「優秀な兄」に頭が上がらない!?オススメ漫画5選31 Pt.

兄弟はもっとも身近なライバルでもある

「優秀な兄」に頭が上がらない!?オススメ漫画5選

出典:小学館

「兄より優れた弟はいない」とは、『北斗の拳』で兄のジャギがケンシロウに言った有名なセリフである。ジャギは愚兄の典型だが、その長兄ラオウ、次兄トキは優秀な兄だった。優秀な兄は頼りになる一方で、弟にとっては高い壁やコンプレックスの元にもなる。今回はそんな「優秀な兄」が登場する作品を紹介しよう。


裏社会で人知れず行われている、異能者と妖(あやかし)の戦いを描いた和風バトルファンタジー。主人公の男子高校生・墨村良守は、烏森の地で代々妖退治を行ってきた結界師・墨村家の正統継承者。良守は、幼い頃の苦い経験を糧に、誰よりも強い結界師となるべく研鑽を重ねていく。2006年にテレビアニメ化。

本作に登場する「優秀な兄」は、主人公・墨村良守の兄・正守だ。彼は結界師として高い実力を備えている上に頭も切れる。しかし、正統継承者の証たる方印が身体に出なかったため、墨村家の継承者にはなれなかった。そこで正守は、10代半ばで独立。異能者を統轄する自治組織「裏会」に所属する道を選んだ。そこで頭角を現した正守は史上最年少で最高幹部「十二人会」の一員となり、実行部隊「夜行」の頭領をも兼務する。結界師としては成長途上の良守にとって、正守は超え難い高い壁だ。一方で、正守も方印が出なかったことにコンプレックスがあり、良守に対して複雑な感情を抱いている。この2人の関係が物語に大きく影響していく。


外と家での様子が別人のように異なる女子高校生の日常をコメディタッチに描いた、学園ギャグ漫画。主人公の土間埋(どま うまる)は、名門校に通う女子高校生。学校では才色兼備で非の打ち所のない姿を演じているが、家では打って変わって干物のようにだらしない「干物妹(ひもうと)」に変貌する。うまるの兄・大平(タイヘイ)は、そんな彼女の世話を日々かいがいしく焼いていく。2015年にテレビアニメ化。

本作における「優秀な兄」は、主人公・土間埋(どま うまる)の兄・太平(タイヘイ)だ。うまるとタイヘイは、アパートで2人暮らしをする兄妹である。タイヘイは、システムエンジニアとして働きながら、外面は良いが家では「喰う・寝る・遊ぶ」以外何もしない「干物妹(ひもうと)」うまるを養っている。妹のうまるが優秀すぎるため目立ってはいないが、タイヘイ自身もかなり優秀な人物だ。タイヘイは、うまるが通う高校のOBであり、学生時代はテストで満点を連発していた秀才である。サラリーマンとして働きながら家事全般もキッチリとこなす。その上、温厚で人当たりもいい、タイヘイはまさに「優秀な兄」と呼ぶにふさわしい好青年だ。


行方不明の兄が追っていた謎に巻き込まれた男子高校生の活躍を描く、ミステリー・サスペンス。主人公の鳴海歩は、刑事である義理の姉・まどかと2人で暮らす高校生。ある日鳴海は自らが通う月臣学園で、女生徒殺害の現場に遭遇し、容疑者となってしまう。しかし歩は、持ち前の推理力でトリックを解き明かし、事件を解決に導く。ところが、この事件は始まりに過ぎなかった。歩はこの事件をきっかけに、2年前に失踪した兄にまつわる謎を追いかけていく。

本作に登場する「優秀な兄」は、主人公の男子高校生・鳴海歩の兄である鳴海清隆だ。清隆はまさに才能の塊のような人物である。スポーツ万能で学業も優秀。その上、10代で世界的なピアニストとして名を馳せる。ところが清隆はピアニストの道をあっさり捨て、全く畑違いの刑事となる。清隆は刑事としても実に優秀で、現場を見ただけで事件の概要を把握する明敏さを発揮。「警視庁の名探偵」と呼ばれるほどの活躍を見せる。そんな優秀すぎる兄の清隆は、歩にとって、憧れであると同時に、コンプレックスの元でもあった。兄の失踪の謎を追う歩は、やがて衝撃の事実に直面する。


持ち前のラッキーだけで地球を守るヒーローの活躍を描いたギャグ漫画。主人公の追手内洋一(ついてない よういち)は、日本一ついていない男子中学生。彼はある日、不幸な事故で死亡してしまう。そこに現れたのが、地球を守るため幸運の星からやってきたヒーロー・ラッキーマン。地球で活動するため、人間の身体を借りる必要があったラッキーマンは、洋一を甦らせて合体する。かくしてラッキーマンと悪の宇宙人たちの戦いが幕を開ける。

本作における「優秀な兄」は、ラッキーマンのライバルである勝利マンだ。勝利マンは「友情・努力・勝利」を体現した、ヒーロー3兄弟の長兄である。だが勝利マンは優秀ではあるものの、ヒーローとしてはいささか問題がある人物だ。彼は勝つためにはいかなる手段も辞さない、極端なまでの勝利至上主義者なのだ。勝利を得るためなら、不意打ちなどの卑怯な手段も平然と使う。また、末弟の努力マンがヒーローになることを妨害するなど、少々理不尽に見えることも行う。しかし、それは、弟に危険な戦いをさせたくないという想い故の行動だった。手段を選ばず勝利にこだわるのも、ヒーローは決して負けてはならないという信念があればこそ。やや行きすぎた部分が目立つが、勝利マンは間違いなく弟想いの「優秀な兄」である。


『89番目のおんがく』

出典:徳間書店

天才ピアニストだった兄の呪縛から逃れられず、もがき続ける弟の苦悩を描いた本格派のクラシック音楽漫画。主人公・上城裕也の兄である和成は、天才と謳われたピアニストだった。しかし、和成は志半ばで急逝する。その後、兄の後を追って音楽を始めた裕也は、周囲に求められるまま、兄の音をコピーし、追悼リサイタルを行っていた。だが、リサイタルが評判になればなるほど、裕也の心には鬱屈した想いが募っていった。

本作の「優秀な兄」は、主人公・上城裕也の兄・和成だ。和成は全国ピアノコンテストで、3年連続優勝を達成した天才ピアニストである。一方、弟の裕也は、兄と同じくピアノを始めたものの、その才能は兄には遠く及ばない。兄と比較されることに耐えかねた裕也は、ピアノからバイオリンに楽器を変える。兄の伴奏で学生音楽コンクールに出場した裕也は、以前とは異なる手応えを感じる。ところが裕也の演奏に対する周囲の反応は、兄のオマケという扱い。この出来事は、裕也の心に大きなトラウマを植え付けることとなる。彼にとって「優秀な兄」は、音楽と純粋に向き合うために、克服しなければならない呪縛になっている。


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