概要・あらすじ
人里離れた山奥にそびえ立つ山城「朱雀城」で、拳の修行に励む格闘家のリュウ。静寂に満ちた山の中で、かつて師匠のゴウケンから学んだ「木々の声に耳を傾ける」ことの意味を反芻しながら「真の格闘家」への道を1人で模索し続けていた。片やリュウのライバルであるケン・マスターズも「真の格闘家」となるべく、神と称される全能の男ギルに戦いを挑む。
道は違えど「真の格闘家」を目指すものとして、己が信じる道を全力で突き進む若き2人の格闘家。果てない修行の先にある、拳の極みとは何なのか。霞がかかった地平のように見えない答えを掴むため、リュウは世界の強者たちと死闘を繰り広げていく。
登場人物・キャラクター
リュウ
赤いハチマキを巻き、白い胴着を着込んだ男性格闘家。「真の格闘家」を目指して修行を続けていたが、リュウに先んじで「真の格闘家」となったケン・マスターズとの戦いで完敗し、自分を見つめ直すために放浪の旅へと出ることになった。世界で出会った格闘家たちとの死闘を経て、己の中に宿っていた対戦相手を強者へと変える「心の力」を自覚し、格闘家としてさらなる高みへ到達していく。 着替えの入ったバッグのみを持ち、身一つで世界を旅する質実剛健な性格で、師匠であるゴウケンが存命の頃は、白いハチマキをしていた。得意技は気を両腕から放出する「波動拳」と、気を高めてジャンプしながら突き上げた拳で敵を打ち上げる「昇竜拳」。
ケン・マスターズ (けんますたーず)
リュウと同門の男性格闘家で、リュウとは互いを認め合う終生のライバル。明るく社交的な性格で、妻のイライザとの間に息子のメルをもうけている。家庭を持ってから雰囲気が変わり、優しくなりすぎたと思い込んだ弟子のショーンの計らいでリュウと手合わせするも、実はすでに「真の格闘家」へと覚醒していたため、圧倒的な力でリュウに完勝。 拳によってリュウに「真の格闘家」への道を指し示す。得意技は回転しながら拳を突き上げる「神龍拳」。
豪鬼 (ごうき)
殺意の波動へと目覚めた「真の格闘家」の1人で、リュウとは同門の男性。一撃必殺の力を持ち、若き日のリュウと出会った際にはその力を見せつけ、彼の心に強烈な印象を残した。厳しい修行の果てにまるで鬼を髣髴させる形相になっており、同門のゴウケンを驚かせている。リュウの内に潜む殺意の波動を見抜いており、彼のことを「鬼の子」と呼んでいた。 その恐るべき力でゴウケンをも打ち倒し、のちにリュウと決戦する。
サガット
リュウの宿敵であるムエタイ使いで、「帝王」と称される隻眼の格闘家。リュウとの戦いで敗れ去り、その時に感じた恐怖をこのうえない恥辱と捉えてただひたすらに荒れ狂っていたが、密猟者に人質にとられた少女たちを助けたことで、内なる恐怖を克服。帝王として再びリュウとあいまみえることになる。
オロ
齢140歳になる仙術を極めた男性格闘家。放浪中のリュウから持ち物を盗もうして咎められ、その流れでリュウと手合わせすることになった。一見するとボロをまとった細身の老人だが、巨大な気を練れるなど格闘家としての腕前は超一流。リュウにも完勝し、以降は師匠として彼にさまざまな修行を課していく。強すぎるがゆえに、左腕をあえて使えないように封印している。
ゴウケン
リュウとケン・マスターズの師匠である男性格闘家。リュウを格闘家としてさらなる高みへと導こうと画策した同門の豪鬼に命を狙われ、「朱雀城」の周辺で死闘を繰り広げることとなった。その戦いは熾烈を極め、山を削って地形を変えるほどだった。死の間際にすべての気を放出し、本来は殺意の波動に目覚めたものしか使えないという奥義「瞬獄殺」を放つ。
ダッドリー
いかなる時もボクシンググローブをはめている男性ボクサー。街中で自動車事故を起こしたのをきっかけにしてリュウと出会い、別荘で試合をするが、戦いの中で一撃必殺を会得したリュウの前に敗れ去る。毅然とした振る舞いを心がける英国紳士でもある。
ポイズン
プロレスのマネージャーをしている男性。見た目やしぐさはグラマラスで姉御肌な女性そのものであり、ほとんど誰からも気づかれることはない。しかし、年の功なのかオロからは一瞬で男性であることを看破されていた。ヒューゴーを田舎に連れ帰る途中でリュウを発見し、ヒューゴーと戦うように仕向ける。
ヒューゴー
ポイズンのもとでプロレスラーをしていた山のような大男。見た目と違って非常に気が弱く、ホームシックにかかって田舎に帰る途中でリュウに出会い、手合わせをすることになった。母親のことをバカにされると激昂し、極めて攻撃的になる。得意技は上空からその巨体で相手を押しつぶす「ムーンサルトプレス」。
ギル
全能の神を自称する長髪で長身の男性。自らが見る夢で未来の出来事がわかるとうそぶき、「真の格闘家」を目指すケン・マスターズの挑戦を受けたあとは、彼の敗北を予言した。その言葉通りの力でケンを圧倒するも、己が戦う意味を「家族」に見出したケンが繰り出した乾坤一擲の一撃によって敗北する。
メル
ケン・マスターズの一人息子。皆から愛されるごく普通の少年だが、リュウのことを父親を殴っていじめる人間と認識しているため、顔を合わせると烈火のごとく泣き出してしまう。ケンがリュウに勝利を納めたあとも、リュウの未来における成長を予感して号泣する。
ショーン
ケン・マスターズの弟子をしている見習い格闘家の少年。格闘家としてのケンに憧れ、大学で学びながら彼のもとで修行している。まだまだケンには歯が立たないが、明るく前向きな性格で少々のことではへこたれない。リュウとも面識があり、口が軽いところが徐々にケンに似てきたとリュウから指摘されていた。
ユン
世界各地を弟のヤンと共に旅している男性格闘家。鋭い連続攻撃を駆使するカンフーの使い手で、ローマでリュウに遭遇した際に、なりゆきから手合わせすることになった。腕に自信ありと勝負を挑んだものの、リュウの力に圧倒されてしまう。
ヤン
ユンの弟で、カンフーの使い手。リュウに敗れた兄の次にリュウに挑むことになった。兄とは拳筋を変えてリュウに挑むも、すぐに攻撃を見切られて敗北に追い込まれる。
その他キーワード
殺意の波動 (さついのはどう)
この世のすべてを殺しうるとされる、人の内に潜む鬼。ゴウケンたちが会得している流派の始祖の者たちが潜めていた力だったが、戦乱のたびにその強大な力を利用され続けた悲しい歴史を持つ。