世界観
作品構成
物語は2部構成となっており、第1話から第49話までは中学2年生の東雲メイがさまざまなお嬢様と対峙する「ルチア編」、第50話から第139話はメイが高校3年生へと成長し、祖父が選んだ6人の花婿候補から自分の夫となる人物を決める「婿選び編」となっている。
あらすじ
ルチア編
ごく普通の中学生、東雲メイは、ある日事故で両親を一度に失ったことで天涯孤独の身となり絶望する。しかし、葬儀の最中、メイが資産家である本郷金太郎の孫であると主張する人物が現れる。それは、本郷グループの資産を相続する権利を有することを意味していた。だがメイは今までと同じ暮らしを望み、生まれ育った自宅で、本郷家から遣わされた執事の柴田理人との新しい生活を始めるのだった。そんななか、メイの身の回りでは彼女の命を脅かす出来事が頻繁に起き始めていた。そしてついに、メイの自宅が何者かによって爆破されてしまう。今までと同じ生活を続けることによって、生まれ育った町や大切な人々に危害が及ぶことを怖れたメイは、本郷家の人間として生きるべく、「聖ルチア女学園」への入学を決意する。庶民の暮らしから一転、超お嬢様学校「聖ルチア女学園」の学生寮で新たな生活を始めたメイと理人には、また新たな困難の数々が待ち受けていた。それにもめげず、メイは理人への想いを糧に、世界一のお嬢様を目指して力強く生きていく。
婿選び編
6年生(高校3年生)になった東雲メイは世界一のお嬢様になるべく、執事である柴田理人とともに修行に励む日々を送っていた。ごく普通の少女だった彼女が、お嬢様としての品格を身に着け始めた頃、6人の留学生が聖ルチア女学園にやって来る。彼らはメイの祖父である本郷金太郎によって選ばれたメイの婚約者候補だった。それぞれ魅力的な経歴や肩書の持ち主ではあったが、理人に想いを寄せていたメイは、結婚を現実的に考えることができずにいた。しかし、さまざまな男性との交際も良い人生経験であると理人から言われたメイは、売り言葉に買い言葉で不本意にも婚約者候補の男性たちと向き合わざるを得ない状況に陥ってしまうのだった。
スピンオフ
スピンオフ作品として『ミカド☆ボーイ』がある。これは、本作『メイちゃんの執事』の登場人物たちの少年時代を描いた冒険活劇で、「マーガレット」2013年9号から2014年15号にかけて掲載された。ちなみに『ミカド☆ボーイ』は『メイちゃんの執事』を一時的に休載としたうえで連載を開始。だが、『ミカド☆ボーイ』終了後は『メイちゃんの執事』は『メイちゃんの執事DX』とタイトルを変え、結果的にこれは続編の扱いとなった。そのため、『メイちゃんの執事』は『ミカド☆ボーイ』開始前のエピソードが事実上の最終話になったという、特殊な経緯をたどっている。
小説
本作『メイちゃんの執事』は文庫と新書で別シリーズとして展開されている。著者はいずれもココロ直。文庫版は集英社コバルト文庫から『メイちゃんの執事』『メイちゃんの執事 薔薇の刻印』『メイちゃんの執事 香港炎上!? 大脱出!!』『メイちゃんの執事 黄金の海原にきみは輝く』の4作が刊行されている。新書版は漫画とは異なるオリジナルストーリーが展開される短編で、本編のサイドストーリーとなっている。集英社より『メイちゃんの執事 ~アナザー・ティータイム~』『メイちゃんの執事 ~プリンセス・イン・ザ・ボックス~』の2作が刊行されている。なお、それぞれのカバーには宮城理子が手掛けた既出のイラストが使用されているが、『メイちゃんの執事 ~プリンセス・イン・ザ・ボックス~』のみ宮城理子の描き下ろしイラストで、コミックス12巻と対になる特殊なデザインとなっている。
公式ガイドブック
2011年1月30日に『メイちゃんの執事』第14.5巻として刊行された、全編描き下ろしの公式ガイドブック『初の公式ガイドブックでございます、お嬢様。』が存在する。「メイちゃんの執事」の本当の始まりとなったエピソードやキャラクター名鑑など盛りだくさんの内容で、スペシャル特典として「メイちゃんの執事」着せかえBOOKミニが付録として付いている。
