あらすじ
第1巻
不良が跋扈(ばっこ)する助留沌高校に転校して来た学崎強は、UFOを開発するために東京大学を目指しているちょっと変わった優等生。自己紹介で「俺の勉強の邪魔をする奴はどんな奴だろうとブッ殺す」とブチあげたため、クラスの不良から目を付けられる存在となる。クラスメイトの鰯田逃次が不良にカツアゲされる場面に遭遇しても、我関せずの姿勢を崩さなかったが、声がうるさいという理由で、不良に鉄槌を加える強。強の異様なまでの喧嘩の強さに感動した逃次は、自分を仲間にしてほしいと懇願する。これまでの人生で頼られる経験が少なかった強は、勉強の邪魔をしないことを条件に、それを受け入れるのだった。しかし、この時の喧嘩がもとで、強は学内で幅を利かす不良チーム「コウモリ」のリーダーである攻森血影からターゲットにされてしまう。その後、強に身の危険が迫っていることを忠告したコウモリの元メンバー、蓮野ねねに、成り行きで勉強を教えることになった強は、放課後に逃次を交えた3人で、連日勉強会をすることになる。そんなある日、突如として勉強会に顔を見せなくなったねねが、血影の闇討ちによってピンチに陥ったことを知る強。一度は中間テストへの参加を優先した強だったが、すぐに思い直し、闇討ちの現場へと乱入。血影を打ちのめした強はねねを救出し、彼女とは勉強仲間を超えた絆で結ばれた友人になるのだった。その後、不良チーム「まんじ」のメンバーを倒し、さらに名を上げた強を、強い者と戦うことを生きがいにする戦闘狂の闇暗氷が襲撃。五分の戦いを繰り広げる2人のもとに、「まんじ」の不良集団が乱入し、ねねがリーダーの殴野満次に襲われていることを告げるのだった。不良集団を氷に任せ、満次のもとに急行した強は、圧倒的な力でこれを撃破。校内の猛者を次々と倒し続ける強の力を見て、助留沌高校の頂上を目指せる実力者の1人であると悟った不良チーム「奈落」のリーダー、倒藤絶は、メンバーの斬島優介を通じて、強に宣戦布告を開始する。
第2巻
中間テストで赤点をとってしまい、追試を受けるハメになった学崎強と闇暗氷のもとに、1年の不良チーム「梟」のメンバーである無壊祭が接触。2人に対し「梟」に入って、頂上を取るために協力することを要求する。それに猛反発した強と氷は、息の合ったコンビネーション攻撃によって、祭たちを追い払うことに成功する。しかし、試験会場をボロボロにして教師の梅川美鈴に咎められ、3日以内に教室を元通りにすることを義務付けられてしまう。その直後、鰯田逃次の報告で、蓮野ねねが後輩の鉢咲乃菊を助けるため、不良チームの「奈落」のリーダー、倒藤絶に戦いを挑んだことを知る。ねねを助けるため、現場へと出向いた強は、行く手を阻む斬島優介の破龍砲の前に苦戦を強いられるが、大切な仲間のために頂上を取るという強い意志を発揮して、逆転勝利を収める。現場に着いた強は、一度はリーダーの絶を倒すものの、カクゴと称する、気を操る攻撃を駆使して反撃を開始した絶の前に圧倒され、99.9%の確率による敗北を覚悟する状態にまで追い詰められてしまう。しかし、身体を張って自分を守ってくれた逃次の姿に、持ち前である不屈の精進力を蘇らせた強は、強力な裏カクゴを発動して絶を撃退。「奈落」を同盟を組み、本格的に頂点を目指すことになるのだった。「奈落」の協力を得て、追試会場を修復した一行は、乃菊の働くメイド喫茶に行き、そこで助留沌高校の3年生と裏カクゴの詳細について、情報を共有し合うことになる。
第3巻
