つるまいかだのデビュー作にして代表作。愛知県名古屋市を舞台に、夢破れた元フィギュアスケート選手の司と、才能あふれる少女、いのりが協力しながらフィギュアスケートに挑む姿を描いた物語。リンク清掃員として働く司は、いのりの才能を見抜き彼女のコーチを買って出て、二人はフィギュアスケートの世界での成功を目指す。いのりはバッジテスト合格、中部ブロック大会3位入賞を果たし、ノービスAからジュニアクラスへとステップアップしていく。いのりのライバルである光との対決での敗北や、司が選手時代に味わった挫折といった失敗の経験を活かし、二人は選手とコーチという立場から互いに成長していく。本作は、技術的な成長過程と人間関係の変化を丁寧に描いたスポーツ成長譚。アイスダンスで全日本大会出場経験を持つ高橋裕美が監修を務めており、フィギュアスケートの演技シーンが、ジャンプやスピンといった技術要素だけでなく、芸術性も含めて緻密に表現されている。作中には、実在のスケートリンクが登場し、名古屋や八戸といった地方都市のスケート環境が描かれる。競技にかかわる経済的負担や施設経営の難しさ、指導者不足など、現実のフィギュアスケート界が抱える問題も物語に盛り込まれている。講談社「月刊アフタヌーン」2020年7月号から連載。第6回「みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」第3位、「次にくるマンガ大賞」コミックス部門第1位、第68回「小学館漫画賞」一般向け部門、第48回「講談社漫画賞」総合部門など多数の賞を受賞。テレビアニメ化され、第1期が2025年1月、第2期が2026年1月から放送。小説が2025年1月に刊行された。