あらすじ
卯多子と直行の間に芽生えた恋(第1巻)
高身長ながらもシャイで控え目な性格の古屋卯多子は、入学してすぐに親友になった太子舞花と共に学校生活を楽しんでいた。そんなある日、隣の席に座っていた原田直行から「教科書を忘れたから見せてほしい」と声をかけられる。それをきっかけに「卯多子と友達になりたい」と接近してくる人懐っこい直行に対し、最初は戸惑っていた卯多子だったが、次第に恋心を抱くようになる。しかし、卯多子は中学時代、好きだった鳥羽に告白をする前に身長を理由にふられた経験があり、なかなか恋愛に積極的になれずにいた。また、直行がクラスの中心的人物で友達がたくさんいる事、さらに元彼女である美少女・秋尾のぞむの存在もあり、「自分とは釣り合わない」とその気持ちを抑え込んでいた。そんな中、卯多子は直行から突然告白を受ける。実は直行も卯多子に対して好意を抱いていたのだ。幸せの絶頂である卯多子は不器用ながらも直行との恋を育もうと奮闘し、初めてのデートへと繰り出すのであった。
卯多子と直行の初デート(第2巻)
初めてのデートで、古屋卯多子と原田直行は直行の地元にある水族館に行く事になる。最初は緊張していた卯多子も次第に打ち解け、初めて直行と手をつなぐなど楽しい時間が過ぎていった。しかし、帰り道に突然の大雨に遭ってしまう。ずぶぬれになった卯多子を直行は実家である民宿に誘う。直行の民宿は本人が不在の際にも、内真澄や喜多瑞樹など中学時代の友人たちの溜まり場になっていたのだ。その民宿で、卯多子は自分といっしょの時の直行も好きだが、友達といる時の直行も好きだという事をしみじみ思うのであった。直行と恋人同士になった事を本当に幸せだと感じていた卯多子であったが、通学途中の電車内で中学時代、身長を理由にふられた同級生・鳥羽と偶然再会してしまう。
卯多子の過去と直行の思い(第3巻)
古屋卯多子は鳥羽との再会に当初は戸惑うと思っていたが、心の中に原田直行がいるので自然な会話をする事ができ、自分でも驚く。一方、直行は明るく振る舞っているものの、周囲からの「直行ならできるよね」といった期待に大きなプレッシャーを感じていた。そんな時、直行は卯多子の前ではありのままの自分が出せる事に気づき、自分にとって卯多子は特別な存在なのだと確信する。そして初めて卯多子の家を訪れた帰り道、卯多子を抱き寄せキスをするのであった。二人の交際は順調であったが、クラスでは学校に一度も登校していない犬居准が問題となっていた。クラス委員の植村麻季は、とりあえず犬居の家に近い卯多子にプリントを届けてほしいと依頼してくる。最初は卯多子を拒否する犬居であったが、音楽好きという共通点から次第に心を開いていく。さらに直行の呼びかけもあり、犬居は2年ぶりに登校して来る。そんな犬居に対し、1年生の時に同じクラスだった草野まみかは興味本位から接近する。
登場人物・キャラクター
古屋 卯多子 (ふるや うたこ)
里海学園に通う高校1年生の女子で、B組に所属している。家族構成は父親と母親、3歳上の姉のアカ姉。クラスメイトの原田直行と太子舞花からは「うたまる」と呼ばれている。趣味は音楽鑑賞で、特技は自転車のパンク修理。身長が172センチと高いため目立つ存在ではあるものの、性格はシャイで控え目。恋愛に関しては中学時代に鳥羽に好意を寄せていたところ、身長を理由に告白をする前に断られた経験があり、積極的になれずにいた。 隣の席の直行の明るさに惹かれ恋心を抱くようになったところ、思いもかけない直行からの告白で両想いとなる。親友の舞花には、直行の事を何でも相談できる間柄である。大きなサル耳がコンプレックスであったが、直行が古屋卯多子をイメージしたかわいいサルキャラクターを作った事からお気に入りになっている。
原田 直行 (はらだ なおゆき)
里海学園に通う高校1年生の男子で、B組に所属している。古屋卯多子とはクラスメイト。身長は卯多子より少し低い。実家は民宿を経営している。隣の席になった事がきっかけで卯多子と仲よくなり、最初はあくまで友達として付き合っていたが、次第に恋心を抱くようになった。卯多子が原田直行自身に好意を持っている事を知らないまま、直行から意を決して告白をし、両想いになった。 明るく社交的な性格から、すぐにクラスの中心的存在となる。そのため中学時代から女子に好意を寄せられる機会が多かったが、付き合ってもすぐに別れる事を繰り返しており、これまでまじめに交際した事はない。いつも自分からふっていたが、秋尾のぞむには初めてふられている。同じ中学出身の内真澄と同じ、サッカー部の喜多瑞樹と仲がよく、太子舞花とも軽口を叩き合う関係である。