関連商品
コミックス18巻発売に合わせて、「マーガレット」2012年12号に『メイちゃんの執事』のキャラクターが総出演するオリジナルタロットカードが付録として付けられた。これは22枚すべてのカードが、宮城理子により描き下ろされた新規イラストとなっている。他にも「聖ルチア女学園新聞」やキャラクタートランプなど、掲載誌には数々のオリジナル付録が付けられた他、一部のコミックス発売に合わせて、書店限定のポストカードやリーフレットなどが作られることもあった。
メディアミックス
TVドラマ
2009年1月から、フジテレビ系列でTVドラマ化されている。東雲メイ(本郷メイ)を榮倉奈々が、柴田理人を水嶋ヒロ、柴田剣人を佐藤健が演じた。他にも山田優、向井理などそうそうたるメンバーが名を連ね、高視聴率を記録した。また、原作にはいないTVドラマオリジナルのキャラクターも多数登場する。主題歌は「ROCK'A'TRENCH」の「My SunShine」。TVドラマ化が発表された2008年末頃から放送開始となる2009年1月までの約1か月で原作コミックスは200万部が発行され、累計発行部数が240万部を突破するなど、爆発的な盛り上がりを見せた。なお、このTVドラマはのちに台湾やアメリカなどでも放送され、好評を博した。
舞台
2011年1月から2月にかけて、ミュージカル『メイちゃんの執事 -私の命に代えてお守りします-』が「宝塚歌劇団」星組の選抜メンバーにより、宝塚バウホールと日本青年館にて上演された。脚本・演出は児玉明子、柴田理人を紅ゆずる、東雲メイを音波みのり、柴田剣人を美弥るりかが演じている。ストーリーは原作漫画の「ルチア編」をダイジェストにした、原作に忠実なものとなっている。2012年7月にはDVDが発売された。
ソーシャルゲーム
ソーシャルゲーム「メイちゃんの執事 ~その指で押して下さい、お嬢様。~」が2011年より「GREE」「Mobage」で配信された。「聖ルチア女学園」を舞台に、ユーザー自身が原作にも登場する執事たちとの禁断の恋を体感できる乙女ゲームとなっている。
登場人物・キャラクター
東雲 メイ (しののめ めい)
初登場時は栗の木中学校に通う2年生の少女。明るく正義感が強いが、絶望的に不器用で、何をやらせてもうまくいかない。うどん店を細々と営む両親に愛されて育った平凡な女の子だったが、事故で両親を失ったことで、資産家の孫ということが判明し、生活が一変する。執事として尽くしてくれる柴田理人に想いを寄せている。「聖ルチア女学園」に転入後もしばらくは身の安全を図るため、東雲メイを名乗っていたが、高校生となった第50話からは「本郷メイ」を名乗っており、お嬢様としての振る舞いを意識した行動が目に見えるようになっていく。
柴田 理人 (しばた りひと)
柴田剣人の兄であり、現役では世界に数名しかいないとされているSランクの執事。初登場時は21歳。幼少の頃より非常に高いIQが認められたため、執事のための特別カリキュラムで英才教育を受けた。東雲メイの執事として本郷家より派遣されて以降、専属執事として常にメイのそばにおり、彼女の身の回りの世話全般を行っている。 本郷家筆頭執事である父親の柴田泰三と、家政婦長を務めている母親の柴田マリアの間に生まれ、元本郷家筆頭執事であった柴田英人を祖父に持つ、執事界のサラブレッド。以前は本郷詩織の執事を務めていた。世界一のお嬢様に出会うのが夢。
柴田 剣人 (しばた けんと)
柴田理人の弟。東雲メイとは幼なじみで、メイに想いを寄せている。成績優秀で、運動能力にも長けているが口が悪い。栗の木中学校では、地元一の美少年と噂されていた。持病の喘息の療養のため、幼い頃から執事を引退した祖父のもとで暮らしていた。メイが聖ルチア女学園への転校を決めたため、自分も執事になることを決意、「聖ルチア女学園併設執事学校」へ入学し、執事見習いとなる。 執事ランクは14歳時点でBだが、学校に在籍中だったため正式ではなく仮のもの。父親は本郷家筆頭執事の柴田泰三、母親は家政婦長を務めている柴田マリアで、元本郷家筆頭執事であった柴田英人を祖父に持つ。「婿選び編」では、メイの正式な執事になるべく留学したイギリスで、伯父であるクリスの養子となってレッドフォードを名乗り、公爵家を継ぐことを条件に執事の勉強も並行して行うことになる。 その後メイの婚約者候補の1人として日本へ帰国する。17歳での執事ランクはA。Sランクへの向上心は誰よりも強い。
