概要・あらすじ
四国某県のある発電所で爆発事故が起きた。政府から見放され、汚染された四国K市には女性や子供はいなくなったはずだったが、大人たちに見捨てられた子供たちは、石神恭兵(キョーヘイ)をリーダーとする「マッドストーンズ」という集団を形成し、助け合いながら自分たちの力で生活していた。そんななか、不思議な能力を持つユメは偶然「マッドストーンズ」に拾われ、キョーヘイたちと行動を共にすることになる。
両親を爆発事故で失ったキョーヘイは、発電所で奇石の実験研究を強行した三光コンツェルンと「ZEN」への復讐を心に決めていたが、奇石のせいで危険な目に遭うとユメに告げられる。一方「ZEN」に所属するチャネラーのサトルは、キョーヘイのチャネラーとしての能力に興味を持ち、自らの野望のために接近してくるのだった。
互いに先を読み合うキョーヘイとサトルのチャネラーとしての戦いが水面下で続くなか、キョーヘイは「ZEN」の正体を掴むべく東京での単独行動を開始する。
登場人物・キャラクター
石神 恭兵 (いしがみ きょうへい)
四国K市出身の、16歳の青年。四国K市発電所の爆発事故で両親を亡くす。父親は発電所の技術スタッフで、発電所内で死亡、母親は父親を心配し発電所に駆けつけたため、汚染され病院で亡くなった。「マッドストーンズ」のリーダー的存在で皆に慕われている。凄腕のチャネラーであり、サトルからは影の組織「ZEN」に入れと誘われているが、両親を殺した三光コンツェルンと「ZEN」に復讐を誓っている。 マッドストーンズの仲間たちからは「キョーヘイ」と呼ばれている。
ユメ
夢で見たことが現実となる不思議な力を持つ少女。「四国から何かが始まる」という夢を見たことにより、四国K市にやってきたところで「マッドストーンズ」に拾われ、石神恭兵(キョーヘイ)に一目で惹かれる。奇石のせいでキョーヘイが死ぬことになる夢を見るが、キョーヘイはすでにそのことを知っていた。影の組織「ZEN」のサトルと知り合いであることをキョーヘイに隠している。
サトル
影の組織「ZEN」のチャネラーで、チャネラーとしては相当な能力を持つ自信家。大きな野望を持ち、チャネラーとしての石神恭兵に興味を示し四国K市を訪れる。すべてにおいてゲーム感覚で臨み、楽しめれば人殺しさえ厭わない性格。ユメとは知り合い。2年前は東京最後の暴走族のヘッドだった。顔を傷つけられることを異様に嫌う。
恭兵の兄 (きょうへいのあに)
石神恭兵(キョーヘイ)の兄。表の顔はスナック「石時代」のマスター。影の組織「ZEN」の正体を追っているジャーナリストでもある。その活動のなか、爆発を起こした発電所が「奇石」の最先端の科学実験場だったことを突き止めた。美しかった母親の悲惨な最期を看取っていないことで、弟のキョーヘイから疎まれている。
大我翁 (たいがおう)
影の組織「ZEN」の総帥。第二次大戦中に密輸で私腹を肥やし、軍部に取り入っていた。占い師のような才能を活かし、A級戦犯の政界復帰に助言を与え、以降は表向きには宗教の教祖の顔を持ち、裏では政治の世界に暗躍し続けている。チャネラーとしてサトルを見出し、石神恭兵をも取り込もうとしている。かつてヒロシマでの凄まじいエネルギーの噴出を見て、同等のパワーを手に入れることを目論んでいる。
カツキ
「マッドストーンズ」の一員で、石神恭兵(キョーヘイ)の仲間。親に見捨てられた子供が預けられる「救護施設」にいたが、厳しい先生に殴られ、自分を捨てた親と先生を憎み続ける日々を送っていた。だが、爆発事故で大人たちが逃げた後、嫌いな大人を心のどこかで頼っていたことに気づき、落胆する。キョーヘイに出会ったことで、自分の力で生きてみようと決意する。
塚本 (つかもと)
いかつい中年の刑事。三光重工金属材料技術研究所に侵入して所長に暴行し、企業データを盗み出した疑いで手配された石神恭兵(キョーヘイ)を追っている。だが、子供が相手ということで気が進まず、マスコミに気づかれないように捜査を進めろという上からの命令も腑に落ちていない。のちに偶然キョーヘイと出会った際には、彼のことを凶悪な犯罪者とは思えず、成り行きで行動を共にすることになる。
