主人公のライバル、最強の敵が主役のスピンオフ漫画！オススメ５選105 Pt.

本作の主人公は、普通人（ノーマル）の絶滅と、虐げられてきたエスパーの解放を目標とする組織「P.A.N.D.R.A（パンドラ）」のリーダー・兵部京介だ。京介は、念動力、精神感応、催眠、瞬間移動といった数多くの能力を備える複合能力者。能力の強さを示す超度は不明ながら、 作中でも最強クラスのエスパーである。また、彼は第二次大戦中から活躍しているかなりの高齢者だが、超能力で老化の原因・テロメアを操り、若い肉体を保っている。本作の物語は、東南アジアにあるエスパー監獄「デッドロック」に、兵部京介が収容されるところから幕を開ける。彼の目的は、この監獄で密かに収監されている仲間の救出。その課程で京介が、少々変った囚人・アンディ・ヒノミヤと出逢ったことをきっかけに、物語は大きく動き出す。

本作は、赤木しげるの前に立ちはだかった最強の対戦相手・鷲巣巌の若かりし頃を描いたスピンオフ作だ。ネタ元の『アカギ』も、赤木しげるの若かりし頃を描いているため、大元の『天』からは三世代分時代を遡っていることになる。本作は『天』『アカギ』と同様に麻雀漫画というジャンルだが、前二作とは毛色がかなり異なる。それは本作が、単なる麻雀勝負のみならず、鷲巣が如何にして財を築き、地位を手に入れたかを描く、ピカレスクなサクセスストーリーだからだ。鷲巢は帝大を首席で卒業後、特別高等警察に入省し権中警視の地位にまで登りつめる。ところが日本の敗戦を予見した彼は、その地位をあっさり捨てて野に下った。敗戦後、鷲巢はGHQ（連合軍）将校を相手に高レート麻雀で資金を稼ぎ、経営コンサルタント「共生」を設立する。彼は数十年先の金融戦争で、世界を相手に戦うことを見据えていた。鷲巢はその壮大な目標を果たすため、天性の豪運と傲岸不遜な姿勢で、政財界にその名を轟かせていく。

本作は、蛇喰夢子のライバル・早乙女芽亜里が私立百華王学園の高等部に編入するところから始まるスピンオフ作だ。私立百華王学園は、政財界や上流階級の子女が集う名門校。この学園では学業成績でもなければスポーツでもなく、ギャンブルの強さが最も重視される。芽亜里は成績優秀ではあるものの、ギャンブルに関してはまだ素人。中等部から学園に在籍する生徒たちは、そんな芽亜里をカモにしようと狙ってくる。しかし芽亜里は、鋭い観察眼と明晰な頭脳、そして持ち前の度胸で勝利を重ね、徐々に学園内での地位を高めていく。本作の独自性の高い勝負方法とスリリングな駆け引きは、本編に負けずとも劣らない。さらに顔芸とも言うべき、表情豊かなキャラ演出も特徴だ。

『北斗の拳』には、スピンオフ作が数多く存在する。本編の主人公・ケンシロウの3人の兄それぞれを主人公とするスピンオフ作がある他、ケンシロウが愛した女性・ユリア、ケンシロウの盟友で南斗水鳥拳伝承者・レイなど、実に様々なキャラクターを主人公とするスピンオフが制作されている。そんな数あるスピンオフ作の中でも、一際異彩を放つのが本作だ。本作の主人公は、北斗神拳と表裏を成す南斗聖拳の一派・南斗鳳凰拳の伝承者・サウザー。彼は「生まれついての帝王の身体」を持ち、ケンシロウに一度は勝利した印象的な敵役である。本編では、愛深き故に非情に染まった悲しい過去を持つサウザーだが、本作では突拍子もなくナンセンスなギャグを連発する愉快な男。原作の名シーンを元に、マニアックなツボを突くギャグの数々が繰り広げられる。

本作の主人公・ドクター・キリコは、ブラック・ジャックのライバル的存在だ。元は軍医として戦地で負傷兵たちの治療を行っていたキリコは、戦場で手足をもがれ、胸や腹を潰され、それでもなお死にきれない悲惨な怪我人を数多く目にしてきた。やがて彼は、そんな怪我人の求めに応じて毒を注射するようになる。彼らはキリコに心からの感謝して死んでいった。この経験がきっかけで、キリコは安楽死の研究に没頭していく。彼は自らが開発した特別な装置や特殊な薬物で施術を行い、自然死を疑われない形で患者に安らかな眠りをもたらす。金次第で安楽死を請け負うキリコだが、彼は決して殺し屋ではない。彼が施術を行うのは、回復の見込みがなく、本人が死を望む患者のみ。歳に似合わぬ総白髪に黒い眼帯という強面で、口調も素っ気ないキリコだが、実は優しい面もある。本編でも僅かに垣間見える、そういったキリコの隠された部分が強く描かれた作品だ。