せかけた殺人事件だった。一度は事故として処理された事件の調査を続ける倫一郎は、現場の違和感や事故車の損傷痕から徐々にその真相に迫っていく。

カーレーサー編(15~18巻)

過去に自身が起こした不幸な事故から、一度は夢を諦めた環倫一郎。しかし、思わぬ巡り合わせからそのトラウマを完全に脱した倫一郎は、因縁の旧友ルカ=ボレッティの協力を得て、もう一度、世界最速の夢に挑む。

作風

取り扱うテーマが交通事故ということもあり、非常に緻密で徹底した車の描写が本作『交通事故鑑定人 環倫一郎』の大きな特徴となっている。雑誌掲載時に描かれた車が、「作中で想定した時間軸には本来存在しないモデルデザインだった」という理由で、コミックス収録時に新たに描き直されたりしていることからも、そのこだわりが伺える。またコミックスの幕間やあとがきでは、作中に登場した車はもちろん、登場していない車の評論も掲載することがある。このことは、原作者の梶研吾、作画の樹崎聖の両名が、自他共に認める極度の車好きであることにも起因している。

表現上の特徴

初期はそれほどでもなかったが、連載を重ねるにつれ、特殊な表現手法が用いられるようになっていった。具体的には、第21話あたりから効果線が使われなくなり、第27話からはコマの枠線がフリーハンドで描かれるようになっている。さらに第29話以降はコマの枠線と台詞の吹き出し、効果音の枠線が完全に同一化されている。

メディアミックス

ドラマ

2011年にJ:COMやひかりTVなどで3Dドラマ化された。第35話及び第36話「いもうと」のエピソードを原作とし、監督やキャストまで異なる2つのチームで制作するという珍しいものだった。Aチームは、脚本を梶研吾、監督を草野陽花が務め、環倫一郎役を大西信満、環佐江子役を長澤奈央、クリスティーナ役を有紗、穂高勝役を永戸武士が演じた。Bチームは脚本を梶研吾と林壮太郎、監督を坂部康二が務め、環倫一郎役を眞島秀和、環佐江子役を木下あゆ美、クリスティーナ役をジェーニャ、穂高勝役を中村靖日が演じた。

監修・参考資料提供

監修・参考資料提供の江守一郎は、1924年生まれ、東京都出身の工学博士。日本における交通事故鑑定の第一人者とされており、作中に登場する事故は江守が過去に担当した事故をモデルにしているという。また、作画の樹崎聖によれば、主人公の環倫一郎のキャラクターデザインも無意識に江守をモチーフにしたようだと語っており、原作者の梶研吾も面影があるとしている。本作の連載中、1996年に逝去。享年72歳。亡くなるまでのクレジットは「監修」だったが、以降は「参考資料提供」に変更されている。

登場人物・キャラクター

環 倫一郎 (たまき りんいちろう)

前髪を横分けにしてはいるものの、毛があちこちにハネたボサボサの髪型と糸のように細い目が特徴の、37歳の男性。普段はぼんやりした穏やかな性格をしている。また、ある事情から視力が低く、神経に軽い障害を持つため、物をよく落としてしまう癖がある。そのため、初見ではほとんどの人に冴えない印象を与えるが、実は非常にやり手の事故鑑定人。 その筋では「Professor Accidentlogist(交通事故工学教授)」と呼ばれ、知らぬ者はいないほど。本気になった際や事故の真実を突き止めた際には、細い目を見開く。

クリスティーナ=レイトン (くりすてぃーなれいとん)

環倫一郎の元教え子で、倫一郎に憧れていた女性。自分が勤めていた会社の社長マシュー=キッドマンが死亡した事故の鑑定を倫一郎に依頼したことで再会。その後、紆余曲折を経て倫一郎の助手になる。直情的で思ったことを臆面もなく口に出してしまう、少し思慮の浅いところがある。

ロナルド=ジョンソン (ろなるどじょんそん)

マックス=フォーリーの同僚で友人の男性。会社の金を横領してしまったことがマックスにばれてしまい、その口止めのために事故に見せかけて殺そうと企てた。癖のある髪を短く切り込み、非常に人相が悪い。マックスの妹であるエルジャ=フォーリーには邪な想いを寄せている。

マックス=フォーリー (まっくすふぉーりー)

エルジャ=フォーリーの兄で、ロナルド=ジョンソンの同僚。周囲の人物から「ミスター・グッドマン」と言われるほど懐が深く、思慮深い性格。ロナルドが会社の金を横領していることを知った際も、バレないうちに金さえ返せば告発しないと本人に忠告した。だが、結局はそれが仇となって殺されてしまう。

エルジャ=フォーリー (えるじゃふぉーりー)

マックス=フォーリーの妹。金髪ストレートの髪を持った可憐な女性。非常に純粋で大人しい性格をしている。また男性恐怖気味なところがあり、気軽に接することができるのは、亡くなったマックスと世話になっている叔父、そして初対面ながら、マックスに似た雰囲気を持った環倫一郎だけだった。そのことから、会って日が浅いにも関わらず倫一郎に好意を寄せていく。

エルジャの叔父 (えるじゃのおじ)

両親を亡くしたマックス=フォーリーとエルジャ=フォーリーを引き取った人物。「MEL'S FLOWERSHOP」という花屋を営んでおり、店の前に作った花壇の手入れと写真撮影が趣味。顔の半分が隠れるほどの髭をたくわえた好々爺といった風体だが、仕事柄か、体つきはかなり良い。マックスを亡くしてすぐのエルジャに笑顔を取り戻させたことで、環倫一郎に信頼を寄せる。

フィリップ=ホーガン (ふぃりっぷほーがん)

ロナルド=ジョンソンと共謀し、マックス=フォーリーを轢き殺した張本人。ロナルドから報酬と弁護士の紹介をしてもらう約束を取り付けたうえで、マックスを事故に見せかけて殺害。事故後は警察に連絡し、出頭した。

バート=ダリフ (ばーとだりふ)

メグ=ストーンに付きまとっていたやり手のビジネスマン。メグとサム=フェンテスが勤めていた会社の取引先という立場を利用して、断りきれないメグに猛烈なアプローチをかけていた。ある日、メグを助手席に乗せて運転している際に事故を起こし、自分も傷を負うもメグと事故の相手を死亡させてしまう。その後は生存者がいないのをいいことに、メグが運転していたことにして罪の追及から逃れようとする。

メグ=ストーン (めぐすとーん)

サム=フェンテスと付き合っていた女性。サムからプロポーズを受けていたものの、会社の取引先であるバート=ダリフからの誘いを断り切れず、バートの運転する車に乗り合わせていた際に事故に遭い、死亡。環倫一郎の元教え子でもあった。

サム=フェンテス (さむふぇんてす)

メグ=ストーンと付き合っていた会社の同僚。メグが死亡した事故については、バート=ダリフが語るようにメグが運転していたとは考えられず、個人的にバートに復讐しようとしていたところを環倫一郎に止められる。その後は事故鑑定をするという倫一郎と行動を共にし、事故の真相究明に協力する。

マシュー=キッドマン (ましゅーきっどまん)

クリスティーナ=レイトンが勤めていた会社の社長で、小太りの男性。深夜に運転をしている際に深刻な発作を起こし、車ごと崖下に転落し死亡した。遺体が発見されたのが事故現場から距離の離れた吊り橋の下だったため、事故に見せかけた自殺と断定されてしまう。

エリザベス=キッドマン (えりざべすきっどまん)

事故で死亡したマシュー=キッドマンの妻。愛人であるブラッド=グラントと共謀し、マシューに本来飲ませてはいけない組み合わせの薬品を処方。証拠が残らないように始末しようとしていた。

ブラッド=グラント (ぶらっどぐらんと)

エリザベス=キッドマンの愛人。マシュー=キッドマンの担当医であり、エリザベスと共謀して、飲み合わせてはいけない薬をマシューに処方し、計画的に殺害しようとしていた。また、マシューを亡き者にした後は、エリザベスと夫婦の関係になろうと計画しており、環倫一郎の証言で真実が明かされそうになると、彼を殺害しようとした。

キニスキー

マシュー=キッドマンの事故を担当した警察官。役職は警部。事故現場と遺体発見現場が離れていたことから、マシューが事故に見せかけて自殺したと断定し、捜査を打ち切ろうとしていた。自分の仕事にプライドと自信を持っており、環倫一郎が自殺を否定した際には高圧的に対応した。だが本人に悪気はなく、むしろ正義感溢れる好漢である。

ケネス=オニール (けねすおにーる)

