浦沢直樹の代表作の一つ。1980年代後半から1990年代のドイツを舞台に、日本人の敏腕脳外科医「Dr.テンマ」こと天馬と、彼が過去に救ったヨハンとの因縁を描いた物語。デュッセルドルフの病院で重篤な頭部外傷を負った少年、ヨハンの手術を行ったテンマは、数年後にヨハンが連続殺人事件に関与していることを知る。そして、成り行きから殺人容疑をかけられたテンマは、逃亡生活を送りながらヨハンの正体と過去を追跡する。その過程で、ヨハンの双子の妹であるニナとの出会いや、BKA(ドイツ連邦捜査局)のルンゲ警部との対立と和解を経て、テンマは真相にせまっていく。本作は、医療ドラマとスリラー要素を融合したサスペンスミステリー。東西ドイツ統一前後の社会情勢を背景とし、冷戦時代の東欧における秘密実験や政治的陰謀、児童実験施設「511キンダーハイム」の存在が世界観として設定されている。小学館「ビッグコミックオリジナル」1994年から2001年まで連載。1997年に第1回「文化庁メディア芸術祭」マンガ部門優秀賞、1999年に第3回「手塚治虫文化賞」マンガ大賞、2000年に第46回「小学館漫画賞」青年一般部門を受賞。テレビアニメが2004年4月から放送された。