文明崩壊300年後を描く『BASARA』 日本を統治する王たち0 Pt.

『BASARA』は20世紀の終わりに大いなる災いが起こり、文明が滅びた日本が舞台となっている。そのころの日本は、京を中心として4つの州に分かれ、300年ものあいだ王政が敷かれていた。時の国王である鬱金王(うこんおう)は暴虐の限りを尽くし、民や土地を支配。災いによって気候や地形も変動した過酷な自然環境のなか、人々は悪政に耐えながら暮らしていた。
そんな時、山陽地方にある白虎の村で双子の兄妹が生まれた。兄の名はタタラ、妹は更紗(さらさ)といった。二人が生まれた日、村の預言者・ナギは「運命の子供」の予言をした。その予言によると、運命の子供は悪しき王を倒し、人を率いて新しい国をつくるという。
タタラは、運命の子供として村人たちから希望と期待を一身に集め、崇められる存在となっていった。
しかし、二人が15歳になったある日、西日本を統治する鬱金王の末子「赤の王」によって白虎の村が襲われ、「運命の子供」と噂のあったタタラは謀反を企てたという理由で殺されてしまう。村の宝刀「白虎の刀」も奪われ、タタラに希望を寄せていた村人たちは絶望して自ら死を選ぼうとしていた。そんな状況を変え、村人たちを助けるために更紗は髪を切り、兄・タタラのふりをして立ち上がった――。

本記事では『BASARA』の世界で日本を支配する王と、その土地やそこに生きる人々を紹介する。

作成日時:2022-05-28 19:00 執筆者:マンガペディア公式

文明崩壊300年後を描く『BASARA』 日本を統治する王たち

出典:小学館


王政の歴史、はびこる悪政

『BASARA』の舞台は文明が滅びた日本。更紗が生まれる300年ほど前までは、各地の権力者が争う、戦国の世だった。そんな戦国時代にピリオドを打ったのは「悪路王(あくろおう)」と呼ばれる豪傑。彼は各地の権力者を切り従え、京に都をおいて中央集権国家を確立させたのだ。そこから長く王政が続き、更紗が生まれたのは15代目「鬱金王」が統治する時代だった。日本は都のある京を中心に4つに分けられ、それぞれを王の実子が治めている。
王の実子のうち、「黒の王」は関東より北を、「蒼の王」は関東を、「白の王」は京、そして末子の「赤の王」は山陽・四国・九州などの日本西部をそれぞれ支配する時代だった。
いずれの王もその統治方法は横暴を極めており、その地方でも民衆たちは疲弊。また、科学の進んだ異国の船が国を狙って近海に出没しているが、古い体制を敷いている日本の王政では対処できずにいた。


赤の王が統治する土地

「赤の王」が統治する日本西部は、そのほとんどが砂漠となっており、文明崩壊前の豊かだった土地の面影も感じられない。
更紗の故郷である「白虎の村」も赤の王が統治する土地にあたる。村で取れた野菜や畜産物・織物などは、そのほとんどが国に税金として徴収され、人々は貧しい生活を送っていた。赤の王の本拠地となる赤の都は山陽地方の南「蘇芳」に存在。郊外の荒んだ村々とは打って変わり、城下町は豊かで活気にあふれていた。
赤の王の名は「朱理」。彼は幼少より味方であっても自分の意志に沿わなければためらいもなく殺害する残虐な性格。「運命の子供」を自分の行く手を阻む者として考え、排除するために白虎の村を襲ったり、税金の取り立てに反抗して一揆を起こした村を完膚なきまでに滅ぼしたりと、暴虐を尽くしていた。

実のところ、朱理もまた出生時に「王に禍いをなす」という予言をされており、そのために王である父に疎まれ、背中に奴隷印を押されて迫害されていた。12歳で元服した時、王は朱理に未統治だった日本西部の土地を与えた。朱理はそこで自分に忠誠を尽くす部下を残し、全ての悪しき者たちを一掃。その地を完全に掌握して統治することとなった。

更紗と出会ったのも山陽の地。砂漠でありながら湧き出した温泉で二人はめぐり会い、恋に落ちた。物語が進むなかで更紗や親友となる人々と出会い、また親しい者からの裏切りを経て王政に疑問を感じるようになっていく。


蒼の王が統治する土地

蒼の王が支配するのは関東地方。更紗が初めて関東に足を踏み入れた時、そこは西の土地からは想像ができないくらい荒んだ土地だった。民衆たちは重い税で苦しめられ、刀狩り令によって刃物だけではなく武器になりそうな鋤(すき)や鍬(くわ)までも徴収され、それでも蒼の王の娯楽のために食べ物を差し出すように命令される。そんな日々に耐えられなくなった者たちが、村単位で大規模な心中をして、蒼の王に抗議の憤死を遂げていた。しかし、都では蒼の王の指揮によって観光客や王侯・貴族が楽しむための祭が行われ、その目玉として「人間狩りレース」が開催。毎年、何人もの罪のない人々が「レース」と称して殺されていた。
蒼の王が暮らす東の都「青藍」では徹底した階級制度が敷かれ、最上位である王が住む宮殿は、草木や花が豊かに咲き誇り、きらびやかな宝物や設備を携えている。その反面、平民が住む土地は疫病が流行し、貴族によって民が殺され、腐臭が漂う貧困の街と化していた。
けれども人々は水害を生む龍の存在を恐れていたため、どんなにひどい扱いを受けようとも、龍の怒りを鎮められる「神の力」を持つ蒼の王に反旗を翻すことができなかった。
実際のところ、龍も「神の力」も全ては蒼の王の作った傀儡に過ぎず、民衆はいいように騙されており、更紗や革命軍によってそれが明るみに出ることとなる。


白の王が統治する土地

白の王が統治するのは、日本の都がある京。各州を統治する4人の王のうち、白の王だけが女性であり「白の大姉」と呼ばれている。名は銀子といい、戦を嫌って比叡山にこもっているといわれているが、その裏では部下をスパイとして各地に送り込むなど暗躍していた。
京の地は国王の住む王城や立派な建造物がいくつも存在している。日本の中心とされる地でありながら、その活気は蘇芳や大阪の地に劣っており、街の中では夜郎組という国の警備隊が厳しく反逆者を取り締まっていた。
更紗がその地に到着した際、京では大仏開眼の大式典が行われるところだった。大仏は国王の権威を民衆に見せつけるためだけに造られていたもの。建設するための工事には、各地から集めた奴隷が使われており、大仏完成後には土台として生き埋めにされる予定だった。更紗が率いるタタラ軍はそれを阻止すべく策をめぐらせることとなる。


黒の王が統治する土地

国王の長兄である黒の王が治めるのは、蒼の王が統治する関東より北の東北地方。潤沢な資源を有しているが、その土地の全てを掌握できてはいない。抵抗を続けているのは、黒の王の都「紫黒の都」より北の地にある鹿角を中心とした村の人々。長年にわたって押し寄せる黒の王の軍勢に抗い続けていた。
タタラ軍は、共に王国を滅ぼすための同盟を結ぼうと鹿角に接近するものの、その間口は固く閉ざされていた。鹿角はその地を日本の一部だとは思っておらず、自分の住む土地を守るために黒の王と戦っていたのだった。
作中に黒の王が登場するシーンはほとんどなく、血を流すことを恐れず戦う鹿角の民たちの民族性から統治することができずにいる。また、北海道には王の弟が管理する「網走刑務所」を有している。



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