賭ケグルイ双

河本ほむらの代表作『賭ケグルイ』のスピンオフ作品。時系列は本編の1年前となり、早乙女芽亜里が私立百花王学園に編入して来たところから物語がスタートする。有力者の親を持つ周囲の登場人物達に対して、一般家庭出身という金銭的に圧倒的なハンデを持つ芽亜里が、学園内でギャンブルで成り上がっていく様を描く。さまざまなオリジナルゲームが登場し、ルールの解説も解りやすく、初見でも楽しめる。

あらすじ

時短大富豪(第1巻)

早乙女芽亜里は、私立百花王学園高等部に特待生として編入し、今日からお嬢様生活が送れると浮かれていた。そこで芽亜里は、小学校のクラスメイトだった花手毬つづらと再会する。つづらは芽亜里に、私立百花王学園内ではギャンブルが何より重要視されるという情報を伝え、その経緯で家畜をはじめとした、学園内のヒエラルキーを教えるのだった。またクラスメイトの愛浦心は、戸惑う芽亜里に、ギャンブルを教えてあげると提案。そして5枚の手持ちカードのみで行う「時短大富豪」が開始される事となった。しかし勝負に負け続ける芽亜里は、クラス総出でイカサマに参加しており、芽亜里を家畜に堕とそうと結託している事を知る。

スリーヒットダイス(第1巻)

何とか窮地を乗り切った早乙女芽亜里は、勝つためには胴元になるしかないと考え、校内で一番人気のない賭場を乗っ取ろうと考えていた。花手毬つづらに教えられた第二図書準備室に乗り込んだ芽亜里は、運営者の戸隠雪見に、久々の客だと歓迎されるが、そこに聚楽幸子佐渡みくらが現れる。そして二人は雪見に、使用料延滞のため、第二図書準備室を利用停止とする事を告げるのだった。支払いを待ってほしいと頼む雪見に対し、次は自分にこの賭場を仕切らせてほしいと申し出る芽亜里。こうして、芽亜里と雪見の二人は、第二図書準備室の使用権と100万円を賭け、「スリーヒットダイス」での勝負に臨む。だが、実はこの勝負を提案した聚楽は、ディーラーを務めるみくらにイカサマをさせ、芽亜里を自分専用の家畜にするつもりでいた。なすすべもなく初戦に敗北した芽亜里は、仕組まれたイカサマに気づく。これを逆に利用して勝利をおさめるべく、芽亜里は起死回生の策を思いつき、第2回戦を持ちかける。

魔法のダイスゲーム(第1巻)

第二図書準備室を手に入れた早乙女芽亜里は、花手毬つづら戸隠雪見らと共に、自身の考案したダイスゲームを売りにして賭場を運営していた。ディーラーが後出しで勝ちやすいルールのダイスゲームと、一人につき1日3回限定という巧妙な条件設定で、芽亜里の賭場は初日に30万円の利益を達成。順調なスタートを切るものの、そこに芽亜里の噂を聞きつけ、善咲会に引き入れようと考えた壬生臣葵が現れる。だが、不幸にも芽亜里は不在で、つづらがディーラーを務め、葵と対戦する事になってしまう。こうして賭場の運営費100万円を賭け、一敗すら許されない勝負が始まる。

カップリングギャンブル(第2巻)

壬生臣葵は、家畜制度を崩壊させるために現生徒会と戦おうと考えており、早乙女芽亜里にその意思を伝える。そして、芽亜里の実力を見せてほしいと、芽亜里の負け分の100万円の棒引きを条件に、花手毬つづら戸隠雪見と共に、「カップリングギャンブル」に参加するよう指示を出す。これは聚楽幸子が主幹事を務めるイベントで、100万円を賭けた男性陣対女性陣のギャンブルであり、カップルが成立したら男性の勝ち、成立しなければ女性の勝ちというルールのものであった。芽亜里、つづら、雪見、乾千歳久留米くるみの五人に対するのは、結奏とその取り巻きの四人。相手のイケメンぶりにテンションが上がる乾とは裏腹に、負ければあとがない芽亜里は、勝つ事を最優先に女性陣に発破をかける。しかし、第1回の結果は全員がカップルになってしまい、女性陣の惨敗という結果に終わる。そんな中、芽亜里は女性陣の中に「裏切り者」が存在する事に気づく。そして聚楽からレートアップの第2回戦の開催が告げられる。