裏カクゴを完全にものにするため、練習を始めた学崎強は、斬島優介を叩きのめした2年の不良チーム、「悪鬼」の幹部である武刀千春と腐乱剣の襲撃を受けてしまう。奇想天外な剣の攻撃をいなして撃破に成功した強は、カクゴを武器化した千春の攻撃の前に苦戦を強いられるが、助太刀した闇暗氷によって助けられる。カクゴを使いこなした氷は、千春に対しても優位に戦いを進めるが、「悪鬼」のリーダー、首落迷が乱入したためで勝負はお預けとなってしまう。自身の力不足を痛感し、蓮野ねねの協力を得て、裏カクゴの修練に励む強の前に謎の少年が現れ、裏カクゴの正体と使い方のアドバイスを受ける。彼こそが助留沌高校の頂上に君臨する少年、終創始であり、後継者候補と見込んだ強に、正体を隠して接触していたのだった。その後、助留沌高校を完全に破壊するために本格的に動き出した迷は、300人を超える生徒に対し、「悪鬼」が開発した特別な覚醒薬を打ち、校内全域で破壊活動を開始させる。覚醒薬を打たれ、錯乱して死を待つばかりとなった逃次たちを助けるため、解毒薬を求めて迷のもとに向かう強。この世に地獄を再現したい、という狂った欲望に取り付かれた迷に挑んだ強だったが、迷の強大なカクゴの前に、これまでにない苦戦を強いられてしまう。倒籐絶の助太刀によって一度は迷を倒すことに成功するが、第2のカクゴに覚醒した迷の攻撃によって死の淵へと送られる強。すべての破壊を狙う迷は、ねねを殺害しようとするが、その瞬間、意識を取り戻した強の裏カクゴの前に粉砕される。迷を倒した強は、気の置けない仲間たちと将来の夢を実現するために、より一層勉学へと励むのだった。
登場人物・キャラクター
学崎 強 (まなぶざき きょう)
助留沌高校に通う男子高校生。赤髪をして、喧嘩が強く長身。全国学力テストでは常時10位以内に入る学力を誇り、東京大学への進学を目指している、非常に頭のいい優等生。助留沌高校の東大進学率が高いという詐欺広告を真に受け、騙されて転校して来た。すべてにおいて勉強を優先し、勉強を邪魔されることを何よりも嫌う。転校後の自己紹介でも「勉強の邪魔をする奴はどんな奴だろうとブッ殺す」と宣言し、その言葉通り、勉強を妨害する不良生徒を容赦なく叩きのめしていた。 校内で跋扈(ばっこ)する不良チームを連続で叩き潰していたため、他の不良から一目置かれる存在となる。そこで、静かな環境で勉強することを実現するため、助留沌高校の頂上を目指すことになる。表面的には勉強以外に興味を示さない変人だが、冷血漢というわけではなく、自分を慕ってくる人間を無下に扱うことができない人情家。 また、転校後に出会った蓮野ねねに密かに恋心を抱くなど、歳相応の男子らしい純情さも持ち合わせている。クラスメイトの鰯田逃次と仲良くなった後は、彼から「アニキ」と呼ばれていた。将来の夢は、映画に出てくるような完璧なUFOを開発することで、宇宙人と殺(や)り合うことを想定して、身体を鍛えていた。 喧嘩の際には相手の動きや周囲の地形の情報が数字として頭に入ってくるため、相手の動きを完全に読み切ったうえで反撃することができる特殊な能力を持つ。なお、赤髪は染めているわけではなく、自前のもの。
鰯田 逃次 (いわしだ とうじ)
助留沌高校に通う男子高校生。とても気弱な性格をしており、不良ばかりの学校で、カツアゲや暴力沙汰に日常的に巻き込まれるなど、散々な目にあっていた。そのため、喧嘩が強く、勉強もできる学崎強に強い憧れを抱き、彼を「アニキ」と呼び慕い、ともに不良と戦うようになる。自分のビビリな体質に悩んでいたが、強と一緒に行動する中で、徐々にたくましく成長していく。 頭部を守るために工事用のヘルメットを常時着用しているのが大きな特徴。
蓮野 ねね (はすの ねね)
