晩年に差し掛かった最強ボクサーの戦いとその半生を描いた拳闘漫画。主人公の五島雅は、10年もの長きに渡り世界ミドル級王者として君臨してきたボクサー。デビュー以来負け知らずの五島だが、強すぎる余り近年の試合の興行成績は今ひとつだ。そんな五島の前に、危険な匂いのする若き天才トラビスが現れる。
主人公の五島雅は、ボクシングの神の寵愛を一身に受けたようなボクサーだ。名トレーナーの荒木にその才能を見出され、瞬く間に世界の頂点に駆け上がり、ミドル級のベルトを10年間も防衛してきた。だが五島は、ボクシングしか知らない「リング以外では生きられない男」でもある。30歳を迎え、周囲からじき引退かと思われる五島だったが、彼はまだまだ満足していなかった。幼い頃から彼が求め続けていたのは、「決して壊れない玩具」。そしてそんな彼の前に、トラビス・バルが現れる。トラビスは、3階級上の選手をスパーリングで死亡させた危険な若き天才だ。周囲の心配を余所に、五島はトラビスとの対戦に突き進む。
殺人一家の息子としてバッシングを受けるボクサーを描いたダークテイストな拳闘漫画。主人公の石田凌駕は、父親と兄が殺人事件で逮捕されたせいで、プロデビュー前から世間の注目を集める異色のボクサーだ。そんな彼は、服役中の父から届く手紙「チャンピオン大作戦」に従ってトレーニングを続け、脇目も振らずに世界の頂点を目指す。
主人公の石田凌駕は、父と兄が殺人犯として逮捕された経歴を持つため、デビュー前からヒール扱いされるボクサーだ。メディアは、石田家のことを殺人一家としてセンセーションに書き立てるが、当の凌駕はそんな記事は歯牙にもかけず、記者に対しても不遜な態度で接する。だが、ボクサーとしての彼の姿勢は真摯でストイックそのものだ。獄中の父から送られる手紙に従い、日々地道に汗を流す凌駕の実力は本物。プロテストで高校総体王者を苦もなくKOし、デビュー後も鮮やかな勝利を重ねていく。そんな凌駕には、どうしても世界王者になりたいと願うある理由があった。複雑な事情を抱えながら頂点を目指す、胸が熱くなる拳闘漫画だ。
不良少年がボクシングの魅力に目覚め、強敵たちと鎬を削っていくドラマティックな拳闘漫画。主人公の「ジョー」こと矢吹丈は、東京山谷のドヤ街に流れ着いた風来坊。そこで彼は、トレーナーの丹下段平と出逢う。段平に素質を見出されたジョーは、紆余曲折の末にボクサーとなり、ライバルである力石徹との戦いを目指していく。
拳闘漫画の代名詞ともいえる本作であるが、主人公のジョーが本格的にボクシングを始めるのは、物語がしばらく進んでからだ。物語開始当初のジョーは、ドヤ街の少年たちまとめあげ、詐欺に恐喝、窃盗などの犯罪を繰り返す札付きの不良少年。ある時、警察に捕まり鑑別所に拘置されたジョーは、彼の才能を見出した丹下段平から「明日のためにその1」という手紙を受け取る。そこには左ジャブの極意が記されており、独房で暇を持て余したジョーは左ジャブの練習に打ち込む。やがて少年院に送られた彼は、そこで天才ボクサーの力石徹と出逢う。喧嘩で力石に完敗したジョーは、復讐心からボクシングにのめり込んでいく。
才能に恵まれた型破りな天才ボクサーの成長を描いた一風変わった拳闘漫画。主人公の石川凜は、16歳で高校を中退し、板前修業のために上京する。彼はその道中で立ち寄った札幌で、元国体王者の佐伯剛史からボクシングの手解きを受ける。そこで秘められた己の才能を自覚した凜は、ボクシングの魅力にどっぷりとはまっていく。やがて彼は東京でジムに所属し、本格的にボクシングを始める。
名ボクサーには、そのスタイルを表す渾名がある。本作のタイトルである「シュガー」も、伝説の名ボクサーレイ・ロビンソンとレイ・レナードが名乗っていた有名な渾名であり、「傑出した華麗さ」を表している。主人公の石川凜は、まさに彼らのような華麗なフットワークを持つ優秀なボクサーだ。だが、彼の生い立ちはほろ苦さに満ちている。母子家庭で父の顔を知らずに育った凜は、ガキ大将の玉置欽二を父と慕い、喧嘩三昧の日々を送る。16歳で高校を中退して上京した凛は、希代の天才と謳われた元世界チャンピオンの中尾重光と出逢う。この運命的な出逢いがきっかけなって、凜はボクシング界に旋風を巻き起こす。
古代の帝政ローマを舞台に、拳奴として闘う少年の悲哀と成長を描いた拳闘漫画。主人公のセスタスは、コロシアムで闘うことを強いられる「拳闘奴隷」の少年だ。彼は、かつて「ヌミディアの拳狼」と呼ばれ最強を誇った男ザファルの指導の下、自由を求めて酷な戦いの日々を過ごしていく。続編として『拳奴死闘伝セスタス』が制作されている。
本作で扱われている「拳闘」とは、古代ローマで行われていたボクシングの源流とも言える競技だ。競技を行う拳闘士たちは、主人公の名前と同じ「セスタス」と呼ばれる鉄鋲が打たれた装甲グローブをつけて殴り合う。拳を武器化する器具を装着する上、体重制限なしの無差別制であり、決着はKOのみの時間無制限勝負。まだ子供で体格も華奢なセスタスにとって、その過酷さは命を落としかねない危険なものだ。だが、セスタスは天性の運動速度と回避能力を武器に、大人の拳闘士たち相手に勝利を重ねていく。生死を賭けた激闘の描写もさることながら、古代ローマの史実を交えた重厚なドラマも魅力的な拳闘漫画だ。