あらすじ
父親が営む商店街の小さな弁当屋「お弁当・お惣菜 しらせ」の看板娘でもある女子高校生の白瀬小春は、早くに母親を亡くしたため、母親代わりとなって家族の面倒を見ながら、勉強と弁当屋の手伝いを続ける忙しい日々を送っていた。そんなある日、小春は店の常連客である黒崎絢人から、唐突にプロポーズを受ける。黒崎は「この10億円で僕と結婚してください」と言いながら、手にした預金通帳をレジカウンター越しに小春に開いて見せる。状況が飲み込めない小春は、店内の客を父親に任せて黒崎を家に招き入れ、話を聞くことにした。小春にとって黒崎は、弁当屋の常連ながらまともな会話をしたこともなく、長い前髪で素顔すらよくわからない相手だった。そんな男性からの突然のプロポーズに困惑する小春の気持ちなどおかまいなしに、黒崎は自分の名前を告げ、小春に恋していること、そして自分が稼いだお金で小春を幸せにしたいと思っていることなど、自分の思いばかりを一方的に語り、婚姻届にサインを求める。ようやく小春は自分の置かれた状況を理解し、黒崎を危険視しながらも彼の誠意と真剣さを感じ取り、自分も誠意をもって断りの返事を伝えることにする。その後、事の次第を知った家族からは、バカ丁寧な対応に終始した小春の脇の甘さを呆れられることになるが、ストーカーまがいの黒崎を出入り禁止にすべきという家族からの意見を、小春は頑として受け入れず、これからも黒崎を常連客として今までどおり対応することを明らかにする。その翌日、再び弁当屋に姿を現した黒崎は、そんな小春の思いを知ってか知らずか、再びカウンター越しにプロポーズする。今回黒崎が持参したのは、自分の卒業アルバムや免許証、パスポートだったが、小春はあらためてお金目的で結婚するつもりはないと、きっぱりと断る。すると黒崎は、小春に好きになってもらえるように努力すると告げ、それ以来毎日のようにプレゼント攻撃を始める。ほとほと困り果てた小春は、弟・千冬からの後押しもあり、あらためてやめてほしいと黒崎に伝える。すると黒崎は、自分が小春に恋したいきさつについて語り始め、小春に救われたことにお礼を伝えてその場を去り、それ以来、黒崎は弁当屋に姿を見せなくなってしまう。そんなある日、とある客とのトラブルが発生。するとそこに黒崎が姿を現し、仲裁に入って小春を助けるのだった。その際、床に落ちてしまった商品のおにぎりを躊躇なく口にし、これを最後にすると立ち去ろうとした黒崎に、小春は思い切って声をかけ、まずはふつうの会話から始めないかと提案。こうして二人は、まずは友達関係からスタートさせるのだった。
登場人物・キャラクター
白瀬 小春 (しらせ こはる)
とある高校に通う女子。早くに母親を亡くしているため、現在は気弱な父親・秋平と弟・千冬と5歳の弟・夏希との四人暮らし。学業の傍ら、母親代わりをしながら家業である弁当屋「お弁当・お惣菜 しらせ」を手伝っている。穏やかな性格で人当たりもいい。ある日、突然弁当屋の常連客である黒崎絢人にプロポーズされる。しかし黒崎は、常連客ということ以外まったく接点はなく、これまで会話をしたことさえなく、顔もはっきりは覚えていないくらいの存在。しかも、結婚とともに提示されたのは、黒崎の資産10億円と引き換えという突拍子もない条件だった。困惑しながらも黒崎から話を聞くが、断っても断っても、めげない黒崎に結婚は好きな男性としたいからと伝え、丁重にきっぱりと断った。その後、別の常連客とトラブルになった際、黒崎に助けてもらったことがきっかけになり、まずは友達からという条件を出した。それ以来、積極的に黒崎とかかわることになるが、一途で真っすぐな黒崎のことが少しずつ気になり始め、黒崎の言動に振り回されるようになる。悩み事があると料理と掃除に走りがち。
黒崎 絢人 (くろさき あやと)
小説家を生業とする青年で、「お弁当・お惣菜 しらせ」の常連客。ある日突然、白瀬小春にプロポーズした。世間一般の感覚に疎く、何事にも極端で恋愛経験はまったくない。思い込んだら行動あるのみの猪突猛進タイプ... 関連ページ:黒崎 絢人
桐矢 (きりや)
黒崎絢人の担当編集者を務める男性。日頃から内向的な黒崎の扱いには苦慮しているが、仕事という範疇を越えて親しい関係を築いている。ある時黒崎から、どれくらいお金があれば金持ちといえるかと質問され、10億円あれば遊んで暮らせると答えた。その言葉がきっかけで、黒崎が10億円を貯めて白瀬小春にプロポーズをするに至った事実はあとで知ることになった。その後、意中の女性と友達になったと喜ぶ黒崎に、友達でいましょうというのは断るための常套句であると伝え、今後彼女との関係が進展する可能性は低いと黒崎を諭した。のちに、黒崎の思い人である小春がまだ高校生だと知り、未成年者に対するつきまといや身体的な接触は犯罪行為にあたることから、二人の今後を心配している。しかし小春の存在が、黒崎の執筆活動によい影響を与える可能性もあると考え、陰ながらサポートしていくことを決めた。自分の担当作家を守るためなら、手段を問わずアクティブに行動する。黒崎の授賞式では、黒崎が逃げ出さないように、小春にそのサポート役を依頼。弁当屋「お弁当・お惣菜 しらせ」を手伝う人員を派遣し、黒崎をサポートする小春にアルバイト代を支給した。さらに自社の雑誌にしらせの広告を掲載することを約束し、小春の快諾を得た。
千冬 (ちふゆ)
白瀬小春の弟で、夏希の兄。小春が黒崎絢人からプロポーズを受けたと聞き、明らかに不審な相手にもいい顔をしようとする八方美人な小春に苛立ちを感じている。その後も黒崎と積極的にかかわりを持とうとすることに大反対。素直になれないところがあるが、心配性で小春のことは家族の誰よりも心配している。明らかなシスターコンプレックスだが、千冬自身は認めていない。また、5歳の夏希がかわいくて仕方がなく、溺愛している。
夏希 (なつき)
白瀬小春と千冬の弟で、年齢は5歳。早くに母親は亡くなっているため、父親・秋平と小春、千冬の四人で暮らしている。明るい性格で、いつも元気一杯で周囲を和ませるムードメーカー的な存在。小春と共に訪れた黒崎絢人の家では、黒崎を「くーちゃん」と呼んで懐き、いっしょに遊んだり昼寝をしたりしていた。小春や千冬からは「なっちゃん」と呼ばれている。
場所
お弁当・お惣菜 しらせ (おべんとう おそうざい しらせ)
白瀬小春の父親・秋平が営んでいる弁当屋。商店街にあり、常連客も多く、小さいながらも周辺の住民に愛されている。看板商品はおにぎり。もともとは小春の母親と夫婦で営んでいたが、母親が若くして亡くなったため、それからは娘の小春が店を手伝っている。
書誌情報
黒崎さんの一途な愛がとまらない 6巻 フレックスコミックス〈ポラリスCOMICS〉
第2巻
(2022-07-15発行、 978-4866752327)
第3巻
(2023-02-15発行、 978-4866752723)
第4巻
(2023-08-08発行、 978-4866753034)
第5巻
(2024-02-15発行、 978-4866753423)
第6巻
(2024-09-13発行、 978-4866753782)