概要・あらすじ
2033年、超能力研究機関「GERA」の研究施設で目覚めたネジには、過去に関する一切の記憶がなかった。監理人を名乗るルーザーから、10年前に第一級犯罪者として処刑され、実験体として蘇生人間になった、と説明を受ける。強力な超能力が発現したネジは、生前に愛していた少女・でり、同じ蘇生人間ながら超能力がないために解剖手術が迫っていた白雪姫を救うため、暗殺者としての訓練を受ける。
登場人物・キャラクター
ネジ
白く長い髪を持つ、粗野な口調の少年。未知数の超能力が確認されたため、超能力研究機関「GERA」の手によって、実験体として生き返らされた蘇生人間の1人。生前の記憶がなく、夢で見た「シャリフ・ハイマン」という人物が呟いていた「ネジ」を名乗る。蘇生人間としては例外的に、自意識を持っている。生前に愛していた白雪姫を解剖手術から救うため、監理人であるルーザーの指導のもと、暗殺者として訓練を受けることになる。 しかしのちに、ルーザーから聞かされていた自身の過去がまったくの捏造であることを知る。バツはネジの弟の孫であり、大叔父と大甥の関係にあたる。
ルーザー
超能力研究機関「GERA」の蘇生人間の監理人。ネジを指導した超能力者。黒髪で長身の青年で、基本的には無表情だが、ネジの前ではわずかに表情が緩む場面も見られる。蘇生人間の1人であり、かつてネジの個室を使用していた「シャリフ・ハイマン」その人。研究所の外に憧れるあまり研究員たちを殺害したため、薬殺処分になるところだったが、死を恐れ、ソニアに忠誠を誓うことで命を長らえた。
白雪姫 (すのーほわいと)
超能力の傾向が見られない蘇生人間。超能力研究機関「GERA」の研究室の生命維持ポッドに入れられていた。生前、ネジが愛した少女。本来ならネジが目覚めた1週間後に解剖手術を受ける予定だったが、ネジが暗殺訓練を受けるため延期。さらに暗殺の成功によって生命維持ポッドから出され、個室を与えられた。ネジと口づけを交わした瞬間に超能力反応が現れ、ネジに生前の記憶を伝えた。
バツ
ネジの逃亡後、超能力研究機関「GERA」で暗殺者の精神憑依者として活動させられている蘇生人間。女好きで粗野な口調でしゃべり、不真面目に振る舞ってはいるが、実際は優しい少年。常に左目に眼帯をしており、その奥には発信器と自爆装置が内蔵された義眼が入れられている。生前、心臓の悪い幼い妹「ヘザー・ガーランド」の治療費のために、リゾート専用の宇宙コロニーに麻薬「メタル・パラノイヤ」を密輸しようと、特殊コーティングを施して胃の中に隠し持っていた。 ところが、シャトル発進の際の気圧変化によってコーティングが破裂。これにより体内に流出したメタル・パラノイヤが左目を破裂させ、植物人間となっていた。そこを「GERA」が拾い上げた。 ネジはバツの祖父の兄であり、大甥と大叔父の関係にある。
ガール
超能力研究機関「GERA」から逃亡したネジを拾い、世話していた少女。胸元にはバツ印の傷がある。口が悪く、すぐに手が出るが、仲間想いで、心優しく寂しがり屋な一面もある。ルームシェアしていたメラニーが、反政府組織「ブランクス」と関わりがあることに気付くなど、洞察力も鋭い。バツの妹。
ソニア
超能力研究機関「GERA」の幹部の1人。麻薬患者診療所の統制官。かつて「GERA」の研究員を殺害した件で薬殺処分されそうになり、さらにネジの逃亡を許したルーザーを二度にわたり救った高飛車な女性。この2件を盾に、ルーザーを飼い犬のように扱っている。目的のためには手段を選ばない非情な性格。
メラニー
ガールのルームメイトで、長い黒髪の少女。メタル・パラノイヤの中毒患者として麻薬患者診療所に送られた。ガールには隠していたが、反政府組織「ブランクス」の構成員の1人。何か月も留守にすることがよくあり、その間は超能力研究機関「GERA」の施設に潜入していた。両親をヘロインで亡くしており、麻薬撲滅運動に参加するなど、麻薬を非常に憎んでいる。
ビル
メラニーの恋人であり、反政府組織「ブランクス」の幹部の1人。さらに「ブランクス」が隠れ家として使用していたキャバレーのオーナーも務めている。精神憑依者としての能力を使用し、隠れ家を覗き見ている幽体状態のバツを、唯一視認できた人物。
レリス
アンドロイドの「ノーマ・ジーン」の少女型試作品。アイザック・アシモフの三原則のマインドコントロールを行う前に、クロックワークス社の社長であるセス・ライドンを殺害した罪で、ジギィ・ライドンから追われている。長い赤毛の少女に見えるが、喜怒哀楽のうち「喜」の感情のみインプットされていない。他のノーマ・ジーンを「姉さん達」と呼ぶ。
ジギィ・ライドン (じぎぃらいどん)