江成 エミリ (えなり えみり)
東雲メイが通っていた「栗の木中学校」の同級生の女子生徒。祖父が市長を務め、父親は大病院の医院長を務める町一番のお金持ちのお嬢様。メイの家庭が裕福でないことを揶揄するような態度を見せるが、メイはあまり気にしないタイプのため、効いていない。柴田剣人に想いを寄せているが、相手にされていない。なんだかんだ言いつつも憎めない存在。 地元一番の名門校「聖美華女子」に入学すべく受験するも、幼稚園、小学校、中学校とことごとく失敗し続けているため、教育に厳しい母親からは合格するまで誕生日は無しという約束をされている。
柴田 英人 (しばた ひでと)
柴田理人と柴田剣人の祖父。Sランク執事で、本郷家の筆頭執事だった。東雲メイの父親、本郷周太郎とはチェス仲間という体で、よく東雲家に出入りし、本郷家を出た周太郎を見守っていた。かつてイギリスのレッドフォード公爵家の一人娘と恋に落ち、駆け落ちをしたが死別した。2人の間には双子の兄妹が生まれたが、息子のクリスはレッドフォード公爵家に引き取られ、娘の柴田マリアを自身が引き取り育てた。
本郷 周太郎 (ほんごう しゅうたろう)
東雲メイの父親。讃岐うどんを愛し、手打ちうどんの職人として細々とうどん店を営んでいた。事故に遭い、帰らぬ人となったことで、本郷グループの後継者である本郷家の長男だったことが発覚する。
仲本 美冬 (なかもと みふゆ)
仲本夏美の姉であり、東雲メイがもともと通っていた「栗の木中学校」で担任教師を務めていた24歳の女性。バレー部の顧問でもある。学校のパソコンを利用し、数々のセキュリティーをかいくぐって本郷グループの詳細を調べ上げた。密かに執事の柴田理人に憧れを抱いている。
仲本 夏美 (なかもと なつみ)
仲本美冬の妹で、「栗の木中学校」で東雲メイのクラスメイトだった少女。しっかり者のメガネっ子で、読書好きの大人しい優等生タイプだが、実は怪力の持ち主。いつもメイと志村法子と加藤舞と行動を共にしている。
志村 法子 (しむら のりこ)
「栗の木中学校」で東雲メイのクラスメイトだった少女。バレー部に所属している。中学2年生にして167センチメートルの長身を持つ。コントロールは悪いが強力なアタックが持ち味。いつもメイと仲本夏美と加藤舞と行動を共にしている。
加藤 舞 (かとう まい)
「栗の木中学校」で東雲メイのクラスメイトだった少女。バレー部に所属している。メイとは小学校の頃からの友達。ツインテールがトレードマーク。特技はギターで、将来バンドを組むという野望を持っている。いつもメイと志村法子と仲本夏美と行動を共にしている。
本郷 金太郎 (ほんごう きんたろう)
東雲メイの祖父。本郷グループの代表。「昭和の怪物」との異名を持ち、関係各所からは恐れられる存在。笑顔の下ではさまざまなことを画策している。しかし孫のメイには優しく、涙もろい普通のおじいちゃん。息子の本郷周太郎の訃報に驚き、階段から落ちて怪我を負ったため、自宅で療養中。本郷グループの後継ぎとしてメイを選び、そのパートナーとして柴田理人を据えたいと考えている。
柴田 泰三 (しばた たいぞう)
柴田理人と柴田剣人の父親。柴田マリアと結婚し、柴田家に婿養子に入った。柴田英人が引退した後の本郷家筆頭執事を務めている。いつも笑顔で明るく優しく、物腰が柔らかい人物。妻をとても愛し、尊敬している。
柴田 マリア (しばた まりあ)
柴田理人と柴田剣人の母親で柴田泰三の妻。イギリス人とのハーフで、パリコレモデル並みの美貌の持ち主。本郷家のハウスキーピングを担うたくさんの家政婦たちを取りまとめる家政婦長を務めている。