丁半博打(第3巻)

カップリングギャンブル」に勝利した早乙女芽亜里は、200万円を獲得し、花手毬つづら家畜も返上する事に成功。そんな中、芽亜里は第二図書準備室の使用料を徴収に来た佐渡みくらから、会計室へ呼び出しを受ける。そこで待っていた壬生臣葵は、芽亜里を善咲会の評議員(幹部)として迎え入れたい旨を伝え、三春滝咲良を紹介する。だが、生徒会と善咲会がやり合った際に有利な方に付こうと考えた芽亜里は、その返事をいったん保留する。一方、咲良は葵の芽亜里に対する特別扱いに嫉妬していた。苛立つ気持ちを抱えたまま、咲良は美化委員長としての校務で賭場の使用料を回収するため、生志摩妄のもとを訪れる。そこで生志摩は、ギャンブルで負けたら使用料を払うと語り、咲良はサイコロの出目が偶数か奇数かを当てる「丁半博打」に臨む事となった。

宝探し/ダイス・ニム・ゲーム(第3巻)

三春滝咲良に呼び出された早乙女芽亜里は、善咲会への入会試験として、同好会棟すべてをフィールドとした「宝探し」の対戦を申し込まれる。賭け代は芽亜里が「善咲会への入会権」、咲良が「善咲会評議員(幹部)としての信頼」で、ディーラーは聚楽幸子が務める。またハンデとして、芽亜里には戸隠雪見花手毬つづらと共にチームプレイが許される事となった。みんなで知恵を絞って暗号を解き、宝箱を見つけた三人は聚楽のもとへ戻るが、そこにはすでに宝箱を手にした咲良の姿があった。後れを取った芽亜里達だったが、実はお互いの宝箱は、相手の宝箱に付いている鍵がないと開かないという仕掛けがあり、この時点では勝者は決しない。こうして互いの宝箱の鍵を賭け、「ダイス・ニム・ゲーム」が新たに開始される事となった。そして勝負の最中、芽亜里は苦戦を強いられて劣勢に陥りながらも、「宝探し」の真の意図にいち早く気づく。

テスト・バトルゲーム(第4巻)

ある日、愛浦心が1年華組のみんなでギャンブルをしようと提案した。その内容は、一人1万円ずつ出し合い、勝者は合計30万円を得て、さらに学級委員の座につけるというもの。クラスを仕切るチャンスと、早乙女芽亜里は意気込むが、学級委員は実質的に雑用係であり、その真の意図は、雑用を引き受ける代わりに30万円恵んでもらうというものであった。クラス内で圧倒的に貧乏な芽亜里は、30万円はほしいものの舐められたくもないと葛藤しながら、ランダムに選んだ人間のテストの点数で勝負する「テスト・バトルゲーム」に参加。順当に勝ち上がった芽亜里は、決勝戦で愛浦と対戦する事となった。だが愛浦は、以前負けた腹いせに芽亜里の貧乏ぶりを笑い者にしようと、クラスメイトのほとんどを抱き込み、最初からイカサマを仕込んでいた。

ダウトポーカー(第5巻)

かつて壬生臣葵にやられたように、ディーラーと客が勝負するギャンブルにはリスクが付きまとう事を学んだ早乙女芽亜里は、客同士で戦わせ、場代を徴収する事で第二図書準備室の運営の安定化を図っていた。そんなある日、芽亜里は「カップリングギャンブル」以降、自分の事を気に入っている結奏とその取り巻き四人を客に迎え、花手毬つづらにディーラーをさせ、自身は結の相手を務める事となった。ゲームの種目は芽亜里考案のオリジナルゲーム「ダウトポーカー」。自分の手役を宣言し、それが噓か本当かを見抜く変則ポーカーゲームである。すると突如、聚楽幸子が第二図書準備室に客として現れて卓に着く。生徒会役員に自分を売り込むチャンスと、結の取り巻き達は目の色を変えるが、聚楽は圧倒的な強さで瞬時に勝負を決してしまう。これは「自分の手駒にならないなら賭場の客を潰す」という聚楽からの暗黙の脅迫であった。賭場を守るため、芽亜里は全財産を、聚楽は500万円を賭け、一対一の「ダウトポーカー」で勝負する事となる。だが、本気を出した聚楽の圧倒的な強さの前に芽亜里は敗北。すべての策を打ち砕かれ、心を折られた芽亜里に対し、聚楽は、自分の軍門に下るか善咲会へ入るかの選択を突きつける。

