T・Pぼん

T・Pぼん

歴史の影で不幸にも亡くなった人の命を、過去に遡って救っていくタイムパトロール隊の活躍を描くSF作品。恐竜時代から近代まで、舞台となる時間は様々だが、多くのエピソードは史実をベースにしたものとなっている。そのため、ときには多くの人々の死や、残酷な流血表現が描かれることもあり、藤子・F・不二雄の少年向け作品の中では、やや対象年齢層が高い内容となっているのが特徴。また、歴史に対する影響が大きいために助けられない人もいるという葛藤も、作品のひとつの軸となっている。

概要・あらすじ

ある日、平凡な中学生である並平凡は、一瞬のうちに時間が経過したかのような不思議な体験をする。それは未来からやってきた、タイムパトロール隊の隊員であるリーム・ストリームの不注意が原因だった。そして、タイムパトロール隊の存在を知った並平凡は、紆余曲折の末に見習いの隊員として採用されることになり、失敗を繰り返しながら様々な歴史的事件の現場に立ち会っていく。

登場人物・キャラクター

並平 凡

ごく平凡な男子中学生。作中の多くの場面では「ぼん」と呼ばれている。ある任務のために未来からやってきたタイムパトロール隊の隊員・リーム・ストリームに遭遇し、アクシデントからタイムパトロール隊の存在を知ることとなる。本来ならば、タイムパトロール隊の秘密を知ってしまった人間は「存在しなかったこと」にされてしまうのだが、調査の結果、人類にとって重大な歴史に関わる人物であることが判明したため、特例としてタイムパトロール隊の見習いに採用される。 その後、リーム・ストリームと共に経験を積み、正式な隊員となって独立。しかし、最初の任務において安川ユミ子に秘密を知られてしまい、彼女を消去するかわりに助手として採用するよう要請。 それ以降は彼女とコンビで任務に当たる。なお、「歴史に関わる」というのは、たまたま蹴った石がある男性に当たり、それがきっかけとなって救出された少年が将来、ガンの根治法を発見。さらに、それによって命を救われた政治家が第3次世界大戦を食い止めるというもの。本人が期待するような、自分が歴史上の人物になるというものではない。

リーム・ストリーム

並平凡が一人前になるまで行動を共にする、物語初期のヒロイン。タイムパトロール隊の秘密を知った並平凡を「消去」するよう命令を受けるが、その後の調査で彼が人類の歴史において重要な役割の一端を担っていることが判明。そのため、彼を見習いとしてタイムパトロール隊に迎え入れ、指導する立場となる。 通常は2016年の世界に暮らすミドルスクールの3年生。並平凡の前では「しっかりタイプのお姉さん」として振舞っているが、行動を共にする不定形生物のブヨヨンによれば、本来はドジで面倒くさがり屋らしい。また、まったく泳げないという意外な弱点を持っている。しかし任務に対する責任感は強く、並平凡を一人前の正式隊員にするまで務めを果たす。

安川 ユミ子

タイムパトロール隊の正隊員となった並平凡のパートナーとなる、物語後半のヒロイン。13歳。並平凡と家は近所だが、違う中学校に通っている。本来ならば通り魔に殺される運命にあったが、彼の持っていたタイムパトロール隊の装備を使って自力で通り魔を撃退。その際記憶消去装置「フォゲッター」を作動させていなかったため、タイムパトロール隊の存在を知ることになった。 そして並平凡の働きかけにより、存在を「消去」されることなく助手として採用され、やがて能力を認められて正隊員へと昇格する。タイムパトロール隊の隊員としては先輩の並平凡よりもむしろ優秀で、新しい装備のチェックや、任務を行う時代の事前調査を怠ることはない。 また、ある任務において最低限の歴史への介入によって目的を達成したことから、二十世紀担当支部長に高く評価されたこともある。性格は責任感が強い一方で同情心が強く、本来の任務が終わったあとも保護対象のことを気にかけ続けることも多い。

ブヨヨン

リーム・ストリームと行動を共にする、ゼリー状の不定形生物。すべてのセリフは、ひらがなとカタカナが逆転した表記となっている。自称「超空間の超生物」だが、リーム・ストリームによれば「異空間を移動すると勝手にくっついてくる」生物らしい。しかしカンは鋭く、保護のターゲットの手掛かりを探し当てたり、リームたちの危機を察知するなど、役に立つ場面も少なくない。 また、おしっこには消火能力があり、それによって並平凡の部屋の火事を防いだこともある。