ジュリア=ラメイが死亡した事故の真相を知るため、環倫一郎に事故鑑定を依頼した男性。マデリン=オニールとは恋人同士だが、ジュリアの相談を受けているうちに関係を持ってしまい、2人の女性への想いに悩んでいた。

ジュリア=ラメイ (じゅりあらめい)

突然センターラインを割って対向車線に突っ込む事故を起こし、死亡してしまった女性。自分の親友であるマデリン=オニールの恋人と知りながら、ケネス=オニールと深い関係に陥ってしまっていた。

マデリン=オニール (までりんおにーる)

ケネス=オニールの恋人であり、ジュリア=ラメイの親友だった女性。ジュリアが死亡した事故を起こした時、同じ車に同乗していたが、助手席でウトウトしていたため、事故の瞬間や原因を知らないと語る。

アラン

日頃からヘンリー=ドーフにいじめられている少年。ある日の帰り道、運転中によそ見をしてしまい、ドワイト=ポストをはねてしまうが、その遺体が見つからないのをいいことに、ドワイトの乗っていた自転車をヘンリーの乗る車にぶつけ、罪をなすりつけようと思い立つ。

ヘンリー=ドーフ (へんりーどーふ)

ケンカやカツアゲで補導歴がある、素行の悪い不良少年。日頃からアランをいじめており、その復讐としてドワイト=ポストとの事故をなすりつけられてしまった。自分の身の潔白を証明しようと、弁護士を通じて環倫一郎に事故鑑定を依頼する。

ドワイト=ポスト (どわいとぽすと)

アランやヘンリー=ドーフのいる街に住むアルコール中毒の老人。自転車を押して道路を横切ろうとしていたところ、よそ見運転をしていたアランの車と接触。大きく吹き飛ばされ、それ以来行方不明になっている。

ロックウェル

ヘンリー=ドーフがドワイト=ポストをはねたという事故を担当した警察官。役職は警部補。2メートルを超える岩のような大男と噂されるほどの巨漢。アランの目撃証言もあることから、ヘンリーがドワイトをはねたと断定し、異を唱えた環倫一郎に対して「推理が外れたほうが正しい推理をした人物に一発殴られること」という勝負を持ちかける。

ユルゲン=バーナー (ゆるげんばーなー)

ミシガン湖の波止場に事務所を構える会社で働いていた男性。業務の一環でもある夜間の見回りに出かけたところをロス=ランドーに狙われ、事故を装ってコンテナもろとも湖に沈められて殺された。

ホーガン

ユルゲン=バーナーが死亡した事件を担当した刑事。ロス=ランドーが運転を誤りコンテナに激突した原因を調べるうちに、事故の原因を作り、間接的にユルゲンを殺したのはダン=ルロイだと断定。彼を連行した。

ロス=ランドー (ろすらんどー)

ユルゲン=バーナーやダン=ルロイと同じ職場で働く男性。事故に見せかけてユルゲンを殺した張本人。職場を密輸の取引現場として利用しており、それをユルゲンに見咎められたために殺害を思い立つ。また、事故の原因を作ったのがダンであるように誘導し、罪の追及を逃れようと画策した。

ダン=ルロイ (だんるろい)

ユルゲン=バーナーやロス=ランドーと同じ職場で働く男性。リーゼントの髪型に肩に刺青を入れており、過去に暴行や傷害などの罪に問われたこともある。その素行の悪さと生い立ちから、ロスに車に細工をされ、ユルゲンが死んだ事故の原因を作った人物として仕立て上げられてしまう。

キム=ルロイ (きむるろい)

ダン=ルロイの姉。弟がしでかした事故の話を聞き、その無実を証明しようと環倫一郎に事故鑑定を依頼した。事故の話を聞くためロス=ランドーを訪ねたところ、偶然にも密輸取引の現場に居合わせてしまい、事件に巻き込まれてしまう。

ホームレス

ロス=ランドーらが働く倉庫の事務所付近をねぐらにしているホームレスの老人。ユルゲン=バーナーが死亡した瞬間にもその場に居合わせており、目撃こそしていないが事故の状況を知っている。

ニコラス=ヒル (にこらすひる)

ラルフ=カレンバーグの勤務していた会計事務所の所長。今の事務所からラルフが独立するという話を受け、自分の顧客が取られるのを恐れて、事故に見せかけてラルフを殺害する。

ラルフ=カレンバーグ (らるふかれんばーぐ)

ニコラス=ヒルが経営する会計事務所で働いていた男性。独立し自分の事務所を構えるところだったが、ニコラスの企みによってバイクの事故で命を落とした。生前はプロ級のライダーだったことから、娘のパトリシア=カレンバーグはその死に疑問を持つことになる。

パトリシア=カレンバーグ (ぱとりしあかれんばーぐ)

ラルフ=カレンバーグの娘。ラルフの死因について、ラルフが運転を誤ったとはどうしても信じることができず、環倫一郎に事故鑑定を依頼する。

ブラッドリィ=ライツ (ぶらっどりぃらいつ)

アンディ=ケイブと共に金属を使った絵画を創作し、絵画展を開催することになっていた芸術家の男性。才能に富み社交性も高く、周りから高い評価を受けているアンディを妬み、事故を起こすように仕向けて殺害した。

アンディ=ケイブ (あんでぃけいぶ)

ブラッドリィ=ライツと共に金属を使った絵画を創作し、絵画展を共同開催することになっていた芸術家の男性。芸術家ながら非常に人当たりの良い人物で、周囲から尊敬を集めていた。しかし、友人と思っていたブラッドリィの策略により、事故を起こし死亡する。

フレディ=ブロシェ (ふれでぃぶろしぇ)

女優のクレア=ウィーストのエージェントであり、籍は入れていないものの人生のパートナーだった初老の男性。バイクを運転している最中、隣を走行するトラックに巻き込まれて死亡してしまった。

クレア=ウィースト (くれあうぃーすと)

世界的に有名な女優。エージェントであるフレディ=ブロシェとはプライベートでも良い関係だったが、ストレスを抱えており、「少しだけ転んで痛い目に合えばいい」という想いから、フレディが乗るバイクのガソリンを抜くという暴挙に走る。結果、それがフレディを死に至らしめてしまったが、女優のスキルを生かして罪から逃れようとする。

マイク=リャン (まいくりゃん)

ゲイリーが死亡させてしまったとされている中国人の青年。酔いつぶれたためタクシーを呼ぶものの、彼の状態を見たタクシーの運転手、ゲイリーに乗車拒否をされてしまう。そのことに激昂し、走行中のタクシーにしがみつくも振り切られ転倒。その後死亡する。

ゲイリー

15年前に、マイク=リャンを誤って死亡させたとして業務上過失致死に問われてしまった老年男性。裁判で判決が下った後、ヘンリーに嫌がらせを受けたうえ、余罪にも問われ、事故後10年もの間刑務所で暮らすことになった。現在はほとんど意識も取り戻さない危篤状態になっているが、人生がめちゃくちゃになった当時の事件についてうわ言のように「自分は悪くない」と繰り返す。 ユマ=ハントの祖父。

ユマ=ハント (ゆまはんと)

ゲイリーの孫娘。まだゲイリーが健在だった頃、ゲイリーが話していた事故の真相を信じ、その真実を明らかにするべく、環倫一郎を訪ねてくる。依頼費は1年分の小遣いを貯めたもので、倫一郎がざっと見たところ35ドル程度。

ヘンリー

ゲイリーがマイク=リャンを死亡させたとされる事故で、ゲイリーが振り切った後のマイクをさらに轢いてしまった男性。ゲイリーを相手どった裁判では、ヘンリーが轢いた時にはマイクがすでに死亡していたとして、罪に問われることはなかった。現在は小さな診療所を営んでおり、金を持っていない患者でも看てくれると周囲から絶大な尊敬を集めている。

ショーン=レンフロ (しょーんれんふろ)

たった1冊の小説が驚異的な売り上げを誇り、一躍億万長者に上り詰めた小説家の男性。買ったばかりの車に乗り、視界の悪い夜間の雪道を高速で走っていたため、道路に横たわっていた酔っ払いに気づかず轢いてしまう。非常に気が弱く他人に依存する癖があり、事故の後もサラ=ホワイティにすがりついた。

サラ=ホワイティ (さらほわいてぃ)

ショーン=レンフロが売れない小説家であった頃からのファンで、現在は彼の秘書を務めている女性。ハイスクール時代のクリスティーナ=レイトンの同窓生でもある。事故を起こしたショーンの罪を自らかぶり、警察に出頭。その後もショーンの身を案じて自供を翻そうとはしなかった。

チャーリー=ブランド (ちゃーりーぶらんど)