レリスが殺害したセス・ライドンの一人息子。アンドロイドの「ノーマ・ジーン」を製造・販売するクロックワークス社を継いだ若社長。常にサングラスをかけているが、ニヤニヤとした笑みを絶やさず、テンションも非常に高い。かつて父親のセスから虐待を受け、「虐待にも黙って耐える従順な人格」を生み出した。ジギィ・ライドン自身のSPも務めている改造者集団「ジャンピング・ジャックス」に、レリスの捕獲を命じる。
ジャック
改造者集団「ジャンピング・ジャックス」の1人。厳めしい長身の黒人男性。ジギィ・ライドンのSPとして、外出の際には常に付き従っている。全身のほとんどが機械化されており、体中に武器を内包している。ジギィの命令を受ければ、一般人相手に砲弾を放つこともいとわない。
ジャッキー
改造者集団「ジャンピング・ジャックス」の1人。グラマラスな体型をした黒髪の女性。ジギィ・ライドンのSPとして、外出の際には常に付き従っている。鞭のような武器を用いてネジの超能力を弾くなど、手慣れた戦いを見せる。
ジョイス
改造者集団「ジャンピング・ジャックス」の1人。腹話術人形を抱えた幼い少年。その幼い外見を活かし、大抵の場所には怪しまれずに潜入することができる。「ジャンピング・ジャックス」で唯一、ジギィ・ライドンのSPの任に就いていない。
セス・ライドン (せすらいどん)
アンドロイドの「ノーマ・ジーン」を製造・販売するクロックワークス社の前社長。レリスによって殺害されたジギィ・ライドンの父親。かつて幼いジギィを「お人形ちゃん(ドーリィ)」と呼び、身体的虐待を繰り返していた。
集団・組織
GERA (げら)
蘇生人間に備わる超能力を中心に研究する機関。その力を国、政府、権力者たちの都合のいいように利用している。麻薬「メタル・パラノイヤ」の生成・流布も行っており、街全体を巨大な実験場にすることもいとわない。
ブランクス
地下の反政府組織。ビルがオーナーを務めるキャバレーを隠れ家としている。構成員の多くがメタル・パラノイヤで中毒にされ、麻薬患者診療所に送られている。メラニーが麻薬患者診療所に送られた知らせを受け、救出へと逸(はや)る。
ジャンピング・ジャックス (じゃんぴんぐじゃっくす)
身体に機械化、武器化の改造を施した集団。黒人男性のジャック、白人女性のジャッキー、少年のジョイスの3人で構成される。ジギィ・ライドンのSPとして身辺警護を務める他、ジギィの個人的な命令にも対応する。
場所
麻薬患者診療所 (まやくかんじゃくりにっく)
超能力研究機関「GERA」が運営し、ソニアが統制官を務める病院。ここに収容された重度の中毒患者は誰も帰ってこない、という噂が流れている。内部では麻薬「メタル・パラノイヤ」の生成が行われている他、「メタル・パラノイヤ」中毒患者の解剖実験なども行われている。
クロックワークス社 (くろっくわーくすしゃ)
セス・ライドンが前社長、ジギィ・ライドンが現若社長を務める会社。女性型アンドロイドの「ノーマ・ジーン」を製造し、全国で50万体を売り上げた。セスの殺害事件がなければ、レリスと同型の少女型アンドロイドを発売する予定となっていた。
その他キーワード
メタル・パラノイヤ (めたるぱらのいや)
超能力研究機関「GERA」が生成・流布している麻薬。10歳児でも街角で簡単に手に入れられる、とされるほど安価。純度が高く、効果は通常のヘロインの2倍と言われる。脳に直接働きかける作用があり、数千人に1人の割合で、生きたまま超能力が顕現する。
蘇生人間 (りばーさー)
超能力研究機関「GERA」の研究対象の人間たち。20世紀において死亡、または植物人間となったが、未来の医療に望みをかけて冷凍睡眠にかけられた。ほとんどが金持ちや大物政治家などの権力者である。研究の邪魔となる記憶は蘇生前に消去されており、蘇生後に自意識を保っている者はほとんどいない。超能力を有する者はネジやバツのように暗殺者として教育され、白雪姫のように能力のない者は、医学の進歩のためと称し、人体実験に使用される。
ノーマ・ジーン (のーまじーん)
クロックワークス社が製造した女性型アンドロイド。従来のアンドロイドと違い、極めてリアルな感情表現と肉体の反射神経が売りとされている。瞳に特殊ライトを当てると、クロックワークス社の商標が浮かび上がるのが特徴。表沙汰にされていないが、ノーマ・ジーンにはジギィ・ライドンがセス・ライドンからの虐待に耐える際に生み出された、従順な人格が移植されている。
精神憑依者 (さいこじゃっかー)
幽体となり、他人の精神に侵入および同調し、支配する能力者の総称。バツも精神憑依者だが、個人の脳波から電脳空間に入り込んで目的の場所を探ったり、他人の夢に侵入して望みの光景を見せ、意識を夢の中に縛り付けるなど、同種の能力を持つ超能力研究機関「GERA」の蘇生人間の中でも、ずば抜けた力を持っている。
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