ゲイラ

タイムパトロール隊の本部に所属する監察官。第1話ではタイムパトロール隊の秘密を知った並平凡を「消去」するという、本部からの非情な命令を伝えるために登場。しかし、彼を消去すると歴史に大きな影響が出ると分かってからは新人隊員を監督・指導する立場となり、並平凡や安川ユミ子の成長を見守った。

白石 鉄男

並平凡が日常で行動を共にする友人のひとり。団地の4階に住む。本来ならば、その自宅から並平凡とふざけ合っているうちに誤って転落死する運命にあったが、リーム・ストリームによって命を救われる。この事件をきっかけに、並平凡はタイムパトロール隊に入隊することになる。デレク・アンド・ザ・ドミノスを並平凡に勧めるロックファン。 しかし性格はややいいかげんなところがあり、友人の間では他人の意見にあとから同調していることが多い。

白木 陽子

並平凡が日常で行動を共にする友人の紅一点。まじめな性格で、並平凡に宿題をやるよう促す場面がしばしば見られる。また、彼のことを基本的には「並平さん」と呼んでいる。

柳沢

並平凡が日常で行動を共にする友人のひとり。眼鏡をかけた博識な少年。その知識の範囲は、歴史や民話の伝承、昆虫に関することまで非常に幅広い。作中にフルネームは登場していないが、その知識ゆえに登場機会はかなり多く、他の友人が登場しないエピソードでも単独で出てくることもある。

敷島 明子

並平凡が通う中学校の英語教師。教育熱心だが、融通の効かない性格。戦時中に許婚者であった桜木健男が、沖縄での特攻隊員に選ばれたために亡くなっており、独身を貫いている。しかしタイムパトロール隊の任務として彼が救出されたために歴史が変わり、並平凡が任務遂行後に戻った世界では結婚して子供もいるようになっていた。 また、性格もやや融通がきくように変化を見せている。なお、このエピソードによって、作中の「現代」が昭和54年(1979年)であることが明確になっている。

集団・組織

タイムパトロール隊

『T・Pぼん』に登場する組織。過去において不幸な事故によって亡くなった人を、歴史に影響が出ない範囲で密かに救うことを任務とする。その存在は極秘とされ、肉親にも隊員であることを知られてはならない。また、任務の遂行もあくまでも「自然な形に見えるように」というのが基本となっており、歴史への介入度合いは小さければ小さいほど高く評価される。 そして、後の世界への影響の大きさから、与えられた任務以外の命をみだりに救うことは禁じられており、ときには非情な決断を下すことも隊員には要求される。代表的な装備として、タイムボートや制服のほかに、過去の世界で接触した人間の記憶を限定的に消去する「フォゲッター」、対象となる人物や生物が歴史に与える影響を測定する「チェックシート」、任務の補助となるよう動物をコントロールする「生体コントローラー」などがある。 時間の流れをスローやコマ落としなどにする「タイムコントローラー」は、正隊員にのみ与えられる装備品となっている。

その他キーワード

タイムボート

『T・Pぼん』にて並平凡たちタイムパトロール隊の隊員が使用する、個人用のタイムマシン。浮遊するオートバイのような形状をしており、時間移動だけでなく、通常の移動にも使用される。使用者から一定時間離れると、秘密保持のために自動的に姿を隠す「かくれんぼ機能」を搭載。またトランクスペースは様々な機能を兼ね備えており、投入した資料の内容を直接脳に送り込む「圧縮学習装置」や、本部に要請した物品の時空を超えた受け渡しなどに利用される。 ただし整備を怠ると、重大なトラブルに繋がることもある。

アニメ

SFアドベンチャー T・Pぼん

平凡な少年並平凡は、ある日タイムパトロール隊の隊員リーム・ストリームと偶然出会い、隊員となった。こうして、並平凡とリーム・ストリームはタイムマシンであるタイムボートで色々な時代へ行き、歴史を変えないよ... 関連ページ:SFアドベンチャー T・Pぼん

書誌情報

T・Pぼん 全2巻 〈てんとう虫コミックスアニメ版〉 完結

第1巻

(1989年11月発行、 978-4091490919)

第2巻

(1989年12月発行、 978-4091490926)

T・Pぼん 全3巻 中央公論新社〈中公文庫コミック版〉 完結

第1巻

(1995年6月発行、 978-4122023567)

第2巻

(1995年6月発行、 978-4122023574)

第3巻

(1995年6月発行、 978-4122023581)

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