概要・あらすじ
2036年、日本の住民は政府によってランク付けされ、様々な制限を受ける生活を余儀なくされていた。そんな中、子供たちは徹底した管理教育を受け、自由な言動は封じられ、大人たちに理不尽に支配されていた。茨城県日立市の遠山高校に通う1年生・紅童衛児は、裁縫が趣味の草食系男子。しかし、現在の体制に様々な疑問を抱き、思ったことをすぐ口にするため、教師たちからは目をつけられている。
隣人で幼馴染の月野朱梨は、そんな彼をいつもかばっていた。ある日、突然、学校で行われた新政策「遺伝子検査」で、朱梨は「SSS」の結果を出してしまう。あらゆる病気・ウイルスに対して超高度の免疫力を持つことが判明した朱梨は、東京のAランク高校である陽の出学園への転校が決まる。
別れを前に衛児は、朱梨に「恋人になろう」と思いを告白し、朱梨もこれを受け入れる。しかし、日本を支配する大人党は、ふたりを引き裂き、朱梨を無理やり転校させてしまう。朱梨を奪われ呆然とする衛児。だが、その怒りが頂点に達したとき、彼には不思議な力が芽生える。指先から赤い糸と針が出現するようになり、これを自由自在に操ることができるようになったのだ。
これはリビドーと呼ばれる能力で、強いストレスにさらされた人間に発動するものであった。リビドーに目覚めた衛児は、政府打倒を目指す子供たちの組織ガレージキッドに誘われ、仲間となる。こうして、「赤い糸」と呼ばれるリビドーを使いこなすようになった衛児は、朱梨を取り戻すための戦いを開始する。
登場人物・キャラクター
紅童 衛児 (くどう えいじ)
茨城県日立市の遠山高校に通う高校1年生の男子。裁縫が趣味の草食系男子だが、大人が子供たちを抑圧的に管理する現在の体制に疑問を抱き、それをしばしば口にするため、教師たちに問題児として目をつけられている。隣に住む幼馴染の月野朱梨がずっと好き。何の取り柄もない上に反抗的な態度をとるので、20歳になったときに選別される大人ランクでは、必ずDランクになるものと皆に目されている。 最愛の人である朱梨を大人党に拉致されたことがきっかけで、リビドーと呼ばれる異能力が目覚めた。紅童衛児のリビドーは、指先から出る赤い糸と針を自在に操る能力で、「赤い糸」と呼ばれる。この能力が発現したことで、衛児は国家転覆を目論む子供たちの集団ガレージキッド党の一員となり、大人党と戦うようになった。
月野 朱梨 (つきの あかり)
紅童衛児の隣に住む幼馴染で、彼の最愛の人。衛児と同じ遠山高校に通っていた。勉強もスポーツもできない少女だが、持ち前の愛嬌と気配りで将来は上のランクに上がろうとずっと努力していた。天真爛漫な気質でバカ正直なところがある天然少女。だが、学校で実施された新政策「遺伝子検査」で「SSS」の結果を出したため、朱梨は衛児と引き離され、東京のAランク高校・陽の出学園に転校した。 転校の直前、衛児から思いを告白されており、彼女も彼が最愛の人であることを伝えている。
七海 (ななみ)
紅童衛児のクラスメート。遠山高校1年3組の学級委員。非の打ち所のない優等生を演じているが、実は国家転覆を目論む子供の集団ガレージキッドの一員。異能力リビドーが発現した衛児を、ガレージキッドに勧誘した。リビドーによってペンを刀に変え、武器とすることができる。
鈴木 (すずき)
紅童衛児のクラスメート。遠山高校1年3組。野球部員。勉強はできないが、野球部でよい成績を残して、将来よい大人ランクに選別されることを目指している。友情に厚い性格。担任教師の谷が、月野朱梨の転校をネタに衛児を挑発し続けたときは、彼をかばって谷に飛び蹴りをくらわせた。
安室 健 (あむろ けん)
国家転覆を目論む子供の集団ガレージキッドのメンバー。遠山高校1年5組。ガレージキッド第五支部所属。強いくせ毛の大柄な男子で、両腕に2つずつ、合計4つの腕時計をしている。TVゲーム好き。
合歓木 眠久 (ねむきのき みんく)
国家転覆を目論む子供の集団ガレージキッドのメンバー。遠山高校1年5組。袖の長いセーターを着て、頭にアイマスクをつけた少女。なにかと眠っている。安室健よりゲームがうまい。ガレージキッド第五支部所属。
四木 大和 (しき やまと)
日本国総理大臣。大人党党首。国民をランク付けして支配し、子供たちに抑圧的な管理教育を行う国家体制の頂点に立つ存在。遺伝子的に優良な種を掛け合わせる「民族改良計画」により、「旭民」と呼ばれる最強の国民を作り出そうとしている。その目指すところは、第二次大戦のリベンジマッチであり、日本による世界統一である。
谷 (たに)
遠山高校1年3組の担任教師。いつもジャージを着ている。何かと反抗的な紅童衛児を目の敵とし、体罰を繰り返した。生徒指導の担当で、生徒指導室に鉄パイプ、竹刀、バール、バリカンなどを備え、部屋を体罰室として使用している。
場所
遠山高校 (とおやまこうこう)
茨城県日立市にある男女共学の高等学校。紅童衛児たちが通う。学内にガレージキッド第五支部が密かに存在する。新政策「遺伝子検査」の試験運用が行われた。
陽の出学園 (ひのでがくえん)
月野朱梨が転校した東京の高校。大人大学付属。官僚や大企業の子息、将来を約束された子供だけが入学できる大人党傘下のAランク高校。「遺伝子検査」で最上級の「SSS」が出たため、朱梨はこの学校に転校させられた。
その他キーワード
ガレージキッド
国家転覆を目指す子供たちの集団。国民をランク付けし、子供たちに極端な管理教育を施す国家に対し、密かに反旗をひるがえしている。通称「ガレキ」。16年前、大人党に政権をとらせまいと、反対した学生たちの意思を引き継いだ組織。メンバーの子供たちは、異能力・リビドーを武器に政府と戦う。
リビドー
強いストレスにさらされた人間に目覚める異能の力。子供は特に発現しやすい傾向にある。紅童衛児は、月野朱梨との仲を引き裂かれたことがきっかけとなって、「赤い糸」と呼ばれるリビドーが発動した。国家転覆を目的とした集団ガレージキッドは、リビドーを発生させた子供たちで結成されている。
赤い糸 (あかいいと)
紅童衛児に発生した異能力・リビドーに対して付けられた名称。衛児は小指の先から赤い糸と針を出現させ、これを操る。武器として使う他、糸を集めて鍵を作ったり、自らの体に巻きつけて肉体を強化したり、傷口をぬったりするなど、極めて応用性の高い異能力。
大人党 (おとなとう)
弱体化した日本再生を標榜して、2020年に政権を奪取した政党。国民をランク付けして競争意識を植え付け、「人の上に立つことこそ幸せ」という偏った上昇志向を刷り込んだ。また、選挙権のない子供たちを、有権者たちの共通の敵に仕立て上げ、圧倒的な支持を勝ち取っている。
旭民 (きょくみん)
大人党党首・四木大和が生み出そうとしている究極の国民の名称。四木は、優秀な遺伝子を掛け合わして、頭脳・免疫・運動能力など、全てを完璧に合わせもった人間・旭民を作り出し、彼らの力で世界統合を成し遂げようとしている。