甘いタイトル「シュガー」特集！オススメ漫画５選29 Pt.

各務は学生でありながらプロの小説家として活躍しており、大学生たちの間では有名な存在だ。そんな各務に沙保が想いを寄せるようになったのは、高校進学を目前に控えた中学3年生の頃のこと。沙保は中学時代陸上部に所属しており、県の記録を持つほどの選手だった。しかし交通事故に遭って陸上が続けられなくなり、高校への陸上推薦も取り消されてしまう。何もかもがどうでもよくなり、毎日無気力に過ごすだけだった沙保。そんなとき両親がカフェを始め、そこで各務と出会ったのだ。各務の存在は、落ち込んでいた沙保の心を救ってくれた。各務に対して恋心とともに恩も感じている沙保は、真っ直ぐにその想いを各務へとぶつける。沙保の気持ちは各務に届くのか。2人の恋の行方を見届けよう。

夕夏の父・夏生は「少年のような心を持った」手のかかるタイプの人間。そんな夏生が同じ名字を持つデキる女・佐藤雅美との再婚を決めたことに、夕夏は歓喜した。「これで父の面倒を見る日々から解放される」と。ところが、雅美には息子の帝一がおり、帝一は夏生と似たタイプでさらに超シスコン男だった。しかも、両親が入籍する前に懸賞で当たった海外旅行に出かけてしまったため、夕夏は戸籍上は赤の他人である帝一と2人暮らしをすることになり、結局困った日々を送ることになる。本作の見所は帝一の病的なシスコンぶりと、それに辟易する夕夏の温度差。そしてそんな2人が少しずつ距離を縮めていく様子だ。ドキドキの激甘義兄妹ライフを堪能しよう。

薫は若くてかっこよく、紳士的で仕事もできるためとてもモテる。そんな彼を翻弄することができる唯一の存在が、目に入れても痛くないほど溺愛している娘・鈴子である。鈴子の何気ない一言で薫は一喜一憂する。本作の魅力は、激甘な父とちょっぴり塩対応な娘のテンポの良い掛け合い。コミカルなストーリーの中で描かれる親子の絆だ。どんなに大きくなっても薫にとって鈴子はいつまでも大切な娘。そして思春期を迎え幼い頃のような距離感で接することができなくなっても、鈴子にとって薫は大切な父親である。何気ない日常エピソードを通して親子の互いを想い合う気持ちが伝わってくるため、読者の胸にも家族を大切にしようという気持ちが湧き上がってくる、そんな作品だ。

偶然再会した幼なじみの少女が一人暮らしの少年を気にかけ、何かと面倒を見てくれるようになる。物語の導入部を見た人は、甘い青春ラブコメが始まる気配に胸を躍らせることだろう。絵も優しいタッチで、爽やかな気配がする。しかしページをめくっていけば、本作が想像していたものとは全く違う不穏なラブストーリーであることに気づくはずだ。柚原のために部屋を片付け、毎日手作りのお弁当を持ってきてくれるなど、黄路はとても献身的な少女だ。だがその言動には時折不気味なものが混じる。虚ろな笑み、意味深な台詞。所々に差し込まれる不穏さは、まるでホラー作品のようだ。黄路は一体何を考えているのか。張り巡らされた謎と伏線が読み手を引き込む、異色のラブストーリーである。

さとうが暮らすマンションの周囲には、しおの行方を探すビラが貼られている。さとうはしおを誘拐する形で自分のもとに連れてきたのだ。しおはさとうが大好きで2人の生活を喜んでいるが、だからといってさとうの行いは許されるものではない。しかも、さとうがしおと暮らしている部屋は、もとの住人を殺害して手に入れたもの だった。「愛を守るためならどんなことも許される」と思っているさとうは、障害となる人間を騙し、脅し、その命を奪っていく。本作の見所は、両想いではあるものの社会的には決して許されないさとうとしおの関係の結末。そして、さとうの狂気と残虐性によって人生を狂わされる周辺人物たちの描写だ。恐ろしくも魅力的な純愛ストーリーに触れてみよう。