森薫の代表作の一つ。19世紀末期のイギリスの首都、ロンドンを舞台に、メイドのエマと上流階級の青年、ウィリアムとの身分違いの恋愛を描いた物語。ウィリアムは、恩師のケリー夫人を訪問した際にメイドのエマと出会い、二人は互いに惹かれ合うが、ケリー夫人の死去により離ればなれになってしまう。その後、ウィリアムは父親の意向で上流階級の令嬢、エレノアとの婚約を余儀なくされ、一方のエマは新たな奉公先で働くことになる。物語中盤では誘拐事件が発生し、エマが危険にさらされる展開となるが、ウィリアムはエマを探し出すために奔走し、これらの困難を乗り越えて再会した二人はさらに惹かれ合っていく。本作は、身分違いの恋愛をテーマにした恋愛漫画。ヴィクトリア朝時代の厳格な階級社会を背景に、19世紀イギリスの風俗や生活習慣、社会体制が細部にわたって描写され、時代考証に基づいた設定が構築されている。上流階級、中産階級、労働者階級という社会階層が明確に区分され、使用人制度における執事、メイド、料理人などの職階や屋敷内での序列、役割分担も緻密に描かれている。エンターブレイン「月刊コミックビーム」2002年1月号から2006年5月号まで連載。テレビアニメ第1期が2005年4月から、第2期が2007年4月から放送された。