サラ=ホワイティが起こしたとされる事故を担当した警察官。警察ながら非常に自堕落かつ横暴な性格。事故についてはろくに調べもせずに簡単な現場検証とサラの自供のみで一件落着させ、その後環倫一郎らが鑑定をしているところへも飲酒運転で登場した。

リーアム=コリンズ (りーあむこりんず)

環倫一郎が18歳の頃に出会った男性で、その恩人ともいえる人物。その昔、「Gモーターズ」という自動車メーカーで開発主任をしていた。車への豊富な知識を持ち、それを活かした精度の高いドライビングを実践できる力から、周囲からは「ドクター」と呼ばれていた。若い頃の倫一郎の荒いドライビングテクニックを諌めつつも、その技術を認めてレーサーへ転向するきっかけを作った。 現在は「コリンズ自動車工場」という会社の代表になっているが、経営不振によってマイケル=マクレガーから破綻か会社の身売りかの二択を迫られる状況に陥っている。

マイケル=マクレガー (まいけるまくれがー)

リーアム=コリンズや環倫一郎が「Gモーターズ」で働いていた頃の同僚。現在は別の会社で働いており、経営が傾いたリーアムの会社運営を自身が勤務している会社に委ねるように、と話を持ちかける。リーアムと過去に関係があったグレン=ポスルスウェイトと交際しており、交渉の場にも連れてくるが、その帰り道にグレンの運転する車で事故に遭う。

グレン=ポスルスウェイト (ぐれんぽするすうぇいと)

マイケル=マクレガーの交際相手であり、リーアム=コリンズが過去に愛した女性。マイケルとリーアムの話し合いの場にも同席し、結婚する予定であることを打ち明ける。その帰り道で運転中に居眠りをしてしまい、事故を起こして死亡した。

ジョン=ゴンザレス (じょんごんざれす)

「コリンズ自動車工場」で働く青年。両親は既に亡くなり、時に厳しく、時に家族のように暖かく接してくれたリーアム=コリンズのことを親のように思い、恩義を感じている。マイケル=マクレガーとグレン=ポスルスウェイトの事故の真相に気づいているが、リーアムの身を案じ、環倫一郎にもその話を隠している。メキシコにいとこがおり、小さな自動車工場を経営している。

ギャリー=ピーターズ (ぎゃりーぴーたーず)

エド=フライシャー、デミ=ロネリ、アンヌ=ビラルと友人関係だった男性。なかでもデミとは結婚の約束をしており、それを他の2人には打ち明けられないでいた。4人で外出した際、車を運転中に対向車線に飛び出して大型トラックと衝突。助手席に乗せていたデミと共に死亡した。事故の半年前までアンヌと3年間にわたって交際していた。

デミ=ロネリ (でみろねり)

ギャリー=ピーターズ、エド=フライシャー、アンヌ=ビラルと友人関係だった女性。なかでもギャリーとは結婚の約束をしており、他の2人に打ち明ける機会を伺っていた。4人で外出した際、ギャリーの運転する車の助手席に同乗しており、不運な事故で命を落とした。

エド=フライシャー (えどふらいしゃー)

ギャリー=ピーターズ、デミ=ロネリ、アンヌ=ビラルと友人関係だった男性。非常に大きな体格をしており、直情的な性格。4人で車で外出していた際、ギャリーとデミが結婚する予定であったことを耳にし、いきなりギャリーにレースをけしかける。その直後、ギャリーの乗る車とトラックが衝突した事故の目撃者となる。

アンヌ=ビラル (あんぬびらる)

ギャリー=ピーターズ、デミ=ロネリ、エド=フライシャーと友人関係だった女性。4人で車で外出している最中、ギャリーの「ガソリンを入れたい」という希望を聞き、ガソリンスタンドの喫茶席を確保しておくと先行。その直後、ギャリーとデミは事故に遭って帰らぬ人になった。事故に関してエドが何かを隠していることを察し、環倫一郎に事故の鑑定を依頼する。

マージョリー

アンヌ=ビラルら4人が行きつけにしている「マージョリー・ダイナー」の女主人。手作りのタルト「タルト デラ ノンナ」はこの店でしか味わえない一品として高い評価を得ており、アンヌは環倫一郎のもとにこのタルトを毎回差し入れ、依頼を聞いてもらった。そこそこの年齢だが、まだ独身。

ウィル=キルボーン (うぃるきるぼーん)

ロサンゼルス市警に勤務している警官。車を運転しているときにローラ=アトキンズと接触してしまうが、我が身かわいさに警察官という立場を利用し、その事実を隠ぺいしようとする。

ジェームズ=ゴーラン (じぇーむずごーらん)

ロサンゼルス市警に勤務している警官。役職は警部。ローラ=アトキンズが死亡した事故の調査を担当する。その調査の中でウィル=キルボーンがローラを轢いたという目撃証言もあり、また事故現場に落ちていた塗膜片とタイヤのスリップ痕がウィルの車種と一致することを知りつつも、同じ警察官という立場からウィルの証言を全面的に信用する素振りを見せる。 非常に職務に忠実な性格で、ウィルの化けの皮がはがれた時には厳格な一面を見せた。

ローラ=アトキンズ (ろーらあときんず)

事故の被害に遭った女性。スーパーからの買い物帰り、道路を横断中にウィル=キルボーンの運転する車に轢かれてしまった。轢かれた当時にコンパクトミラーを所持しており、これが事件解決のきっかけとなる。

スキート=ラパポート (すきーとらぱぽーと)

ケンカ、恐喝、窃盗などで幾度となく警察のお世話になっている札付きの不良少年。父親のマシュー=ラパポートと親子ゲンカをしてバイクで家を飛び出した後、チャールズ=スミスの運転する車と接触事故を起こす。相手側の有責を主張するが素行の悪さや、相手の弁護士がやり手のため受け入れられないことに不条理を感じている。

マシュー=ラパポート (ましゅーらぱぽーと)

スキート=ラパポートの父親。中古車販売のセールスマンをしており、息子と違って大人しく柔和、悪く言えばはっきり物が言えない気の弱い性格。相手側の有責を主張する息子に対しても「事故で記憶に齟齬があるかもしれない」と全面的に信用する素振りを見せない。

チャールズ=スミス (ちゃーるずすみす)

スキート=ラパポートの運転するバイクと接触事故を起こした青年。非常に気が弱く、スキートに詰め寄られただけで涙目になってしまうほど。地元で力を持つ市議会議員ジェーソン=スミスの息子であり、事故の処理はジェーソンの伝手に頼りきりで、自分からは何も語ろうとしない。

ジェーソン=スミス (じぇーそんすみす)

チャールズ=スミスの父親で地元の有力者に何かと顔が利く市議会議員。スキート=ラパポートとチャールズの事故で、チャールズ側が悪いとなれば自分の経歴に傷が付くと、さまざまな根回しをする。

トリニ=リンスキー (とりにりんすきー)

サンフランシスコ市警に勤める女性警察官。役職は警部補。流れるような金髪を持つ見目麗しい美女だが、その眼光は鋭く、誰も寄せ付けないほどきつい性格から「鉄の処女」と言われている。強い正義感の持ち主で相手が誰であろうと自分の掲げる正義に基づいて対応する。スキート=ラパポートが事故を起こした事件では、上層部からの圧力により、表向きは環倫一郎に敵対しながらもアドバイスや新情報を引き出し、チャールズ=スミスに事件の真相を自白するよう仕向けた。 またこの一件以来、なにかと倫一郎に縁があり、淡い想いを寄せるようになる。

マイヤー=ネグザード (まいやーねぐざーど)

カリフォルニアに居を構える大企業グループ「ネグザードグループ」のトップ。自社の所有する車両が事故を起こした際に警察よりも早く駆けつけ、しかもその場を封鎖して警察に検証をさせないほどの実力と権力を持つ。事故の真相はどうあれ、必ず自社に責任がないように取り計らうだけの力があり、今回の事故でもそれを強引に納得させようとしている。

ローラン=ヒル (ろーらんひる)

テレンス=ブドローの運転するバスに後ろから追突してしまったトラックの運転手。自分にまったく非がないことをなんとか主張しようとするも、テレビの取材ではまるで自分が悪かったと言ったように映像を編集され、家には日がな一日迷惑電話がかかってくるなどの嫌がらせを受けている。身重の妻がおり、彼女に何かあったらと怯えて自分からはあまりアクションを起こせないでいる。

テレンス=ブドロー (てれんすぶどろー)

大企業グループ「ネグザードグループ」の関連会社でバスを運転している男性社員。メキシコへの研修旅行の帰りに、何か思いつめた表情でハンドルを握り、ローラン=ヒルの運転するトラックの前に突然飛び出し、転倒事故を起こす。マイヤー=ネグザードが事実とは異なることを主張しているのは知っているが、「事故の際に頭を打って記憶が混濁している」として何も話そうとしない。