華山 リカ (かやま りか)
聖ルチア女学園での東雲メイのクラスメイト。「月」の称号を持つ。世界に通じる美人だが、性格は屈折していてキツめ。口が悪く、メイに対して意地悪な態度をとることが多いが、次第にいいコンビになっていく。Sランクの執事が欲しくて、メイにデュエロ(決闘)を申し込む。ハリウッドで活躍中の人気女優の母親と、やんごとなき一族の出である父親の間に生まれた婚外子。 学校を出た後、アラブの石油王との結婚が決まっている。執事の青山への恋心を内に秘めている。
青山 (あおやま)
華山リカの執事を務める18歳の青年。執事ランクはA。「聖ルチア女学園併設執事学校」を最年少で卒業した実績を持つ優秀な執事。フェンシングの世界ジュニアチャンピオン。デュエロを行う際にはいつも真剣を使い、相手の最も自慢する部分を狙うのが得意手。
竜恩寺 泉 (りゅうおんじ いずみ)
聖ルチア女学園での東雲メイのクラスの委員長を務める女子生徒。「太陽」の称号を持つ優等生。いつも凛々しく真っ直ぐで、生徒からの信頼も厚い。入学当初から、メイに対して優しく接する。執事の木場をドジっ子とあきれながらも大切にしている。室町時代から続く旧華族の超名門、竜恩寺家の次期当主。
木場 (きば)
竜恩寺泉の執事を務める25歳の男性。執事ランクはC。従属性が高く強い向上心を持っているが、ドジを踏むことも多い。代々竜恩寺家の当主に仕える木場家の跡取り息子。自分に自信を持てず、泉には釣り合わないと思い悩んでいる。
夏目 不二子 (なつめ ふじこ)
聖ルチア女学園での東雲メイのクラスメイト。「星」の称号を持つ。諸事情により友人たちよりも4歳年上。ヤクザの父親と、中国マフィアの娘である母親の間に生まれたが、母親は組織の抗争に巻き込まれて亡くなった。女性の色気たっぷりで、周囲も羨む巨乳の持ち主。執事の根津とは恋人同士のように見えるが、その関係は「おでこにチュー」までにとどめている。
根津 (ねづ)
夏目不二子の執事を務める32歳の男性。執事ランクはB。無精ひげと緩んだネクタイがトレードマーク。情報収集能力に長けている。不二子とは恋人同士のように見られがちだが、実際は不二子からの猛烈なアタックを交わし続けている状態。
麻々原 みるく (ままはら みるく)
聖ルチア女学園での東雲メイのクラスメイト。「月」の称号を持つ。天才的IQを持っており、飛び級で進級したため初登場時は5歳。早くに父親を亡くし、優秀な科学者である母親はスイスにいるため、寂しい日々を送っている。オカルト好き。執事の大門に密かな想いを寄せている。得意なことはハッキング。コンピューター関連の扱いに長けている。
大門 (だいもん)
麻々原みるくの執事を務める24歳の青年。執事ランクはB。元自衛隊員のため、秀でた体力を持つ。天才的IQのみるくを狙うべく各国首脳が暗躍しているため、彼女を護衛する目的で日本政府から派遣された。いつもみるくの尻に敷かれている。女装して聖ルチア女学園に紛れ込んでいた柴田剣人に偶然会い、女性と思い込み一目惚れする。
山田 多美 (やまだ たみ)
聖ルチア女学園での東雲メイのクラスメイト。「陰」の称号を持つため、メイとは同じ寮で、部屋は隣同士。神出鬼没で何かとすぐにナイフを投げてくる変わり者。語尾に「だっぺ」を付けてしゃべる。「婿選び編」では性別を偽っていることが判明するが、本人にはその自覚はまったくなく、周囲の困惑が窺える。
神崎 (かんざき)
山田多美の執事を務める29歳の男性。執事ランクはB。サバイバル術に関して秀でた能力を発揮する。従属性が低いため扱いは困難。いつもクールで無表情。誰よりも多美を大切に扱っている。
本郷 詩織 (ほんごう しおり)