派佐 (はざ)
影の組織「ZEN」の武闘ユニットの一員。三光義行が送り込んだ石神恭兵(キョーヘイ)への刺客で、人間離れした驚異的な身体能力を持つが、キョーヘイに軍用覚醒剤を使っていることを見抜かれ、愚か者扱いされる。
三光 義行 (さんこう よしゆき)
三光コンツェルンの会長。三光グループが奇石の採掘権を得るためにA国に軍事援助したことが、石神恭兵(キョーヘイ)が手に入れたデータから発覚することを恐れている。チャネラーへの理解は浅く、サトルでは力不足だとして、キョーヘイを殺すために影の組織「ZEN」の武闘ユニットの派佐を送り込む。
窪重 (くぼしげ)
三光重工金属材料技術研究所所長の博士。発電所で爆発があった年に四国K市で奇石の実験研究の指揮を執っていた。爆発事故の直前に四国を離れ、死を逃れている。影の組織「ZEN」の存在を知る一人であり、石神恭兵に手荒く尋問される。
徳田 (とくだ)
影の組織「ZEN」の一員であり、大我翁の部下。石神恭兵(キョーヘイ)が奇石と「ZEN」との関わりについてどれ程知っているのかを調べるため追い詰めたつもりが、実は誘導されていただけでまんまと逃げられる。再びキョーヘイを襲った際にも裏をかかれ、先が読めない奴はダメだね、とサトルにバカにされる。
森 (もり)
パン屋のオヤジで、店で働く少女に手を出す。少女が石神恭兵(キョーヘイ)率いる「マッドストーンズ」の仲間であったことから、キョーヘイに殴り込みをかけられ、半殺しにされる。
集団・組織
マッドストーンズ
発電所の爆発事故で汚染され、子供がいなくなったはずの四国K市に集団で生活する子供たち。石神恭兵(キョーヘイ)がリーダー的存在。外からヤミで入ってきたものを市場で大人と共に仕切っている。もとは四国K市で親に見捨てられた子供が預けられる学校のような「救護施設」にいた集団で、爆発事故で大人が逃げて行き場を失い、キョーヘイと出逢い「マッドストーンズ」を形成した。
ZEN (ぜん)
三光コンツェルンの背後に控える影の組織。三光グループの経営上の情報が収集分析されている部分が「左脳」で、「ZEN」はプロジェクトを成功に導く「右脳」としてインスピレーションの部分を担う。チャネラーを結集させ描いた未来を実現させる機能も持つ。奇石を使って日本をエネルギー大国にすることを目論んでいる。
三光コンツェルン (さんこうこんつぇるん)
ベビーフードからミサイルまで、あらゆる業種を支配する巨大企業体。四国K市の発電所での爆発事故は、新しく発見された鉱物である奇石の開発実験中に起きたものだが、危険だと知りつつ実験を強行した結果の事故である。その背後に「ZEN」と呼ばれる影の組織がある。
場所
四国K市 (しこくけーし)
四国の某県にある発電所で爆発事故が起こったため、広大な土地が汚染されるに至った。四国K市は、この事故が原因で居住許可が下りなかった町のひとつで、政府は「町に残る者は事故後の生活その他補償について、これを受ける権利を失する」と決定した。以降、犯罪者や浮浪者が流れ込み、治安が悪い。女性や子供は安全な所へ移住させることが一般的となっている。
その他キーワード
奇石 (まっどすとーん)
四国K市の爆発した発電所で研究されていた石。エネルギー源としてこれまでにないパワーを持っており、希金属(レアメタル)としても電子・半導体他あらゆる利用価値があり、予想もつかない利益を生み出すとされている。三光コンツェルンは奇石の採掘権を得るため、奇石の鉱床が見つかったA国に秘密裏に軍事援助を行った。
チャネラー
「直観力」に優れた人間。人間の思考の過程として論理的思考が挙げられるが、現在ではコンピューターにかなりの部分を委ねているため、改めて重要視されているのが「直観思考」。この「直感」を得るためには表層意識から無意識への「経路(チャンネル)」が開かれていなければならず、その能力に優れている者のことを「チャネラー」と呼ぶ。 その力は未来を予測するだけでなく、未来を支配することさえできるという。