Sink

Sink

『ネ暗とぴあ』や『ぼのぼの』など、独自センスのギャグ作品を発表してきたいがらしみきおが描く、戦慄のホラー。なにげない日常が異常に蝕まれていく恐怖を描く。「web-sink」にて2001年から2004年にかけて発表された。

正式名称
Sink
ふりがな
しんく
作者
ジャンル
ホラー
関連商品
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概要・あらすじ

山下公一はバスに乗車中、交通事故現場に居合わせる異様に首の長い女を見かける。さらに勤務する大学構内でも異様に腕の長い学生に出会う。また最近、利用しているバス停留所にはやたらとタバコの吸い殻が捨ててあり、自宅近くの造成地は異常なほどの石で溢れていた。不良に刺されて家で療養中の息子の様子もどうもおかしい。それらの異変は、これから起こる恐ろしい出来事の先触れだった。

登場人物・キャラクター

山下 公一

大学で教鞭をとる40代と思しき男性。異様に首の長い女性や腕の長い男性、バス停に異常なほどに増えるタバコの吸い殻など、周囲の異常さにいち早く気づく。その異常さが息子や自宅までをも侵してきていることに抵抗する。

山下 駿

山下家の一人っ子で長男。背が高く、体の大きい高校2年生。父親に似た垂れ目で、耳にピアスをしている。勉強はクラスでトップをとるほど優秀で、バスケ部ではエース。ぶっきらぼうだが勇敢で、同級生の弓をストーキングする三浦をブチのめした。そのことで逆恨みした三浦に刃物で刺された結果、家にこもりがちになり、徐々に見た目と行動に異常をきたし始める。

山下の妻

山下公一の妻で、山下駿の母親。一戸建ての家で主婦をしている。家族3人で幸せに暮らしていたが、刺されて家にこもりがちになった息子の異変に苦悩する。

山下公一と同じ大学に勤務する教授。坊主頭の太った中年男性で、吊り上がった眼と団子鼻、眼鏡が特徴。人の営みはすべてバランスをとろうとする行為であるという自論を持ち、バランスを保つことに異常なほどこだわっている。そのために結婚もせず、誰もいない山小屋に引っ越しており、大学の自室には机や椅子以外何もない。山下から周辺の異常事態についての相談を受ける。

三浦

山下駿と同じ高校に通っていたが、退学させられた不良。目つきと人相が悪く、よくシンナーでラリってヨダレをたらしている。弓をしつこく追い回していたところ、駿に殴られて歯を失う。後日、そのことを恨んで駿を刃物で刺す。

(ゆみ)

山下駿と同級の女子高生。駿の家の近くに住み、駿の両親とも顔なじみ。駿のことは呼び捨てにし、駿からは「弓リン」と呼ばれる親しい間柄。三浦にしつこくつきまとわれて困っており、駿にボディーガードを頼む。刺されて以来自宅に引きこもる駿のことを心配している。

山下 武子

山下公一の母親。孫である山下駿の異常を聞きつけ、霊媒師の東山を連れて山下家を訪問する。

東山

霊媒師の中年女性。山下武子に助けを求められ、山下駿を救うために山下家を訪れる。自身の力では駿を救うことはできないと悟り、家を清めるために一心不乱にお経を唱える。

林の母

林の母親。背が低く、頭だけが異様に大きい。酒乱である夫にたびたび暴力を振るわれ、林が中学1年生の時には、夫の暴力によって頭と足の骨を折って入院する。林の推測では、その後に夫を金づちで殺したという。その後、林の母も姿を消したため、すでに亡くなったと思われていたが、林の前に姿を現す。

集団・組織

げんざ

人間が社会というものを作り始めた大昔から、必ず人を不幸にするこの世界を潰せ、と社会に異を唱え続けた血族。かつては山の中で暮らしていたが、血を広めるために山を降り、現在は社会に混じり込んでいる。げんざの血を受け継いだ者は、自らが不幸にあうことで自分がげんざであると覚醒する。げんざは目をつむると、自分の姿を消せる。

その他キーワード

よびしろ

わげじいりを作り出すための、不幸を呼ぶ装置のようなもの。不幸を起こして、げんざの血脈を持つ者を覚醒させるためのもの。塀に埋め込まれた大量のタイヤ、造成地に広がる大量の石などが、よびしろの役割を果たす。

わげじいり

たった今起きたことがもう一度起きる、いわゆる「デジャ・ビュ」のような現象のこと。わげじいりの発生後は、それまでとは違う別の、とても不幸な時間が始まるという。

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