聖ルチア女学園の女子生徒。現在20歳。「太陽」の称号を持つ第42代ルチア。本郷金太郎の遠縁の子で、東雲メイが現れるまで、本郷家の後継者として育てられてきた。身も心も弱く、なかなか授業に出席できずにいたため、出席日数が足りず、留年を繰り返している。以前、自分の執事を務めていた柴田理人をメイから取り戻そうと画策する。 理人を愛するあまりに、その想いは狂気を帯びはじめ、次第に正気を失っていく。
忍 (しのぶ)
本郷詩織の執事を務める22歳の青年。公認執事のバッジを身に付けておらず、執事ランクはシークレット。医学博士号を持っているため、純白のスーツを身に纏っている。聖ルチア女学園で最も美しい執事といわれている。詩織を愛するが故に、詩織のために東雲メイを陥れ、柴田理人を手に入れようと暗躍する。忍は偽名で、本名は不明。
シスター・ローズ (しすたーろーず)
聖ルチア女学園の2代目学園長を務める女性。創始者である大叔母より学園を引き継いだ。自身も学園の卒業生。いつも公平な立場で生徒の間に立つ。目先の欲に弱いところはあるが、常に生徒たちのことを第一に考え、基本的に手出しはせずに見守っている。
桜庭 (さくらば)
シスター・ローズの執事を務める36歳の男性。執事ランクはA。常にシスター・ローズの傍に控え、完璧にサポートする。ランクはAだが、Sランクにも引けを取らない優秀な執事。
竜恩寺夫人 (りゅうおんじふじん)
竜恩寺泉の義母。竜恩寺家の現当主であり、泉の父親である夫が亡くなってからというもの、我が物顔で竜恩寺家を取り仕切り始める。次期当主を泉から自身の幼い娘に変更し、泉には勝手な縁談を決め、執事である木場をも奪って泉を竜恩寺家から追い出そうとする。
ビル
中国にやってきた夏目不二子を、根津を使って連れてこさせようとした眼帯の男性。中国マフィア「チャン・ファミリー」の1人で、不二子の母親の元フィアンセだった。組織のトップとなるために、不二子を利用しようと画策する。
イルファーン
「婿選び編」から登場する。聖ルチア女学園の姉妹校から留学生としてやってきた男子生徒で、東雲メイの婚約者候補の1人。石油埋蔵量が世界一であるアラビエラ王国の皇太子であり、次期国王。いつも偉ぶっており、傍若無人な振る舞いを繰り返す。華山リカをハーレムに召し上げようとしたり、メイを第一王妃に迎えたがったりと美人と見るや自分のものにしたがる困った人物。 本名は「イルファーン・アブラビ・アル・アリ・アラビエラ」。
揚雪 (やんすー)
「婿選び編」から登場する。聖ルチア女学園の姉妹校から留学生としてやってきた、東雲メイの婚約者候補の1人。「中国富豪番付」で第一位となった揚一族の跡取り息子という体で小青と共にやってきたが、実際は本郷家からメイの婚約者選びに関して審判をする役割を任された執事。執事ランクはC。「世界一のお嬢様」を手に入れるという真の目的を持つ16歳の青年。
小青 (しゃおちん)
「婿選び編」から登場する。揚雪の側近としてともにやってきたが、実際は本郷家から東雲メイの婚約者選びに関して審判をする役割を任された執事。執事ランクはC。「世界一のお嬢様」を手に入れるという真の目的を持つ16歳の青年。以前、忍の手により右目に傷を負ったため、右目には義眼が入っている。
クラウス・カール・ルードヴィヒ・フォン・ベルンシュタイン (くらうすかーるるーどゔぃひふぉんべるんしゅたいん)
「婿選び編」から登場する。聖ルチア女学園の姉妹校から留学生としてやってきた男子生徒で、東雲メイの婚約者候補の1人。ベルンシュタイン公国の次期国王で、金髪碧眼の美しい王子。自国の栄誉と繁栄のためにメイと結婚しようと考えている。日ごろから、自身が使用する金は国民の血税であるという自覚を持っているためか、経済観念はしっかりしている。 ある事情により、国のために亡くなった兄の代わりに性別を偽り、王子を名乗っている。
レオン・カシミール・フローレンス (れおんかしみーるふろーれんす)
「婿選び編」から登場する。クラウス・カール・ルードヴィヒ・フォン・ベルンシュタインの執事で、王立騎士団団長を務める19歳の青年。執事ランクはB+。もともと貴族の出身のため、礼儀作法は完璧。ベルンシュタイン公国一の色男と言われている。クラウスに想いを寄せている。