隠された掟ゲーム(第6巻)

聚楽幸子に大敗を喫した早乙女芽亜里は、聚楽専用の家畜になるか、善咲会に入って壬生臣葵のもとで生徒会と戦うか、の決断をする期限を迎えた。芽亜里は意を決して聚楽のもとへ向かおうとするが、その前に佐渡みくらが立ち塞がり、芽亜里の家畜堕ちを防ぐための協力を申し出る。みくらの提案で二人は、「金以外の物」を賭けて大金が稼げるという、善咲会幹部、嫗ヶ頭姉妹が運営する賭場へと出向く。葵から善咲会会長の座を奪おうとする嫗ヶ頭姉妹は、芽亜里とみくらを迎え入れるが、彼女達が負けた際には善咲会に家畜として入り、自分達を支持する「友達」になる事を条件として出す。だが、そこへ嫗ヶ頭姉妹を探っていた下月売奥理が乱入し、葵に仇なそうとする姉妹二人に対し、どちらかが再起不能になるまで行うデスマッチを要求。こうして、芽亜里とみくらvs嫗ヶ頭姉妹vs下月売という三つ巴の、「隠された掟ゲーム」が開始される事となった。芽亜里やみくらと嫗ヶ頭姉妹の小競り合いが続いた序盤戦が過ぎた頃、下月売はその洞察力と記憶能力を発揮し、一気に場を支配。圧倒的優位に立ち、勝負を進め始める。下月売の罵倒の言葉に耐えながら、どうにか食い下がる芽亜里は、最後の逆転の一手として、聚楽へのみくらの思いに賭ける事を決意する。

登場人物・キャラクター

早乙女 芽亜里 (さおとめ めあり)

私立百花王学園高等部1年華組に特待生制度を利用して編入して来た女子。金髪のツインテールの髪型をしている。聚楽幸子からも「器量よし」と評されるほど容姿端麗。誰に対しても物怖じせず、自分の意見をハッキリ言う性格で、頭の回転も早く機転も利く。勝負で負かした相手に対し、必要以上に罵倒し、煽り倒す癖がある。一方で仲間思いで、負債の責任を一人で負い、自ら家畜に堕ちようとするなど優しいところもある。 編入初日にクラスメイトの愛浦心と揉めた事から恨みを買い、クラスで村八分にされて友達がいない。花手毬つづらとは小学校時代のクラスメイトで、当時は彼女の事を嫌っていたものの、愛浦と揉めた際に助けてもらった事をきっかけに親しくなった。 以後はつづらと二人で「学園の勝者になる」という目標を共有し、相棒のような関係となり、第二図書準備室で戸隠雪見を加えた三人で賭場の運営をしている。ゲームの「肝」を捉える能力に長け、初見のゲームでも相手の意図を読み取り、勝負所を見出すのが非常にうまい。また、自分の賭場で行うオリジナルゲームの完成度も高く、客からの評判もいい。 もともとギャンブルに関しては素人だったが、経験を積んでいくうちにイカサマもしっかり仕込むなど、慎重さを持つようになる。泥を啜ってでも勝とうとする強い執念の持ち主で、壬生臣葵からは高く評価されており、善咲会へ幹部待遇での入会を勧められている。当初は入会をはぐらかしていたが、のちに葵の本性を目の当たりにしてからは、強い拒絶反応を示した。 また、聚楽からも気に入られており、聚楽専用の家畜へ堕とそうとつねに狙われている。一般家庭出身のため、学園では圧倒的に貧乏な立場だが、芽亜里本人は気にしていない。お茶を飲む時はお気に入りの水筒を持参し、市販品は買わない。

花手毬 つづら (はなてまり つづら)

