SHY

SHY

世界各国に一人ずつ配置されているヒーローが、世界を脅かす相手と戦いながら、自らの過去や悩みに立ち向かっていく姿を描いたヒューマンドラマアクション。秋田書店「週刊少年チャンピオン」2019年35号から掲載の作品。2023年10月テレビアニメ化。

正式名称
SHY
ふりがな
しゃい
作者
ジャンル
アクション
 
スーパーヒロイン
レーベル
少年チャンピオン・コミックス(秋田書店)
巻数
既刊23巻
関連商品
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あらすじ

遊園地事故の救助活動

21世紀半ば、突如世界各国に一人ずつヒーローが現れ、驚異的な力で世界平和を実現させていた。その一方で日本に誕生したヒーローは、極度の恥ずかしがり屋である中学2年生の少女、シャイだった。シャイは自分がヒーローながら、一般人を助けるには力不足であると常々考えていた。そんなある日、シャイは遊園地で発生したアトラクション事故の救助活動を行っている最中、小石川惟子と知り合う。惟子は自分よりもほかの被害者を救出することをシャイに優先させるが、そのせいで惟子は重症を負ってしまう。

スティグマとの遭遇

遊園地事故から数日後、シャイが通っている学校の同じクラスに、右足に障がいを負って松葉杖生活となった小石川惟子が転校して来る。惟子はシャイを恨む様子もなくむしろ感謝していることを知り、シャイは安堵する。そこへ突如謎の少年、スティグマが現れ、惟子の心に入り込んで指輪を取り付けたことで、惟子は過去のトラウマを呼び覚まし、負の感情を暴走させて破壊行動を始め、ついには自害を図る。シャイは惟子を救うべく戦いながら彼女を説得し、無事に指輪を取り外すことに成功するが、スティグマは不穏な言葉を残してどこかへ消えてしまう。スティグマに対抗すべく、シャイと惟子、スピリッツの三人は宇宙にあるユニロードのもとへ行き、スターダストを交えて会議を行う。シャイはそこで戦闘能力の低さを指摘され、スターダストに訓練として戦いを挑むこととなった。スターダストの戦闘能力は高く、シャイはいっさい太刀打ちすることができなかったが、倒れる寸前に人を助けたいという思いの強さでスターダストを追い込み、心の力を炎へ具現化する能力を手に入れる。

アマラリルクとの対決

新たな能力を得たシャイは、スピリッツミェンロンと共に北極での怪異事件の捜査へと向かった。そこではスピリッツに似た少女、ツィベタ=コオリスカヤが氷を自在にあやつって暴れており、三人は協力してツィベタを沈静化させる。しかし、そこにスティグマとその仲間が現れ、「アマラリルク」という組織の名前を残してツィベタを連れて消えてしまう。シャイとスピリッツは、ツィベタの正体を探るべくロシアへと向かい、スピリッツが育った孤児院を訪れる。そこで二人は、ツィベタの正体はスピリッツの母親、レターナ=アンドレアノワであることを突き止める。すると再びツィベタがクフフ=ケケラケラを連れて襲撃を始め、スピリッツは先陣を切ってツィベタと交戦を開始する。ツィベタは世界に絶望し心を閉ざしていたが、スピリッツが母親を思う気持ちが伝わり、正気を取り戻すことに成功。ツィベタはスピリッツとシャイに、スティグマの心境や目的を詳しく教えると消滅してしまう。

アマラリルクの東京襲撃

日本に戻ったシャイは、アマラリルクとの戦いに備えていたが、ある日偶然、忍者の家系で世間知らずな少女、天王寺曖と知り合う。曖の話を聞くと、曖の双子の妹がアマラリルクに所属していることが判明する。シャイはユニロードに相談をするが、その最中に東京の中心に大きなドーム状の黒い結界が張られ、内部との連絡がいっさい途絶えてしまう。シャイたちヒーローは、チームを組んで結界内部にいる人々を救出するため突入すると、そこは闇に包まれており、さらにアマラリルクのメンバーが待ち受けていた。