フランク=ラドリック (ふらんくらどりっく)

テレンス=ブドローとローラン=ヒルが事故を起こしたときに真後ろで運転をしていた事故の目撃者。クリスティーナ=レイトンから事故の状況を聞かれ、「真実を話してヒーローになりたい」と喜んで協力する。しかしその後、自宅で死亡しているのが発見された。

ランディ=フリーマン (らんでぃふりーまん)

環倫一郎の友人の一人。過去に草レースのレーサーだった頃からの付き合いで、気の置けない仲だった。夜勤からの帰り道、既に死亡してしまったホワイト=ネールの遺体に乗り上げたことで、轢き逃げ事件の犯人として容疑をかけられる。娘のショーン=フリーマンの身の安全と引き換えに自白を強要され、犯行を自認。その後、人生を悲観して自殺する。

ショーン=フリーマン (しょーんふりーまん)

ランディ=フリーマンの一人娘。ランディとタッグを組んで、環倫一郎らとバスケットボールに興じるほど活発で明るい少女。ランディと別れた妻の間で親権の裁判が行なわれていたが、ランディに親権が渡り一緒に暮らしていた。親子の仲は非常によく、轢き逃げ犯の容疑をかけられたランディのことを信じていたが、最悪の結果に終わり、倫一郎にすがりつく。

ホワイト=ネール (ほわいとねーる)

何者かに酒を浴びるほど飲まされた挙句、走行する車の前に自ら身を投げ出し死亡した男性。その後、遺体をランディ=フリーマンの車の前に放り出され、事故を偽装するために使われた。

アナコンダ

ランディ=フリーマンの轢き逃げ事件の取り調べを行なった警察官。ちなみに「アナコンダ」はあだ名で、本名は不明。かなり厳しい取り調べを行うことで知られており、ジェームズ=ゴーラン警部をして、アナコンダが取り調べを行えば、締め付けられて犯行を自供するのは時間の問題とまで言わしめるほど。

マイクル

クリスティーナ=レイトンのハイスクール時代の後輩で、現在もその名を轟かせるプレイボーイ。環倫一郎に想いを寄せるエルジャ=フォーリーを見て、危機感を覚えたクリスティーナが男性恐怖症克服のためとしてエルジャに紹介した。エルジャと一緒にマウンテンバイクでツーリングに出かけるも、その先で事故に遭う。

ドニー=クレイ (どにーくれい)

マイクルの乗ったマウンテンバイクと接触事故を起こした男性。実はマイヤー=ネグザードに雇われた人物で、マイクルではなくエルジャ=フォーリーを狙って事故を装い犯行に及んでいた。

ランジェロ=パメイ (らんじぇろぱめい)

大企業グループ「ネグザードグループ」傘下の警備会社「トリマティ」で部長を務める男性。マイヤー=ネグザードの下知で、ドニー=クレイにエルジャ=フォーリーを襲わせた。

ジョエル=クーパー (じょえるくーぱー)

ニコラス=クーパーの父親。経営していた会社が経営不振に陥るも、家族のために粉骨砕身して頑張ろうと決めていた帰り道、突然飛び出したハインツの車に驚いてハンドル操作を誤り、海に転落。そのまま死亡してしまった。

ニコラスの母

ニコラス=クーパーの母親で、死亡したジョエル=クーパーの妻。夫の突然の死に困惑する最中、ニコラスが連れてきた環倫一郎に事故鑑定を託す。しかしその後、ジョエルが加入していた保険会社のひとつ「キルティング生命保険」の保険調査員らに言いくるめられ、倫一郎が金目当ての交通事故鑑定人ではないかと思いこむようになる。

ニコラス=クーパー (にこらすくーぱー)

ジョエル=クーパーの一人息子。以前に環倫一郎が担当した事故で知り合いになったユマ=ハントの友人で、ユマから倫一郎の話を聞いて、ジョエルが死んだ事故の鑑定をしてもらうためにコンタクトをとる。保険金が支払われなくてもジョエルの借金は自分が返すと豪語したり、環倫一郎から真実が都合の良いものとは限らないと言われても、真実が明らかになればそれでいいと返すなど、強い心を持っている。

ハインツ

マイヤー=ネグザードに雇われた殺し屋。ジョエル=クーパーがいつも通る帰り道に工事中の看板を置き回り道をさせたうえで、ジョエルの運転する車の前に突然飛び出し、事故を誘発させた。雇い主のネグザードに対してもまったく態度を変えることなく、独自の価値観を持っており、何を考えているか分からない謎の人物。

アイアンズ

大企業グループ「ネグザードグループ」の傘下である「キルティング生命保険」の保険調査員をしている男性。保険に加入しているジョエル=クーパーの保険金調査をしたうえで、自殺と断定。保険金が支払われないように仕向けた。また、事故の鑑定をする環倫一郎に対し、周囲の人間を言いくるめてマイナスイメージを植え付けるよう画策する。

マーク=テンプル (まーくてんぷる)

マイヤー=ネグザードに命令され、環倫一郎を襲った人物。一人で事故鑑定をしていた倫一郎に背後からバイクで襲いかかり、重症を負わせた。環倫一郎は一命を取り留めたものの、目撃者はハインツのみだったため、まんまと逃げおおせ、再度襲う機会を狙っている。

ジョエル=ブラッスール (じょえるぶらっすーる)

南カリフォルニア大学で教授を務める壮年の男性。路地を歩いていたデメトリオ=セバリョスと接触し、死亡させてしまう。れっきとした事故だったが、コネのあるテディ=西本を抱え込み、目撃者である石田ミドリとサユリの証言を誘導。罪から逃れようとする。

デメトリオ=セバリョス (でめとりおせばりょす)

事故の被害者の少年。路地を歩いていたところ、ジョエル=ブラッスールの運転する車に後ろから轢かれ、壁に頭を打ち付けそのまま死亡してしまった。

石田 ミドリ (いしだ みどり)

ジョエル=ブラッスールが起こした事故の一部始終を目撃した2人の女性のうち一人。明るい色のロングストレートの髪が特徴。事故の目撃者として事情聴取を受けるも、日本語での証言が聞きとってもらえず四苦八苦していた。その時テディ=西本に声をかけられ、まんまとジョエルに有利な証言をするよう誘導されてしまう。のちに再度環倫一郎の世話になる。

サユリ

ジョエル=ブラッスールが起こした事故の一部始終を目撃した2人の女性のうち一人。黒髪のボブカットにメガネをかけているのが特徴。石田ミドリよりは堪能であるが、あまり英語が得意ではなく、事故の目撃者として事情聴取を受けるも、日本語での証言が聞きとってもらえず四苦八苦していた。その時テディ=西本に声をかけられ、まんまとジョエルに有利な証言をするよう誘導されてしまう。

テディ=西本 (てでぃにしもと)

ロサンゼルス市警で働く若い警察官。祖父に西本民という日本人を持ち、流暢な日本語を話すことができる。その語学スキルと端正な顔立ちを武器に、石田ミドリやサユリに取り入り、うまく話を誘導してジョエル=ブラッスールにとって有利な目撃証言をさせようとした。

マーク=ブローリン (まーくぶろーりん)

クリスティーナ=レイトンのハイスクール時代の恩師。頑固一徹を絵に描いたような性格で、生徒たちにも一切の妥協を許さず厳しく当たる指導方針から、生徒たちに「アイアン・ヘッド」と呼ばれている。プライベートで耕運機を運転している際に、キース=リオッタの運転するバイクと接触。車から転落し、頭を打ち付けて意識不明の重体に陥る。

キース=リオッタ (きーすりおった)

マーク=ブローリンと同じ学校で教鞭を執る若い男性。とあることでブローリンから再三注意を受けており、衝突している。それを逆恨みして耕運機を運転するブローリンにバイクで接近、脅かそうとするが運転を誤って激突。ブローリンが意識不明であることをいいことに、自分に都合のよい事故の証言をする。

サンディ

マーク=ブローリンやキース=リオッタの教え子であり、キースと深い関係にある女生徒。キースとの事故でブローリンが重体の怪我を負ったことを気に病んでいる。

マーク=グローバー (まーくぐろーばー)

ダグラス=グローバーの弟で事故の当事者。車を運転していて左折しようとしたところ、反対車線から走ってきたダグラスのバイクと衝突。怪我を負わせてしまう。マーク自身が過去に傷害などの前科がある乱暴な人物で、グローバー家では遺産相続問題でもめていた時期だったため、ダグラスを故意に殺害しようとした疑いがかけられている。

