田舎から上京してきた主人公が、幼い頃から一緒に暮らすフクロウが原因で仕事をクビになり、行き倒れた先にあったペットショップで、動物オタクな店員や個性的な動物たちと共に働くことになる日常コメディ。宮ヶ瀬とんびは田舎から上京してきたが、会社を1日でクビになってしまう。社員寮を追い出され、バイトをしてもすべてクビになってしまい行き倒れていたところ、犬に囲まれた状態で目を覚ました。とんびが寝かされていた場所はペットショップだった。店員の乾マコに助けられたとんびは、友達であるトラフズクのふく助と共に、ペットショップ「ドボガン」でアルバイトとして働くことになるのだった。
ペットショップ「ドボガン」は町中にある。ペットショップらしく犬や猫、小鳥やハムスターなどを取り扱っているが、蛇やサソリといった少々特殊な生き物も販売されている、動物好きにはたまらない場所だ。「ドボガン」が他のペットショップと最も異なるポイントは、ペンギンがいるところだろう。ドボガンの看板的存在でもあるペンギンはケープペンギンという種類で、生息しているのは南アフリカ。温暖な地域に住むペンギンで、寒さはあまり得意ではない。ちなみに店名にもなっている「ドボガン」とは、ペンギンの腹ばいになって滑走する姿を指す言葉らしい。主人公のとんびは大の鳥好きで、他の店員たちも概ねマニアと言っていいほどの動物好きである。普段は店員たちや動物の奇行がコミカルに描かれているが、動物に関する小ネタが紹介されているので勉強にもなるだろう。とにかく賑やかだが動物愛に溢れている店で、近所にあったら毎日通いたい。
謎めいた青年の経営するペットショップを舞台に、訪れる客の心の闇とペットとなった動物たちを描くヒューマンホラーファンタジー。アメリカの大都市にあるチャイナタウンの一角に、見落としそうなほど小さなお店がある。「D」と呼ばれる中国人が経営しているペットショップ「COUNT D」だ。ある日、お金持ちの令嬢が「COUNT D」へ珍しい鳥が欲しいと訪れたところ、店の奥へと通される。そこにいたのは、見たことも無い鳥だった。1999年3月テレビアニメ化。
「COUNT D」の店主は中国人「D伯爵(カウント・ディー)」だ。そこでは珍しい動物ばかりか、およそ現実世界では見かけない珍種貴重種がそろっている。例えばお金持ちの令嬢が「孔雀のような羽を持ち、カナリヤのようにさえずり、インコよりは高価」という条件の鳥を探しに来た時、「D」が紹介した商品は、普通の鳥ではなかった。その「鳥」は、一見すると東南アジアの民族衣装のような豪奢な衣装を身にまとった人間の姿だ。座っていれば人間に見えるが、背中には翼があり羽ばたくこともある。南の島に生息している極楽鳥(ストレリチア)だというが、妖怪や何かの類だと言われれば納得してしまうだろう。「D」はそんな、普通ではお目にかかれないような生き物ばかり取り扱っているのだ。どんな生き物でも飼育する時には注意すべき点があるが、特殊な動物はそれだけ守らなければいけない事柄が多い。フィクションであっても、生き物は注意深く世話するべきだと痛感させられる。
ペットショップを経営しているしっかり者の姉とドジな妹の、ドタバタお仕事コメディ。上倉つかさはペットショップ「プチガーデン」のオーナー。お店の経営は順調で、開店以来問題もなく過ごしていたが、妹のまゆが店員となってから状況は一変。天然気質でドジっ子なまゆは、掃除中に犬用のケージで眠ってしまったり、商品である犬と商品のおもちゃで遊んだり、店の動物に名前を付けてしまったりと問題行動ばかり。つかさは妹の行動を叱りながらも、店員として一生懸命働くまゆを見守るのだった。