テレビアニメ

2023年テレビアニメ化。10月2日からテレビ東京ほかにて放送。アニメーション制作はエイトビット。主人公のシャイ(紅葉山テル)を下地紫野が演じる。

登場人物・キャラクター

シャイ

日本のヒーローである少女。年齢は14歳。本名は「紅葉山テル」。周囲にはシャイであることを伏せ、ふつうの学生として生活を送っている。極度の恥ずかしがり屋で、人前に立ったり注目を集めるとふさぎ込んでしまう。しかしヒーローとしての自覚はあり、人を助けたいという気持ちが非常に強く、事故やトラブルがあると救助に駆けつける。ふだんは黒髪のくせっ毛で眼鏡をかけているが、ヒーローに変身すると白髪となり半透明のアイマスクを着けた姿となる。遊園地の事故で小石川惟子を助けられなかったことに責任を感じ、一時的にヒーローの能力を失っていたが、スピリッツの励ましもあって復活する。極度にシャイなため周囲には正体を隠しており、ヒーロー仲間以外では惟子と天王寺曖のみが正体を知っている。アマラリルクとの対決前に戦闘能力を上昇させるためスターダストと戦い、心の力を炎へ具現化させる能力を覚醒させる。アマラリルクが東京を襲撃した際には、突入部隊のリーダーに抜擢された。両親はつねに不在で、幼い頃から姉と二人で生活していたが、姉が死亡した現在は実質一人暮らし。ホラー映画と納豆が好き。

エヌ=ヴィリオ

シャイの相棒。戦闘中のアドバイスに加えて彼女の精神的なサポートも行っている。見た目がエビに似ていることからシャイからは「えびおさん」と呼ばれている。同じ姿の個体が数多く存在する。

小石川 惟子 (こいしかわ いこ)

一般人の少女。年齢は14歳。シャイが遊園地での事故で救助活動を行っていた際、救助が間に合わずに重症を負ったことで右足に障がいが残り、松葉杖生活を送っている。非常に明るく前向きな性格で、ケガは負ったもののシャイに対しては感謝している。その後シャイが通う学校へ転校し、同じクラスになった時にスティグマが現れ、指輪を取り付けられて感情が暴走するも、再びシャイに助けられた。それがきっかけで足の障害も完治し、シャイのよき友人として友情を築いている。スティグマの指輪の被害に遭ったことで、スティグマと交信していた時の記憶が残っており、ヒーローに協力を求められ、シャイと共に行動するようになる。もともとヒーローが大好きで、シャイを通じてほかのヒーローに会うと大はしゃぎしてしまう。きなこ餅が好物。

スピリッツ

ロシアのヒーローである女性。茶髪のロングヘアにしている。年齢は27歳。本名は「ペペシャ・アンドレアノワ」で、近親者からは「ペーシャ」と呼ばれている。世界的に人気のヒーローで、シャイとも友人の間柄。ふだんは明るい性格ながら、酒好きで酔っ払っていることが多い。ヒーローとしてどうあるべきかを思い悩むシャイにアドバイスを送り鼓舞する一方で、シャイに精神的に助けられることもある。12歳の時に唯一の身寄りであった母親のレターナ=アンドレアノワを亡くし、レターナが育てられた孤児院に引き取られたという過去がある。気体を自在にあやつる能力を持ち、スピリッツ自身の身体を煙にすることもできる。

スターダスト

イギリスのヒーローである男性。年齢は29歳。本名は「ディヴィー=ワンダー=ジョン」。ヒーローでありながら、ふだんは世界的に有名なロックスターとして活動している。収益の多くを慈善活動の費用として寄付し、世界的な救護団体「黒十字」を立ち上げた。金髪をオールバックヘアにしており、背が非常に高い。目元に濃いクマがあり、表情を顔に出すことはいっさいない。自他共に認めるサイコパスで、他人に対して共感を持てないことを悩みながらも、ヒーロー活動を行っている。シャイの戦闘訓練の相手を買って出た際にも容赦なくシャイを痛めつけたが、彼女の根底にある優しさを目の当たりにして、一目置くようになる。気の流れなどを支配できる能力を持ち、自分の動きを加速させた超速のキックを繰り出す。

レディ・ブラック

スイスのヒーローである少女。年齢は16歳。本名は「ピルツ・デュナン」。ふだんは看護学生として生活を送っている。治癒能力を使って、ヒーローをはじめとする負傷者の手当を行っている。変身時は長い黒髪をツインテールにし、目を覆う黒いマスクを着けている。気の強い性格で、毒舌家ながら面倒見がいい。「バカなんじゃないの」が口癖。スターダストが立ち上げた救護団体「黒十字」に所属している。変身していない時はふつうの学生として過ごしており、一般人に対しても愛想よく接している。過去に事故で両脚をなくして義足を装着しているが、現在は義足を感じさせないほどの健脚を誇る。

ドクター・シュヴァルツ

ドイツのヒーローである高齢の男性。本名は「ゲルム=シュタイン」。医師として救護団体「黒十字」に所属している。ひげを蓄えて額にはゴーグルを着けている。気さくな性格で、助手のレディ・ブラックの暴言も笑って聞き流している。

