孤独を愛する男が料理上手なキャンプ初心者と知り合ったことで、新たなソロキャンプの楽しみ方を見出していくアウトドア漫画。樹乃倉巌(きのくらげん)は、自然の美しい風景を独占できるソロキャンプにこだわりを持つ34歳の独身ソロキャンパー。ひょんなことから出会ったキャンプ初心者の草野雫から師匠と慕われ、“二人で”ソロキャンプを行うようになる。作中ではキャンプに関する豆知識やキャンプグルメのレシピも紹介されており、ハウツー本としても活用できる。
主人公の巌は34歳で、ヒロインの雫は20歳。両者の間には14歳という年の差があるが、試行錯誤しながら歩み寄っていき、心を通わせていく姿が描かれている。巌は父親からキャンプを学び、父親が亡くなってからはソロキャンプを行い、経験を積み重ねてきた。自分の行動への責任感が薄い雫に良い印象を持っていなかった巌だが、キャンプ料理に関しては工夫が凝らされた雫の料理にはかなわない。普段は強面だが、雫の料理を食べた時だけは表情が緩み、胃袋をしっかり掴まれている。巌は、美しい風景を独占し、一人の時間を満喫できることにソロキャンプの醍醐味を感じていたが、雫と二人でソロキャンプを行うことによって感動を人と分かち合う喜びも見出していく。
江本マシメサのライトノベルが原作のコミカライズ作品。森の妖精が仲間のために料理を作るファンタジーグルメ漫画。メル・リスリスは、美しき森の妖精と称される種族のフォレ・エルフ。しかし、家が貧乏で、見た目も中レベルで魔力も無い残念な妖精だった。そんな彼女は出稼ぎのためにやってきた王都アベラルドで、王国騎士団エノク第二遠征部隊の衛生兵として雇われることに。魔力は無くとも料理の腕を振るって不味い兵糧食を変身させ、隊員たちを喜ばせるのだった。
メルが所属することになったのは、アベラルド王国騎士団の一つで、彼女を含めて僅か5名のエノク第二遠征部隊。各地に遠征し、魔物の討伐や災害救助などのサポートを行う役目を担っているが、メルは衛生兵であり、医療や衛生管理を任されている。国から支給される兵糧食を楽しみにしていたが、干し肉や乾パンなど、そのままでは固くて不味いものばかり。だが、食べにくい食材でも、料理上手なメルが調理し直すことで絶品料理へ変身させられる。薬草ニンニク、胡椒キノコ(ペペリ)などのファンタジー食材も登場し、美味しそうな料理の描写に惹きつけられる。エノク第二遠征部隊は、隊長のクロウ・ルードティンクを筆頭に、それぞれの得意分野で役目を果たしながら、チームとして協力し合い、絆を深めていく。
人間の夫と怨霊の妻のドタバタ新婚生活を描いたホラーラブコメディ。32歳の二ノ瀬陸は、最愛の妻と新婚生活を送っているサラリーマン。本人は幸せいっぱいだが、母親の二ノ瀬葵からはこの結婚について猛反対されていた。それは、妻の二ノ瀬麗美(れみ)が生きた人間ではなく怨霊だから。しかし、見た目は恐ろしい怨霊の姿でも、性格は心優しく料理上手で魅力的な麗美のことを、陸は心から愛している。周囲を時折怖がらせながらも新婚生活を楽しんでいるのだった。
主人公の陸が結婚した相手の麗美は、朝には目玉焼きやみそ汁を用意し、昼の弁当まで作ってくれる料理上手な良妻。掃除や洗濯も完璧で、陸はそんな彼女のことを愛し、大切にしているが、彼女はこの世に未練を残して死んだ怨霊。気持ちが昂ると霊力が制御不能になってしまう。二人が出会ったきっかけは、麗美が封じられていた部屋に陸が引っ越してきたことだった。麗美は体のそこかしこから血を流しており、思わず叫びたくなるほど恐ろしい姿をしているが、健気で可愛い性格とのギャップが面白い。怨霊がヒロインでも賑やかに物語が展開していくギャグテイストなホラーラブコメディのため、ホラーが苦手な人にもオススメしたくなる作品だ。
主人公の大家と、はなれに引っ越してきた薬剤師が庭で七輪を使った料理を楽しむグルメ漫画。しがない漫画家の八沢木(やさわぎ)耕太郎は、和室のはなれを生活の足しにしようと賃貸を始めた。そこへ引っ越してきたのは、29歳の独身女性・三輪安奈。彼女は秋田出身のおばあちゃん子で、上京の際に祖母から貰った七輪であらゆる食材を炭火焼きにすることが大好きな七輪女子。耕太郎と安奈を中心に、香ばしい七輪ライフが始まるのだった。
本作に登場するヒロインは、漫画が大好きな薬剤師の安奈。しかし、漫画以上に好きなのは、炭火を用いた七輪焼きの料理だ。七輪焼きは煙が難点だが、彼女が住む家は主人公の耕太郎の家のはなれ。この物件に決めた最大の理由も、庭を自由に使えて魚を焼いてもよいという承諾を得られたからだった。登場する料理は、イワシやサバなどの焼き魚は勿論、牛タンや、時にはカレーまで様々。耕太郎は安奈がやってきて七輪ライフを始めたことで、この家で35年暮らしてきて初めての光景や匂い、音に幸せを感じ、その美味しさにも心を動かされる。作中には魚に関する豆知識や七輪で焼く方法の紹介などが織り込まれ、美味しそうな料理の描写は、香ばしさが漂ってきそうなほどリアリティが感じられる。
健気な主人公と自由奔放な男の恋愛模様を描いた純愛ラブストーリー。三村たまきは、元料理研究部で料理上手な24歳の独身女性。彼女は高校時代、2つ年上の先輩・島崎から頼まれ、料理を作ったことがあった。手料理をとても美味しそうに食べてくれた島崎の表情に心動かされたものの、料理をせがまれたのはその一度きり。卒業後、島崎はアメリカへ留学し、音信不通になっていた。しかし、たまきがOLになって4年目になったその年、止まっていた二人の時間が動き出す。
たまきの想い人である島崎は、高校時代からの知り合いで、カメラマン助手の26歳。母親に仕送りをしているため、給料日前にはいつも金が尽きてしまう。その上、通りすがりの猫に猫缶を買ってやるほどのお人好し。そんな彼を放っておけないたまきは、栄養たっぷりの料理を振る舞い、彼のお腹を満たして笑顔を引き出す。止まっていた二人の時間を動かしたのは島崎の電話がきっかけだったが、家にやってくるのはお腹が減っている時だけ。果たして島崎がたまの元へ訪れるのは、ご飯のためだけなのか、それとも特別な感情を抱いているからなのか。本心が知りたいと思いながら、健気に料理を作り続けるたまきの恋の行方を最後まで見届けてほしい。