私立百花王学園高等部1年華組に在籍する女子。黒髪のロングヘアで、内気な性格をしている。特技は料理と裁縫とピアノ。早乙女芽亜里とは小学校時代のクラスメイトで、当時から快活な芽亜里にあこがれを抱いていた。家は金持ちだが、この学園に限っては普通レベルの家庭環境。小学校時代は誰に対しても優しく、人の輪の中心となっていたが、芽亜里と再会した際には家畜として扱われており、卑屈な媚びた表情が張り付いていた。 芽亜里が編入初日に愛浦心と対戦した際、芽亜里のピンチに50万円投資して勝利した事で友達となる。芽亜里と二人で「学園の勝者になる」という目標を持ち、賭場の運営やチーム戦でのギャンブルでは芽亜里の相棒を務める。芽亜里や戸隠雪見らと共に第二図書準備室で賭場を運営している。 ギャンブル自体は家畜堕ちするほど弱いため、基本的に芽亜里の指示どおりに動く。再会してから芽亜里を「私の王子様」として慕っており、信頼度はつねに最高レベルでブレる事はない。「カップリングギャンブル」以降は家畜を返上し、一般生徒から差別を受ける事もなくなった。

愛浦 心 (あいうら こころ)

私立百花王学園高等部1年華組に在籍する女子。巻いたピッグテールの髪型がトレードマーク。1年華組の中心的な存在として、イジメから決め事まで率先して行動する。早乙女芽亜里の編入初日にギャンブルでイカサマを仕掛け、芽亜里を家畜に堕とそうとしたが逆に敗北。それを恨んでクラスメイト達に呼びかけ、芽亜里を村八分にしている。 根に持つ性格で、芽亜里が学園生活を満喫しているのがどうしても気に食わず、どうにかして芽亜里の地位を落とそうと、つねに狙っている。クラス内での振る舞いからギャンブルは強い様子。協力者ありきのイカサマを得意とするが、イカサマを仕込んだ時点で勝利を盲信してしまい、逆用される事を考えない迂闊さが目立つ。

戸隠 雪見 (とがくし ゆきみ)

私立百花王学園高等部で文芸部部長を務める女子。黒髪のショートヘアで眼鏡をかけており、自分の事を「僕」と呼ぶ。文芸部の部室である第二図書準備室で賭場を営んでいたが、運営能力は低く、校内で最も人気のない賭場という、レッテルを貼られるまでになっていた。そのため賭場の使用料を延滞し、使用停止を伝えに来た聚楽幸子の提案で、早乙女芽亜里と賭場を賭けてギャンブル勝負するが敗北。 しかし、その後も第二図書準備室に残り、芽亜里の賭場を花手毬つづらと共に三人で運営する事となる。因みにディーラーの制服をメイド服にと発案したのは戸隠雪見である。生徒会に詳しく、生徒会に目をつけられた芽亜里に、その危険性を頻繁に説明している。 第二図書準備室へ居座った際は、芽亜里に何らかの企みを怪しまれていたが、複数人数でのギャンブルで、芽亜里と同じチームになった事から信頼を得ている。そしていつも一歩引いた立場からアドバイスや解説をし、「ダイス・ニム・ゲーム」では生徒会役員相手に、芽亜里のイカサマの片棒を担ぐ根性を見せる。

聚楽 幸子 (じゅらく さちこ)

私立百花王学園高等部の生徒会に所属し、風紀委員長を務める女子。スタイル抜群なロングヘアの美人だが、性格は超ドS。つねに薄笑みを浮かべ、誰に対しても高圧的な態度と物言いをする。聚楽幸子専用の家畜である佐渡みくらを鎖につなぎ、つねに連れ歩き、雑務はすべてみくらにさせている。強者が敗北して自分に屈服した姿に愉悦を感じる変態。 そのため「面白そうな者」が現れると、聚楽自ら「品定め」に出向き、気に入れば、自分専用の家畜として飼うためにギャンブルを仕掛ける。芽亜里を品定めした際、自分専用の家畜にしようと、第二図書準備室を餌に戸隠雪見と勝負させたものの失敗。それからも芽亜里を狙っていたが、壬生臣葵の顔を立てて直接は手を出さずにいた。 風紀委員長という立場から校務も多岐にわたり、「カップリングギャンブル」の主幹事から賭場使用料の徴収まで行なっている。善咲会の存在も知っているが、生徒会長に報告せずに、中立の立場を貫いている。ギャンブルの腕も相当な物で、仕草や呼吸、筋肉の強張りなどから、相手の心理を高精度で読む事ができる。 芽亜里と「ダウトポーカー」で対戦した際には圧倒的な強さを見せつけ、500万円の借金を背負わせた。

