『この世界の片隅に』 原作のここがすばらしい!!647 Pt.

アニメ映画がヒットし、人気急上昇中のこうの史代原作『この世界の片隅に』。戦争映画としての見方もあるが、ヒロイン「すず」さんの細やかな感情のながれがじんわりと伝わる良いマンガ。映画を見る前に、映画を見た後にぜひ押さえて欲しい原作の魅力を語る。

作成日時:2016-12-17 16:00 執筆者:マンガペディア公式

『この世界の片隅に』 原作のここがすばらしい!!

概要

舞台は戦時中の呉。軍港として賑わう街で海苔梳きの家に生まれる「すず」は、絵を描く事が大好きで空想好きな少女。

ウッカリ系ヒロインとリアルな戦況

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真面目で一生懸命だがいわゆるおっちょこちょいで、買い物をすっかり忘れて帰るなど、「タハー」という失敗もよくする。家族はもう慣れており、「またやったか」程度。この「すず」さんの目線からじわじわと物資が不足して行く様、戦況が悪化している様が語られて行く。しかし悲壮感はない。彼女の手の届く幸せがゆっくり語られて行く。

好きな人はいた、でも今の夫を大切にする

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クラスのガキ大将、「水原」。「すず」も彼を多少は気に掛けていた。彼もまたしかり。しかし「すず」はすでに「北条家」に嫁いでおり、「周作」という夫もいる。立派な水兵さんとなり突然訪ねて来た「水原」と「すず」の間の空気を読み取りふたりきりになる様に計らう「周作」。 「水原」はこのあと、出航し、戦地に赴く事が匂わされており、 「周作」は最期の手向けとした可能性もなくはない。しかし、「すず」の中で妻としての自覚がゆっくりと芽生えて来ており、愛情と哀しさが感じられるシーン。

破られたノートの片隅に宿る心

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「周作はかつて恋人がいたかもしれない」という疑惑がおこる。夫の机から出て来た破りとられた跡のあるノート。その切り取られた小片を持っていた「リン」。彼女はこれを問いただせない。しかし今まで疑いもしなかった夫への信頼、見合いで夫婦になった自分と、遊女として春をひさぐ「リン」との「愛情の度合い」を考える。ほんわかした絵のなかで衝撃的な1コマ。思わず「マジか」とつぶやいてしまう。

ひとがなくなるということ

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「すず」の兄、「要一」がニューギニアで戦死したという知らせが届く。広島に原爆が落とされ、妹の「すみ」は原爆症と思われる症状がでている。嫁ぎ先の長女の娘も爆弾で亡くなってしまう。人がどんどん死んで行くが、どこか実感がわかず、淡々としている「すず」。「すず」が号泣するのは終戦の玉音放送を聞いた後だ。人が死ぬことよりも今まで積み上げて来た毎日の生活が報われなかった事の方が大きかった。勝つとか負けるという事は「すず」にとってはどうでもよく、一日一日をマメに紡いで来た足下が、崩された事の方がショックだったようだ。空虚な悲しさが画面一杯に溢れている。

小さな救いと未来

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利き腕を爆発でなくし、実家の家族も亡くし、それでも毎日懸命に生きる「すず」と夫の「周作」。結婚当初とさほど変わらずお互いにシャイで無口同士だけど、空気感が違ってきている。そして、そこへ現れる戦災孤児の女の子。彼女を家へ迎え入れる事でまた「北条家」の暮らしが少しだけ新しい方へはじまる。この優しい救いのある読後感がこの作品の素晴らしいところだろう。戦争マンガというだけで嫌厭するのは勿体ない。ぜひご一読願いたい。

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