ダグラス=グローバー (だぐらすぐろーばー)

マーク=グローバーの兄で事故の当事者。黄信号の交差点に突入したところ、マークが運転する車と接触。命に別状はなかったものの、頭に受けたショックで事故当時の記憶を思い出すことができないでいる。事故については周囲の反応や警察の見解からマークの責任が重いと考え、決着を見た後はマークを家から正式に追放しようと考えている。犬を見ると大声をあげて取り乱すほど苦手。

マーガレット=グローバー (まーがれっとぐろーばー)

マーク=グローバーとダグラス=グローバーの祖母。かなり耄碌しており、まともな会話ができないが、孫たちがまだ子供の頃によく聞かせた北欧に伝わる童話をよく諳んじる。

ピーター

ダグラス=グローバーの秘書を務める男性。グローバー家の遺産相続問題やマーク=グローバーの処遇について取りまとめており、事故に関する警察の実況見分からマークが故意に事故を起こしたと断定。一家から追放するようダグラスに提言する。

深町 (ふかまち)

過去に環倫一郎が所属していた走り屋チーム「レッドマグナムズ」に、倫一郎と入れ替わりに近い形で加入した走り屋の男性。現在は前線から身を引いているが、それでも「奥多摩最速の男」と呼ばれている。今は妻の働く幼稚園のバスの運転手を務めている。倫一郎は、この深町の名前を騙る何者かから連絡を受け、日本に帰ってくることになった。 倫一郎の走りに憧れており、彼を前にした時には本人かどうか確かめるため、峠でのバトルを申し込んだ。

竹本 (たけもと)

走り屋チーム「レッドマグナムズ」と敵対している走り屋チーム「デモン・インパルス」に所属している男性。幼稚園のバスの運転をしている深町に因縁をつけようと自転車で横づけをするが、運転を誤って接触。足の骨を折る怪我を負い、その責任を深町になすりつけようとする。過去に深町と公道レースでバトルした際、愛車を廃車にするほどの大敗北を喫しているが、深町はまったく覚えていなかった。

岬 海人 (みさき かいと)

過去に環倫一郎と同じ走り屋チームに所属しており、ライバルといわれるほど卓越したドライビングテクニックを持った男性。また、倫一郎と共に岬月子という女性に想いを寄せており、恋のライバルでもあった。その後、トラックの運転手として生計を立てていたが、高速道路で中央分離帯を大きく割って、反対車線の側壁に激突するという大事故を起こし、死亡した。

岬 月子 (みさき つきこ)

過去に環倫一郎と知り合いだった女性。倫一郎が海外に旅立ってからは岬海人の想いを受け入れて結婚。海人が交通事故で死亡したことを倫一郎に知らせ、また倫一郎が海外に旅立つきっかけを作ったのが海人であることを告白するため、コンタクトを取った。

脇坂 智津夫 (わきさか ちずお)

過去に走り屋としての環倫一郎を逮捕しようと追い詰めた警察官。当時は巡査だったが、現在は警部補にまで昇進している。岬海人が死亡した事故についても知っており、居眠り運転による自損事故であったとしている。愛煙家で煙草に火をつける際は、どこにこすっても火がつけられるマッチを愛用する。

冬村 勝彦 (ふゆむら かつひこ)

有力な政治家やヤクザをバックに幅を利かせている金融会社の社長。環倫一郎や柴田雷平とは過去にボクシングの試合で対戦したことがある。特に倫一郎との試合では乱闘騒ぎになったこともあり、その試合がきっかけで環倫一郎はボクシング部を退部した。柴田の教え子である倉持栄二と事故を起こし、死亡させた。しかし目撃者がいなかったため、そのまま罪を逃れようと嘘の証言をする。

柴田 雷平 (しばた らいへい)

環倫一郎の高校時代の同期で同じボクシング部に所属していた男性。浅黒く日焼けした肌に髭面が特徴。現在は母校のボクシング部で顧問をしているが、教え子である倉持栄二が冬村勝彦との事故で死亡。因縁のある冬村と対面し複雑な心境ではいるが、激昂した沢山壮太を制止したり、理性的な一面を見せる。

沢山 壮太 (さわやま そうた)

冬村勝彦との事故で死んでしまった倉持栄二と同じボクシング部に所属する男子生徒。柴田雷平いわく、ボクシングの才能に溢れる天才肌で才能だけなら環倫一郎と同等だという。自分が事故で死亡させた倉持に追悼の念も見せず、あまつさえ自分たちを挑発する冬村に食ってかかる。

倉持 栄二 (くらもち えいじ)

冬村勝彦との交通事故で死亡してしまった男性生徒。柴田雷平の教え子で沢山壮太と同じくボクシング部に所属していた。事故当時は、沢山に見せるためのボクシングのビデオを取りに家に帰っており、学校に向かう途中だった。

平葉 (ひらば)

出版社で働くサラリーマンの男性。激務で疲れており、仕事の帰り道、赤信号で停車したままウトウトしていたところを石田ミドリに追突され、ムチウチの怪我を負った。ミドリとは初対面から淡い好意を寄せあっていたが、お互いの意見の食い違いから衝突してしまう。

(ぬま)

牧原真也と同じ自動車工場で働く男性。自他ともに認める車好きで、牧原が尊敬する人物でもあった。しかし、自動車開発の方向性が違ったため、エンジニアから人事部への異動が決まっており、牧原にそのことを告げられる。その後、ある日の通勤中に、自転車で通勤する牧原を見て、衝動的に轢いてしまう。

牧原 真也 (まきはら しんや)

沼と同じ自動車工場で働く男性。環倫一郎の古い友人でもあり、倫一郎いわく、天才肌で変わったところのある人物。尊敬していた沼に人事部への異動を告げた後日、沼の車に追突され、短期記憶ができなくなる後遺症を負う。浅野理奈とは婚約まで交わした関係。

浅野 理奈 (あさの りな)

牧原真也の婚約者の女性。事故が起きる前に牧原からプロポーズをされ、幸せの絶頂にいたが、沼との事故によって短期記憶ができなくなった牧原の様子に困惑。今後の関係について思い悩む。

環 佐江子 (たまき さえこ)

環倫一郎の妹。血のつながった妹ではなく、倫一郎の母親が環佐江子の父親と再婚した際に家族になった父親の連れ子。現在はテレビリポーターとして活躍しており、「因果応報!悪徳殲滅!」を合言葉としてさまざまなスキャンダルに深く切り込む強気なスタイルで人気を博している。しかし、これはあくまでメディア用のキャラ作りであり、本心ではキャラ作りを含めて不安を抱えている。 ある日収録に向かって車を運転中、道路を横切った自転車の女性をはねて、重体に追い込んでしまう。

穂高 勝 (ほだか まさる)

環佐江子のマネージャーを務める男性。強い癖っ毛に丸いメガネをかけ、気が弱い性格。佐江子にはことあるごとにあごでこき使われているが、本人はそんな佐江子の強い姿に憧れを抱いており、同時に好意も寄せている。

佐江子のファン (さえこのふぁん)

熱狂的な環佐江子のファンの一人。佐江子の追っかけをしており、プライベートにまで踏み込んでつけ回す。佐江子が事故を起こした際もその一部始終を目撃しており、それをネタに脅しをかける。

チャールズの母親 (ちゃーるずのははおや)

チャールズ=スミスの母親。チャールズとスキート=ラパポートが起こした事故以来、芋づる式に悪事がばれて元市議会議員であり夫でもあったジェーソン=スミスが失踪。以後は体調を崩し、入院している。事故の後、息子の友人になったスキートのことを信じ、チャールズとスキートが起こした2度目の事故に関してスキートのことをかばう。

ハリー=スタントン (はりーすたんとん)

サンフランシスコ市警で働く警察官。チャールズ=スミスとスキート=ラパポートが起こした自損事故の担当をしている。スキートの過去の行いとチャールズらの友人の証言から、事故を起こしたバイクを運転していたのはスキートだと断定し、目の敵にしている。部下の警察官によればちょうど反抗期の息子がおり、不良少年に対しては特に厳しく当たるという。

フランク=ウィドマーク (ふらんくうぃどまーく)

サンフランシスコ市警に勤務する若く目鼻立ちの整った褐色の男性。独身。署内でもとびぬけて腕が立ち、ルックスは映画スター顔負けと評されており、女性ファンが多い。当の本人は同僚であるトリニ=リンスキーに熱い想いを寄せており、猛烈なアピールをしているものの、まったく相手にされていない。

トニー

フランク=ウィドマークが懇意にしている情報屋の男性。きついウェーブのかかった長い髪に、瞼が厚ぼったくいつも半開きのように見える目が特徴。野暮ったい見た目とは裏腹に情報屋としての腕は確かで、フランクの依頼を受け、次々と情報を仕入れてくる。