佐渡 みくら (さど みくら)

私立百花王学園高等部に通う女子で、聚楽幸子に仕えている。もともとはそれなりに強いギャンブラーだったが、聚楽に敗北し、幾度もの再戦と家畜扱いを経て自分自身の本当の願望に気づき、聚楽にすべてを捧げると誓った。聚楽専用の家畜であるため、つねに聚楽と行動を共にし、様付けで呼んで雑務を請け負っている。ほかの家畜生徒とは違って、聚楽に仕える事に誇りを持っており、家畜標を付けていながらも一般生徒に被差別的な扱いを受けていない。 ただし、聚楽からの責めを受けると、恍惚の表情を晒すドMになっている。聚楽から授かった首輪がトレードマークだが、公の場では見えないように着用している。基本的に誰に対しても敬語を使うが、時おり相手を小馬鹿にしたような言い回しを使う事もあり、激昂した時にはタメ口になる。 聚楽について回っているため、賭場や生徒会、善咲会の人間関係に詳しく、情報を豊富に持っている。すべてにおいて聚楽を中心とした考え方をしているが、聚楽が芽亜里を専用の家畜にしようとするのを阻止するために、芽亜里と共に嫗ヶ頭姉妹に挑むなど、自分のエゴで動く場合もある。 ギャンブルの場にはディーラーとして立つ事が多いが、自分がギャンブルに臨む際は、すり替えや通しなどの基本的なイカサマを淀みなく使う事ができる。ちなみに、裕福な私立百花王学園の生徒でありながら、家畜の立場にあるため、自由になる金は1円も持っていない。

壬生臣 葵 (みぶおみ あおい)

私立百花王学園高等部の生徒会に所属し、会計を務める3年生の男子。背が高くさわやかなイケメンで、周囲にはいつも自信満々に振る舞っている。さらに家は1000年続くという名門で、財界政界にも顔が広く、壬生臣葵自身も将来を嘱望されている。1年生時から生徒会役員として活動しており、現生徒会長が就任する際には積極的に後押しを行い、就任の実現に大きく貢献した。 その人当たりのよさから人望も厚く、家畜に対しても差別をしない、根っからの好人物として知られている。しかし、現生徒会長の執り行う「家畜制度」に疑問を抱き、秘密裏に善咲会を立ち上げて家畜の解放を画策している。許嫁で婚約者である三春滝咲良も善咲会に引き入れている。 生徒会長と戦うにあたり、善咲会に有能な人材を欲しており、聚楽幸子から早乙女芽亜里の噂を聞きつけ、第二図書準備室に様子を見るため訪れた。以降、芽亜里を試すうちにその能力を認め、彼女を幹部待遇で善咲会に迎えようと口説き始める。しかしその過程で、敗北した咲良を切り捨てるなど、芽亜里に冷酷な本性を知られ、激しく拒絶されるようになった。 だが、葵本人はまだまだ芽亜里の善咲会入りをあきらめていない。

久留米 くるみ (くるめ くるみ)

私立百花王学園高等部2年楼組に在籍する女子。ギャル系な外見をしており、大きく開けた胸元には蝶のタトゥーを入れている。「カップリングギャンブル」で早乙女芽亜里らとチームを組んで結奏チームと対戦した。ノリが軽く「ヒャヒャッ」と笑う。また、一文なしとなった芽亜里、花手毬つづら、戸隠雪見らに貞操を賭けさせるなど腹黒い一面もある。 実は善咲会で幹部を務めており、聚楽幸子が第二図書準備室に乗り込んで芽亜里と対戦した際、芽亜里を善咲会に引き入れるため500万円を貸し付けた。

乾 千歳 (いぬい ちとせ)