助留沌高校に通う女子高生。黒髪のロングヘアをしている。不良チーム「コウモリ」のメンバーだったが、保母になるためにチームを抜け、優等生の学崎強に頼み込んで、勉強を教えてもらうことになった。UFOを作るという強の突拍子もない夢を馬鹿にせず、純粋に応援をするなど、優しくて思いやりのある性格。喧嘩の腕はそこらの不良ではとても敵わないほど。 不良として名が売れていたため強に迷惑をかけることを恐れ、一度は強たちのもとを離れようとするが、強によって引き止められる。強くて心優しい強と行動をともにするうちに、彼に惹かれ始めるものの、それを素直に表現できずにいた。
闇暗 氷 (やみくら こおり)
助留沌高校に通う男子高校生。「喧嘩狂」の異名をとる猛者で、常に木刀を持ち歩き、強い人間と戦うことを生きがいにしている。どの不良チームにも属していない一匹狼だが、多数の不良を相手にしても一歩も引けをとらない実力者。喧嘩中に遭遇した学崎強の強さに感嘆し、執拗に強を付け狙うようになる。無表情かつクールな性格をしており、喧嘩漬けの毎日を送っている。 メイド喫茶が好きという意外な一面も持ち合わせており、アルバイトの鉢咲乃菊にプライベートで遭遇した時には、喜んでサインを要求していた。
倒藤 絶 (とうどう ぜつ)
助留沌高校に通う男子高校生。1年では3強とされる不良チーム「奈落」のリーダーで、サングラスをかけた巨漢。1人で1000人を相手にして圧勝したという伝説を持つ強者で、今は亡き親友のために頂上を目指している。独断専行で行動した蓮野ねねに制裁を加えるなど、規律には非常に厳しい。名だたる不良を倒し続ける学崎強から頂上を狙える資質を感じ取り、彼を倒すために学校の屋上で決戦する。 体内の流れる電気を増幅してパワーアップするカクゴを習得しており、その強大な力で強を圧倒していた。
斬島 優介 (きりしま ゆうすけ)
助留沌高校に通う男子高校生。1年では3強とされる不良チーム「奈落」の一員。倒藤絶の命令で、不良を倒し続けていた学崎強の人となりを見極めるため、強のもとを訪れていた。権力や名声ではなく、勉強の邪魔をさせないために頂上を目指す学に強い興味を抱く。その後は、絶と戦う決意をした強の行く手を阻み、倒そうとする。いつもバットを携えており、野球ボールを高速で投げる「破龍砲」という必殺技を使う。
鉢咲 乃菊 (はちざき のぎく)
助留沌高校に通う女子高生。髪型をツインテールにしている。蓮野ねねの中学時代の後輩で、彼女から喧嘩を教えられ、イジメから救ってもらったことがある。その結果、血で血を洗う不良の抗争に身を投じることになってしまい、それを逆恨みしてねねに喧嘩を挑んでいた。のちに八つ当たりでねねを攻撃したことを謝罪し、「奈落」を離れる。普通のアルバイトをしようとして、気付かずにメイド喫茶に勤務してしまうなど、若干天然な性格。 密かに学崎強に想いを寄せていた。ねねからは「お菊」というあだ名で呼ばれていた。
首落 迷 (しゅらく まよい)
助留沌高校に通う男子高校生。右目に眼帯をしている。2年の不良チーム「悪鬼」のリーダー。狂気と絶望、そして混沌を愛しており、死と引き換えにカクゴを無理やり引き出す覚醒薬を開発。日本全土を地獄へと変貌させる計画を立てていた。具現化したカクゴ、「2刀包丁」を扱い、すべてを切り裂くことができる。
終 創始 (おわり そうし)
助留沌高校の頂上に君臨する男子高校生。見た目は、柔和な雰囲気を漂わせた美少年。数少ない裏カクゴの使い手で、すべての不良から恐れられ、慕われる存在。学崎強の強さに後継者としての資質を感じ取り、正体を隠して裏カクゴの情報などを伝えた。助留沌高校をまともな学校にするために、無壊祭などを使い、裏から手を尽くしている。
攻森 血影 (こうもり ちかげ)
