その一票が国を変える！「選挙」漫画！オススメ５選16 Pt.

本作で争う「選挙」は架空の都市である新千葉ヶ崎市の市長戦。武藤国光は、この日本を変えるべく政治家を志し、市長候補である坂上竜馬の第2秘書となる。新千葉ヶ崎市の市長戦は、将来の総理大臣候補とも言われている不破俊一を筆頭に個性豊かな候補者がしのぎを削る激戦区。坂上家は資金難に喘ぎ、苦戦を強いられていた。国光は坂上の人柄に惚れ、彼を市長にするために、天性の強運とカリスマ性、そして発想力で得た多くの協力者と共に、選挙戦に臨んでいく。その中で、汚職や不正など、政治の裏側にも立ち向かうのも本作の特徴だ。

作者自身が選挙に出馬し、その状況を週刊少年誌上で生中継するという斬新な企画である本作。しかし、その過程を漫画で連載することが公職選挙法に抵触するおそれがあり、またその年から比例代表選制が導入され、個人での参院選出馬が困難になったことから立候補する企画は断念。しかし、漫画作品としては継続すべく、本宮は自ら各政党の党首にアポイントメントを取り、取材してレポート漫画に仕上げていく。社会民主連合時代の菅直人や新自由クラブの党首だった田川誠一などが実名で登場し、最終的にはロッキード事件裁判の渦中にあり、当時マスコミの取材は断っていた田中角栄との対談を実現させる。

主人公の1人である浅見千秋は、大学卒業後に大物政治家である佐倉修一の議員秘書となる。下剋上を起こして佐倉を追い落とし、その地盤を引き継いだことで選挙に勝ち、衆議院議員としての第一歩を歩みだす。物語の終盤にはもうひとりの主人公である極道の北条彰も衆議院選に出馬。最大与党である民主自由党幹事長の伊佐岡紀元は、極道が当選すればそれは国民の恥だと一喝し、その選挙戦は壮絶なものとなる。そして北条の兄貴分である暴力団組長、渡海の魂の叫びは、国を変えるには選挙へ行かねばならないと決心させる熱いメッセージを放つ。

本作で描かれる衆院選は、1994年まで行われていた中選挙区制度における選挙で、その戦い方が描かれる。特に連載の前半は、いかにして稲山を衆院議員にするかという、筒井五輪の熱い活動が描かれる。筒井は、正攻法の説得から、買収や脅迫まがいの裏工作までを平然と行い、対立候補の有力支持者たちを稲山派へと寝返らせていく。登場する政党や企業名は架空のものだが、実在の政党や政治家、企業がモデルとなっていて、わかりやすく設定されている。あくまでもコミカルに、それでいてリアルに政治と選挙が描かれている。

本作で臨む「選挙」は、作中の序盤。加治隆介の父である元春と、その秘書だった兄の春彦が事故死してしまい、後援会は隆介の擁立に動く。父が賄賂を受け取ったという疑惑や、政治家への不信感があった隆介は固辞するが、後援会の説得や父の残した想いに触れ、出馬を決意する。しかし、父の理想に従い地元の利益より国益を優先としたスローガンには反発の声も多く、後援会は分裂。反対派は元春の元秘書だった谷崎健吾を後継者として擁立し、所属政党であった民政党の公認を取り付けてしまう。これによって隆介は無所属での出馬となり、大苦戦を強いられる。そして選挙戦では前代未聞の僅差で敗れてしまうが、トップ当選した代議士が急死。隆介は繰り上げ当選を果たし、政治の世界へ足を踏み入れていく。