ミェンロン

中国のヒーローである少年。年齢は15歳。本名は「リー=ミンミン」。小柄な体型の物静かな性格で、寝ることが好き。女子に間違われることを悩んでおり、男らしいヒーローを目指している。ヒーローとして人を助けることには積極的だが、戦うことは苦手。ミェンロン自身のエネルギーを爪の形にして、少しのあいだ眠らせる能力を持つ。

センチュリー

アメリカのヒーローである男性。本名は「アダム・ロックウェル」。年齢不詳だが外見は非常に若く見える。つねに身体を鍛えている上に健康に敏感で、スターダストの喫煙やスピリッツの飲酒を咎(とが)めている。生真面目な性格でヒーローとして高いプライドを持っており、アマラリルクが東京へ襲撃した際には本部の待機部隊のリーダーに就任して指揮を執った。

天王寺 曖 (てんのうじ あい)

霜賀の里の忍である少女。年齢は14歳。教養はあるが世俗と隔離されて育てられたため、カラオケやゲームセンターなどを知らない。黒髪で目元にホクロがあり、京言葉で話す。忍の家系の跡取りながら、その重圧に耐えきれず家出し、シャイの住む街にやって来た。しかし本当の目的は、失踪した双子の妹、天王寺昧を探すこと。つねに所持している日本刀の「心刀・無垢」は、触れた者の気持ちを知ることができる力がある。ヒーローではないが戦闘用コスチュームに変身し、忍術を使って一般人以上の戦闘能力を発揮する。剣術をはじめとする武術に長けているが、昧が里を逃げる時に刀で心臓を貫かれたことが原因で虚弱体質となり、十分に運動することができない。アマラリルクが東京を襲撃した際には、昧の術で張った結界を破るために突破部隊の一員となった。

朱鷺丸 (ときまる)

天王寺曖に仕える忍の少年。年齢不詳。黒い短髪で、学生服と忍服を合わせた服を着て口元に長い布を巻いている。生真面目な性格で、融通が利かないところがある。元は別の里の人間だったが、曖が幼少の時に突然霜賀の里にやって来て奉公を申し出た。曖のことを姫と慕い、里へ戻そうとする。

ユニロード

地球上のヒーローを統べる天帝。宇宙から地球を見守っている。女性の身体でドレスを着用しているが、顔を覆っているために性別不詳で、正体も不明とされている。高貴な雰囲気を漂わせているものの、物腰は柔らかく冗談やギャグを言うこともある。ユニロード自身はヒーローではないが、統括する者としてヒーローに対して命令できる強い権限を持っている。

スティグマ

神出鬼没の謎の少年。人の強い願望を叶える能力があり、突如現れて一般人に指輪を装着させて感情を暴走させる。「スティグマ」という名前は本名ではなく、ユニロードなど事情を知るヒーローたちが便宜上付けたものであるが、それを受け入れて自分でも名乗っている。心に闇を持つ子供を集めてそれぞれに名前を与え、その集団を「アマラリルク」と名づけて行動している。自分の目的のために他人を利用することもあり、スピリッツの母親がツィベタ=コオリスカヤとして現れたのは、スピリッツの母親に会いたいという願望を叶えた結果である。表向きは人間に秘められた悩みを開放して世界平和を目指していると語っているが、最終目標は大人のいない世界を築くこと。

ツィベタ=コオリスカヤ

アマラリルクの一員である少女。スティグマによって生み出された存在で、北極で一般人を襲っていたところをシャイ、スピリッツ、ミェンロンに発見され、一度は鎮圧化されるが回復して再びシャイとスピリッツを襲う。他人や世界に絶望した感情を暴走させて、氷をあやつる能力を使う。外見はスピリッツの幼少時に似ているが、その正体はスティグマがスピリッツの願望を利用して作り出した母親のレターナ=アンドレアノワである。そのためスピリッツを近親者だけが呼ぶ「ペーシャ」と呼んでいるが、暴走時は母親であることや生前の記憶は失っていた。スピリッツと再戦した際に心の暖かさを取り戻し、スティグマの情報を伝えて消滅した。

クフフ=ケケラケラ

アマラリルクの一員である少女。どんな感情の時でも笑うことが平和につながると信じ、笑いで世界を満たそうという野望がある。丈の長い上着を身につけ、八重歯が特徴。独特な笑い声と一方的なギャグを発しながら、物を引き寄せる能力を使って相手を攻撃する。ツィベタ=コオリスカヤに懐いており、行動を共にしていたがツィベタの心の闇が解放されたことを知ると、スティグマのもとへ退却した。

