怪物となってしまった一人の男と、超能力に目覚めた少年少女たちの闘いを描いたSFパニック漫画。東京で暮らす高校生のタスクこと村越奨(むらこしたすく)は、不思議な夢を度々見ていた。ある日、同級生のクロこと久路剣介(くろけんすけ)に導かれ、超能力に目覚める。時を同じくして名古屋では、会社員の内藤徹夫が突然化け物となり、辺り一帯が地獄と化していた。
本作のタイトルには「死屍累々」や「滅殺」や「デスロード」といった物騒な言葉が並び、その中にひとつ「内藤」という人名が入っている。最初にある名前「内藤」は、タスクたちの敵となる名古屋在住の30代のサラリーマンだ。内藤はコールセンターでクレームの処理をするという日々の生活に、多くのストレスを抱えていた。そんなある日、コンビニで店員の態度にストレスの限界を超えた内藤は、化け物へと変化し店員を殺してしまう。その後、強大な力を得た内藤は、名古屋市を壊滅させてしまうのだった。実はこの「死屍累々滅殺デスロード」とは、内藤が高校生時代に作ろうとした映画のタイトルで、脚本には化け物とそれと戦う五人の超能力者の存在が描かれていた。タスクたちは内藤を倒すため「脚本」と同じ力を持った超能力者の捜すのだった。
宇宙人の侵略があった日本で暮らす女の子たちの日々を描いたSFディストピア漫画。女子高校生の小山門出(こやまかどで)と中川凰蘭(なかがわおうらん)は小学校の頃からの友人。彼女たちの暮らす東京は、宇宙人の侵略と地球側の迎撃で大きな犠牲を出した。しかし戦闘は小康状態となり、当たり前のような日常が戻ってきていた。門出たちも大学受験に頭を悩ます日々を送っている。しかし人類滅亡の日は刻々と迫っていた。
繰り返しの言葉を含めた長いタイトルで、ファンの間では「デデデデ」と略されることもある本作。「デッド」は「死」、「デーモンズ」は「悪魔」の複数形、そして「デストラクション」は絶滅や破壊という意味を持つかなり物騒なタイトルだ。本作はそんな物騒なタイトルとは裏腹に、主人公の門出と凰蘭がごく普通に楽しい日常を送ろうとする物語が進んでいく。だがそんな彼女たちの周囲に少しずつ非日常が混ざり始める。宇宙人の中型船墜落で友人のひとりが死亡し、門出たちは危機の中にいることを思い知る。人間の姿を模写し、会話をすることができる宇宙人が現れて滅亡のカウントダウンを示すなど、日常的な悩み、楽しさの中に浸透していく不穏な影が、物騒なタイトルに徐々にシンクロしていく。
『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズで知られる荒木飛呂彦のサスペンス漫画短編集。死刑判決を受けた被告、囚人27号。彼はウソをつくことがあるが、ウソをつかれるのは大嫌いな男であった。それが原因で殺人を犯し、独房へ送られた。だが囚人27号はその独房で違和感を覚える。室内はまるで高級マンション。しかしそこには恐ろしい仕掛けが隠されていた。
表題となっている作品はひとりの死刑囚の恐ろしい体験を描いた物語。そして「死刑執行中」でありながら「脱獄進行中」という、矛盾するふたつの物騒な事柄が成り立つ状況が描かれている。殺人犯の囚人27号が死刑判決後に入れられた独房は、奥の方が真っ暗だった。ところが何故か室内に灯りのスイッチがあり、囚人が操作することができるようになっていた。訝しがりながらも彼がスイッチを入れると、蜂が飛び出して刺されてしまう。混乱しながらも灯りの点った室内を見回すと、TVやソファなどおよそ監獄らしからぬ家具が用意されていた。実はその部屋には数々の死に至るトラップが仕掛けられており、その一方で脱獄可能な道具も用意されていたのであった。
人気ライトノベル異世界転生ファンタジーのコミカライズ作品。ゲーム開発の下請け会社に勤めるプログラマー、鈴木一郎。一郎は仕事に追われ、三十時間ぶりに睡眠を取ろうとしたところ、何故かゲームの世界に入り込んでいた。初期状態で装備も何もないところへ、高レベルの敵が現れてしまう。だがそんな一郎を救う「システム」があった。2018年TVアニメ化。
本作のタイトルにある「デスマーチ」とは、進行中のプロジェクトにおける過酷な作業、労働状況を指す言葉である。この状況が常態化することで「過労死」に至ることも懸念されている物騒な言葉だ。主人公の鈴木(ゲーム内でのキャラ名は「サトゥー」)は、いくつものゲームの下請けをしており、異世界に行く直前もまさにこのデスマーチ状態であった。そんなサトゥーが行った異世界は、彼がまさにデスマーチの最中に制作していたゲーム『WAR WORLD』の世界であった。レベル1で何の装備もない状況で高レベルの敵に囲まれたサトゥーは、絶体絶命のピンチに。しかし開発者として知っていた情報を元にピンチをすり抜け、一気にレベルアップして最強キャラへと変貌する。
夏目漱石の小説『こころ』を元にアメイジング翻案、さらにゾンビ要素を追加したドタバタアクション漫画。明治4X年、駆け出しのゾンビハンターである「私」は夏になるとゾンビ狩りに出かけていた。そんな「私」が鎌倉の海で出会った凄腕のゾンビハンターの「先生」。「私」は必死に先生の弟子になりたいと願うが、先生には隠された過去があった。
タイトルにある「オブ・ザ・デッド」という物騒な単語はゾンビ要素を表している。さらに副題にある「~スーパー漱石大戦~」とあるのは、漱石の他作品のキャラも数多く登場するからである。『坊ちゃん』からは「坊ちゃん」、『吾輩は猫である』からは「猫」が参戦。彼らもゾンビとの攻防を繰り広げる。本作のメインキャラである「先生」は冒頭でも大型ゾンビを一刀両断する腕前を披露するのだが、彼は柳生新陰流の後継者であった。そして『こころ』のもうひとりのメインキャラである「K」も小野派一刀流の後継者。そんな彼らの知られざる過去と「ゾンビアポカリプス」の謎が語られていく。文学作品とホラー漫画をスラップスティックギャグでまとめ上げた怪作だ。