太子 舞花 (たいし まいか)
里海学園に通う高校1年生の女子で、B組に所属している。古屋卯多子とはクラスメイト。卯多子とは入学してすぐに親友関係になった。明るくユーモアセンス抜群の小柄な女性で、卯多子からは「自分にないものを持っている」とあこがれられている。原田直行とは同じ中学出身である。
秋尾 のぞむ (あきお のぞむ)
里海学園に通う高校1年生の女子で、美術科であるG組に所属している。小柄で華奢な身体つきに長く美しいストレートヘアの持ち主。古屋卯多子が初めてすれ違った際に思わず「かわいい」と漏らしてしまったほどの美少女。原田直行の中学時代からの同級生で、一時期交際をしていた過去があり、秋尾のぞむの方からふっている。 現在は友達関係に戻ってはいるものの、何かと直行に絡んでいる。そのため、卯多子の親友である太子舞花からは要注意人物としてマークされている。
内 真澄 (うち ますみ)
里海学園に通う高校1年生の男子。原田直行の中学時代からの腐れ縁で、喜多瑞樹を交えた三人で行動する事が多い。周りの友達からは「うっちー」と呼ばれている。直行を含めて明るい性格が多い友達の中では珍しく、クールで皮肉っぽい性格をしている。幼なじみが直行と一時期交際しており、彼女がまだ直行に未練を残していた事から、現在の彼女である古屋卯多子に対しては冷たく当たっていた。 のちに「直行を頼む」と卯多子とは和解した。
喜多 瑞樹 (きた みずき)
里海学園に通う高校1年生の男子。原田直行の中学時代からの腐れ縁で、内真澄を交えた三人で行動する事が多い。中学時代は直行と共にサッカー部で活躍していた。小柄で調子のいい性格の持ち主である。
犬居 准 (いぬい じゅん)
里海学園に通う高校1年生の男子で、B組に所属している。古屋卯多子とはクラスメイト。既に二留しており、里海学園の規定により今年進級できなければ退学となる。非常におとなしい性格で、趣味は音楽鑑賞。春に進級してから1日も登校しておらず、たまたま近所に住んでいた卯多子が自宅にプリントを届けに行った。この際、卯多子と共通の音楽が好きだった事と、原田直行に学校に来るよう声をかけられた事をきっかけに、勇気を出して登校し始める。
植村 麻季 (うえむら まき)
里海学園に通う高校1年生の女子で、B組に所属している。古屋卯多子とはクラスメイト。黒色のボブカットの髪型をした美人。成績優秀なため、クラス委員を務めている。クラス全員が団結するように声をかけるなど、原田直行と同じくクラスの中心人物的な存在。登校して来ない犬居准の事を心配している。
草野 まみか (くさの まみか)
里海学園に通う高校3年生の女子。古屋卯多子と原田直行が水族館デートをした際、同じ水族館で彼氏といっしょにデートをしていた。帰り道、大雨に降られていて困っていたところ、同じくずぶぬれになっていた卯多子と直行に声をかけられ、直行の実家である民宿を訪れた。その際に直行の事を気に入り、彼氏がいながらも直行にちょっかいを出すものの、すべて不発に終わった。 男性に媚びを売るのがうまい、いわゆるぶりっ子。
鳥羽 (とば)
古屋卯多子が中学時代にクラスメイトだった男子。自分の意見ははっきりと主張する真っ直ぐな性格をしている。中学卒業後は男子校へと進学している。中学時代は小柄であったが、高校に進学してからは卯多子と同じくらいの身長になっている。周囲から卯多子に好意を寄せられているとの情報を得るが、卯多子では自分には釣り合わないと告白を受ける前にふってしまう。
アカ姉 (あかねえ)
古屋卯多子の実姉で、3歳年上の女子大生。里海学園の卒業生でもある。卯多子と非常に仲がよく、原田直行との関係についてアドバイスをしたり、デートの服を選んだりと応援している。シャイで控え目な性格の卯多子とは違い、明るく積極的な性格の持ち主である。
場所
里海学園 (さとみがくえん)
古屋卯多子や原田直行らが通う男女共学の高等学校。普通科はA組からF組までの6クラスあり、G組以降は美術科など専門科となっている。「地獄坂」の通称を持つ急な坂の上にあるため、自転車通学の生徒は苦労している。近くに美味しいパン屋がある。