ダミアン・アダムス (だみあんあだむす)
「婿選び編」から登場する。聖ルチア女学園の姉妹校から留学生としてやってきた24歳の青年で、東雲メイの婚約者候補の1人。アメリカが誇る元天才で、所持する特許は数えきれないほどあるが、いつも眠そうにしており、その片鱗を見ることはできない。たくさんのメガネコレクションを持っている。シングルマザーの母親は陸軍少佐だったが、自殺し、帰らぬ人となった。
柏木 圭 (かしわぎ けい)
「婿選び編」から登場する。留学生としてやってきた18歳の青年で、東雲メイの婚約者候補の1人。テレビで活躍中の5人組のアイドル「B・M・W」(ボクとみんなのワンダホー)のメンバー。自意識過剰なところがあるが、実は誰よりも影が薄い。
東 (あずま)
「婿選び編」から登場する。柏木圭のマネージャーとしてやってきた21歳の青年。しかし実際は東雲メイの婚約者候補の1人。隙を見て聖ルチア女学園を占拠し、麻々原みるくと木場を人質にとる。お嬢様たちを相手取ってデュエロを提案し、メイの婿になって本郷家を我が物にしようとする。
カール
「婿選び編」から登場する。ベルンシュタイン公国の現国王の弟。クラウス・カール・ルードヴィヒ・フォン・ベルンシュタイン(クラリス)の秘密を知る数少ない人物。以前から親クロシア派だった。クロシア国にクラリスの極秘情報を売り、自身の地位を確立させようと画策する。フェンシングのメダリスト。
クリス
「婿選び編」から登場する。柴田英人の息子で、柴田マリアの双子の兄。柴田剣人がイギリス留学中に世話になったレッドフォード公爵家の主。ゲイで、子を持てなかったため、妹のマリアの計らいで剣人を養子にもらった。シスターコンプレックスでありナルシストの気があるため、マリアによく似た剣人を養子にしたと言われている。 一見軽いノリの伯父だが、実はかなりのやり手で、さまざまな事業を成功させ、公爵家を豊かにした。
アルフレッド
「婿選び編」から登場する。イギリスのレッドフォード公爵家の筆頭執事を務める男性。執事ランクはS。大きな体に反して威圧感は一切なく、空気のように自然に存在する。その執事としての魅力が柴田剣人を魅了した。その後、剣人の指導役として活躍する。
中田 彼方 (なかた かなた)
「婿選び編」から登場する。東雲メイの婚約者候補の1人。「桃川高校」に在学中の17歳の男子生徒。かつて「栗の木中学校」に通っていた頃の柴田剣人と、野球を通じて知り合っている。父親が早くに亡くなり、家族を支えるために大好きな野球をやめた。有名なスピリチュアルカウンセラーによって、「メイの魂の片割れであり、伴侶。 運命の相手」と判断された。
ザキ
「婿選び編」から登場する。イルファーンの執事を務める青年の1人。インド系の移民。19歳でIQが高く、執事ランクはAだが、身体能力が高いジンと組めばSランク級の執事と同等の実力を持つ。語学に長けており、あらゆる分野の知識を持つ。特に数学が得意。ジンとともにイルファーンを裏切り、彼の暗殺を目論む。
ジン
「婿選び編」から登場する。イルファーンの執事を務める青年の1人。身体能力が高く、16歳で執事ランクはAだが、IQが高いザキと組めば、Sランク級の執事と同等の実力を持つ。幼少の頃より執事教育を受けてきたアラビエラ国産の執事。そのため、異例の若さで皇太子付きの執事となった経歴を持つ。
ミカエル
「婿選び編」から登場する。ダミアン・アダムスの執事を務める13歳の青年。執事ランクはA。しかしその実態は世界最高峰のアンドロイド。ゲーム「ハレルヤ」の中ではダミアンの使い魔として存在する。成長途中のA・Iということもあり、画一的な性格で、一般常識がない。
麻々原 くるみ (ままはら くるみ)
「婿選び編」から登場する。有能な科学者で、麻々原みるくの母親。自身が作ったオンラインゲーム「ハレルヤ」内では「神」と名乗りゲームの管理者として不正を行う者たちの管理を行っている。しかし現実世界では通常の人よりも時間が早く流れ、体の老化が急速に訪れる病を患っている。