ウツロ

アマラリルクの一員である少女。その正体は天王寺曖の双子の妹である「天王寺昧」。黒髪のポニーテールの髪型で、ふだんは口数が少ないが時おり京言葉をしゃべる。元は霜賀の里で忍になる訓練を受けていたが、争いを好まずに穏やかな暮らしを望んでいた。忍において天性の才能を持っており、里からも期待を寄せられていたが、ある日突然豹変して曖の心臓を刀で貫き、悪しき力が宿った「神刀・虚無」を持って失踪した。その後、ウツロとしてアマラリルクに所属し、東京襲撃の際には「神刀・虚無」を使って黒い結界を張った。

ドキ

アマラリルクの一員である少年。頭に大きな角があり、爬(は)虫類のような尻尾を持ち、感情が高ぶるとそれらが巨大化する。単純で短気な性格で、何かと相手に利用されやすい。かわいいものが大好きで、ドキ自身もかわいくなりたいと強く願っており、男性が女性趣味を持つことを批判する世界を恨んでいる。ミェンロンと対決した際には、ミェンロンの見た目がかわいらしいことに嫉妬していた。

イノリ

アマラリルクの一員である少女。達観した物言いで誰に対しても分け隔てなく穏やかに接する。シスターのような服を身につけ、つねに目を閉じている。

レターナ=アンドレアノワ

スピリッツの母親。スピリッツが12歳の時、暴漢に襲われ川に突き落とされて亡くなる。ふだんは無表情でクールな性格だが、酒を飲むと陽気になる。ナタリアとは子供の頃からの友人で、レターナ=アンドレアノワ自身になにかあった場合は、スピリッツを同じ孤児院に入所させることを手紙で頼んでいた。ナタリアなど親しい友人は「レーニャ」と呼んでいた。

ナタリア

スピリッツが育った孤児院の職員を務める中年女性。同じ孤児院出身で、スピリッツの母親、レターナ=アンドレアノワとも子供の頃からの友人だった。気丈な性格ながら、スピリッツと再会すると大量に酒を飲み交わす。

集団・組織

ヒーロー

21世紀の半ば、突如世界各地に現れた超人。各国に一人ずつ存在する。ヒーローはそれぞれに呼び名を持っており、個性的なユニフォームを身につけて災害救助や治安維持、慈善活動を行って世界中の人々を守っている。ヒーローに変身する時は「転心輪」と呼ばれる腕輪を使って心のパワーを増幅させ、超人的な能力を使う。また、転心輪を持てば言語の壁を越えて会話による意思疎通を図ることができる。ちなみに、正体を明かすかどうかはそのヒーローの自由。

アマラリルク

スティグマが率いる子供の組織。「夢をみるもの達」という意味を込めて、スティグマが自ら名づけた。心に闇を持つ子供を集め、スティグマの能力でヒーローに匹敵する能力を身につけさせている。メンバーはそれぞれ自分が正しいと思う世界に導くために破壊活動を行っている。ツィベタ=コオリスカヤのようにスピリッツの過去を抽出し具現化した子供もいれば、天王寺昧のように心の闇を増幅させられた子供もいる。

その他キーワード

指輪

スティグマが人間の感情を暴走させるために用いる黒い指輪。スティグマの心から作られており、ヒーローが変身するために必要な「転心輪」と同じく心のパワーを増幅させることができるが、強制的に心の闇を引き出してしまう。暴走してしまった人間を止めるには指輪を破壊するしかなかったが、シャイにより小石川惟子に取り付いた指輪を完全な状態で取り外すことに成功したことで解析が進んだ。

書誌情報

SHY 23巻 秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉

第2巻

(2020-02-07発行、 978-4253219372)

第3巻

(2020-05-08発行、 978-4253219488)

第4巻

(2020-07-08発行、 978-4253219501)

第5巻

(2020-09-08発行、 978-4253219556)

第6巻

(2020-12-08発行、 978-4253219587)

第7巻

(2021-02-08発行、 978-4253219709)

第8巻

(2021-04-08発行、 978-4253219754)

第9巻

(2021-06-08発行、 978-4253220439)

第10巻

(2021-09-08発行、 978-4253220446)

第11巻

(2021-11-08発行、 978-4253220453)

第12巻

(2022-01-07発行、 978-4253220897)

第13巻

(2022-03-08発行、 978-4253220958)

第14巻

(2022-06-08発行、 978-4253221184)

第15巻

(2022-08-08発行、 978-4253221191)

第16巻

(2022-10-06発行、 978-4253280648)

第17巻

(2023-01-06発行、 978-4253280655)

第18巻

(2023-03-08発行、 978-4253280662)

第19巻

(2023-05-08発行、 978-4253280679)

第20巻

(2023-08-08発行、 978-4253280686)

第21巻

(2023-10-06発行、 978-4253280693)

第22巻

(2023-12-07発行、 978-4253280709)

第23巻

(2024-02-07発行、 978-4253280716)

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