ディノ=ランティス (でぃのらんてぃす)

何者かに依頼され、トリニ=リンスキーの両親が死亡した事件の再調査を始めたフランク=ウィドマークを、襲った男性。バイクに乗るフランクに車で追突し、殺そうとしたが失敗。しかしフランクが事故で記憶をなくしているのをいいことに、事故の原因をフランクになすりつけようとした。

クラウス=ラベントリー (くらうすらべんとりー)

サンフランシスコ警察署の署長。トリニ=リンスキーの父親であるアルフレッドとは下っ端の頃から一緒に捜査を共にした仲。今回フランク=ウィドマークが襲われ、さらにその実行犯であるディノ=ランティスが自殺したことを事件として捜査すべきと言うトリニに対し、正式に調査する辞令を出した。

ボーベット=リンスキー (ぼーべっとりんすきー)

トリニ=リンスキーの叔父。トリニの父親アルフレッドの兄弟にあたる。トリニいわく、アルフレッドとは最も仲が良い親族だったらしく、残された娘であるトリニがいまだに両親の死から抜け切れていないことを心配する。古美術商を営んでおり、そこそこ裕福な暮らしをしている。

チャイ=ルーン (ちゃいるーん)

偽札用原本作りの名人として、さまざまな組織から重宝されていた中国系アメリカ人。トリニ=リンスキーの父アルフレッドが亡くなる直前までその行方を探していた人物で、フランク=ウィドマークとトニーがその居場所にたどり着いたものの、既に何者かに殺されていた。

ローラ=トラヴァヨーリ (ろーらとらゔぁよーり)

イタリアンマフィア「トラヴァヨーリ一家」のボスの一人娘。愛車のバイクで走行中にクレイ=グレイが乗った車と衝突する事故を起こし、その事故鑑定を環倫一郎に依頼する。金に糸目をつけない性格で、依頼料として自身が所有するアルファロメオ156を譲り渡した。

クレイ=グレイ (くれいぐれい)

ローラ=トラヴァヨーリと衝突する事故を起こしてしまった男性。事故の直後、自分が飲酒運転だったことや運転ミスを全面的に認めるも、その後ローラのバイクの修理費が高額になると知るや態度を一変。裁判では、ローラの運転に非があったと意見を翻した。

レイモン=チャベス (れいもんちゃべす)

ロサンゼルス市警に勤務する警察官。クリスティーナ=レイトンが乗る車と接触事故を起こすも、自分の立場を利用して都合の良い事故に見せかけようとする。またそれを良しとしないクリスティーナの事故鑑定を再三に渡って邪魔しようとした。

アダム=ホーク (あだむほーく)

環倫一郎がカリフォルニア大学で教鞭を執っていたころの教え子。勉学に通じ、多くのロードレースで優勝を果たすほどの実力を持つ人物で、またクールな性格から女性のファンも多い。普通の人とは違った魅力を倫一郎に感じており、親睦を深めていく。

ラドホック=ダラボン (らどほっくだらぼん)

地元のギャング団に憧れている少年。ギャング団の不良たちから、ギャング団に加入する通過儀礼としてアダム=ホークを襲うように指示され、それに従う。結果的にアダムが死亡してしまうも、その事故の真相を語ろうとはしない。

Zカー乗りの男性 (ずぃーかーのりのだんせい)

環倫一郎、クリスティーナ=レイトン、ジェームズ=ゴーラン警部の3人で会食をしていた時、付近で事故を起こしてしまった男性。被害者の男性が搬送されて、その場にいないのをいいことに自分に都合の良い事故証言をするも、すぐさま倫一郎に見破られてしまう。そのことで精神的に追い詰められ、事故を起こしたフェアレディZにそのまま乗って逃走した。

フリックス=ステイラー (ふりっくすすていらー)

ジェームズ=ゴーラン警部が担当していた迷宮入り確実と噂された殺人事件の唯一の目撃者。事件の証言をする代わりに身の保証を約束する条件で、ゴーラン警部と共に警察署へ向かっていた。しかし、突然車のブレーキが利かなくなり、崖から転落。そのまま死亡する。

バル=バディ (ばるばでぃ)

ジェームズ=ゴーラン警部のポリスアカデミー時代からの友人で同僚。役職は警部補。フリックス=ステイラーが死亡した事故の原因であるゴーランが事故の担当から外されたため、代理で環倫一郎の事故鑑定につき従う。

ドン=トラヴァヨーリ (どんとらゔぁよーり)

ローラ=トラヴァヨーリとアル=トラヴァヨーリの父親で、イタリアンマフィア「トラヴァヨーリ一家」のボス。既に老齢で病気のため、自宅で臥せっており、起き上がって話すこともできない。しかし、息子のアルが事故を起こし、その鑑定を環倫一郎に依頼した際には、マフィアのボスという身でありながら倫一郎に直接会い、願いを口にした。

アル=トラヴァヨーリ (あるとらゔぁよーり)

ドン=トラヴァヨーリの一人息子。まだ思春期の少年で、地元の暴走族とつるんで暴走行為を繰り返している。ある晩、仲間と共に道路を暴走している最中、仲間のブレットの進路を塞ぐ形で突然進路を変えて衝突。事故の相手であるブレットを死亡させてしまったことを気に病み、事故の全責任が自分であるという自白を続ける。

ニコラ=ピッチオーニ (にこらぴっちおーに)

イタリアンマフィア「トラヴァヨーリ一家」と肩を並べるマフィア「ピッチオーニ一家」の一人息子。ドン=トラヴァヨーリに頼まれたローラ=トラヴァヨーリと共にドライブに出かける。実はまだ15歳であるにも関わらず、ローラの駆る車を運転したいと言い出し、さらには自損事故まで引き起こすも、警察にはローラが運転していたと言い張った。

アッシャー=ハグマン (あっしゃーはぐまん)

州知事選挙に出馬している政治家の男性。アメリカからスラム街をなくすという政策を掲げており、事実その実現に向けて努力を惜しまない姿勢を見せ、貧民層から絶大な支持を受けている。選挙演説の帰り道、車を運転していたところ、誤って幼い少年を轢き、死亡させてしまうが、秘書のパリー=レイモンドの提言で運転していたのは自分ではなくパリーだと嘘の証言をする。

パリー=レイモンド (ぱりーれいもんど)

アッシャー=ハグマンの第一秘書をしている女性で、カリフォルニア大学で環倫一郎が教壇に立っていた頃の教え子。またクリスティーナ=レイトンの同窓生でもある。アッシャーの理念に心から心酔しており、アッシャーが起こしてしまった事故を自分が起こしたことにすり替える。

エミリー=レイモンド (えみりーれいもんど)

パリー=レイモンドの母親。娘のパリーともどもアッシャー=ハグマンの政策や活動に深く賛同しており、またその努力を認めている。パリーが自殺したとみられる事件についても、家に届けられた遺書があることから、パリーが自殺したことを認める発言をする。

ダイアナ=ソーントン (だいあなそーんとん)

テレビリポーターをしている女性。視聴率のためには手段を選ばず、過激な突撃取材もためらいなく行なう非情さとバイタリティを持っている。ある日、運転中にハンドル操作を誤り、センターラインを割って、対向車線の車と正面衝突の事故を起こしてしまう。しかし、そのスリップ痕を見て事故の偽装を思い立ち、事故相手であるウィルに責任を押し付けようとしたばかりか、自分の起こした事故をメディアで報道し、視聴率アップを目論む。 さらに自分の正当性を主張するため、環倫一郎をも巻き込んだ。

ウィル

ダイアナ=ソーントンと事故を起こした少年。暴力事件を起こして高校を退学になってしまったほど短気な性格だが本性は悪人ではなく、事故後も自分のことより、ダイアナの怪我を心配していたほど。メディアの力で事実が捻じ曲げられようとしている中、自分一人の力ではどうにもならないと半ば自暴自棄になってしまっている。

ハッチンソン

事故を起こした当時、ダイアナ=ソーントンの後ろを走っていた初老の男性。ダイアナの車とはそれなりの距離が離れており、また事故の瞬間そのものを目撃したわけではなかったが、ダイアナの口車に乗せられて、それらしい証言をしてしまう。

ギャリス=ペン (ぎゃりすぺん)

ノートンやミック=チャップマンの悪友で、ビクセル=ペンの息子。父親の権威と金を笠に着ているお調子者。パーティーの帰り道に車を運転しているミックにふざけてビールをかぶせ、事故の原因を作ってしまった。