リシュ
「婿選び編」から登場する。揚雪の妹で、小青の幼なじみの少女。彼らの生まれ育ったアジアの片隅にあるという「タプチェ」という集落で受け継がれている、惑星の化身として世界の幸せを想い、祈り続ける「女神」となった。しかしお披露目の日に殺害され、帰らぬ人となった。
集団・組織
本郷グループ (ほんごうぐるーぷ)
四ツ葉銀行、トロイ自転車、ブジテレビ、味良し食品などの有名な大手企業を傘下に持つ一大グループ。「昭和の怪物」と呼ばれる本郷金太郎が一代で築き上げた。他にもありとあらゆる業種に入り込み、政財界や裏社会にも緊密なネットワークを持っている。
場所
聖ルチア女学園 (せいるちあじょがくえん)
究極のお嬢様しか入学を許されないという幻の全寮制女子校。現学園長はシスター・ローズ。良家の子女の健全なる育成を目的に創立された。入学資格として、年間約1億円の学費の支払い(入学金、寄付金、諸経費は別途発生)が可能であること、学園の校風に合う家柄であること、公認執事を持っていることを挙げている。学園の敷地内においては、治外法権が日本政府より認定されている。 そのため、いかなる公的私的圧力も無効となる。制服は黒と白を基調としたパフスリーブのワンピースとなっており、それぞれが体にフィットするように作られた完全オートクチュール。普段着は膝丈のショートワンピース、夕食や儀式の時は足首まであるロング丈のワンピースの着用が定められており、各7着以上の所持が推奨されている。 学園の運営は学生主体をモットーとしており、主に「太陽」の称号を持つ生徒で行われている。授業内容としては、国語、数学、英語などの基礎科目の他に、第2第3外国語や心理学、国際情報学があり、体育では鷹狩など淑女として必要となりうるものを学習する。食事については、昼・夕食は学園の専門スタッフが用意したものを取ることになっているが、執事が用意したものでも可。 ただし、夕食に限ってはシスターたちを含めた生徒全員で大ホールにて食事をすることが定められている。学生寮は「星寮」「月寮」「太陽寮」「陰寮」の4つがあり、それぞれの称号を持つ者が入寮する仕組みとなっている。学園内に男性スタッフは存在しないため、校内の清掃管理、庭仕事などの力仕事はすべて執事が持ちまわりで行う。
ベルンシュタイン公国 (べるんしゅたいんこうこく)
何の名所も産業もないが、小麦の産出で成り立っている自然が豊かな美しい国。ヨーロッパの中央部にある小国で、立憲君主国家。もともとは「クロシア国」の臣下だった。200年ほど前に締結した条約により、後継ぎの男子が生まれなかった時は、「クロシア国」に領土を返還しなければならない。
アラビエラ王国 (あらびえらおうこく)
アラビア半島にある絶対君主制の小国ながら、石油埋蔵量世界一を誇る砂漠の国。その埋蔵量は世界の半分を占めるといわれている。一方で、常に水不足に悩まされており、問題解決を図るため、国家を挙げてのプロジェクトを発足し、皇太子が中心となって取り組んでいる。王家は一番末の子が家督を継ぐ末子相続であるため、現状では、一族の末っ子であるイルファーン・アブラビ・アル・アリ・アラビエラが次期国王候補となる。 また、この国では、「女性が男性を殴ること」が最上級の求愛とされており、これをもってプロポーズとみなされる。
イベント・出来事
定例舞踏会 (ていれいぶとうかい)
聖ルチア女学園の年中行事の1つ。生徒たちが将来社交界デビューをした時に戸惑わないためのパーティー。この舞踏会で女王(レジーナ)に選ばれると光が10個贈呈される。また、最下位となった生徒は手持ちの光がすべて没収となる。この舞踏会には「聖ルチア女学園併設執事学校」の生徒も実習として参加する。
その他キーワード
執事 (しつじ)
