いつかヒーローになる日

いつかヒーローになる日

少年はひょんなことから顔面に大火傷を負い、辛く苦しい闘病生活を送ることになる。そんな少年を支えてくれたのは、幼なじみの少女と家族だった。幼い頃からずっとお互いを想い合って来た少年と少女の、切ない恋愛模様と学園生活を描いたラブストーリー。作中の治療法や医学的な監修などは、東京医科大学形成外科の助教授である松村一医師によって行われている。「デザート」に2006年から2007年にかけて連載された作品。

正式名称
いつかヒーローになる日
ふりがな
いつかひーろーになるひ
作者
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概要・あらすじ

わずか5歳で村井珠美と恋に落ちた虎谷敦は、たとえ何があっても一生、自分が珠美を守るのだと心に誓う。敦は珠美と一緒に過ごす学校生活はとても楽しく、乱暴な兄の虎谷要とケンカをしつつも充実した毎日を送っていた。ある日、珠美と一緒に遊ぶ約束をしていた敦は、ほんのわずかな時間だけ珠美を1人にしたことを後悔することになる。

珠美は団地の階段で見知らぬ男に性的ないたずらをされ、その後、誰にも告げずに転校してしまったのだ。自分が守ってやれなかったせいだと敦は激しく悔やむが、結局、珠美の居所は分からないままに数年が経過。珠美への想いを忘れられずに中学生になった敦は、そこで別のクラスに転校して来た珠美と再会することになる。

登場人物・キャラクター

虎谷 敦 (とらたに あつし)

村井珠美と幼なじみの10代の男子。珠美からは子供の頃からずっと「アッくん」と呼ばれている。ぶっきらぼうで思い込みが激しく乱暴なところもあるが、実はまっすぐで一生懸命な性格の持ち主。幼稚園の頃から珠美のことが好きで、珠美がわけあって転校してからもずっと想い続けていた。中学生の時に要の友達のバイクを盗もうとした山本甲斐をかばおうとした兄の虎谷要に、顔面に大火傷を負わされた。 このせいで長きに渡り苦しむことになるが、献身的な珠美と家族の支えもあって、自分の症状と正面から向き合っていこうとする。学校の成績は非常に悪く、虎谷敦自身も勉強にはまったく興味がない。要の悪い評判も影響してか内申点は壊滅的に悪かったが、どうにか高校へ進学し、友達になった森環から勝手に「トラジー」と呼ばれて懐かれる。

村井 珠美 (むらい たまみ)

虎谷敦の幼なじみの10代の女子。敦とはお互いに初恋の相手同士で幼稚園の頃からずっと恋仲だったが、小学生の時にある事件に巻き込まれ、やむなく転校することとなった。その後、中学生になってから再び敦と同じ学校に戻って来たが、もともととてもかわいらしくて明るい性格だったにも関わらず、別人のように地味でおとなしいタイプの女の子に変わってしまっていた。 思い込みの激しい敦に振り回されることが多いが、公私の区別はきちんとつけて勉強もしており、学校の成績はトップクラスを維持する優等生。顔面に大火傷を負った敦を支えようと献身的に接する。高校入学後は女子バレー部に入部し、マネージャーとして活動することになる。

虎谷 要 (とらたに かなめ)

虎谷敦の3つ年上の兄で、敦とは子供の頃から仲が悪い。3歳の時にはすでに団地の子供を従えた三輪車暴走族のヘッドだった。幼い頃から家庭に不信感を抱いており、親でも手がつけられないほどの不良に育ち、中学生になる頃には地域で最強の男と多くの不良たちに恐れられていた。相手が気に入らなければたとえ親兄弟でも決して容赦しない残酷な一面がある。 素行が悪く、高校を中退した後に犯罪を犯して鑑別所に入っていたが、保護観察処分となって出所した。友人のバイクを盗もうとした山本甲斐への見せしめのためにいたずらを思いつくが、失敗して敦の顔面に大火傷を負わせてしまう。

山本 甲斐 (やまもと かい)

虎谷敦の幼なじみの10代の男子。子供の頃から万引きが常習化しており、なかなかやめられずにいる。小学生の時に木下弥生をいじめていたが、いつの間にか気になる存在になっていく。フラフラしているように見えて学校の成績はとても良く、女性の下半身を見るために、将来は産婦人科医になりたいと思っている。盗もうとしたバイクの所有者が偶然にも虎谷要の友人だったことから返り討ちに遭い、敦にかばわれる。