私立百花王学園高等部3年牡丹組に在籍する女子。黒髪のボブカットで、かわいらしい外見をしている。「カップリングギャンブル」で早乙女芽亜里らとチームを組んだ。「カップリングギャンブル」の常連だが、ギャンブル上のカップルが成立しても、これまで恋愛関係に発展した事はない。イケメン好きをアピールし、彼氏を探しに来たように装っているが、実は結奏らと通じており、女性陣を敗北へ導く裏切り者である。

結 奏 (むすび かなで)

私立百花王学園高等部に通う男子。太った体型をしており、結奏本人もその事にコンプレックスを抱いている。実は巨大企業の御曹司で、金持ちであるにもかかわらずモテない。そのくせ、付き合うなら清楚な娘がいいと、非常に童貞らしい拘りを持っている。結自身はあまり金に執着しない性格だが、つねに金目当てのイケメン四人組と共に行動しており、彼らには「殿」と呼ばれている。 「カップリングギャンブル」で最初は花手毬つづらを狙っていたが、第2回戦では身体目的で「お泊り」オプションを使った戸隠雪見に乗り換えた。ゲーム終了後、早乙女芽亜里から「男なら好きな女に一本筋を通せ」と諭された事をきっかけに芽亜里に惚れ、以後は第二図書準備室にも顔を出すようになる。 「んふ」という特徴的な笑い方をし、テンションが上がると左右に揺れ出す癖がある。

三春滝 咲良 (みはるたき さくら)

私立百花王学園高等部の生徒会で、美化委員長を務める女子。だが、実は善咲会の幹部(評議員)でもある。髪型は長く伸ばしたポニーテール。親が決めた許嫁ではあるが、壬生臣葵の事を愛しており、葵が気に入っている早乙女芽亜里に嫉妬している。努力家で頭がよく、中等部の頃から研鑽を積み、美化委員長の座を手に入れるほどの実力者になった。 善咲会においてはギャンブルの実戦部隊を担っているという自負があり、新しく芽亜里を善咲会に入れる事に反対している。相手の心理や戦略を読む事に長け、潔癖な性格からイカサマなしで勝負する事を旨としているが、相手のイカサマを発見した場合は、それを逆用する機転を持つ。暗号解読などもお手の物で、芽亜里らが三人がかりで解いた暗号を、たった一人で先に解いたほど。 しかし、自分の能力に驕る事なく、敗北した際には相手の実力を認め、謝罪するという潔さも併せ持つ。芽亜里に敗北した事を理由に、葵に失望されて善咲会をクビになり、結婚についても愛情がない事を知らされるが、涙ながらに受け入れた。

下月売 奥理 (しもつきうり おうり)

私立百花王学園高等部1年華組に在籍する女子。三つ編みで前髪を長く垂らした、地味な雰囲気の持ち主。誰に対しても敬語を使い、相手を罵倒する時でもその口調は崩さない。中等部から特待生として編入して来た経緯があり、テストはほぼ全教科100点を取っているほど成績が優秀。実は見たものを映像としてそのまま記憶する「直観像記憶」能力の持ち主で、壬生臣葵にスカウトされ、善咲会の新しい幹部(評議員)として迎え入れられた。 善咲会の理念に共感し、葵に心酔している。そのため葵の誘いを断った早乙女芽亜里に敵意を抱いている。また、善咲会会長の座を狙う嫗ヶ頭姉妹をマークしており、賭場に一見客を派遣して観察させ、尾行・盗撮・盗聴・聞き込み・ゴミ漁りなど可能な限りの手段で調べ尽くした。 これにより二人が使うサインを完璧に把握したうえで、排除に乗り出すという準備万端さを見せる。その場に居合わせた芽亜里と佐渡みくら組の即席サインも一瞬にして看破するなど洞察力に優れ、ギャンブルの実力は相当なもの。さらに善咲会と葵に仇なす者には徹底的に制裁を加えようとする残虐性を持つ。

嫗ヶ頭姉妹 (おうがとうしまい)

私立百花王学園高等部に通う双子の姉妹。姉は直子、妹は傍子。共にソフトボール部に所属しており、部室を自らが運営する賭場として使っている。善咲会の幹部を務めているが、会長の座を狙っており、賭場で負けた者に、善咲会で嫗ヶ頭姉妹を支持する事を強制している。「通し」に精通していて複数のサインを使いこなし、ほかの者の初見のサインですら息をする様に盗む事ができる。 そのため自分達の賭場で行うギャンブルに関しては無類の強さを発揮する。