助留沌高校に通う男子高校生。左目に傷が入っている。不良チーム「コウモリ」のリーダーで、十字型の鉄パイプを武器にしている。配下の不良生徒に手を出した学崎強に怒り、タイマン勝負で潰そうと機会を狙っていた。元メンバーの蓮野ねねを痛めつけていた現場に乱入した強と勝負するが完敗。チームを解散することになった。
無壊 祭 (むかい まつり)
助留沌高校に通う長髪の男子高校生。不良チーム「奈落」の一員で、闇暗氷を仲間に引き入れるために、独断でスカウトに向かう。1年では3強の一角とされる「梟」にも通じているが、実は終創始が校内に放ったスパイ。クールな雰囲気を漂わせた無表情なタイプで、その表情からは考えていることが読み取りにくい。
梅川 美鈴 (うめかわ みすず)
助留沌高校に勤務するグラマラスな女性教師。追試に参加していた際に、不良と喧嘩して教室を破壊した学崎強と闇暗氷に対し、教室の修復を要求していた。不良チーム「梟」の情報を摑んでいるなど、不良抗争事情にも詳しい。校長の策謀を知っている唯一の人物。
武刀 千春 (むとう ちはる)
助留沌高校に通う男子高校生。髪の毛をトゲトゲしく逆立てている。2年の不良チーム「悪鬼」の一員で、闇暗氷を仲間に引き入れるために、腐乱剣とともに交渉へと向かう。日本刀を武器としており、具現化させた刃状のカクゴ、「後斬り」を使いこなす。その鋭い連携攻撃によって学崎強を敗北寸前まで追い詰めた。
腐乱 剣 (ふらん けん)
助留沌高校に通う男子高校生。額と目元に縫ったような傷がある。2年の不良チーム「悪鬼」の一員。闇暗氷を仲間に引き入れるために、武刀千春とともに交渉へと向かう。大柄で動きは鈍いが、カクゴによって足のバネが強化されており、静止状態から高速の頭突きを繰り出すことができる。
宇西 撃烈 (うざい げきれつ)
助留沌高校に通う男子高校生。前髪が前方に突き出ている。不良チーム「まんじ」の特攻隊長をしている。優等生の学崎強に目を付け、鞄を盗むなどの嫌がらせを行う。それを咎めた鰯田逃次をボコボコにするが、強によって叩きのめされる。
鰯田 真由 (いわしだ まゆ)
看護師をしている女性。鰯田逃次の姉で、胸が非常に大きく、スタイル抜群の美女。その姿を見た学崎強や斬島優介のハートをわしづかみにしていた。逃次が世話になったとして、強たちに手料理を振舞おうとするなど、面倒見がいい性格。
殴野 満次 (おうの まんじ)
助留沌高校に通う男子高校生。不良チーム「まんじ」のリーダー。配下の宇西撃烈を倒した学崎強に報復するため、蓮野ねねを騙して連れ出し、強の仲間を一人ずつ叩き潰そうとしていた。喧嘩の達人だが、実力で上回る強に圧倒され、敗北する。
校長 (こうちょう)
助留沌高校の校長。ライオンのような風貌をした男性で、詐欺広告で学崎強を入学させた張本人。裏勢力を拡大させようと画策しており、強と首落迷を操って、世界を混沌へと導こうとしていた。
その他キーワード
カクゴ
体内に流れる微弱な電気を増幅し、身体の一点に集めて強化する技の総称。倒藤絶いわく、「氣」と同じものであるとのこと。身体能力を強化する他、具現化したカクゴを武器として使ったり、天候を変化させたりできるなど、使い手の数だけカクゴの効果が存在する。
裏カクゴ (うらかくご)
空中を漂う微弱な電気を体内に取り込んで増幅し、身体の一点に集めて強化する技の総称。効果はカクゴとよく似ているが、膨大な電気を扱うことができるため、その威力はカクゴを遥かに上回っている。その反面、使うには生まれ持った才能が必要となり、使い手は1000万人に1人の確率でしか現れない。
頂上 (てっぺん)
助留沌高校でもっとも強く、統率力のある絶対王者のポジション。頂上を確保した者は、裏社会を牛耳る力を得ることができ、この世で手に入らないものはなくなるとされている。そのため、多くの生徒が頂上を目指してしのぎを削っている。