真面目で勤勉な主人公が、偶然出会ったお嬢様の屋敷で執事として働くことになるラブコメディ。綾崎(あやさき)ハヤテはいつか報われることを信じて、無職の両親の代わりに真面目に働く男子高校生。だが、クリスマスイブの日に両親が作った多額の借金を背負わされ、ついに堪忍袋の緒が切れる。善人の顔を捨てて見知らぬ少女を誘拐しようと企むが、その少女・三千院(さんぜんいん)ナギは大富豪のお嬢様だった。彼女に雇われ、執事として過ごす日々が始まった。2007年にテレビアニメ化。
主人公のハヤテが執事として雇われることになったのは、大富豪の三千院家。不幸体質のハヤテが執事になったのは成り行きだが、今までの理不尽な生活の中で自然に家事スキルや様々な事柄の知識を蓄えており、皮肉にも執事としての下準備は整っていた。その一方で、女子への接し方は不器用なため、何かとトラブルを引き起こしてしまう。主人のナギは非常にわがままで周囲を振り回すが、優しい一面もある。借金を肩代わりし、学校にも通わせてくれたナギは、ハヤテにとって恩人のような存在だ。個性豊かな面々に囲まれながらも、ハヤテは一日も早く一人前の執事になろうと努力している。具合が悪くても仕事をしたがるハヤテは心根が優しく真面目であり、正に執事向きの人物と言えるだろう。
元庶民の少女が慣れないお嬢様学校で様々なハプニングに巻き込まれながらイケメンの執事兄弟と絆を深めていくラブコメディ。中学生の東雲(しののめ)メイの家はうどん屋を営んでいたが、不運な交通事故によって両親が他界してしまう。そして亡くなった父親が実は財閥の本郷家の長男だったことが判明し、本郷メイとしてお嬢様生活が始まった。美麗で優しい執事・柴田理人(りひと)を好きになり、聖ルチア女学園で立派なレディになれるよう励むことになる。2009年にテレビドラマ化。
本作に登場する執事は、主人公のメイに仕えるイケメンでスマートな理人。IQが高く、国際執事協会でも最高ランクのSランクを取得しているだけあって、何事もそつなく行うことができる完璧な執事だ。主と執事が恋人同士になることは本来禁止されているが、素直で可愛く、正義感が強い主人のメイに対して理人は自分でも抑えきれない感情が芽生え、時折独占欲をちらつかせるようになる。また、理人の弟・剣人も密かにメイのことを想っており、三角関係へと発展。聖ルチア女学園では様々な困難にメイたちは見舞われるが、メイはその度に一歩ずつ本物のお嬢様へと近付いていく。命がけの執事同士の争い、兄弟対決、メイの婿探しなど、見どころ満載の展開だ。
庶民出身のお嬢様が慣れないセレブの学園内で俺様気質の執事見習いと出会い、恋に落ちるラブコメディ。氷村良(ひむらりょう)は普通の家で生まれ育ったが、両親を亡くしたことをきっかけに元名家の祖父母の家に引き取られ、お金持ちが集う双星館学園へ通うことになる。そこで出会ったのは、他の者にはないオーラを放ち、特別視されている神澤伯王(かんざわはくおう)。誰のものにもならないと言われていた伯王を専属執事に迎えた良は、学園中の注目を浴びるようになる。
舞台となる双星館学園では、家柄&財力重視の「L(ロード&レディ)クラス」と、執事を目指すエリート男子が集う「B(バトラー)クラス」が存在する。伯王はBクラスに属し、執事の勉強をしているが、普段は幼馴染のような関係の道家庵(どうけいおり)と鹿糠隼斗(かぬかはやと)という二人の執事から世話を焼かれている立場の御曹司だ。そんな彼がこの学園に入ったのは、自らの力を試すためだった。成り行きで良の専属執事となるが、庶民感覚が抜けずに予想外の行動ばかり取る彼女を守れるのは、彼女を理解し、細やかな気配りができる伯王だからこそ。学園の中には良を妬んだり伯王のやり方をよく思わなかったりする者もいたが、二人は互いの気持ちを尊重し合う形で絆を深めていき、周囲にも良い影響を与えるようになっていく。
手の掛かる主人や使用人たちと共に暮らす執事の苦労とドタバタな日常を描いたギャグコメディ漫画。ロード・セバスチャンはデーデマン家に仕える最強の執事。主人のデーデマン11世は、IQは高いが生活能力はゼロ。更には屋敷や周囲に変わり者が多く、セバスチャンは苦労が絶えない。腕力もあり頭脳明晰、見た目も抜群なセバスチャンは周囲の使用人からも慕われており、ストレスを溜めながらもデーデマン家のために働き続けるのだった。
セバスチャンはその界隈で最強と謳われている28歳の執事で、周囲からは絶対的な信頼と尊敬のみならず愛情も注がれている。セバスチャンが仕える主人のデーデマン11世は25歳の成人男性だが、二頭身で描かれているほどに精神的に幼い。わがまま放題の主人の言いなりになっていては体が持たないと、甘やかさずに鞭を使って叱責することも多い。それにも懲りずにセバスチャンに甘え続けるデーデマン11世はある意味かなりの大物だ。セバスチャンは有能である一方で、武器を隠し持っているなど、物騒な一面も持っており、一筋縄ではいかない男。主人の他にも正体不明のヘイヂやクセが強い使用人たちから寄せられる重い愛情を華麗に避けながら我が道を行くセバスチャンは、正に最強の執事だ。
19世紀末のイギリスで貴族の少年が、悪魔と手を組み復讐に生きるサスペンス漫画。主人公のシエル・ファントムハイヴは、名門貴族のファントムハイヴ家を継いだ若き当主。裏ではヴィクトリア女王の手足となり暗躍する「女王の番犬」の仕事を担う悪の貴族だ。執事で悪魔のセバスチャン・ミカエリスの力を利用し、家族を奪った敵について探り始める。2008年にテレビアニメ化されて以来、劇場版アニメや実写映画化など、様々なメディアミックスが展開されている。
主人公のシエルに仕える執事のセバスチャンは、優雅な所作で紅茶を入れ、主人のために凝ったスイーツを手作りし、不器用な使用人たちのフォローも行う。眉目秀麗で非の打ち所のない完璧な執事だ。だが、「あくまで執事ですから」の一言で何でも済ませてしまう有能なセバスチャンの正体は、人の魂を欲する冷酷な悪魔。シエルとはその魂を対価にした契約によって結ばれており、シエルが眼帯を付けているのも右目に刻まれた契約の証を隠すためだ。優雅に振る舞う一方で、シエルの敵には惜しみなくその恐ろしい力を発揮する。物語には幾つもの伏線がちりばめられており、読めば読むほどに作者が描く美麗で魅惑的なキャラクターたちと謎めいたストーリー展開に惹き込まれることだろう。