生志摩 妄 (いきしま みだり)

私立百花王学園高等部に通う女子。ミディアムヘアにリボンを付け、両耳と口にピアスを開けている。三白眼でガラが悪く、つねに手下を連れ歩いている。賭場自体を賭けた勝負を仕掛ける事で知られ、すでに七つの賭場の使用権を手にしている。しかし、生志摩妄自身に賭場を運営する気はない。生徒会の美化委員長である三春滝咲良が賭場の使用料を徴収しに来た際、彼女とギャンブル勝負を行う事となった。 実は非常に強い破滅願望の持ち主で、自分を破滅に導いてくれる相手を求めている。

集団・組織

生徒会 (せいとかい)

私立百花王学園最強の勝ち組であるギャンブル集団。現在の生徒会長は105代目で桃喰綺羅莉が務めている。役職はさまざまだが、そのうち美化委員には逮捕権限が与えられている。生徒会役員達は一人一人が圧倒的なギャンブルの腕前を誇っており、ギャンブルで地位が決まる私立百花王学園内では絶対的な権力を有している。一般生徒からの生徒会への不満を晴らすために家畜制度を採用し、これにより生徒会の権力はますます盤石なものとなっている。

善咲会 (ぜんしょうかい)

壬生臣葵が創始者であり会長を務める集団。主に家畜に堕ちた者達で構成される。正式名称は「より善く咲くための会」。家畜制度の撤廃、ひいては現生徒会の専横を覆す事を目的としている。幹部は評議員という名で呼ばれているが、実質は葵の独裁政権であり、すべての決定権を持っている。生徒会を潰した暁には善咲会の幹部達が後釜に座ると思われるため、会長の席を狙う者もいる。 表立って活動できない集団ではあるが、家畜生徒や葵に共感した者達からの支持は厚い。アンチ生徒会の集団にもかかわらず、葵自身もそうだが、共感した三春滝咲良なども、生徒会役員でありながら幹部として籍を置いていた。

場所

私立百花王学園 (しりつひゃっかおうがくえん)

創立121年を誇る名門校。通う生徒は政財界の有力者の子女で、生まれながらに日本を統べる役割を持った勝者達が集まっている。広大な敷地や十二分な設備、優秀な教師陣が揃っており、環境は日本最高と評される。ただ、勉強やスポーツなどは、金と権力を使ってほかの者にやらせればいいという校風で、生徒達には勝負強さや読心術など「ここぞという時に勝つ」能力が求められる。 そのため生徒達にはギャンブルが推奨され、ギャンブルの強さで校内の地位が決まるという伝統があり、放課後になれば、いたるところで賭場が開かれている。そのトップには生徒会が君臨しており、学園を支配している。特待生制度があり、成績優秀者が外部から編入して来る事もあるが、編入生は初日でカモにされて潰されるのが定石となっている。

第二図書準備室 (だいにとしょじゅんびしつ)

戸隠雪見が部長を務める文芸部の部室。校内で一番人気のない賭場が開かれていた。のちに早乙女芽亜里がギャンブルで雪見から賭場の使用権を奪い、芽亜里が運営する賭場として生まれ変わった。以後はゲームのアイディアも当たり、客入りも安定するが、軌道に乗りかけるたびに壬生臣葵や聚楽幸子といった猛者が潰しに現れるため、つねに経営難である。 賭場開帳の月額使用料は50万円だが、私立百花王学園の中では最低ランクの家賃となっている。ちなみに現在、ディーラーの制服はメイド服である。

その他キーワード

家畜 (かちく)

全生徒のうち、生徒会に納める上納金が下位100位までの生徒の俗称。家畜は人間扱いされない被差別階級となっている。一般生徒からは、憂さを晴らすために日常的にイジメを受けている。ギャンブルで負けが込み、借金を背負った事で上納金を納められずに家畜堕ちするパターンがほとんど。「特別上納金」という制度があり、100万円を生徒会に納めれば家畜を返上する事もできるが、一度家畜堕ちすると、種銭もない状態になるため、実質的には不可能である。 さらに男子は「ポチ」、女子は「ミケ」と書かれた家畜標が支給されて着用が義務付けられ、自分の名では呼ばれない事も多い。

