ある日、星先生がいつもどおり授業をしていると、生徒たちが窓の外を見て「犬がいる」と騒ぎ出す。校庭に犬が入ってきたのかと思って窓の外を確認すると、なんと一つ上の階の教室から犬が吊るされた状態で降ってきていたのだった。上階の3年2組の担任である郡司(ぐんじ)先生に確認すると、“クラス犬”として教室で犬を飼育しているという事実を知る。
元々は郡司先生が実家で飼っていた「セツコ」と名付けられた犬であることや、諸事情でそのまま実家で飼うことが難しくなったため、校長に許可を得て教室で飼育しているというむちゃくちゃな話を聞かされ、戸惑う星先生。さらに、郡司先生のクラスが勉強合宿で教室を不在にするため、星先生のクラスで「セツコ」を一時的に引き取ることになってしまう。犬嫌いの生徒がいたらどうしようかと思い悩む星先生だったが、そんな心配は杞憂なほどクラスになじみ、「タピオカ」と名付けられて“クラス犬”としてかわいがられる。しかし、そんな中で「タピオカ」を巡ってクラスでとある事件が勃発する。びっくりするほどくだらないけれど、思わず笑ってしまう事件の一つだ。
星先生が隣のクラスで国語の授業をしていると、生徒の一人である松岡(まつおか)さんが授業中にこっそりと漫画を描いているところを目撃してしまう。彼女の担任である小林先生に厳重注意するように伝える星先生だったが、松岡さんの様子を見て、かつて自分が大学時代に漫画研究会に所属していた時のことを思い出してしまう。当時創作していた漫画の話などの思い出話を小林先生に語る星先生だったが、なんとその様子を松岡さんが背後で聞いていたのだ。
「経験者の意見が聞きたい」と自身の作品を差し出す松岡さんに困惑する星先生と小林先生だが、その熱意に押されて彼女の作品を読むことに。タイトルに「エターナルカオル」と書かれた作品を見て、少女漫画だと思い込んで読み進める2人だったが、開始早々に登場人物が謎の死を遂げ、突然デスゲームが始まり、事故に遭うなど怒濤の展開に顔を曇らせていく。いろいろな要素が組み合わさり過ぎて読者が迷子になってしまうと星先生にアドバイスされ、さらに星先生にストーリー構成の手助けをしてもらった松岡さんは、なんとか「エターナルカオル」を完成させる。職員室を困惑の渦に巻き込んだ怪作「エターナルカオル」の内容は、本作の第3話で確認できる。
とある日の昼休み。星先生のもとに、生徒の古森(こもり)さんが訪ねてくるのがこの事件の始まりだ。古森さんの従兄弟は星先生の高校時代の同級生で、彼女はその従兄弟から星先生の卒業アルバムを見せてもらったという。卒業アルバムに写る星先生は、なぜか肩に「クワガタ」を乗せており、そのあまりに奇妙な一枚に驚いた古森さんが星先生に真相を確かめにやってきたのだった。高校時代にクラスで「クワガタ」を飼育しており、男子校特有の悪ふざけで肩に「クワガタ」を乗せて卒業アルバムの写真を撮ることになったのだと、経緯を説明した星先生だが、小森さんはなんとその写真をステッカーにして勝手にグッズ化していた。
一応、生徒が作った作品ということでステッカーをもらった星先生だったが、その数日後、小林先生から“「クワガタボーイ」の謎に迫る”と書かれた謎のサイトを共有される。そこには、ネット上で自身の卒業写真とともに、パチンコで大勝して「クワガタボーイ マジ感謝」というSNSの投稿が紹介され、似たような報告が挙げられていた。古森さんが自作した、「クワガタ」を肩に乗せた星先生の卒業アルバムのシールが、どういうわけか街中に貼られており、それを見つけた者は幸せになれるという都市伝説になっていたのだ。ネットを巻き込んで拡散されてしまった星先生の写真だが、とある人物がその事態の収拾に動いてくれていた。
星先生の同僚である小林先生にまつわる珍事件が「ペタリスト小林」。ある日、星先生は小林先生の机に「ペタリスト 今週中に」と書かれているメモを発見してしまう。いつもは陽気なのにどことなく疲れた様子の小林先生を心配した星先生が、何があったのか尋ねると「ペタリストを作ることになった」と嘆く小林先生。会話をするうちに「ペタリスト」ではなく「タペストリー」であること、さらに小林先生が顧問を務めるバレーボール部の記念品に、タペストリーを作りたいと生徒の父母たちにリクエストされたことを知る。
パソコンに強いからという理由で、タペストリーのデザインから任されてしまった小林先生。不満の表情を浮かべながらも学校のコンピューター室で一人デザインに奮闘するが、出来上がったのは、部員たちの集合写真に加えて、謎のキャラクターとキャッチコピーが描かれた微妙過ぎるものだった。星先生に「これ夢の中で仕上げたんですか?」と言われるほどの珍デザインは、作品を読んだ人も思わず首をひねるはずだ。普段は明るい小林先生が、デザイン作業に苦しみ珍しく悪態をついているところ、また、タペストリーの完成品を通してとんでもないボケを見せてくるシーンなど、普段はあまり見られない小林先生の別の一面が垣間見えるところも魅力的だ。