「株式会社筑摩書房」は、アニメ映画『マイマイ新子と千年の魔法』の原作となる『マイマイ新子』を、映画で監督を務めた「片渕須直」氏による解説付きで文庫化する事を決定した。また、本作の挿絵には、「浦谷千恵」作画監督による描き下ろしイラストも掲載される予定であるとのこと。
『マイマイ新子と千年の魔法』は、大ヒットアニメ映画『この世界の片隅に』のルーツとなる作品であり、『マイマイ新子』は『マイマイ新子と千年の魔法』の原作となる作者による自伝的小説。昭和30年の山口県国衙を舞台に、戦争による傷を負いながらも懸命に生きる人々の日常が、懐かしくも切なく描かれた作品となっている。
「新子」はマイマイ(つむじ)をピンと立て、妹や友達と今日も元気に駆け回る。大好きなおじいちゃんが作ってくれたハンモックは二人だけの秘密。
昭和30年の山口県国衙を舞台に、戦争の傷を負いながらも懸命に生きる大人達。変わり行く時代の中で成長して行く日々を、懐かしくも切なく描いた傑作。
ようやく『マイマイ新子と千年の魔法』という題でアニメーション映画化しようと目論みが立った頃には、毎日毎日日が暮れるまで遊びまわった子ども時代の楽しさなどというものに留まらない「描くべきもの」が自分の中にも蓄積されていたようだった。
あらためてお目にかかった高樹さんからはこのようにいわれた。
「映画に作るときにどういうふうに変えていただいてもかまわないんです。ただひとつここは大事にして欲しいというものがあります」
――それは『切なさ』なんです。
と、高樹さんは続けられた。もはや意外とも思わず受け止めることが出来たように思う。
自然豊かな山口県防府市の国衙。その町の旧家に生まれ、明るく楽しい毎日を送る少女「新子」は、東京から転校して来た「貴伊子」と出会い、仲良くなる。共に遊ぶようになった二人は、同級生の「シゲル」や「タツヨシ」といった面々とも友情を育んで行く事になるが、とある出来事をきっかけとして、次第にその絆は揺らぎ始めてしまい……。
圧倒的な美しさを伴った映像として蘇る、古き良き山口県防府市の風景。そんな世界で生きる少女の姿が、楽しくも切ない雰囲気と共に活き活きと描かれた作品となっている。
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