「プチガーデン」は、姉妹で切り盛りしているペットショップだ。規模は大きくはないが、多くの客が来店している。店長であるつかさはしっかり者。接客だけでなく発注や在庫管理など様々な業務を一手に担っている。姉をサポートする立場である妹のまゆだが、驚くほど仕事ができない。商品で遊ぶ、仕事中に寝る、勝手に名前を付けるなど、その困った行動は挙げればきりがない。姉の最大の頭痛の種は間違いなくまゆの行動だろう。つかさの心労を思うと同情を禁じ得ないのだが、まゆの行動も、そうしたくなる気持ちはわかる、というものが多い。名前を付けてしまうのだって、情が移って販売をためらう姿に、なんだか共感してしまう読者は多いのではないか。動物好きの人たちが憧れるペットショップの店員、実は意外と精神的に過酷な職業なのかもしれないと思わされる。
爬虫類が苦手でイヤイヤ実家のペットショップを手伝っていた平凡な主人公と、爬虫類大好きな美少女との青春ピュアラブストーリー。男子校の中等部に通う2年生の白根環(しらねたまき)の実家は、爬虫類・両生類専門のペットショップを経営している。環は爬虫類を苦手としているが、我慢して家の手伝いをしていた。ある日、環は学園祭で休んだ生徒の代わりに大蛇役で舞台に立つことになってしまう。劇が終わり、自分をよそに友人たちが女生徒と楽しそうに話す姿を複雑な心境で見ていた環に、一人の可愛い女の子が環に向かって飲み物を差し出すのだった。
人間にはそれぞれ、どうしても生理的に好きになれない部類の生き物が存在する。足の数が多いものや、一本も無いものが多いだろうが、爬虫類が苦手な人にはこの「足が無い」に加え、その目や質感が苦手という人も多いだろう。できれば視界に入れたくないという人には、環の家の店の「ペットの白根」は少々つらい場所かもしれない。なにせ、爬虫類・両生類専門のペットショップなのである。ペットというとモフモフの体毛を持った哺乳類をつい想像しがちだが、トカゲや蛇、亀といった動物たちも、人間と一緒に生活するペットとして扱うことができる。環は両親が専門店を経営している関係で店を手伝うハメになっているが、本当は爬虫類が特に苦手らしい。だが、本作のヒロインである虻川さやとのやり取りを見ていると、結構すぐに克服できそうである。思春期男子にとって、女の子の力は偉大なのだ。また、本作に登場する爬虫類たちは小型で瞳は大きく、可愛らしく感じられるだろう。脱皮後の蛇のドヤっとしている様子を見ると頬が緩む。
爬虫類専門のペットショップに勤務している主人公が、爬虫類飼育希望の美少女と出会い、振り回されていくピュアラブストーリー。32歳の山本裕也は爬虫類専門店「トム」に従業員として勤めている。自身も爬虫類をこよなく愛しており、人間の女性よりも爬虫類に性的興奮を覚える「爬虫類性愛(オフィディシズム)」だった。好きなことを続けられることに幸せを感じていた裕也。ある日、ヤモリを飼育したいという女性客に応対し、心ひかれる。大学生風のその女性・九(いちじく)由莉のことが頭から離れない裕也だったが、後日、衝撃的な事実を知らされるのだった。
裕也は爬虫類の交尾に性的興奮を覚えるくらい爬虫類を愛している。知識量も豊富だ。裕也が飼育している「ヒョウモントカゲモドキ」のことが度々作中で紹介されるが、住環境の整え方やエサ、接し方などについて事細かに解説されている。爬虫類を飼育したいと考えている人には参考になる情報が多い。由莉は給餌用の虫やマウスなどに恐れおののいていたが、肉食の生き物は自然界では自分で他の生物を狩って食べて生きるしかない。裕也は「自分の都合で動物を振り回さないように」と語っている。爬虫類だけでなく、ペットとして動物を飼育している人間すべてが心に刻まないといけない言葉だろう。エサの問題だけでなく、様々なことで動物たちは人間の都合で犠牲になることが少なくない。裕也は自分の爬虫類愛と客の爬虫類への関心度の違いをしっかり把握したうえで、無理をしない飼育方法を提案しているし、ダメそうな客には販売を断っている。生き物を扱うからこそ、商売最優先にならない姿は正しく専門家だ。