スリーヒットダイス

聚楽幸子が提案したゲーム。ダイスの123を「DOWN」、456を「UP」として扱い、プレイヤーはDOWNとUPの「連続する3つの出目」を予想してカードに書き、ディーラーが1つのダイスを振り続け、予想した3つの出目が先に出たプレイヤーの勝ちというルール。DOWNは「D」、UPは「U」として表記する。例としてプレイヤー1「UDD」対プレイヤー2「DDU」という予想の勝負であれば、ダイスの出目が「1(D)4(U)5(U)2(D)3(D)」という順番で出現するとなると、523の出目でUDDが成立しプレイヤー1の勝利となる。

カップリングギャンブル

私立百花王学園生徒会主催のカップリングパーティーで、もう一つの顔として行われているギャンブル。第50回である今回は聚楽幸子が主幹事を務めている。参加費は第1回戦が100万円で、任意参加である第2回戦は200万円。男性五名対女性五名のチーム戦で、対戦相手はランダムに決定される。まず女性は相手の男性の内一人を「告白相手」として指定。 次に男性チームは「告白を受け入れるかどうか」を「選択」する。「告白」と「選択」が終われば、女性陣から「告白相手」を発表していく。女性の告白相手と男性の選択先が一致していたら「カップル成立」となる。また一致しなければ「カップル不成立」となる。カップル成立したペアは男性の勝利となり、女性が男性に賭け金を払う。 カップル不成立となったペアは男性の敗北となり、女性に賭け金を支払う。なお、告白相手と選択相手はいずれもかぶってもOKだが、カップル成立した際、その男性に告白した女性は全員賭け金を支払う。女性のみの特典として「乙女の約束」が設定されている。乙女の約束を宣言すると、敗北の際に義務を負う事で賭け金を大きく値引きする事ができる。 内容は賭け金が1/2になる「電話番号交換」という軽いものから、1/10になる「お泊り」という貞操を賭けたリスキーなものまである。

ダイス・ニム・ゲーム (だいすにむげーむ)

壬生臣葵考案のゲーム。使用するのは碁石とダイスのみ。プレイヤーは互いにダイスを振り、その数だけ碁笥(ごけ)から碁石をとっていく。そして最後の1個を取ってしまったら負けという、技術介入の余地はなく公平で平等。葵いわく「ある意味、最もギャンブルらしいギャンブル」。

テスト・バトルゲーム (てすとばとるげーむ)

私立百花王学園で行われる定期試験のあとに試験結果を使って行われる「定期試験ギャンブル」の一つ。一対一でプレイし、「出席番号カード」を1枚引き、出た番号の人のテスト結果が引いた人の手札となる。そしてその出席番号の人が得意そうな科目を選び、点数が高い方が勝利となる。トーナメント方式で行われた今回の1年華組での賭け代は「優勝者は学級委員になる+副賞30万円」である。

隠された掟ゲーム (かくされたおきてげーむ)

嫗ヶ頭姉妹の賭場で行われるゲーム。トランプ1デックを人数分と、トランプの出し方のルールが書かれた「掟カード」50枚を使用する。プレイヤーは、ターン毎に親と子に分かれて順にトランプを出していき、親のみが知る「掟」を探る推理ゲームである。まず親が掟カードを3枚引き、そのターンの掟となる1枚を選ぶ。次に親から時計回りにトランプを1枚ずつ出していき、トランプが出る度、それが掟に合致しているかしていないかを全員に伝える。 合致なら子は1点加点され、合致しなければ加点はなし。これを繰り返し、掟が推測できた子は「暴露」と宣言し、自分が推測した掟を言う。それが当たっていたら10点加点されるが、暴露は1ターンにつき一人1回までしか出来ない。親はトランプが1枚出る度に1点加点されるが、10枚出た時点で誰も掟を当てられなかったら、そのターンで得た点数は没収の上10点減点される。 暴露が成功するかトランプが10枚出たら、親を次の者に交代し1ターン終了。そして10ターンの総得点で競うルール。親は7〜8回くらいで当てられる掟を選び、子は掟を当てるという事が求められる。

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