特定の人物に仕える男性のこと。主人のあらゆる身の回りの世話をするのが仕事。聖ルチア女学園では国際執事連盟公認の執事バッジを持つ者のみが、執事と認められている。このバッジを持たない自称執事は、聖ルチア女学園に入ることができない。聖ルチア女学園の敷地内には、100人に1人しか卒業できないと言われているほどの超難関校である「聖ルチア女学園併設執事学校」がある。 平均卒業年齢は23歳。執事はランクにより格付けがなされており、執事ランクは上からA、B、C、Dとなっているが、まれにこれらのランクを超越したスペシャルランクSが与えられる者もいる。Sランクの執事は10年に1人出るかどうかと言われている最上級格で、金色のSバッジが与えられる。 Sランクに必要なのは、すべてにおいて秀でた資質と、外見の美しさ。つまり、皆が欲しがる、皆に自慢したくなるような執事でなければならない。なお、執事とお嬢様の恋愛はご法度となっている。
デュエロ
「聖ルチア女学園」において生徒同士の決着をつける方法として用いられている戦いの名称。実際に戦うのは執事同士であったり、お嬢様同士であったりとさまざまで、その方法は自由に決めることができる。もともとはお嬢様が執事の能力を自慢する場となっていたが、いつしか「決闘」を意味するものとなった。そのため、現在は校則では禁止されているが、現学園長であるシスター・ローズによって黙認されている状態。 デュエロを申し込まれた側は、その申し入れを受けないと無条件で負けとみなされる。また、デュエロの開催は全校生徒に案内され、観戦も許されている。デュエロに参加する者はすべて正装で臨むことが決められている。
ルチア
学園の名称となった「聖女ルチア」にちなみ、「太陽」の称号を持つ生徒の中で頂点に立つ者のみが名乗ることを許される称号。学園を支配すると言われており、その名は代々引き継がれる。第42代ルチアである本郷詩織は、歴代の中でも最長最強の政権を誇る。また、ルチアになった生徒には「ルチア宮」と呼ばれる別宅が用意されている。
光 (るちあ)
宝石のようなもの。聖ルチア女学園の生徒の証として、ベルを授かるが、このベルには光と呼ばれる宝石をはめ込むくぼみのようなものがある。何か良い行いをするごとに学園長から光が1つ授けられ、10個で星(ステラ)の緑の光に、さらに10個で月(ルナ)の青の光に、さらに10個で太陽(ソーレ)の赤の光に交換でき、自分自身をランクアップさせていくことができる。 光を持たない生徒は「陰(オンブラ)」と呼ばれ、陰につく執事は、ジャケットを着用することができない。お嬢様が努力し、光を獲得することで、執事もそれ相応の扱いを受けることができるようになるという仕組みになっている。執事は、「星」で通常のジャケットの着用が認められ、「月」でスワロウテイルのジャケットが、「太陽」で蝶ネクタイの着用が認められる。 また、買い物をする際、学園の購買部を通し、承認されたもののみを取り寄せることができるが、その基準は各生徒が持つランクに比例しており、太陽ともなればそうとう贅沢な品物も取り寄せることができるという。
続編
メイちゃんの執事DX (めいちゃんのしつじでらっくす)
宮城理子の代表作『メイちゃんの執事』の続編。世界一のお嬢様を目指し、全寮制のお嬢様学校で執事とともに修行に励む本郷メイと、彼女を取り巻く友人たちのその後の姿を描く。新たな恋のライバルも登場し、メイはこ... 関連ページ:メイちゃんの執事DX
関連
ミカド☆ボーイ (みかど ぼーい)
宮城理子の代表作『メイちゃんの執事』のスピンオフ作品。昭和12年、盧溝橋(ろこうきょう)事件から日中戦争が勃発し、軍需で好景気を謳歌(おうか)していた日本を舞台にしている。名門中学に通う優秀な少年スパ... 関連ページ:ミカド☆ボーイ
真夜中の執事たち ―メイちゃんの執事 side B― (まよなかのしつじたち めいちゃんのしつじ さいど びー)
宮城理子の代表作『メイちゃんの執事』のスピンオフ作品で、原作にイケメン執事として登場した柴田理人が主人公を務める。現代日本のお嬢様学校を舞台に、優秀なSランク執事の柴田理人をはじめとする執事たちが日々... 関連ページ:真夜中の執事たち ―メイちゃんの執事 side B―