ノートン

ギャリス=ペンやミック=チャップマンの友人。時に無法を働くギャリスを諌めるなど非常にまじめな性格。ミックとは特に仲が良く、誠実な性格であるミックのことを親友と思っている一方、無神経なギャリスのことをあまり快く思っていない。そのため事故を起こした際に運転していたのはミックであることを覚えていながらも、ギャリスが運転していたことにしようと画策。 交通事故鑑定人のウォルフガング=N=バウワーを雇って、真実を捻じ曲げようとする。

ミック=チャップマン (みっくちゃっぷまん)

ギャリス=ペンやノートンの友人。女の子に話しかけても無視されてしまうほどルックスが良くない少年だが、誠実で真面目な性格をしており、非常に友人思い。乱暴者でやりたい放題のギャリスに対しても態度を変えずに接する。パーティーの帰り道に車の運転をしていたが、ギャリスにビールをかけられハンドル操作を誤って事故を起こした。 その事故の後遺症で事故当時の記憶を取戻せないでいる。

ビクセル=ペン (びくせるぺん)

ギャリス=ペンの父親で、かつて環倫一郎がレーサーだった頃にスポンサーを務めた男性。不動産王として社会的にも高い評価を得ている。ギャリスが乗った車の事故においては、ギャリスの証言を信じ、真相とは異なる結果が出ようとしている事故の鑑定を倫一郎に依頼する。

ウォルフガング=N=バウワー

ノートンに雇われ、環倫一郎とは別にギャリス=ペンたちが起こした事故の検証をした交通事故鑑定人。事故の真相が別のところにあるとは知りながらも、依頼人であるノートンが望む事故鑑定を行ない、ギャリスが運転し事故を起こしたように誘導しようとした。とある過去の経験から車社会そのものを憎んでおり、自身は車に乗らず、ロードバイクを愛用している。

フリント=リストン (ふりんとりすとん)

エルジャ=フォーリーが通う大学で工学の講義を受け持つ教授。妻子がある身でありながら、エルジャに言い寄るが、環倫一郎の登場によってすげなく断られる。しかし翌朝、その腹いせにエルジャの車と事故を起こし、エルジャの奨学金や単位の取得などを盾に、脅迫しようとする。

アンソニー=シェリフ (あんそにーしぇりふ)

環佐江子が起こした事故の担当をした若い刑事。事故現場の検証は甘く、状況を見てすぐに佐江子を連行したり、また環倫一郎に事故状況の説明を求められても「めんどうくさい」と発言するなど、あまり誠実とは思えない態度を取る。しかし倫一郎が有名な交通事故鑑定人その人であることが分かると捜査に協力的になった。

アルテミス

殺人、強盗、麻薬取引に臓器売買などありとあらゆる悪行を尽くし、指名手配もされているプロの女殺し屋。環佐江子らがドクター・コーワンとの取引現場をわざと押さえたと勘違いし、佐江子の事故の原因を作った。その後も自分たちが映っているはずのビデオテープを取り戻すために佐江子をつけ狙う。

ドクター・コーワン (どくたーこーわん)

アルテミスと取引をしていた男性。かねてより臓器売買の疑いがかけられていたが決定的な証拠がなく、警察が動けないでいた。環佐江子らが偶然撮影したビデオテープと本人の自供が証拠となり、逮捕される。

グリーン=ロッテンマイヤー (ぐりーんろってんまいやー)

人気ヘアーデザイナーとして有名な男性。ネリー=フロックを助手席に乗せて運転している最中、わいせつ行為を働こうとしたが、ネリーが暴れてこれを拒否したため、ハンドル操作を誤って自損事故を起こしてしまう。自分の無実を主張し、買収してそれを証明してもらうために環倫一郎事務所を訪れる。しかし、倫一郎が不在だったため、クリスティーナ=レイトンに鑑定をしてもらうことになった。

ネリー=フロック (ねりーふろっく)

グリーン=ロッテンマイヤーが事故を起こした際、助手席に乗っていた女性。ロッテンマイヤーのことを尊敬しており、スタジオで働かせてもらうことを喜んでいたが、酒を飲まされわいせつ行為を働かれたことで決別。事故の真相を明らかにするため、ウォルフガング=N=バウワーに事故鑑定を依頼した。

ジョン

アレックスの友人で、コネリーの教え子。コネリーとアレックスの事故現場に居合わせており、コネリーに言われて警察を呼びに行った。またその後、警察に聞かれて現場の証言もしている。

アレックス

ジョンの友人でコネリーの教え子。ジョンと2人で山道を自転車で走行中、コネリーの車にはねられ、そのまま死亡してしまった。

コネリー

ジョンとアレックスが通う学校で働く女性教師。仕事帰りに山道を運転している最中、すれ違ったジョンに目を取られている間に、アレックスが車の正面に迫っていることに気づかず、そのまま激突。その命を奪ってしまった。

アレックスの父親 (あれっくすのちちおや)

アレックスの父親。アレックスがコネリーにはねられて死亡した事故で、どうしても警察の実況見分に納得がいかず、コネリーには更なる非があるのではないかと環倫一郎に事故鑑定を依頼した。

前川 (まえかわ)

深町の後輩の男性。深町に愛車でドリフトができるようになったと報告したすぐ後日に崖から転落して死亡。現場に残されたスリップ痕から警察に自殺ではないかと推測されてしまう。

藤堂 (とうどう)

ハイパーメディア企業「マグニフィセント」で働く男性。元々はただの一般社員だったが、上司に騙されて付き合った食事会で、副社長の一人娘である西川清子に見初められ、結婚するよう周りから固められる。他に付き合っている羽曳野という女性がおり、自分がどうすべきか悩み、考え事をしながらバイクで疾走していた際、深町の乗る車と事故を起こす。

羽曳野 (はびきの)

藤堂が現在付き合っている女性。元々東京で暮らしていたが、藤堂との将来を考えて神戸に引っ越してくるほど深い付き合いをしている。藤堂が副社長の娘に見初められたという話を聞き、その去就を決めかねる藤堂を見て悲しみにくれる。

西川 清子 (にしかわ きよこ)

藤堂が勤務する企業「マグニフィセント」の副社長の一人娘。見合いであることを知らずに食事をしに来た藤堂に一方的な好意を寄せ、立場を利用して強引に既成事実を作ろうとする。藤堂が事故を起こした際には連絡も入れずに病院に押し掛け、「ハンサムな顔に怪我がなくて良かった」と言ったり、病室に現れた羽曳野との関係を察し「結婚後は浮気は許さない」と発言するなど、少々暴走気味。

ルカ=ボレッティ (るかぼれってぃ)

環倫一郎がレーサーだった時代に同じくレーサーとして活躍した男性。倫一郎の悪魔的ドライビングテクニックがトラウマになっており、日々悪夢にうなされるような生活を送っていた。ある日、バン=レミックが乗ったバイクと接触事故を起こすが、その事故の現場を見て、個人的な恨みを持つ倫一郎を陥れる計画を思いつく。

ミーナ=フロック (みーなふろっく)

環倫一郎やマリオ=ラウレンティス、ルカ=ボレッティと友人関係にあった女性。特にルカとは幼なじみであり、彼の口添えからレースクイーンとしても活躍していた。マリオと結ばれ結婚するものの、直後にレース中の事故でマリオが帰らぬ人となり、それ以来心身を病んでしまう。現在はマリオが亡くなった後も献身的に支えてくれたルカと再婚。 病魔に身を蝕まれつつも穏やかな日々を過ごしている。

マリオ=ラウレンティス (まりおらうれんてぃす)

環倫一郎がレーサーだった時代の友人であり、ライバルだった人物。ルカ=ボレッティともレーサー仲間であり、ミーナ=フロックとは結婚したばかりだった。周囲から誤解されがちな倫一郎の実力を認めており、彼と誠実に向き合うことで心を通じ合わせる。しかし、レース中に倫一郎が披露したドライビングテクニックのあおりを受けるように事故を起こし、不慮の死を遂げた。

フレッド=ウィラード (ふれっどうぃらーど)

ルカ=ボレッティの秘書を務める男性。ルカが過去のトラウマに囚われ、環倫一郎に復讐する計画を立てていることを内心では良く思わないものの、その恩義から彼の言うことに従っている。

ドミトリー

ルカ=ボレッティいわく業界では多少名が知れた工学博士。ルカに依頼を受けて事故の相手であるバン=レミックに有利な事故鑑定を行う。「ふん」という口癖と禿げあがった頭を手で叩く奇妙な癖がある。

バン=レミック (ばんれみっく)