徳永 誇 (とくなが ほまれ)

虎谷敦の幼なじみの10代の男子。周りの友達からは名前をもじって「ホーマー」と呼ばれている。祖父と祖母の3人で暮らしているためか、おっとりした性格の持ち主。学校の成績は芳しくなく、高校には進学せずに就職する道を希望している。周囲には明かしていないが、離れて暮らす父親はパンクバンド「BUTTER DOGGIE」のギタリスト「リョウジ」である。 誇はリョウジが15歳の時にできた子供だが、リョウジのことをずっと兄だと聞かされていたため、今でも父親だという実感はない。

木下 弥生 (きのした やよい)

虎谷敦の幼なじみの10代の女子。顔から首にかけて広範囲な痣があるため、クラスメイトから「ゾンビー」というあだ名を付けられてからかわれていた。村井珠美と仲が良く、小学生の頃から山本甲斐にいじめられた時はよくかばってもらった。成長とともに心も強くなり、たくましく変わっていく。敦のことが少し気になっている時もあったが、珠美と両想いであることを知っているため、深入りはしなかった。

佐伯 千里 (さえき ちさと)

虎谷敦が中学入学後に親しくなったクラスメイトの女子。敦が好きでよく一緒にいるが、村井珠美が転校して来てから敦の様子が変わってしまったため、珠美に対して嫉妬心をむき出しにする。結局、敦に想いは届くことはなく、そのまま中学を卒業する。

ユウ

虎谷敦が中学入学後に、病院で知り合った高校生の女子。子供の頃に背中に大火傷を負って、一生消えない痕が残ってしまい、ずっと苦しみ続けてきた。思春期に入ってから自虐的に売春を繰り返していたが、高校入学後にようやく大火傷をした自分自身を受け入れられるようになった模様。のちに虎谷要に一目惚れをし、積極的にアピールをする。

森 環 (もり たまき)

虎谷敦が高校入学後に、クライメイトとなった男子。自分の名前を縮めたあだ名の「モリカン」は、自ら考えて名乗っている。髪を真っ赤に染めた見るからに軽薄そうな外見をしている。ケンカがとても強く、入学早々、柔道部の気に入らない上級生たちをたった1人で負かしてしまった。同性の友人よりもマリコと一緒にいることが多いが、顔面に火傷の痕が残っている敦に親近感を覚え、たちまち仲良くなる。 森昴の双子の兄だが、二卵性ということもあってまったく似ていない。

マリコ

虎谷敦が高校入学後に知り合った女子。底抜けに明るい性格で、昔から仲の良い森環といつも一緒にいるが、特に付き合っているというわけではない。敦が村井珠美との初体験を成就させるための旅行を計画していた際、親戚が旅行代理店に勤めているというコネクションを活かして、自分と環も同行する形で旅行を手配した。これが結果的に、敦の目的とはまったく違うプランとなってしまう。

森 昴 (もり すばる)

森環の双子の弟。ただし二卵性のため、環とはまったく似ていない。もともと超未熟児で体が弱く、長い間入院生活を送っていたため、環よりも1年遅れで就学した。4歳から空手を習い始め、努力の結果、中学生の部で王者となる。その後も関東ブロック大会で優勝するなど、優秀な戦績を残している。

小山田 瞳 (おやまだ ひとみ)

村井珠美が高校入学後、入部したバレー部でチームメイトとなる女子。名前を縮めて「トミー」と呼ばれている。背が高く、1年生にしてエースアタッカーを務め、上級生からも一目置かれる存在。竹を割ったようにはっきりした性格で、思ったことは何でも言ってしまう。虎谷敦の言うことをついつい何でも聞いてしまう珠美に対し、時には厳しいアドバイスをすることもある。

虎谷 京美 (とらたに きょうみ)

虎谷敦と虎谷要の母親。かつてガソリンスタンドでアルバイトをしていた時に、トラックの運転手だった虎谷真と知り合い結婚。この時、さまざまな問題に見舞われたために一度は離婚したが、結局、数年後にまたよりを戻した。このことが要に不信感を抱かせるきっかけとなっており、頭を悩ませている。

虎谷 真 (とらたに まこと)

虎谷敦と虎谷要の父親。トラックの運転手をしており、ガソリンスタンドでアルバイトをしていた虎谷京美と恋仲になって結婚した。結婚生活がうまくいかずに一度は離婚したものの、京美を放っておくことができず、数年後に再婚した。このことから要に相当な不信感を抱かれており、それが家庭不和の要因となっている。

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