地元で幅を利かせるギャングの一人。オールバックに固めた髪と褐色の肌が特徴。サイドスタンドを立てたままバイクを走らせ、それに気を取られた一瞬の隙にセンターラインを割り込んで、ルカ=ボレッティの車と接触事故を起こした。その後、ルカから金を握らされ、口裏を合わせて環倫一郎への復讐に加担する。

ハビエル=レミック (はびえるれみっく)

バン=レミックの兄。つい最近まで刑に服していたが、出所することになった。地元のモーターサイクルギャングキッズ(暴走族のようなもの)から絶大な人気を集めるカリスマ的不良。たった一人で警察官40人を殴り潰したという伝説を持つ。

アンナ=バートン (あんなばーとん)

ファンからグラミー賞やMTV新人賞の受賞は間違いなしとまで噂される歌姫。非常にわがままで、テレビの生放送を抜け出してお忍びで街を散策するような性格。街を歩いている最中、同じく歩いていた環倫一郎とぶつかり、持っていたアイスの弁償として喫茶店でしこたまスイーツをおごらせる。エンジンをかけたままにしていたグロリア=フェーファーの車を拝借し、運転している最中、バイクとの接触事故を起こす。

グロリア=フェーファー (ぐろりあふぇーふぁー)

全米で話題のスーパーモデル。街で店に寄るために降りた車をアンナ=バートンに盗まれ、しかもその後に戻ってくるまでに早々に事故を起こされた不幸な女性。

ラトンガ

タクシーの運転手と事故を起こしたチンピラの男性。前をゆっくり走行するタクシーにしびれを切らし、追い抜こうとしたところで対向車にぶつかりそうになる。慌てて元の車線に戻るもコントロールが効かなくなり、事故を起こしてしまう。

タクシーの運転手 (たくしーのうんてんしゅ)

ラトンガの運転する車に後ろから追突された男性。事故の後、一貫して自分の無実を主張するも、それがラトンガの逆鱗に触れ、銃で撃たれて怪我を負う。

アントニオ=ララマーヤ (あんとにおららまーや)

ラトンガの雇い主で密入国を取り仕切っているブローカー組織のトップ。ラトンガが起こした事故について「部下の言葉は疑わない」と語っていた。環倫一郎のレーサー時代を知っているため、自分とレースをして勝てば、そちらの事故鑑定を聞くと宣言する。

レネ=ララン (れねららん)

地下レースに自社レーサーを輩出している女性。ルカ=ボレッティの下でレーサーを務めるカルロと内通し、レースを思い通りに掌握して、高額の配当金を得ようと目論む。

カルロ

地下レースでルカ=ボレッティが経営するチームの第一レーサーを務めた男性。レネ=ラランと内通してレース中にわざと事故を起こして退場。レースの結果を思い通りに運ぼうとしたが、環倫一郎の鑑定で自身の過失がばれてしまう。

ロジェ=カッセル (ろじぇかっせる)

ルカ=ボレッティがスポンサーを集めて買収したレースチームで、エースドライバーを務めていた男性。突然チームに加入した環倫一郎のことを「時代遅れのじじい」と呼び、どちらが本当のエースドライバーかを決めるため勝負を申し込む。

ジャン=ルイ=カラックス (じゃんるいからっくす)

パリで発祥し、全国的に高い人気を誇る世界的ファッションブランド「カラックス」の代表兼デザイナー。自分がこれまでに作品を作り上げてきたモチベーションが、モータースポーツで挑戦を続けるレーサーから受けたものであるとして、さらなるモチベーションを生み出してくれる人材を探すと宣言。ナスカーシリーズの「ハイペリオンカップ21」でその人材を確実に一人選び、そのレーサーのスポンサーになってル・マンへ連れて行くと広く喧伝した。

ビットリオ

ジャン=ルイ=カラックスが持つレーシングチーム「カラックス」のチーム監督。後ろまで禿げあがった頭髪ともみあげとつながった豊かなあごひげが特徴。スカウトされた環倫一郎が配属された際は歯牙にもかけない態度を取っていたが、アルベルトの事故を解決に導き、さらには慢心したアルベルトに警告するはっきりした倫一郎の物言いに印象を良くする。 以降は倫一郎のことを認めるようになる。

アルベルト

ジャン=ルイ=カラックスが持つレーシングチーム「カラックス」のメンバーの一人。チームメンバーらを乗せてマイクロバスで移動している最中、道路を横切る少女に気づき、急ブレーキをかける。すんでのところで少女を轢かずに済んだものの、直後に後続車から追突されてしまい、後続車の運転手が死亡。事故の責任を問われることになる。

ジョゼッペ=パガーニ (じょぜっぺぱがーに)

ジャン=ルイ=カラックスが持つレーシングチーム「カラックス」でメインメカニックを務める男性。老齢といっても差し支えないほどのベテランで、F1で優勝を果たし、現在最速といわれるレーシングドライバーであるトマス=ロッシジャーニの才能を見出し、育て上げた人物でもある。

リカルド

ジャン=ルイ=カラックスが持つレーシングチーム「カラックス」でドライバーを務める男性。語尾に「~つーの」と付ける特徴的な口癖がある。環倫一郎とセカンドドライバーの座をかけて、過去にF1レーサーたちが行っていたという伝統的な公道レース勝負に誘う。

トロイ=ラバーナ (とろいらばーな)

レーシングチーム「カエサル」に所属するエースドライバー。超一流のドライビングテクニックを持つが、「ヨーロッパでもっとも危険な男」と評されるほど残忍で狂暴な運転をすることからF1に出られないでいる。プライベートで運転している環倫一郎にちょっかいをかけ、一般人を巻き込んで事故を誘発させるような危険な運転をけしかける。

トマス=ロッシジャーニ (とますろっしじゃーに)

F1で2年連続のチャンプに輝いた世界最速の男。理論上最も速いが少しでも気を抜けばコースアウトしてしまうというギリギリのコース取りを難なくこなし、制御の難しいチューニングを施したレーシングカーもおもちゃのように扱う、天才的な実力を持つ。反面、プライベートでは人を人とも思わない傲岸不遜な人物。師弟関係にあったジョゼッペ=パガーニへの当てつけのように、ル・マンへの参戦を表明し、環倫一郎と対戦することになった。

由良 拓也 (ゆら たくや)

環倫一郎が出場するル・マンの解説を務める男性。本職は、「空力の申し子」と呼ばれるほどの腕を持つレーシングカーデザイナー。実在の人物、由良拓也がモデルで、本作『交通事故鑑定人 環倫一郎』に特別出演している。作中では倫一郎の妹、環佐江子と共にル・マンを盛り上げる。

その他キーワード

ファントム・タッチ (ふぁんとむたっち)

環倫一郎が得意とするドライビングテクニックの一種。前方を走るドライバーから見えない死角に位置取り、前の車がカーブでドリフトをしてグリップを失った瞬間に軽く車体を接触させ、コースアウトさせると共に、自分は悠々とすり抜けていくという技。仕掛けられた相手からは、姿の見えない幽霊にそっと触れられるような感触を覚えるため、こう呼ばれた。

ハリケーン=スラッシュ (はりけーんすらっしゅ)

環倫一郎が得意とするドライビングテクニックの一種。超高速で走行中に急ブレーキをかけ、車体をスピンさせながらコントロール。車体が360度回転したところでそのまま元の進行方向へ走り出すという技術。通常のハンドル操作やブレーキングではくぐり抜けられない隙間を走行することができる他、レースでは他のレーサーにスピンしたと見せかけて油断を誘うこともできる。

ハスラーショット

環倫一郎が得意とするドライビングテクニックの一種。側壁があるような状況で幅寄せされた時、一旦自ら側壁に車体をぶつけて、その反動を利用して相手車両に車体を強烈にぶつけるという荒々しい技。ビリヤードで的球を一度クッションに当ててからポケットに入れるさまに似ているため、こう呼ばれた。

イレイザー・コーナリング (いれいざーこーなりんぐ)

環倫一郎が得意とするドライビングテクニックの一種。暗い場所から明るい場所に出た際、一瞬視界がホワイトアウトすることを利用した技術。逆光や明るい場所に出た瞬間を狙って一旦姿を隠し、その後、後続車両の直前に飛び出すことで後続のドライバーをパニックに陥れる技。

ジョーズ・コーナリング (じょーずこーなりんぐ)

ロジェ=カッセルが得意とするドライビングテクニックの一種。スタントショーで培った技術を基にした特殊な技で、コーナリングの際に片輪を上げてコーナーを回り、持ちあげた片輪を並走する車の上に落とすことで、衝撃を与える技術。相手車両の故障やトラブルを誘発することができるうえ、減速させることで自分も先行できるという一挙両得の技。

クレジット

原作

監修

江守 一郎

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